ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第2428話 色々考えたが、結局は

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 ことが動いたのは3日目の昼食後だった。

 敵軍が動いたわけではない。SSランク冒険者の準備が整ったのか、高速で移動を開始したのだ。

 それと同時に、王国の軍なのか騎士団なのかは分からないが、かなりの規模の集団が移動を開始した。

 動き出した集団もすぐに判明する。

 王国からグリエルに連絡が入り、動きだした集団は常備軍で同行者として、A~Bランクの冒険者も同行しているそうだ。相手が人間だけではなく、魔物の相手をする可能性があるということで、冒険者を同行させているらしい。

 間に合うのかと思ったが、本来戦争って言うのは数日で終わるような物ではない。数ヶ月、長ければ年単位で無駄な消耗戦をすることもあるのだ。

 今から動いても意味がないわけではない。まだ王国は襲われていないけど、襲われる可能性はあるし、冒険者ギルドに勇者とダンジョンマスターの対処を任せた以上、自分たちの戦力を出さないわけにいはいかないからな。

 無駄な消耗をしないために、出し惜しみせず戦力を雇って、一気に潰す方が最終的に一番安く上がるのだが、なかなかそれを決断できる国は無いみたいだな。もしかしたら……とか考えて、お金の出し惜しみをして、結局大きくマイナスになるとかばかげた話だ。

 そこらへんは俺にとって関係ない話なので、気にしない方向で。

 SSランク冒険者が先行している理由は、俺たちから情報を得るためだということで、俺たちの街に来るけど攻撃しないでやってほしいだとさ。レイリーに対応を任せるから、攻撃させないようにね。

 強さを考えると、1人に対して2~3人で相手にしても、勝ち目は薄いからやめておけよ。合計のレベルが越していたとしても、レベルは加算ではないからな。レベル1が200人いても、レベル50にも勝てないだろう。

 だから、無理に相手をする必要がない……というか、話では向こうは敵意を持っているわけじゃないから、そのまま通していいと門を警備している者に伝えておこう。

 さて問題は、レイリーとどこで合せるかだな。今使っているここで合せるのは絶対にないので、やっぱり一番わかりやすい近くの街の兵舎かな。情報を渡すだけだし、それ以外に何があるわけでもないからな。


「改めて、渡す情報を検討するか」

 情報を渡すことは決まっているが、どの情報をどこまでどうやって伝えるかだ。特に麻薬と毒薬が気化した状態が危険だと、どうやって伝えれば分かりやすいかという問題もある。

「気化という言葉を使っても、この世界の人に使っても分からないわよ。だから、麻薬や毒に火をかけると周りに広がるから、ダンジョンのような風通しの悪い場所では、万能薬を使って持続的に毒を無効化するように言っておけばいいんじゃない?」

「そうでござるな。とりあえず、一番ネックになるのは毒と麻薬でござろうな。あれを使われると、対策なしにはどうにもならないでござるからな。そこに魔物が襲い掛かってきたら、さすがのSSランク冒険者でも危ないでござる」

 拷問の手伝いは敵兵の移動だけなので、本体はこちらで話し合いに参加している。

「それはそうだけど、他には主力の2000人がまだダンジョンに残っている事とか……って、あれ? それくらいしか伝えること無いか? 俺たちも知っていることがそう多くなかったな。街の情報とかはあるけど、冒険者には必要ない情報だろうな。

 チンピラの軍2000人と一応正規軍2000人、合計で4000人も常駐兵がいる街と考えると、相当大きな街になるよな……規模だけで言えば、中立都市にある街全部と合わせたくらいの数はいるんじゃないか?」

「数だけ見れはそうかもしれないけど、シュウの管理下にある街は、今は軍と衛兵がきっちり分かれているから、常駐兵が少なく見えているだけでしょ。それを含めれば、こっちの方が多いでしょ」

 確かに戦える戦力としてみた場合は、こちらの方が多いけど役割が違うから、実際に前に出て戦う数は少ないぞ。

「俺たちがやろうとしていたことを、SSランク冒険者がやってくれるんだから、戦力の話はやめておこう。この世界の戦力って、簡単に比べられるもんじゃないしな。俺が言い始めたけど、やめやめ」

 自分だ振った話題なのに、ぶった斬ってこの話題を終了させる。

「兵士たちからは、ダンジョンでどんな魔物が主力になっているとか、まったく情報がなかったから、ダンジョンマスターが意図的に隠しているんだろうな。レベル上げと防衛のダンジョンはおそらく別なんだろうな。そのことだけでも伝えてやろう、その後はSSランク冒険者なんだから、なんとかできるだろ」

「そうでござるな。色々心配しているでござるが、毒と麻薬の対策さえ準備すれば問題ないでござるから、後は自分たちで考えていただくでござるよ。伝えられない情報だけ隠して、レイリー殿に伝えてもらえばいいでござる」

 最終的には、ここに落ち着いた。

 情報を箇条書きして、レイリーも自分の持っている情報と照らし合わせ、自分の話しやすいようにしてもらうことにした。

 本当に有能な指揮官で助かります。リリーと結婚しているから、レイリーはお爺ちゃんになるんだけど、線を引いて俺たちと付き合ってるんだよな。少し距離がある感じはするけど、本人が望んでいるからな。リリーと2人の時は、ちゃんと祖父と孫娘みたいだからいいか。

 SSランク冒険者の速度だと……休憩をはさんで3日もあれば到着するかな? 3人で移動しているし、休息も十分とれるだろうから、街を使わずに直線でこっちまでくるだろう。

 レイリー、所属は違うけど、門番の人たちにも連絡しておいてくれ。通る時に、街の西にある兵舎に向かうように、伝言頼む。

 到着までに追加の情報があれば、レイリーに選別してもらえばいいだろう。レイリーは前日には、兵舎に入っててくれな。こっちは、副官たちに頑張ってもらうから大丈夫だぞ。
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