2,427 / 2,518
第2428話 色々考えたが、結局は
しおりを挟む
ことが動いたのは3日目の昼食後だった。
敵軍が動いたわけではない。SSランク冒険者の準備が整ったのか、高速で移動を開始したのだ。
それと同時に、王国の軍なのか騎士団なのかは分からないが、かなりの規模の集団が移動を開始した。
動き出した集団もすぐに判明する。
王国からグリエルに連絡が入り、動きだした集団は常備軍で同行者として、A~Bランクの冒険者も同行しているそうだ。相手が人間だけではなく、魔物の相手をする可能性があるということで、冒険者を同行させているらしい。
間に合うのかと思ったが、本来戦争って言うのは数日で終わるような物ではない。数ヶ月、長ければ年単位で無駄な消耗戦をすることもあるのだ。
今から動いても意味がないわけではない。まだ王国は襲われていないけど、襲われる可能性はあるし、冒険者ギルドに勇者とダンジョンマスターの対処を任せた以上、自分たちの戦力を出さないわけにいはいかないからな。
無駄な消耗をしないために、出し惜しみせず戦力を雇って、一気に潰す方が最終的に一番安く上がるのだが、なかなかそれを決断できる国は無いみたいだな。もしかしたら……とか考えて、お金の出し惜しみをして、結局大きくマイナスになるとかばかげた話だ。
そこらへんは俺にとって関係ない話なので、気にしない方向で。
SSランク冒険者が先行している理由は、俺たちから情報を得るためだということで、俺たちの街に来るけど攻撃しないでやってほしいだとさ。レイリーに対応を任せるから、攻撃させないようにね。
強さを考えると、1人に対して2~3人で相手にしても、勝ち目は薄いからやめておけよ。合計のレベルが越していたとしても、レベルは加算ではないからな。レベル1が200人いても、レベル50にも勝てないだろう。
だから、無理に相手をする必要がない……というか、話では向こうは敵意を持っているわけじゃないから、そのまま通していいと門を警備している者に伝えておこう。
さて問題は、レイリーとどこで合せるかだな。今使っているここで合せるのは絶対にないので、やっぱり一番わかりやすい近くの街の兵舎かな。情報を渡すだけだし、それ以外に何があるわけでもないからな。
「改めて、渡す情報を検討するか」
情報を渡すことは決まっているが、どの情報をどこまでどうやって伝えるかだ。特に麻薬と毒薬が気化した状態が危険だと、どうやって伝えれば分かりやすいかという問題もある。
「気化という言葉を使っても、この世界の人に使っても分からないわよ。だから、麻薬や毒に火をかけると周りに広がるから、ダンジョンのような風通しの悪い場所では、万能薬を使って持続的に毒を無効化するように言っておけばいいんじゃない?」
「そうでござるな。とりあえず、一番ネックになるのは毒と麻薬でござろうな。あれを使われると、対策なしにはどうにもならないでござるからな。そこに魔物が襲い掛かってきたら、さすがのSSランク冒険者でも危ないでござる」
拷問の手伝いは敵兵の移動だけなので、本体はこちらで話し合いに参加している。
「それはそうだけど、他には主力の2000人がまだダンジョンに残っている事とか……って、あれ? それくらいしか伝えること無いか? 俺たちも知っていることがそう多くなかったな。街の情報とかはあるけど、冒険者には必要ない情報だろうな。
チンピラの軍2000人と一応正規軍2000人、合計で4000人も常駐兵がいる街と考えると、相当大きな街になるよな……規模だけで言えば、中立都市にある街全部と合わせたくらいの数はいるんじゃないか?」
「数だけ見れはそうかもしれないけど、シュウの管理下にある街は、今は軍と衛兵がきっちり分かれているから、常駐兵が少なく見えているだけでしょ。それを含めれば、こっちの方が多いでしょ」
確かに戦える戦力としてみた場合は、こちらの方が多いけど役割が違うから、実際に前に出て戦う数は少ないぞ。
「俺たちがやろうとしていたことを、SSランク冒険者がやってくれるんだから、戦力の話はやめておこう。この世界の戦力って、簡単に比べられるもんじゃないしな。俺が言い始めたけど、やめやめ」
自分だ振った話題なのに、ぶった斬ってこの話題を終了させる。
「兵士たちからは、ダンジョンでどんな魔物が主力になっているとか、まったく情報がなかったから、ダンジョンマスターが意図的に隠しているんだろうな。レベル上げと防衛のダンジョンはおそらく別なんだろうな。そのことだけでも伝えてやろう、その後はSSランク冒険者なんだから、なんとかできるだろ」
「そうでござるな。色々心配しているでござるが、毒と麻薬の対策さえ準備すれば問題ないでござるから、後は自分たちで考えていただくでござるよ。伝えられない情報だけ隠して、レイリー殿に伝えてもらえばいいでござる」
最終的には、ここに落ち着いた。
情報を箇条書きして、レイリーも自分の持っている情報と照らし合わせ、自分の話しやすいようにしてもらうことにした。
本当に有能な指揮官で助かります。リリーと結婚しているから、レイリーはお爺ちゃんになるんだけど、線を引いて俺たちと付き合ってるんだよな。少し距離がある感じはするけど、本人が望んでいるからな。リリーと2人の時は、ちゃんと祖父と孫娘みたいだからいいか。
SSランク冒険者の速度だと……休憩をはさんで3日もあれば到着するかな? 3人で移動しているし、休息も十分とれるだろうから、街を使わずに直線でこっちまでくるだろう。
レイリー、所属は違うけど、門番の人たちにも連絡しておいてくれ。通る時に、街の西にある兵舎に向かうように、伝言頼む。
到着までに追加の情報があれば、レイリーに選別してもらえばいいだろう。レイリーは前日には、兵舎に入っててくれな。こっちは、副官たちに頑張ってもらうから大丈夫だぞ。
敵軍が動いたわけではない。SSランク冒険者の準備が整ったのか、高速で移動を開始したのだ。
それと同時に、王国の軍なのか騎士団なのかは分からないが、かなりの規模の集団が移動を開始した。
動き出した集団もすぐに判明する。
王国からグリエルに連絡が入り、動きだした集団は常備軍で同行者として、A~Bランクの冒険者も同行しているそうだ。相手が人間だけではなく、魔物の相手をする可能性があるということで、冒険者を同行させているらしい。
間に合うのかと思ったが、本来戦争って言うのは数日で終わるような物ではない。数ヶ月、長ければ年単位で無駄な消耗戦をすることもあるのだ。
今から動いても意味がないわけではない。まだ王国は襲われていないけど、襲われる可能性はあるし、冒険者ギルドに勇者とダンジョンマスターの対処を任せた以上、自分たちの戦力を出さないわけにいはいかないからな。
無駄な消耗をしないために、出し惜しみせず戦力を雇って、一気に潰す方が最終的に一番安く上がるのだが、なかなかそれを決断できる国は無いみたいだな。もしかしたら……とか考えて、お金の出し惜しみをして、結局大きくマイナスになるとかばかげた話だ。
そこらへんは俺にとって関係ない話なので、気にしない方向で。
SSランク冒険者が先行している理由は、俺たちから情報を得るためだということで、俺たちの街に来るけど攻撃しないでやってほしいだとさ。レイリーに対応を任せるから、攻撃させないようにね。
強さを考えると、1人に対して2~3人で相手にしても、勝ち目は薄いからやめておけよ。合計のレベルが越していたとしても、レベルは加算ではないからな。レベル1が200人いても、レベル50にも勝てないだろう。
だから、無理に相手をする必要がない……というか、話では向こうは敵意を持っているわけじゃないから、そのまま通していいと門を警備している者に伝えておこう。
さて問題は、レイリーとどこで合せるかだな。今使っているここで合せるのは絶対にないので、やっぱり一番わかりやすい近くの街の兵舎かな。情報を渡すだけだし、それ以外に何があるわけでもないからな。
「改めて、渡す情報を検討するか」
情報を渡すことは決まっているが、どの情報をどこまでどうやって伝えるかだ。特に麻薬と毒薬が気化した状態が危険だと、どうやって伝えれば分かりやすいかという問題もある。
「気化という言葉を使っても、この世界の人に使っても分からないわよ。だから、麻薬や毒に火をかけると周りに広がるから、ダンジョンのような風通しの悪い場所では、万能薬を使って持続的に毒を無効化するように言っておけばいいんじゃない?」
「そうでござるな。とりあえず、一番ネックになるのは毒と麻薬でござろうな。あれを使われると、対策なしにはどうにもならないでござるからな。そこに魔物が襲い掛かってきたら、さすがのSSランク冒険者でも危ないでござる」
拷問の手伝いは敵兵の移動だけなので、本体はこちらで話し合いに参加している。
「それはそうだけど、他には主力の2000人がまだダンジョンに残っている事とか……って、あれ? それくらいしか伝えること無いか? 俺たちも知っていることがそう多くなかったな。街の情報とかはあるけど、冒険者には必要ない情報だろうな。
チンピラの軍2000人と一応正規軍2000人、合計で4000人も常駐兵がいる街と考えると、相当大きな街になるよな……規模だけで言えば、中立都市にある街全部と合わせたくらいの数はいるんじゃないか?」
「数だけ見れはそうかもしれないけど、シュウの管理下にある街は、今は軍と衛兵がきっちり分かれているから、常駐兵が少なく見えているだけでしょ。それを含めれば、こっちの方が多いでしょ」
確かに戦える戦力としてみた場合は、こちらの方が多いけど役割が違うから、実際に前に出て戦う数は少ないぞ。
「俺たちがやろうとしていたことを、SSランク冒険者がやってくれるんだから、戦力の話はやめておこう。この世界の戦力って、簡単に比べられるもんじゃないしな。俺が言い始めたけど、やめやめ」
自分だ振った話題なのに、ぶった斬ってこの話題を終了させる。
「兵士たちからは、ダンジョンでどんな魔物が主力になっているとか、まったく情報がなかったから、ダンジョンマスターが意図的に隠しているんだろうな。レベル上げと防衛のダンジョンはおそらく別なんだろうな。そのことだけでも伝えてやろう、その後はSSランク冒険者なんだから、なんとかできるだろ」
「そうでござるな。色々心配しているでござるが、毒と麻薬の対策さえ準備すれば問題ないでござるから、後は自分たちで考えていただくでござるよ。伝えられない情報だけ隠して、レイリー殿に伝えてもらえばいいでござる」
最終的には、ここに落ち着いた。
情報を箇条書きして、レイリーも自分の持っている情報と照らし合わせ、自分の話しやすいようにしてもらうことにした。
本当に有能な指揮官で助かります。リリーと結婚しているから、レイリーはお爺ちゃんになるんだけど、線を引いて俺たちと付き合ってるんだよな。少し距離がある感じはするけど、本人が望んでいるからな。リリーと2人の時は、ちゃんと祖父と孫娘みたいだからいいか。
SSランク冒険者の速度だと……休憩をはさんで3日もあれば到着するかな? 3人で移動しているし、休息も十分とれるだろうから、街を使わずに直線でこっちまでくるだろう。
レイリー、所属は違うけど、門番の人たちにも連絡しておいてくれ。通る時に、街の西にある兵舎に向かうように、伝言頼む。
到着までに追加の情報があれば、レイリーに選別してもらえばいいだろう。レイリーは前日には、兵舎に入っててくれな。こっちは、副官たちに頑張ってもらうから大丈夫だぞ。
0
お気に入りに追加
449
あなたにおすすめの小説
救国の大聖女は生まれ変わって【薬剤師】になりました ~聖女の力には限界があるけど、万能薬ならもっとたくさんの人を救えますよね?~
日之影ソラ
恋愛
千年前、大聖女として多くの人々を救った一人の女性がいた。国を蝕む病と一人で戦った彼女は、僅かニ十歳でその生涯を終えてしまう。その原因は、聖女の力を使い過ぎたこと。聖女の力には、使うことで自身の命を削るというリスクがあった。それを知ってからも、彼女は聖女としての使命を果たすべく、人々のために祈り続けた。そして、命が終わる瞬間、彼女は後悔した。もっと多くの人を救えたはずなのに……と。
そんな彼女は、ユリアとして千年後の世界で新たな生を受ける。今度こそ、より多くの人を救いたい。その一心で、彼女は薬剤師になった。万能薬を作ることで、かつて救えなかった人たちの笑顔を守ろうとした。
優しい王子に、元気で真面目な後輩。宮廷での環境にも恵まれ、一歩ずつ万能薬という目標に進んでいく。
しかし、新たな聖女が誕生してしまったことで、彼女の人生は大きく変化する。
鮮明な月
碧
BL
鮮明な月のようなあの人のことを、幼い頃からひたすらに思い続けていた。叶わないと知りながら、それでもただひたすらに密やかに思い続ける源川仁聖。叶わないのは当然だ、鮮明な月のようなあの人は、自分と同じ男性なのだから。
彼を思いながら、他の人間で代用し続ける矛盾に耐えきれなくなっていく。そんな時ふと鮮明な月のような彼に、手が届きそうな気がした。
第九章以降は鮮明な月の後日談
月のような彼に源川仁聖の手が届いてからの物語。
基本的にはエッチ多目だと思われます。
読む際にはご注意下さい。第九章以降は主人公達以外の他キャラ主体が元気なため誰が主人公やねんなところもあります。すみません。
転移魔法に失敗したら大変な事に巻き込まれたようです。
ミカヅキグマ
ファンタジー
魔導師のヴァージニアは転移魔法に失敗して見知らぬ島に来てしまった。
地図にも載っていないその島には何やら怪しげな遺跡がポツンと建っていた。ヴァージニアはただでさえ転移魔法の失敗で落ち込んでいるのに、うっかりその遺跡に閉じ込められてしまう。彼女が出口を探すために仕方なく遺跡の奥に進んで行くと、なんとそこには一人の幼い少年がいた。何故こんな所に少年が? 彼は一体何者なのだろうか?
ヴァージニアは少年の正体が世界を揺るがす出来事に発展するとは露程も思っていなかったのだった……。
※台詞が多めです。現在(2021年11月)投稿している辺りだと地の文が増えてきています。
※最終話の後に登場人物紹介がありますので、少しのネタバレならOKという方はどうぞご覧下さい。
ネタバレ
※ヴァージニア(主人公)が抱く疑問は地竜とキャサリンが登場すると解けていきます。(伏線回収)
さらにネタバレ
※何度もループしている世界の話ですが、主人公達は前の世界の記憶を持っていません。しかし違和感などは覚えています。(あんまりループ要素はないです)
さらにさらにネタバレ?
※少年の正体は早い段階で出てるじゃないかと思っている方……、それじゃないんです。別にあるんです。
没落した元名門貴族の令嬢は、馬鹿にしてきた人たちを見返すため王子の騎士を目指します!
日之影ソラ
ファンタジー
かつては騎士の名門と呼ばれたブレイブ公爵家は、代々王族の専属護衛を任されていた。
しかし数世代前から優秀な騎士が生まれず、ついに専属護衛の任を解かれてしまう。それ以降も目立った活躍はなく、貴族としての地位や立場は薄れて行く。
ブレイブ家の長女として生まれたミスティアは、才能がないながらも剣士として研鑽をつみ、騎士となった父の背中を見て育った。彼女は父を尊敬していたが、周囲の目は冷ややかであり、落ちぶれた騎士の一族と馬鹿にされてしまう。
そんなある日、父が戦場で命を落としてしまった。残されたのは母も病に倒れ、ついにはミスティア一人になってしまう。土地、お金、人、多くを失ってしまったミスティアは、亡き両親の想いを受け継ぎ、再びブレイブ家を最高の騎士の名家にするため、第一王子の護衛騎士になることを決意する。
こちらの作品の連載版です。
https://ncode.syosetu.com/n8177jc/
悪魔だと呼ばれる強面騎士団長様に勢いで結婚を申し込んでしまった私の結婚生活
束原ミヤコ
恋愛
ラーチェル・クリスタニアは、男運がない。
初恋の幼馴染みは、もう一人の幼馴染みと結婚をしてしまい、傷心のまま婚約をした相手は、結婚間近に浮気が発覚して破談になってしまった。
ある日の舞踏会で、ラーチェルは幼馴染みのナターシャに小馬鹿にされて、酒を飲み、ふらついてぶつかった相手に、勢いで結婚を申し込んだ。
それは悪魔の騎士団長と呼ばれる、オルフェレウス・レノクスだった。
優秀な姉の添え物でしかない私を必要としてくれたのは、優しい勇者様でした ~病弱だった少女は異世界で恩返しの旅に出る~
日之影ソラ
ファンタジー
前世では病弱で、生涯のほとんどを病室で過ごした少女がいた。彼女は死を迎える直前、神様に願った。
もしも来世があるのなら、今度は私が誰かを支えられるような人間になりたい。見知らぬ誰かの優しさが、病に苦しむ自分を支えてくれたように。
そして彼女は貴族の令嬢ミモザとして生まれ変わった。非凡な姉と比べられ、常に見下されながらも、自分にやれることを精一杯取り組み、他人を支えることに人生をかけた。
誰かのために生きたい。その想いに嘘はない。けれど……本当にこれでいいのか?
そんな疑問に答えをくれたのは、平和な時代に生まれた勇者様だった。
欲情しないと仰いましたので白い結婚でお願いします
ユユ
恋愛
他国の王太子の第三妃として望まれたはずが、
王太子からは拒絶されてしまった。
欲情しない?
ならば白い結婚で。
同伴公務も拒否します。
だけど王太子が何故か付き纏い出す。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる