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第2419話 防衛強化
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ダゴンたちは最前線で使うことになるが、水を操る能力の関係上、無幻爆弾のキルゾーンに入ることはないだろう。本当に使い捨て予定の骨ゲーターは、キルゾーンに入るので死ぬ可能性はある。それでも水の中で戦う予定なので、敵の判断次第という部分もある。
レイリーたちの撤退は予想以上の速さで終わっていた。俺が指示を出してからおよそ30分といったところか?
ここには国境に当たるので兵士の詰め所はあるが、軍が駐留できるほど大きいものではない。中隊規模が限界だろう。
だから大型のテントを建てていたはずなのに、30分で全部を片付けたのか?
首をひねってテントのあった場所を見ていると、
「テントは、骨は一張りごとにまとめて縛り、アウターは丸めて収納に入れているそうです。急ぐ必要もあり街の近くでまたテントを張るので、畳んでいないそうです」
俺が疑問に思っていることを、近くを通りがかった兵士が説明してくれた。考えていることがやはりばれているな。そんなにわかりやすいのかな?
「さすがに今のを気付かない人はいないでござる。テントのあった場所を首をかしげてみていれば、誰にでも分かるでござるよ」
それもそうか。分かりやすい俺がさらに分かりやすい行動をとっていたら、何を考えているかなんてバレバレか。
急いでいてすぐ使う予定があるのであれば、丸めて収納するのも分かるな。そもそもうちの軍では、危険であれば破棄してもかまわないので、気にしていた俺が変だったかもしれないな。
俺もやることをしますかね。
壁は問題ないけど、門は強化してあるとはいえ、後付けしている物なので強度が低い。なので、その強度を補うために、門を完全に壁に埋め込むことにした。
後で元に戻さないといけないけど、目標が見えなくするのは戦術的には悪くない。集中されたら面倒だしな。
「シュウ殿、外堀を広くしてはどうでござるか? ダゴンもシリウス君も、水と相性がいいでござるから、水の領域を広げて潜ませておくには持って来いでござる。
壁からある程度距離があれば、壁を強引に登らず橋がある場所を探しそうではござらんか? 堀に沿って敵の列が伸びれば、奇襲で倒しやすくなると思うでござる。無幻爆弾も離れる余裕がない時に、使う判断を出せるとは思わないでござるよ」
俺たちとシリウス君はキルゾーンから離れていれば問題ない。キルゾーンには入ってしまうが、密集しているところではさすがに使い難いだろう。運ぶ奴隷を準備しているってことは、危険性を理解しているってことだからな。
それ採用だな。今は5メートルほどしかない堀を、一気に50メートルほどに広げた。深さも30メートルほどに深くしている。水も不足するので追加で大量に補充しておいた。これも作戦が終了次第元に戻すから、結構大胆に広げている。
他にしておきたいことは……監視の強化か。
「バザール、綾乃と協力して、壁の上とかでいいから望遠カメラを30台くらい間隔をあけて設置してきてくれ。遠隔操作もできるように頼むわ」
ダンジョンマスターの能力を使えば、簡単に操作できるようになるので、小難しい設定をしなくてもいいから便利だな。
綾乃にも手伝ってもらおうと思ったが、人造ゴーレムをもう少し作っておきたいからと言って、ダンジョン拠点に残っている。そのためバザールは1人で設置をしに行った。
3人とも離れた場所にいるので、無線を使ってボイスチャット感覚で話しながらの作業をしているから、一緒にいる必要は無かったりする。1人で30台の設置は面倒だろうけど、頑張ってくれ。
俺は、妻たちと連絡を取ったり、関係各所とも連絡を取ったりして、世話しなく動くことになる。
妻たちから追加情報として、やはり麻薬が確認された。明らかにおかしな状態だったので、麻薬でなくともそれに準するものが使われていると考えていたので、やっぱりなという気持ちだ。
グリエルたちは、国王に連絡を入れ既に街が1つ落とされており住民はすべて連れ去られ、街の領主は敵前逃亡をしたうえで、敵に捕まり殺されたことを報告しているとの事。相手が勇者とダンジョンマスターということも伝えたそうだ。
王国は冒険者ギルドと連絡を取り、情報の提供と大量誘拐犯の勇者とその仲間を処刑するための人材依頼をすると即座に決めたようだ。
勇者が敵にいるということは、特に脅威ではないが、ダンジョンマスターと組んで仲間もレベル上げをしているため、かなり危険度が高いと判断して、冒険者ギルドに協力をあおいだみたいだな。
奴隷兵もいるはずだけど、あいつらは使わないのかね? まだそこまで強くなっていないとかかな?
そういえば街の名前を聞いて、あの街か……それなら逃げても納得できる、と言っていたようなので、他国の王にも知れ渡っているほどクソな領主だったんだろうな。
何かあったら連絡が来ることになっているので、俺は思う存分防衛策の強化を進めていこう。
監視は強化した、ダゴンたちの隠れる場所も準備している、壁にはそもそも近付けれないから大丈夫だとは思うが……
そうだ、シリウス君やい。
敵が近付いてきたら周囲に雨を降らせるなり霧を漂わせるなりして、敵の正確な情報を盗み取ってくれ。逃げた敵がいたら、すぐに教えてほしい。マップ先生でも監視するけど、シリウス君の索敵の方が上だからな。
後、指示があるまでは無理に堀から出ないようにして、落ちてきたら骨ゲーターに襲わせてくれ。指示があったら可能な限り全員を殺すようにしてほしい。特に、奴隷と無幻爆弾を持っているこいつらは、絶対に殺してくれ。
可能なら勇者の仲間も殺してほしいけど、そっちはこちらの手札もあるから、優先してほしいのは奴隷と爆弾を持っているやつな。
今言ってもどれか分からないので、索敵範囲内に入ったらもう一度教える必要がありそうだな。
地上には誰も残らないので、毒や化学兵器を使われても、特に問題はない。シリウス君に濃い霧で覆ってもらった後に水と一緒に入れ替えてしまえば効果は残らないので、問題はないはずだ。
レイリーたちの撤退は予想以上の速さで終わっていた。俺が指示を出してからおよそ30分といったところか?
ここには国境に当たるので兵士の詰め所はあるが、軍が駐留できるほど大きいものではない。中隊規模が限界だろう。
だから大型のテントを建てていたはずなのに、30分で全部を片付けたのか?
首をひねってテントのあった場所を見ていると、
「テントは、骨は一張りごとにまとめて縛り、アウターは丸めて収納に入れているそうです。急ぐ必要もあり街の近くでまたテントを張るので、畳んでいないそうです」
俺が疑問に思っていることを、近くを通りがかった兵士が説明してくれた。考えていることがやはりばれているな。そんなにわかりやすいのかな?
「さすがに今のを気付かない人はいないでござる。テントのあった場所を首をかしげてみていれば、誰にでも分かるでござるよ」
それもそうか。分かりやすい俺がさらに分かりやすい行動をとっていたら、何を考えているかなんてバレバレか。
急いでいてすぐ使う予定があるのであれば、丸めて収納するのも分かるな。そもそもうちの軍では、危険であれば破棄してもかまわないので、気にしていた俺が変だったかもしれないな。
俺もやることをしますかね。
壁は問題ないけど、門は強化してあるとはいえ、後付けしている物なので強度が低い。なので、その強度を補うために、門を完全に壁に埋め込むことにした。
後で元に戻さないといけないけど、目標が見えなくするのは戦術的には悪くない。集中されたら面倒だしな。
「シュウ殿、外堀を広くしてはどうでござるか? ダゴンもシリウス君も、水と相性がいいでござるから、水の領域を広げて潜ませておくには持って来いでござる。
壁からある程度距離があれば、壁を強引に登らず橋がある場所を探しそうではござらんか? 堀に沿って敵の列が伸びれば、奇襲で倒しやすくなると思うでござる。無幻爆弾も離れる余裕がない時に、使う判断を出せるとは思わないでござるよ」
俺たちとシリウス君はキルゾーンから離れていれば問題ない。キルゾーンには入ってしまうが、密集しているところではさすがに使い難いだろう。運ぶ奴隷を準備しているってことは、危険性を理解しているってことだからな。
それ採用だな。今は5メートルほどしかない堀を、一気に50メートルほどに広げた。深さも30メートルほどに深くしている。水も不足するので追加で大量に補充しておいた。これも作戦が終了次第元に戻すから、結構大胆に広げている。
他にしておきたいことは……監視の強化か。
「バザール、綾乃と協力して、壁の上とかでいいから望遠カメラを30台くらい間隔をあけて設置してきてくれ。遠隔操作もできるように頼むわ」
ダンジョンマスターの能力を使えば、簡単に操作できるようになるので、小難しい設定をしなくてもいいから便利だな。
綾乃にも手伝ってもらおうと思ったが、人造ゴーレムをもう少し作っておきたいからと言って、ダンジョン拠点に残っている。そのためバザールは1人で設置をしに行った。
3人とも離れた場所にいるので、無線を使ってボイスチャット感覚で話しながらの作業をしているから、一緒にいる必要は無かったりする。1人で30台の設置は面倒だろうけど、頑張ってくれ。
俺は、妻たちと連絡を取ったり、関係各所とも連絡を取ったりして、世話しなく動くことになる。
妻たちから追加情報として、やはり麻薬が確認された。明らかにおかしな状態だったので、麻薬でなくともそれに準するものが使われていると考えていたので、やっぱりなという気持ちだ。
グリエルたちは、国王に連絡を入れ既に街が1つ落とされており住民はすべて連れ去られ、街の領主は敵前逃亡をしたうえで、敵に捕まり殺されたことを報告しているとの事。相手が勇者とダンジョンマスターということも伝えたそうだ。
王国は冒険者ギルドと連絡を取り、情報の提供と大量誘拐犯の勇者とその仲間を処刑するための人材依頼をすると即座に決めたようだ。
勇者が敵にいるということは、特に脅威ではないが、ダンジョンマスターと組んで仲間もレベル上げをしているため、かなり危険度が高いと判断して、冒険者ギルドに協力をあおいだみたいだな。
奴隷兵もいるはずだけど、あいつらは使わないのかね? まだそこまで強くなっていないとかかな?
そういえば街の名前を聞いて、あの街か……それなら逃げても納得できる、と言っていたようなので、他国の王にも知れ渡っているほどクソな領主だったんだろうな。
何かあったら連絡が来ることになっているので、俺は思う存分防衛策の強化を進めていこう。
監視は強化した、ダゴンたちの隠れる場所も準備している、壁にはそもそも近付けれないから大丈夫だとは思うが……
そうだ、シリウス君やい。
敵が近付いてきたら周囲に雨を降らせるなり霧を漂わせるなりして、敵の正確な情報を盗み取ってくれ。逃げた敵がいたら、すぐに教えてほしい。マップ先生でも監視するけど、シリウス君の索敵の方が上だからな。
後、指示があるまでは無理に堀から出ないようにして、落ちてきたら骨ゲーターに襲わせてくれ。指示があったら可能な限り全員を殺すようにしてほしい。特に、奴隷と無幻爆弾を持っているこいつらは、絶対に殺してくれ。
可能なら勇者の仲間も殺してほしいけど、そっちはこちらの手札もあるから、優先してほしいのは奴隷と爆弾を持っているやつな。
今言ってもどれか分からないので、索敵範囲内に入ったらもう一度教える必要がありそうだな。
地上には誰も残らないので、毒や化学兵器を使われても、特に問題はない。シリウス君に濃い霧で覆ってもらった後に水と一緒に入れ替えてしまえば効果は残らないので、問題はないはずだ。
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