ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
上 下
2,362 / 2,518

第2362話 俺って料理の才能あるかも?

しおりを挟む
 何十個も竈が並んでいる光景は、圧巻だね。俺がいた小中学校だったら、1学年全体が班を作って野外活動してもここまでは、竈の数は多くないかもな。分類すれば都会だったかもしれないが、田舎の学校と変わらない位しか生徒いなかったからな。

 小学校が大体1学年100人で、中学校が大体160人くらいだったっけな。5人1組で最大32組だから、竈が32個だもんな。ここには、およそ倍くらいの竈があることを考えれば、かなり多いと思う。

 食べる量も多いけど、1つの竈で調理できる量がそこまで多くないので、一概に数が多いからといって何があるわけでもないんだけどな。

 ローストポークの方であれば野菜もあるけど、1人1鍋くらいは軽く食べてしまうな。

 ん~、30分ほど経ったので、肉の温度を確認してみよう。

 火加減は大体同じにできていると思うので、いくつか確認するだけで、問題ないと思う。

 ランダムに5個ほど確認してみたが、大体65度前後だった。入れの温度としては完璧じゃないだろうか? 低温調理と似たような温度ではあるが、こっちは炭やダッチオーブンのおかげで遠赤外線もあるので、あっちとは違う火の入り方をしているだろう。

 豚の方はもう少し火を入れたいが、ローストビーフはこれで問題ないだろうか? 炭をどかしてから、少し余熱を入れておこう。

 あ~、タレはどうする予定なんだろうか? 使うかは別として、自分好みのタレを作ってみるか。

 醤油・酒・砂糖・バルサミコ酢・玉ねぎ・にんにくあたりかな。

 分量は、醤油2・酒大さじ2・砂糖1・バルサミコ酢1・玉ねぎとにんにくは、タレの分量に合わせて適当にって感じだかな。

 玉ねぎとにんにく以外は、上記の分量で混ぜ合わせる。これだけでも美味いけど、パンチが全然足りないな。

 ニンニクと玉ねぎは……みじん切りでもよかったのだが、両方ともすりおろしにした。玉ねぎの方は少し火を通して、辛み成分を抜いてから混ぜ合わせたタレに混ぜていく。

 いいパンチのあるタレが完成した。

 つけて食べてみようと考えたのだが、作った奴は火の通りがまだまだなので、どうするべきか……

 そんなことを考えていると、ブラウニーたちがやってきた。まだオヤツにもなっていない時間だが、こんなに早く来てどうしたんだろうか? まだ、食事の方のスペースは出来ていないんだけど……

 どうやら、手伝いに来てくれたブラウニーたちらしい。先行して手伝いと、陣地設営を行うために来たようだ。

 俺が食事エリアを後回しにするだろうと分かっていたようで、そのために派遣されたような物だと言っていた。

 バレテーラ! まぁ、実際に後回しにしたところで支障がないので問題は何もないのだが、ブラウニーたちからすれば、一番重要な部分であるらしく、しっかりと準備を始めていた。

 あ~、ブラウニーたちも土魔法を使えるから、問題ないのか。

 作ったはいいけど、どうするか悩んでいたタレを見つけたブラウニーが、試食用に以前作っていたローストビーフを出してくれた。それがあるのに、何で俺に作らせたかは不明だが、ありがたくいただいておこう。

 薄切りにされたローストビーフに、千切りにされた各種野菜を巻いて、タレにつけて一口……あ~これは美味いな。

 よく考えたらローストビーフって、温かいまま食べる料理ではなかった気がする。温かいのも悪くないだろうが、ひんやりしているイメージが俺にはあった。

 なんだろう……カツオのたたきみたいな感じと言えばいいのだろうか? あれも、周りは焼いているが冷たい状態で食べるのが普通の刺身だよな。玉ねぎの薄切りにポン酢をかけて……

 そんなことを考えていたら、食べたくなってきた。

 ブラウニーに聞いてみると、問題ないようで、後から来るメンバーにカツオを持て来るように連絡を入れてくれた。

 赤身で脂がなくさっぱりしているうえに、バルサミコ酢も使っているので、するすると食べられてしまうな。これはヤバい……何とか手を止めて、ローストビーフの誘惑に打ち勝った。

 でも、机に乗っているとまた手が伸びてしまいそうなので、しまってもらうことにした。

 おっと、ローストポークの方は……1時間は火にかけているので、問題はないだろう。ちょっと長い気もするが、1つ試しに切ってみたところ、硬くなっている様子もなく、美味しそうな断面をしている。

 ん~これも少し味見をしておきたいが、もう食べても問題ないだろうか? 火は通ってるし、切り落とす端っこの方なら食べても問題ないよな。

 ローストビーフより脂っこいローストポークは、さっきのタレよりもう少し酸味が欲しい気がするな。

 同じようにタレを作ってから一工夫。ポン酢を少々追加して、気持ち砂糖も入れてみた。俺の家では、比較的甘いタレが多かったので、ここら辺は日本にいた頃の名残だな。

 甘いタレで思い出したが、名古屋に旅行に行った事があったのだが、昼食を移動中に食べることになったので、近くのスーパーに入って俺はかつ丼、父親が牛丼、母親はどうせ食べ足りなくなるだろうと予想して、おかずがたくさん入っている弁当を2個買って食べた時の事だ。

 俺の中の常識では、カツ丼は少し甘いものっていう認識があったので、食べた瞬間に違和感を感じたのだ。良く食べるカツ丼となんか味が違って変……と。

 二口三口食べて、タレが甘くないことに気付いたのだ。みりんとかが入っているから、多少は甘いのかもしれないが、砂糖は入れてなかったので気付けた感じだな。

 地域によって、味付けがここまで違うことに驚いたのを、何故か思い出してしまった。

 懐かしい思い出を思い出しながら、ローストポークを口に運んだ。

 あ~、脂が多めだから、やっぱりこの味付けがいいな。酸味が強いけど、そのおかげで脂が気にならない。これも手が止まらなくなりそうなので、ブラウニーたちに後は任せた。

 さて、俺がするのは、テントを建てないとな。後回しにしていたけどこれは建てておかないと、今日の寝る場所が無くなるからな。

 夕食を食べた後でも建てられるけど、満腹状態では建てたくねえな。

 ということで、さっさと立ててしまおう。1人だけど、ダマたちもどうせ来るだろうから、大きいテントを建てておこう。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい

一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。 しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。 家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。 そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。 そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。 ……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──

勇者に幼馴染で婚約者の彼女を寝取られたら、勇者のパーティーが仲間になった。~ただの村人だった青年は、魔術師、聖女、剣聖を仲間にして旅に出る~

霜月雹花
ファンタジー
田舎で住む少年ロイドには、幼馴染で婚約者のルネが居た。しかし、いつもの様に農作業をしていると、ルネから呼び出しを受けて付いて行くとルネの両親と勇者が居て、ルネは勇者と一緒になると告げられた。村人達もルネが勇者と一緒になれば村が有名になると思い上がり、ロイドを村から追い出した。。  ロイドはそんなルネや村人達の行動に心が折れ、村から近い湖で一人泣いていると、勇者の仲間である3人の女性がロイドの所へとやって来て、ロイドに向かって「一緒に旅に出ないか」と持ち掛けられた。  これは、勇者に幼馴染で婚約者を寝取られた少年が、勇者の仲間から誘われ、時に人助けをしたり、時に冒険をする。そんなお話である

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

エラーから始まる異世界生活

KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。 本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。 高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。 冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。 その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。 某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。 実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。 勇者として活躍するのかしないのか? 能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。 多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。 初めての作品にお付き合い下さい。

転生したら倉庫キャラ♀でした。

ともQ
ファンタジー
最高に楽しいオフ会をしよう。 ゲーム内いつものギルドメンバーとの会話中、そんな僕の一言からオフ会の開催が決定された。 どうしても気になってしまうのは中の人、出会う相手は男性?女性? ドキドキしながら迎えたオフ会の当日、そのささやかな夢は未曾有の大天災、隕石の落下により地球が消滅したため無念にも中止となる。 死んで目を覚ますと、僕はMMORPG "オンリー・テイル" の世界に転生していた。   「なんでメインキャラじゃなくて倉庫キャラなの?!」 鍛え上げたキャラクターとは《性別すらも正反対》完全な初期状態からのスタート。 加えて、オンリー・テイルでは不人気と名高い《ユニーク職》、パーティーには完全不向き最凶最悪ジョブ《触術師》であった。 ギルドメンバーも転生していることを祈り、倉庫に貯めまくったレアアイテムとお金、最強ゲーム知識をフルバーストしこの世界を旅することを決意する。 道中、同じプレイヤーの猫耳魔法少女を仲間に入れて冒険ライフ、その旅路はのちに《英雄の軌跡》と称される。 今、オフ会のリベンジを果たすため "オンリー・テイル" の攻略が始まった。

処理中です...