2,324 / 2,518
第2324話 予定外の模擬戦
しおりを挟む
体が温まってきたので意識を切り替え、人造ゴーレムを倒す気で可能な限り全力を出そう。
まずは分かりやすく、大振りにで横に薙ぎ払うように力を込めて、思いっきり大薙刀を振るう。
途轍もない音が訓練場に響き渡るが、俺は人造ゴーレムを1ミリも動かすことができなかったことを瞬時に理解する。
人造ゴーレムは、金属で作れてれているから相応に重い。俺より少し大きな体なのだが、体重は10倍以上ある。それを吹き飛ばすつもりで振るった大薙刀だったが、自分がふった勢いで弾かれそうになったのを気合で押し込むことで、打ち込んだところに止めることができた。
まさか遠心力も使って、通常の何倍も重い大薙刀の一撃でびくともしないなんて……
正直こいつらの事を舐めていたのかもしれない。いくら人造ゴーレムでも、少しくらいは動くだろうと簡単に考えていた自分を怒りたい。
ただ重いだけだったらさすがに、俺の力と大薙刀の重さとスピードで倒れるはずなのだが、絶妙な力加減でピクリとも動かずに俺の攻撃を受け止めたのだ。
こいつは予想以上にハードな模擬戦になりそうだ。
意識を更に切り替えて、体のギアも上げていく。
誰かを殺すためにギアをあげるのではなく、目の前に用意された動く金属の塊をどうにかして動かす……ただそれだけを考えながら、大薙刀で攻撃していく。
10回ほど打ち込んで、人造ゴーレムの動きを何となく理解する。
俺の攻撃に合わせて、持っている金属の塊でおれの攻撃を受けるように命令されているようだ。
綾乃の言った通り、攻撃をしてくる様子は無いが、俺は油断はしない。油断した時に何かの条件を満たして、不意打ちをされる可能性だってゼロではないのだ。
だけど、こいつを俺の力で1ミリでも動かせない限りは、ありえない気もする。
意識を切り替えはしたが、動かすよりも先にしなければならないことを思い出した。
自分の動きがイメージに沿ってできているか。そのイメージより動きやすい動きは無いのか。模擬戦をしながらでも、確認したいことはいくらでもあったのだ。人造ゴーレムを動かしたいではあるのだが、それより先にするべきことを思い出す。
右、右、左、下、左、右、上……
大薙刀を振り回し体を回転させながら、重く強い攻撃も放っていく。
人造ゴーレムは、先回りするかのように金属の塊を持っており、完璧に受けきる。
全身を金属で作っているとはいえ、ゴーレム化しているので完全に硬直するのは難しかったはずなのに、俺の目で確認する範囲では、微動だにしていない。
人造ゴーレムは、自分の体を完全に硬直させることができているのだろう。いくら機械のような体と言っても、ここまで完璧に硬直できるとはな。
地球で考えれば、金属は一部の物を除けば基本的に押された力で押し返し、押された力が耐えられる限界を越えれば、滑ったり転がったり倒れたりする。
目の前にいる人造ゴーレムより早い動きをできるかは謎であるが、ロボットの仕組み上、関節などの可動部は構造上動くはずだし。人間サイズにまとめられているとはいえ、俺の攻撃は自動車の衝突を遥かに上回る物だったはず。
それを1ミリも動かずに受け止めているのは、全身を完全に硬直させたうえで、俺の攻撃に耐えうる姿勢で、必要に過不足ないレベルで足に力を入れているということだな。
車の衝突以上の力が加わっているはずなのに、何で全く動かないのだろう?
前からだけではなく、左右に回り込んだり、全体体重も乗るように打ち込んだりしているのだが、足が滑りもしない。
足の裏だけの接地面しかないのに、どうやってこんなことができるのやら。
もし俺が自分の攻撃を受け止めることになったら、完全に硬直して受けるのではなく、威力をことすようにしながら、腕や体をひくだろうが……それが全くないんだよな。
俺のは技術で威力を減算させるが、人造ゴーレムは真正面から受けきっている。
そんな様子が腹立たしくなってきた。
別にこいつが俺に何かをしたわけではない。ただ命令通り俺の攻撃を受け止めているだけだ。それだけなのに、俺はこいつに対抗意識を燃やしていた。
1ミリも動いていないと言っているが、俺が攻撃した時に受け止める姿勢が動いていないだけであって、両足を地面から離していないわけではない。
回り込めばそれに合わせて動くし、攻撃を受けるために突っ立っている状態で受けきれないと判断すれば、姿勢を変え腰を落として人間のように受けるが、体を完全に硬直させて受けているだけだ。
そのせいで、大きな反動が俺の体にかかって、若干腕が痺れている。
20分ほど打ち込んだところで、一度休憩をとる。
休憩していると、綾乃とバザールが近付いてきて、ドヤ顔でこちらを見ていた。
骨なのにドヤ顔が分かるなんて、なんて表情が豊かな骨なのだろうか?
少しイラっとしたので、魔力を込めたただの小さな球を、マシンガンのように撃ち込んでやった。
魔物の中でも最上位に近いノーライフキングの体を持っているバザールには、この程度の攻撃では嫌がらせにもならなかった。
骨の間を抜ける球もあったのだが、当たっても骨の丸みで滑ってしまっているようだ。変な方向に球が逸れるため、近くにいた綾乃に当たりそうになって、バザールが怒られていた。
理不尽な状況ではあるが、バザールは綾乃の八つ当たりを優しく受け止めている。
というか、何で近付いて来たのか聞いてみると、動きに不自然なところがなかったのかを確認してきた。
しばらく考えて、口を開いた。
まずは分かりやすく、大振りにで横に薙ぎ払うように力を込めて、思いっきり大薙刀を振るう。
途轍もない音が訓練場に響き渡るが、俺は人造ゴーレムを1ミリも動かすことができなかったことを瞬時に理解する。
人造ゴーレムは、金属で作れてれているから相応に重い。俺より少し大きな体なのだが、体重は10倍以上ある。それを吹き飛ばすつもりで振るった大薙刀だったが、自分がふった勢いで弾かれそうになったのを気合で押し込むことで、打ち込んだところに止めることができた。
まさか遠心力も使って、通常の何倍も重い大薙刀の一撃でびくともしないなんて……
正直こいつらの事を舐めていたのかもしれない。いくら人造ゴーレムでも、少しくらいは動くだろうと簡単に考えていた自分を怒りたい。
ただ重いだけだったらさすがに、俺の力と大薙刀の重さとスピードで倒れるはずなのだが、絶妙な力加減でピクリとも動かずに俺の攻撃を受け止めたのだ。
こいつは予想以上にハードな模擬戦になりそうだ。
意識を更に切り替えて、体のギアも上げていく。
誰かを殺すためにギアをあげるのではなく、目の前に用意された動く金属の塊をどうにかして動かす……ただそれだけを考えながら、大薙刀で攻撃していく。
10回ほど打ち込んで、人造ゴーレムの動きを何となく理解する。
俺の攻撃に合わせて、持っている金属の塊でおれの攻撃を受けるように命令されているようだ。
綾乃の言った通り、攻撃をしてくる様子は無いが、俺は油断はしない。油断した時に何かの条件を満たして、不意打ちをされる可能性だってゼロではないのだ。
だけど、こいつを俺の力で1ミリでも動かせない限りは、ありえない気もする。
意識を切り替えはしたが、動かすよりも先にしなければならないことを思い出した。
自分の動きがイメージに沿ってできているか。そのイメージより動きやすい動きは無いのか。模擬戦をしながらでも、確認したいことはいくらでもあったのだ。人造ゴーレムを動かしたいではあるのだが、それより先にするべきことを思い出す。
右、右、左、下、左、右、上……
大薙刀を振り回し体を回転させながら、重く強い攻撃も放っていく。
人造ゴーレムは、先回りするかのように金属の塊を持っており、完璧に受けきる。
全身を金属で作っているとはいえ、ゴーレム化しているので完全に硬直するのは難しかったはずなのに、俺の目で確認する範囲では、微動だにしていない。
人造ゴーレムは、自分の体を完全に硬直させることができているのだろう。いくら機械のような体と言っても、ここまで完璧に硬直できるとはな。
地球で考えれば、金属は一部の物を除けば基本的に押された力で押し返し、押された力が耐えられる限界を越えれば、滑ったり転がったり倒れたりする。
目の前にいる人造ゴーレムより早い動きをできるかは謎であるが、ロボットの仕組み上、関節などの可動部は構造上動くはずだし。人間サイズにまとめられているとはいえ、俺の攻撃は自動車の衝突を遥かに上回る物だったはず。
それを1ミリも動かずに受け止めているのは、全身を完全に硬直させたうえで、俺の攻撃に耐えうる姿勢で、必要に過不足ないレベルで足に力を入れているということだな。
車の衝突以上の力が加わっているはずなのに、何で全く動かないのだろう?
前からだけではなく、左右に回り込んだり、全体体重も乗るように打ち込んだりしているのだが、足が滑りもしない。
足の裏だけの接地面しかないのに、どうやってこんなことができるのやら。
もし俺が自分の攻撃を受け止めることになったら、完全に硬直して受けるのではなく、威力をことすようにしながら、腕や体をひくだろうが……それが全くないんだよな。
俺のは技術で威力を減算させるが、人造ゴーレムは真正面から受けきっている。
そんな様子が腹立たしくなってきた。
別にこいつが俺に何かをしたわけではない。ただ命令通り俺の攻撃を受け止めているだけだ。それだけなのに、俺はこいつに対抗意識を燃やしていた。
1ミリも動いていないと言っているが、俺が攻撃した時に受け止める姿勢が動いていないだけであって、両足を地面から離していないわけではない。
回り込めばそれに合わせて動くし、攻撃を受けるために突っ立っている状態で受けきれないと判断すれば、姿勢を変え腰を落として人間のように受けるが、体を完全に硬直させて受けているだけだ。
そのせいで、大きな反動が俺の体にかかって、若干腕が痺れている。
20分ほど打ち込んだところで、一度休憩をとる。
休憩していると、綾乃とバザールが近付いてきて、ドヤ顔でこちらを見ていた。
骨なのにドヤ顔が分かるなんて、なんて表情が豊かな骨なのだろうか?
少しイラっとしたので、魔力を込めたただの小さな球を、マシンガンのように撃ち込んでやった。
魔物の中でも最上位に近いノーライフキングの体を持っているバザールには、この程度の攻撃では嫌がらせにもならなかった。
骨の間を抜ける球もあったのだが、当たっても骨の丸みで滑ってしまっているようだ。変な方向に球が逸れるため、近くにいた綾乃に当たりそうになって、バザールが怒られていた。
理不尽な状況ではあるが、バザールは綾乃の八つ当たりを優しく受け止めている。
というか、何で近付いて来たのか聞いてみると、動きに不自然なところがなかったのかを確認してきた。
しばらく考えて、口を開いた。
0
お気に入りに追加
449
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい
一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。
しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。
家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。
そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。
そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。
……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──
勇者に幼馴染で婚約者の彼女を寝取られたら、勇者のパーティーが仲間になった。~ただの村人だった青年は、魔術師、聖女、剣聖を仲間にして旅に出る~
霜月雹花
ファンタジー
田舎で住む少年ロイドには、幼馴染で婚約者のルネが居た。しかし、いつもの様に農作業をしていると、ルネから呼び出しを受けて付いて行くとルネの両親と勇者が居て、ルネは勇者と一緒になると告げられた。村人達もルネが勇者と一緒になれば村が有名になると思い上がり、ロイドを村から追い出した。。
ロイドはそんなルネや村人達の行動に心が折れ、村から近い湖で一人泣いていると、勇者の仲間である3人の女性がロイドの所へとやって来て、ロイドに向かって「一緒に旅に出ないか」と持ち掛けられた。
これは、勇者に幼馴染で婚約者を寝取られた少年が、勇者の仲間から誘われ、時に人助けをしたり、時に冒険をする。そんなお話である
チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい
616號
ファンタジー
不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
エラーから始まる異世界生活
KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。
本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。
高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。
冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。
その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。
某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。
実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。
勇者として活躍するのかしないのか?
能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。
多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。
初めての作品にお付き合い下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる