ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第2316話 ふざけた主張

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「なぁ、お前さ。俺の事、なめてるのか? 俺の金を使って得た情報なのに、苦労して手に入れたんだから話せないとかふざけてるのか? それに俺の街でいろんな罪を犯しているのにもみ消すとか、頭がおかしいんじゃないか?」

「そんなことはありません。巻き込まれてしまった人たちには申し訳ありませんが、そこまでして手に入れた価値はあるので、罪と情報を相殺していただければと思っております」

「自信たっぷりだな。だけど、そんな情報はいらん。罪を帳消しにできると思うな。本当に有用なのかは、拷問してでもはかせてやるわ」

「拷問されても、絶対に話したりはしません。ですが、この情報を聞かなければ、将来後悔することになるでしょう」

「……分かった」

「分かっていただけて何よりです。そこの兵士、早く縄を解きなさい」

「止まれ! 俺が分かったといったのは、お前の戯言はもういいという意味だ。本当に拷問してもしゃべらないのか、実験してみようか。バザールから提案された方法も試してみたいし、ちょうどいいだろう」

「なっ! 私の情報に価値が無いとでも! こうなれば、絶対に拷問されてもいうことはありません。私の情報が正しかったと、その時になってから後悔するといいでしょう」

「本当に理解していないな。こちらとしてはお前が死んでも問題がないから、死ぬまで話さなくていいぞ。それだけ拷問に使える時間が増えるだけだからな。お前は、犯した数々の罪の罰で、拷問されながら死ぬがいい」

 何やら喚き散らしているが、こんなクズが手に入れた情報で、俺の街がどうなるとも思えない。それに俺がダンジョンマスターだと知っているはずなのに、それを覆すだけの根拠があるとしたら、勇者か規格外のSSSランク冒険者だけだろう。

 しっかりとマークをしているので、俺たちには問題となる人間たちの行動が分かるようになっているので、もしあいつらが動くならすぐにでも分かるから、大丈夫だと思う。俺が敵わなくても、リバイアサンのメグちゃんとシリウス君もいるからな。

 特級戦力で言えば、ディストピアから動けないけど、ユグドラシルもいるんだよな。

 あいつが戦っているところを見たこと無いが、リバイアサンよりも大きな体を持っていて、再生力はスライムもビックリするほどだ。例えばだが、体の1割ほどが失われたとしても、すぐに再生するだろう。それくらいヤバい再生力だ。

 再生力は知っているけど、攻撃力は……そういえば知らんな。どんな攻撃をするんだろうな? 大きな木の実を雨のように降らせるとか?

 どうでもいい事は後で考えるとして、残り1つの良く分かっていない都市の話をしようか。

 まずは、相手方の主張を聞いてみる。

 その話をまとめると、いくつかの品目が値上がりしたと言われ、その品目に関しては個数での販売ではなく、上限金額を設定した形で販売したため、今回のような違和感を生んだらしい。

 なるほど、もともと少し多めに注文して、予備に回せるようにしていたから、上限金額を設定して売ってもらったところ特に問題もなかったため、ここ数ヶ月の支出は変わらないが購入数が減ったって事みたいだな。

 言われてみれば、納得する内容だ。

 もし足りなければ、予算のどこかを削って必需品へ回すことになったと説明を受けた。

 言っていることもやっていることも、疑って済まなかったと思うが、1つだけ疑問ができた。

 じゃぁ、何で『上限金額内ですべての品目が収まっていたか』その部分が疑問になってしまう。今日説明してくれている人たちは、おそらくピンと来ていない。他の領主代行も同じようだ。そして、グリエルとガリアもあまり分かっていないが、俺が疑問に思っていることは理解している。

 唯一俺の疑問を分かってくれたのが、ゼニスだった。

「確かにおかしいですね。ここ半年は、値上がりした品目として報告は上がってきていないですし、全部が予算内に収まっているというのは不自然ですね。これは、卸している商会と、必需品の最低限の必要数を知ることができた人間を調べる必要がありますね」

 さすがゼニスである。こういう分野に関しては、ゼニスの右に出る者はいないな。

 俺の予想では、おそらく物品を購入する立場の人間ではなく、物品を管理する立場の人間が関わっており、細かく消費量を見ることができる人間が、商会と結託して購入数と金額の調整をしていたのだと思う。

 その予想の証拠は、今まで一定数の購入だったのに対し、ここ数ヶ月は納入数がバラバラで、購入金額が一緒だからな。品目の値上がりが起きていなければ、そこで発生した差額を懐に入れている人間がいるということだな。

 1つ1つは微々たるものでも、膨大な数の取引をしているので、その差額でもかなりの額になるだろう。

 すべてを俺の商会でやる前に今回の事を踏まえて、購入品目の中に値上がりや値下がりがあった場合、細かく聞くように徹底させることが会議で決まった。

 ただそれだけだと、値上がりした時は素直に教えてくれるかもしれないが、値下がりした時は今回みたいに値段を誤魔化される可能性があるので、商会に頼るのは購入している同品質の物価を調べてもらい、それを報告してもらう形だな。

 後は、現場の人間に頑張ってもらおう。多少仕事は多くなるが、商会から上がってくる情報を見比べるだけの仕事なので、現場にいる人間が手分けをすれば、1時間もかからないだろう。なんなら、その時間でダブルチェックすらできるだろう。

 1ヶ月の内1時間、そう考えれば多いものではない。特に購入の部署の人間は、時間が余るので他の部署と掛け持ちが当たり前だとか、秘書が教えてくれた。

 そのせいもあって、確認が疎かになっていた可能性もあるな。その部署だけに集中させると、今度は暇な時間がありすぎるので、やはり忙しくない時は他の部署の手伝いをさせておくべきだろう。

 この先は、管理者の中でも最上位の俺たちが考える話だ。迎えに行ったり色々話したりしたので、20時に近付いている。無駄に長く会議をしてしまった感はあるので、全員に謝っておく。お詫びではないが、ブラウニーたちが準備してくれた食事を提供する。

 お酒を飲んでもいいがバカ騒ぎはするなよ。直接会って情報交換する機会も少ないだろうから、今日は思う存分に情報交換をしてくれ。
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