ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第2303話 分からないことも多い

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 この世界を作った爺さんにしろ、自称神と言っているチビ神たちにしろ、遊び道具としてこの世界を見ている。俺のいる世界は、遊戯盤とか言ってたしな。

 ゲームとしてこの世界を考えた場合、スキルが消えるのはおかしな話ではあるが、こういう現象を起こした奴はハチャメチャに強いらしい。チビ神の話だから、どこまで信用していいか分からないが、そういう事だと俺は思っている。

 で、意味ある理由としてこじつけた場合、ゲームとして考えれば、限界突破的な発想ではないだろうか。刀術しか残っていないがLvが無くなり、刀術に特化することでさらに強くなった……的な考え方だと思う。

 ん~、綾乃とバザールを呼び戻しておくか。どうせ自分のマイワールドに籠っているだけだし、こっちにゲートを繋げて少し相談に乗ってもらうかな。

 調子に乗って武器を召喚しすぎたけど……どうすっかな。確認のためだけに出しただけで、終わった後のこと考えてなかったな。DPの損失はあるが、DPに変換してしまうか?

 悩んでいると、何やら声が聞こえてきた。年少組の声ではないので、仕事が終わった妻たちがこっちに向かってきてるのかな。

 こんなに武器を出してたら、妻たちに怒られそうだから、収納の腕輪に……遅かった。

 カエデとリンドがいたようで、

「「武器の山がある!」」

 と、叫んでこちらに走ってきた。大半は見たことのある武器なのだが、中には見たことがない武器もあり、テンションが上がっているのが分かる。

 色々聞かれたが、俺が使わないと分かったので、全て回収されてしまった。老ドワーフの所に持って行って、一緒に研究するんだとか言っている。有効活用してくれるのはいいが、あまり規格外の物を作っても買い手がつかないぞ。

 自分たちの趣味に走りがちな年取ったドワーフたちは、面白いものと分かったら作らずにはいられない職人集団だからな。

 車に興味を持った時は、分解して隅々まで真似て複製したけど、電子機器を複製できなかったので途中で飽きて放置されたんだっけな。あまりにもアホ過ぎて、今まで忘れてたくらいだしな。

 その時に一番驚いたのが、駆動部分と言えばいいのかな、エンジンやギアをすべて手作りした事だな。どうやったのかいまいち理解できなかったが、手作りで機械で作った精巧な部品と同等以上の品質で作り上げたのだ。

 ガソリンで動かすようなことはしなかったが、動くか確認のために色々した時に、故障することも突っかかったりすることもなく、動かすことができたんだよね。

 それだけ頭のおかしい集団ということだな……って、それを考えれば、俺の頭がおかしいとか言われるのはおかしくないか?

「ご主人様、こう言ってはなんですが、頭のおかしい集団の上にご主人様がいらっしゃるのは分かっておいででしょうか? 一般人から見ると、老ドワーフもご主人様も同類だと思われます」

 ブラウニーさんやい、あえて触れないようにしていたのに、それをここで言ってしまうのですか? そして、俺の心の声に反応して、的確にボディーブローをしてくるのはやめていただけないでしょうか?

 なんだろな、俺の願いに関するところはあえて読まないで無視するあたり、本当にいい性格しているよな。これがこの固体だけじゃなくて、大半のブラウニーが同じような対応をするからね……種族揃って性格が捻くれているのだろうか?

 おぃ、痛いからつねるな! 俺が反応してほしい時に何もしないのに、何でこういう時ばっかり反応するんだよ!

 俺の周りにはいつの間にかブラウニーが3人に増えており、全員から背中や脇腹をつねられている。非力なブラウニーたちでも、レベルがすごい事になっているので、結構痛い。

 カエデとリンドは、武器を回収したら一緒に来たみんなと子どもたちの方に行ってしまうので、ここには俺とブラウニーしかいなくなっている。

 俺も子どもたちの所へ戻ろう。スキルに関しては、後日綾乃とバザールに相談してみるかな。

 ミーシャたちが模擬戦をしている畳のあるエリアに戻ってくると、一番初めに目についたのが、シンラたちのワチャワチャした乱取りの真似をしている姿だった。

 3人でつかみ合っているせいで、乱取りにもなっていないのだが、この子たちは何がしたいんだろうな。

 その奥で、ミーシャたちがミリーたちと……あれ? さっきまで武器を回収していたカエデとリンドも、子どもたちと組み合っていた。

 そんなに遅れていないはずなのに、いつの間に模擬戦を始めたんだろうか?

 ミリーたちは、柔術について話してはいるが、スキルを取っていないし知識もあまりないので、防戦一方な感じだな。

 ミーシャとスミレが攻め切れないのは、戦闘経験の差もあるだろうが、体の大きさが影響しているかもな。リンドとブルムの闘いに関しては、純粋な戦闘経験の差かな。

 ミリーとカエデは、妻たちの中でも身長が高い方であり、身体能力も高い。手足が長いのも有利に働く要素ではあるな。

 リンドは、ロリドワーフなので身長差はあまりないのだが、数百年生きていてドワーフたちもまとめていたせいか、戦闘能力も高いんだよね。どんなことをされるか何となくわかっているから、簡単に防がれているように見える。

 ミリーたちは、子どもの成長を喜んでいるように見える。反対にミーシャたちは、手も足も出ない状況に……あれ? 悔しそうな顔をせずに、何かを狙っている気がするな。

 負けん気の強い子たちだから、今の状況なら悔しそうにしてもおかしくは無いのに、虎視眈々とタイミングを計っているような印象を受ける。

 動きが変わり、ミリーたちもそれに気付いたが、気付いたときには遅く体勢を崩されており、そのまんまきれいに投げられてしまった。

 打撃による崩しを使ったのだ。

 3人とも驚いており、投げられてしばらくすると大きな声で笑いだしていた。

 純粋な投げ技で来ると思っていたのに、予想外の打撃を受けてしまって体が硬直してしまったらしい。その隙をついて、ミーシャたち3人は母親を投げ飛ばした。

 普段、自分たちが俺にやっていることを子どもたちにやられて、どれだけ不意打ちが攻撃として決まりやすいか理解したようだ。その上で俺は、妻たちの攻撃を防いだり躱したりするので、理不尽だとも言ってきた。

 初めの頃は、不意打ちをくらってたじゃん。だから、全ての攻撃を警戒するようになって、不意打ちが通用しなくなっただけだって。

 納得がいっていないようだが、反則無しのルール無用で戦えば、いろんなことを警戒するようになるだろ? 君たちはルールを作っても、守らないことがあるから始めから心構えしていれば何とかなるよ。

 納得はいっていないようだが、夕食の時間が近付いてきているので、今日はこの辺で終わりとなった。
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