ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
上 下
2,296 / 2,518

第2296話 午前中の贅沢

しおりを挟む
 子どもたちが午前中の勉強を始めた頃、俺は自分の部屋で昨日の夜やった模擬戦の事を考えていた。ミーシャたちにやらせるなら、模擬戦形式よりは、最後にやった投げられる経験を何度もつむ方がいいのではないだろうか?

 模擬戦だと、投げ以外の攻撃手段も増えて時間がかかってしまうが、投げを体験するだけなら同じ時間で何十回と投げられることを体験できる。実戦形式の方が覚えるかと思ったが、まだ投げに慣れていないのに実戦をしたところで意味がない気がしてきたのだ。

 実戦形式は実戦形式でいいところはあるだろうが、今回の趣旨としては微妙な気がしてきたのだ。ただ、娘たちと俺とでは、慎重さも体格差もありすぎて、投げ技もかけにくくなってしまう。

 だから、娘たちの相手をしてもらうために、昨日の夜妻たちに体験してもらったんだよな。

 俺の身長が約180センチメートルに対して、年少組と分けている妻たちの中で一番身長が高くて165センチメートルほど、イリアとネルは一番低くて150センチメートルほどしかない。次に小さいシェリルが大体152センチメートルほどだ。

 ミーシャたちも大きくなってきているが、俺と比べるとさすがに小さすぎるんだよな。その点妻たちなら、俺と子どもたちのちょうど間位にいるから、子どもたちの相手にちょうどいいという感じだな。

 今日の訓練は妻たちを中心に、俺が外から見て可能な範囲で助言する形になるかな?

 ミーシャたちの体験をしたいというところから始まったが、技術としてしっかりと覚えるのは大切だから、しっかりと学んでほしいところだな。ある程度身についてから、実戦形式の模擬戦にするべきだろう。1対1じゃなくて、複数人対複数人がいい気がする。

 片方を少し多くして、少ない方を1人ずつ戦闘不能にしていくとかね。

 実力差があれば、いちいち投げたりせずにそのまま殴る蹴るで戦闘不能にすればいいのだが、相手が自分以上の実力だった場合は、奇策の一手として柔術は優秀だから、覚えていて損は無いということだ。

 長ったらしく考えたが、要は選択肢はいざという時に多い方がいいってことだな。

 どう続いていたのかは分からないが、戦闘中は選択肢が少ない方が行動に移りやすいけど、手を読まれると途端に厳しくなるので、使える手札は多いにこしたことは無いんだよね。

 よし、今日は妻たちに頑張ってもらいましょう。

 窓の近くでポカポカ陽気の太陽の日差しを浴びて、猫たちが日向ぼっこをしている。俺の部屋は俺が過ごしやすい温度になっており、他より涼しいためか猫たちが俺の部屋に忍び込んでは、日光浴を楽しんでることがあるんだよな。

 コタツでアイスを食べる原理と同じなんじゃないかと思う。涼しい部屋で太陽の日差しを浴びるという贅沢な行為をしている猫たちは、暑苦しくも団子になっているから面白い。

 地球で猫を飼っていた友達が、風は嫌がるって言ってたのだが、エアコンの風がもろに当たっている位置で団子になっているのだから、なんか不思議な感じなんだよな。

 こいつらを見ていると本当に眠くなってくる。無理をせずに、少し昼寝でもするか?

 手足を解放して寝たい気がしたので、猫たちと同じようにカーペットの上に寝転がり、手足を開いて大の字になって寝る。1時間くらいして起きなかったら、起こしてほしいとブラウニーたちにお願いして眠りについた。

 昨日の砂風呂とは違い、少しまどろんだ中で何かを考えていたと思うのだが、思い出せないということはどうでもよかったのだろう。

 ブラウニーが起こすために声をかけてくれた。

 起きようと思ったのだが、起きる前のまどろみって気持ちいいよね。意識が覚醒するまでグダグダしてようとしたら、急にお腹に重さを感じた。次の瞬間、ぐっと押されるような衝撃と共に、重さが無くなった。

 そして続けて同じ現象が何度も起こる。

 猫たちが俺のお腹をジャンプ台にして、どこかへ行ったようだ。わざわざ俺のお腹の上を通らなくてもいいだろうに……わざとなんだろうな。

 首をグルグル回しながら目を覚まし、時計を見る……1時間30分程時間が建っていた。

 まどろんでいる時間は起きている物として、完全に寝入ってから1時間ほどで起こしてくれたのだろうか?

 もう少しするとお昼の時間になるので、ちょうどいいと言えばちょうどいい時間だな。まだ寝ている体を伸ばしたりして覚醒へ導いていく。

 完全に目が覚めたところで食堂へ向こう為に歩いていると、子どもたちの元気な声が聞こえてきた。おそらく食堂からだろうな。猫たちにマテをしているシンラたちの声がしているので、俺のお腹をジャンプ台にしていった猫たちが座って、早く飯を食わせろってシンラを見上げてそうだな。

 しっかりと自分たちのするべき仕事をしているようだな。それだけゲームをしたいんだろうな。少しルーズだった部分が急に無くなったからな。5歳にもなっていないのに、躾としては厳し過ぎるかとも思うが、この子たちはズル賢いので、このくらいはしておかないといけないだろう。

 食堂へ着くころには、猫たちの早くしろよーという声が、廊下に聞こえてきた。俺がいないから、俺を呼んでいる声だな。

 猫たちは先に食べることも多いのだが、俺が歩いていることをミーシャたちが発見しているので、猫たちに食べて良いという許可が出ていないのだ。だから早くしろと鳴いているんだよな……

 俺が到着するころには、子どもたちは全員席についており、妻たちは半分くらいがここにいるな。

 食事の前の挨拶をしてから、食事が始まる。

 シンラはいつものように、プラムとシオンにご飯を奪われ、2人の皿から食事を奪って食べている。

 3人で1つ分の食器にしたらいいのでは? と思わなくもないが、そうするとプラムたちが不貞腐れそうな気がする。この取り合っている状態がベストなんだろうな。

 3人以外の皿を狙うことがないから大事にはしていないが、他の人間の皿を狙うなら本格的に怒る必要があったから、様子を見守ろう。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい

一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。 しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。 家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。 そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。 そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。 ……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──

勇者に幼馴染で婚約者の彼女を寝取られたら、勇者のパーティーが仲間になった。~ただの村人だった青年は、魔術師、聖女、剣聖を仲間にして旅に出る~

霜月雹花
ファンタジー
田舎で住む少年ロイドには、幼馴染で婚約者のルネが居た。しかし、いつもの様に農作業をしていると、ルネから呼び出しを受けて付いて行くとルネの両親と勇者が居て、ルネは勇者と一緒になると告げられた。村人達もルネが勇者と一緒になれば村が有名になると思い上がり、ロイドを村から追い出した。。  ロイドはそんなルネや村人達の行動に心が折れ、村から近い湖で一人泣いていると、勇者の仲間である3人の女性がロイドの所へとやって来て、ロイドに向かって「一緒に旅に出ないか」と持ち掛けられた。  これは、勇者に幼馴染で婚約者を寝取られた少年が、勇者の仲間から誘われ、時に人助けをしたり、時に冒険をする。そんなお話である

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

エラーから始まる異世界生活

KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。 本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。 高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。 冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。 その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。 某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。 実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。 勇者として活躍するのかしないのか? 能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。 多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。 初めての作品にお付き合い下さい。

転生したら倉庫キャラ♀でした。

ともQ
ファンタジー
最高に楽しいオフ会をしよう。 ゲーム内いつものギルドメンバーとの会話中、そんな僕の一言からオフ会の開催が決定された。 どうしても気になってしまうのは中の人、出会う相手は男性?女性? ドキドキしながら迎えたオフ会の当日、そのささやかな夢は未曾有の大天災、隕石の落下により地球が消滅したため無念にも中止となる。 死んで目を覚ますと、僕はMMORPG "オンリー・テイル" の世界に転生していた。   「なんでメインキャラじゃなくて倉庫キャラなの?!」 鍛え上げたキャラクターとは《性別すらも正反対》完全な初期状態からのスタート。 加えて、オンリー・テイルでは不人気と名高い《ユニーク職》、パーティーには完全不向き最凶最悪ジョブ《触術師》であった。 ギルドメンバーも転生していることを祈り、倉庫に貯めまくったレアアイテムとお金、最強ゲーム知識をフルバーストしこの世界を旅することを決意する。 道中、同じプレイヤーの猫耳魔法少女を仲間に入れて冒険ライフ、その旅路はのちに《英雄の軌跡》と称される。 今、オフ会のリベンジを果たすため "オンリー・テイル" の攻略が始まった。

処理中です...