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第2292話 延長戦Part6
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目の前で、ネルとサーシャが駄々っ子のように手足をバタバタさせて悔しがっている。
最終的な軍配は俺に上がったが、今日戦った3組の中では、一番仕事をさせてもらえなかったのは、ネルとサーシャのチームだな。
2人が速度を合わせて同時に攻撃してきたことが、今回俺が苦戦することとなった理由だろう。まぁ速度を合わせるだけならここまで苦戦しなかったが、速度を合わせたうえで早かったことが今回、俺が苦戦した理由だろうな。
この攻撃が遅かったのなら、ここまで苦労しなかった。攻撃が早かったから、多少無理をして勝ちを拾いに行ったわけだ。早くなければ無理に拾うこともなかったのだ。自分たちの特性を生かして、作戦を練って戦ったことを褒めよう。
他に勝因をあげるなら、見たことがあっても自分で受けたことのない合気道を応用した技を使った事だな。
初見ではなかったが、見ると受けるでは天と地ほどの差がある。言ってしまえば、投げた本人も受けた本人も、あの動きで投げられたのかあまり理解していない。そのような攻撃を見ただけで理解しろなんて、無謀もいい所だろう。
そんな投げ技をスキルの誘導した通りに使えば、投げられた方は混乱しかしない。それでも食いついてきたこの2人は、正直すごいというしかない。
駄々っ子をしている2人を慰めながら、3試合目の総括をしていく。
全体的な流れは、ネルとサーシャたちにあったと思う。俺の攻撃に縛りが無いという条件だが、時間制限が無ければ、いつまででも続けることができたはずだ。
模擬戦ということもあり、攻撃が長引き単調になってきたところを俺に狙われたのだ。それをこらえることができていれば、少なくとも引き分けにはもって行けただろう。
ネルたちは、引き分けを狙っていたわけではないので、2人の動きは間違いではないが、俺に単調だと思わせない程度には、色々な手段を使うべきだったと思う。途中の攻防では、正直冷や汗をかいた部分もあるからな。あれを続けられていたら、俺のミスが増えた可能性はある。
消極的な戦い方を望んでいるわけではないので、2人にとってはこれが正解だったのかもしれない。
良かったところは褒め、悪かった部分は指摘し改善策を練るように話してみる。ただ、俺の言った事が全て正解ではないということを念頭に置いて、色々考えてみてほしいと伝えた。
戦いに置いて、ベターは沢山あるがベストという言葉は無いと思っている。
ベターを積み重ねることで、勝機をつかむのが戦いだ。
最近は良くそう考えるようになっている。実際に戦って思い返した時に、あっちの方が良かったかも、あれは良くなかったと思うことはあるが、あれは完璧だった……って思うことが無くなったのだ。あれが最善だったと思う、といった感じになった。
どういった変化なのは分からないが、良い変化だと思っているので、深く考えることはしていない。考えても答えは出ないだろうからな。
そんなことを考えている間に、4組目のシェリルとイリアが準備を終えていた。
俺も体を温めるように動かしていたので、すぐにでも始められる。
このチームは、徒手格闘で一番強いシェリルと一番弱いイリアの組み合わせなんだよな。そして問題とするなら、シェリルの格闘能力が高すぎて、俺もある程度ギアをあげていないと負けることがある。
そんな相手だ。
シェリルを軸にイリアがフォローする形かな? 2組目のレミーとソフィーのチームみたいな戦い方だろうか?
準備が整い2人が前に出てくる。
シェリルの移動速度が遅く感じられる……イリアに合わせているのかな?
ここで少しビックリすることになる。シェリルの前にイリアが出て、俺と先に戦うような位置取りをしたのだ。
多少驚きはしたものの、混乱や戸惑うほどではない。
シェリルの動きを確認しながら、イリアの攻撃をさばいていく。先の2人ほど早くないので、隙をついて投げようと思っているのだが、ことごとくシェリルに妨害される形となった。
俺が反撃を仕掛けようとするタイミングで、一番嫌な位置から攻撃を仕掛けてきて、反撃を中断せざるを得ない状況だった。2人の攻撃の速度に差があるので、それだけで緩急のついた攻撃をされているような気分になる。
そこまでの効果を望んでいなかったとしても、効果的にはたらいているのであれば、有用な手段だろう。
この2人は、ネルとサーシャの総括を聞いていたので、無理に攻めずにひたすら俺のミスを待っている感じだ。変化をつける必要があるのだが、全てをシェリルに妨害されている。
ん~攻め手が正直無い。
わざとシェリルの攻撃を誘発させて、その攻撃に反撃しようとしても、イリアが上手くカバーしてくるため、攻めあぐねている。
実戦で柔術を受けるって設定自体が、良くないのかもしれないな……
気になることがある。速さは変わっていないのだが、体が違和感を感じている。警告を発しているような気もするが、何が起きているのかを把握できていないのだ。
ちょっとした違和感を探そうとすれば、2人からの攻撃をさばけなくなる。結構ギリギリで戦っているのが、自分では良く分かる。
さて、どうしたものだろうか?
焦る状況であるはずだが、焦っていない自分に少し驚きつつも、この後の展開を考えている自分がいた。
俺が考えている間に、更に流れが変わった。
ネルの攻撃は早くは無いが、重くなっている。受けると、ずっしりと重く体の芯に響く。
……浸透勁に似ているようで、異なる技術か?
体の芯にダメージが残るから、長期戦になると厳しいな。回避しようにも、回避させないようにシェリルがフォローするため、受けるしかなくなってしまっている。
さすがに実りの無い長期戦をするくらいなら、負けてもいいから少しでも実りのある模擬戦をするべきだよな。
最終的な軍配は俺に上がったが、今日戦った3組の中では、一番仕事をさせてもらえなかったのは、ネルとサーシャのチームだな。
2人が速度を合わせて同時に攻撃してきたことが、今回俺が苦戦することとなった理由だろう。まぁ速度を合わせるだけならここまで苦戦しなかったが、速度を合わせたうえで早かったことが今回、俺が苦戦した理由だろうな。
この攻撃が遅かったのなら、ここまで苦労しなかった。攻撃が早かったから、多少無理をして勝ちを拾いに行ったわけだ。早くなければ無理に拾うこともなかったのだ。自分たちの特性を生かして、作戦を練って戦ったことを褒めよう。
他に勝因をあげるなら、見たことがあっても自分で受けたことのない合気道を応用した技を使った事だな。
初見ではなかったが、見ると受けるでは天と地ほどの差がある。言ってしまえば、投げた本人も受けた本人も、あの動きで投げられたのかあまり理解していない。そのような攻撃を見ただけで理解しろなんて、無謀もいい所だろう。
そんな投げ技をスキルの誘導した通りに使えば、投げられた方は混乱しかしない。それでも食いついてきたこの2人は、正直すごいというしかない。
駄々っ子をしている2人を慰めながら、3試合目の総括をしていく。
全体的な流れは、ネルとサーシャたちにあったと思う。俺の攻撃に縛りが無いという条件だが、時間制限が無ければ、いつまででも続けることができたはずだ。
模擬戦ということもあり、攻撃が長引き単調になってきたところを俺に狙われたのだ。それをこらえることができていれば、少なくとも引き分けにはもって行けただろう。
ネルたちは、引き分けを狙っていたわけではないので、2人の動きは間違いではないが、俺に単調だと思わせない程度には、色々な手段を使うべきだったと思う。途中の攻防では、正直冷や汗をかいた部分もあるからな。あれを続けられていたら、俺のミスが増えた可能性はある。
消極的な戦い方を望んでいるわけではないので、2人にとってはこれが正解だったのかもしれない。
良かったところは褒め、悪かった部分は指摘し改善策を練るように話してみる。ただ、俺の言った事が全て正解ではないということを念頭に置いて、色々考えてみてほしいと伝えた。
戦いに置いて、ベターは沢山あるがベストという言葉は無いと思っている。
ベターを積み重ねることで、勝機をつかむのが戦いだ。
最近は良くそう考えるようになっている。実際に戦って思い返した時に、あっちの方が良かったかも、あれは良くなかったと思うことはあるが、あれは完璧だった……って思うことが無くなったのだ。あれが最善だったと思う、といった感じになった。
どういった変化なのは分からないが、良い変化だと思っているので、深く考えることはしていない。考えても答えは出ないだろうからな。
そんなことを考えている間に、4組目のシェリルとイリアが準備を終えていた。
俺も体を温めるように動かしていたので、すぐにでも始められる。
このチームは、徒手格闘で一番強いシェリルと一番弱いイリアの組み合わせなんだよな。そして問題とするなら、シェリルの格闘能力が高すぎて、俺もある程度ギアをあげていないと負けることがある。
そんな相手だ。
シェリルを軸にイリアがフォローする形かな? 2組目のレミーとソフィーのチームみたいな戦い方だろうか?
準備が整い2人が前に出てくる。
シェリルの移動速度が遅く感じられる……イリアに合わせているのかな?
ここで少しビックリすることになる。シェリルの前にイリアが出て、俺と先に戦うような位置取りをしたのだ。
多少驚きはしたものの、混乱や戸惑うほどではない。
シェリルの動きを確認しながら、イリアの攻撃をさばいていく。先の2人ほど早くないので、隙をついて投げようと思っているのだが、ことごとくシェリルに妨害される形となった。
俺が反撃を仕掛けようとするタイミングで、一番嫌な位置から攻撃を仕掛けてきて、反撃を中断せざるを得ない状況だった。2人の攻撃の速度に差があるので、それだけで緩急のついた攻撃をされているような気分になる。
そこまでの効果を望んでいなかったとしても、効果的にはたらいているのであれば、有用な手段だろう。
この2人は、ネルとサーシャの総括を聞いていたので、無理に攻めずにひたすら俺のミスを待っている感じだ。変化をつける必要があるのだが、全てをシェリルに妨害されている。
ん~攻め手が正直無い。
わざとシェリルの攻撃を誘発させて、その攻撃に反撃しようとしても、イリアが上手くカバーしてくるため、攻めあぐねている。
実戦で柔術を受けるって設定自体が、良くないのかもしれないな……
気になることがある。速さは変わっていないのだが、体が違和感を感じている。警告を発しているような気もするが、何が起きているのかを把握できていないのだ。
ちょっとした違和感を探そうとすれば、2人からの攻撃をさばけなくなる。結構ギリギリで戦っているのが、自分では良く分かる。
さて、どうしたものだろうか?
焦る状況であるはずだが、焦っていない自分に少し驚きつつも、この後の展開を考えている自分がいた。
俺が考えている間に、更に流れが変わった。
ネルの攻撃は早くは無いが、重くなっている。受けると、ずっしりと重く体の芯に響く。
……浸透勁に似ているようで、異なる技術か?
体の芯にダメージが残るから、長期戦になると厳しいな。回避しようにも、回避させないようにシェリルがフォローするため、受けるしかなくなってしまっている。
さすがに実りの無い長期戦をするくらいなら、負けてもいいから少しでも実りのある模擬戦をするべきだよな。
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