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第2278話 体験開始
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訓練所まで来て気付いた。これから柔術というよりは合気道に近い技術で、子どもたちを投げる事になるはずなので、石畳というわけにはいかないだろう。近くの土というわけにもいかない。
土だけならいいが細かい石とかもあるので、大きな怪我につながる可能性があるからだ。
投げ技って言うと、畳が思い浮かぶから畳にしようかな? 範囲召喚で呼び出せば並べる手間もないし、柔道場のような物であれば、十分すぎるものが準備できるはずだ。
ん~、召喚するリストを見て悩む。4面くらいの大きさでは、俺たちの運動量からすると小さい。最低でも9は欲しいな。できるなら16……25面は欲しいところだ。
一緒についてきた妻たちと相談して、最終的に約100メートルほどになる7×7の49面で作ることになった。大きくてもダンジョンの能力でキレイになるから、問題ないだろうという話になった。
闘技場も、俺たちが使う所は100メートル四方はあるので、広さを揃えたと言えば揃えたことになるだろう。
子どもたちはいつもの訓練着に着替えてもらい、今日は畳の上なので裸足で運動することになる。
ダンジョンの一部で汚してもキレイになるとはいえ、やはり日本人の心なのか靴を履いて歩く気にはなれないので、子どもたちにも裸足になるように伝えている。
子どもたちも、畳の上は裸足というのが見についているので、俺が言わなくても裸足だったことは忘れよう。
投げやすさを考え基本を叩き込むなら、柔道着のようなモノが良いのだろうが、今回は実践で使える技術で時と場所を選ばない、という設定だ。
本格的に柔術や合気道を極めるのなら話は別だが、今回は投げに対する受けと投げる技術を教えるための時間だからな。
何日かかるかは分からないが、子どもたちに教えると言ったからには、最低限の事が出来るように学ばせるつもりだ。
この場にウルがいないのは、既にある程度技術として身に着けているようで、勉強を優先しているらしい。技術が追い付いてきたら、ミーシャたちと一緒にやるようだな。
始める前に柔術について簡単に説明することにした。
柔術とは、徒手あるいは短い武器(剣術、抜刀術、槍術、捕手術、捕縄術などを包括)による攻防の技法を中心とし、相手を殺傷せずに捕らえたり護身として身を護ることを重視するモノである。
攻めというよりは、守りに重きを置いていると言ってもいいだろうが、守りに重きを置いているだけで攻撃が弱いわけではない。
今回行うのは、投げ技を中心とした技法の勉強だ。もちろん最後には締め技も教えはするが、基本は相手の力を利用する投げ技を学んでもらう予定だ。
特に子どもの締め技は、大人には効き難い。子どもたちが模擬戦をする相手という限定的な枠組みになるが、締め技を決めていても、抑えるための体重も体格も足りていないので、簡単に持ち上げられてしまうのだ。
辺境の騎士団長クラスであれば、組みつかれた時点で意識が飛ぶか、骨のどこかがいかれるので問題ないのだが、それで満足する子たちではないので、締め技の優先順位は低い。
それと同じで、柔術に近い締め技で抑え込まれた時、かなりの実力差が無いと振りほどくことができない。それこそ辺境の騎士団長クラスでも、しっかりと要点をおさえていたら、子どもたちには抜け出せないだろう。まぁ騎士団長クラスなら、裏技を使えば簡単に抜け出せるんだけどね。
と、まぁ簡単に話したが、体験してみるのが一番だろう。俺はステータスを抑える腕輪を付けて、子どもたちに締め技をかけた。
5分間粘っても抜け出せずに、ギブアップした。戦場であれば、5分なんて言う長い時間はかけられない。10秒でも命取りになるレベルなのだ。
反対に基礎を教えて締め技をかけさせるが、体格が足りていないのでやはり押さえきれずに締め技が解けてしまう。
それで一応締め技については話が終わった。
次に投げ技と言いたいところだが、怪我を減らすために基本である受け身を教える。
受け身とは、地面に激突する際に、身体的ダメージを軽減するための防御の姿勢、または動作のこと。頭部などの重要器官を護ることを主眼とし、かつ身体の他の部位にも損傷を被らぬよう、柔らかく衝撃を逃がす動きだ。
要は投げられることが前提で、投げられた後の対応方法だ。これができるとできないとでは、体に与えられるダメージが全然違ってくる。
一朝一夕で出来るようになるものでもないので、訓練の初めに受け身の練習をさせるのがいいかもしれないな。
受け身ができないのに投げるのは危ないが、先日の模擬戦でも投げているし、俺が気をつけて投げれば問題ない。それにいざという時には、近くにスライムたちがいるので、投げられる前に間に入ってくれるだろう。
そもそも戦うことが目的ではなく、柔術を体験させて、学んでもらうことが中心になるので、無茶をする気もない。
よし、かかってきなさい!
ミーシャから俺に向かって素手で攻撃を仕掛けてくる。
俺は躱すと同時に殴ってきた腕を取り、体勢を崩すように引っ張って、前転をさせるように頭の位置を下げるように誘導する。そのまま宙へ浮かして畳に背中から落とした。
隅落しや空気投げと言われる投げ方に近い技法だと思う。個人的には合気術に近いものだと思っている投げ技の1つだな。柔道も合気道も古武術も、全然知識がないので、俺が考えた合気道っぽい動きというだけだ。
戦場で背負い投げをするかもしれないが、複数人と対峙していることを前提と考えると、体を密着させずに投げる技が中心となる。背負い投げなんて、1対1でしか使えないと思う。敵側が複数だった場合、致命的な隙になるからな。
その点、隅落しのような投げ方であれば、体を密着させる必要がないので、技術としては難しいが習得させるならこの投げ技だろう。
体勢を崩させるという意味では、足払いも有効な技術だろう。攻撃的に攻めている時に、相手が受けた瞬間に足が届くなら、足を払って体勢を崩させ、有利に戦えるようになるだろう。
いくつも教えるのは、子どもたちにとって良くないので、1つ1つ丁寧に教えていくことを決めている。
まずは隅落し、空気投げの体験を何度もさせて、今度はその投げ技を使う感覚を覚えるように手伝う形だな。
土だけならいいが細かい石とかもあるので、大きな怪我につながる可能性があるからだ。
投げ技って言うと、畳が思い浮かぶから畳にしようかな? 範囲召喚で呼び出せば並べる手間もないし、柔道場のような物であれば、十分すぎるものが準備できるはずだ。
ん~、召喚するリストを見て悩む。4面くらいの大きさでは、俺たちの運動量からすると小さい。最低でも9は欲しいな。できるなら16……25面は欲しいところだ。
一緒についてきた妻たちと相談して、最終的に約100メートルほどになる7×7の49面で作ることになった。大きくてもダンジョンの能力でキレイになるから、問題ないだろうという話になった。
闘技場も、俺たちが使う所は100メートル四方はあるので、広さを揃えたと言えば揃えたことになるだろう。
子どもたちはいつもの訓練着に着替えてもらい、今日は畳の上なので裸足で運動することになる。
ダンジョンの一部で汚してもキレイになるとはいえ、やはり日本人の心なのか靴を履いて歩く気にはなれないので、子どもたちにも裸足になるように伝えている。
子どもたちも、畳の上は裸足というのが見についているので、俺が言わなくても裸足だったことは忘れよう。
投げやすさを考え基本を叩き込むなら、柔道着のようなモノが良いのだろうが、今回は実践で使える技術で時と場所を選ばない、という設定だ。
本格的に柔術や合気道を極めるのなら話は別だが、今回は投げに対する受けと投げる技術を教えるための時間だからな。
何日かかるかは分からないが、子どもたちに教えると言ったからには、最低限の事が出来るように学ばせるつもりだ。
この場にウルがいないのは、既にある程度技術として身に着けているようで、勉強を優先しているらしい。技術が追い付いてきたら、ミーシャたちと一緒にやるようだな。
始める前に柔術について簡単に説明することにした。
柔術とは、徒手あるいは短い武器(剣術、抜刀術、槍術、捕手術、捕縄術などを包括)による攻防の技法を中心とし、相手を殺傷せずに捕らえたり護身として身を護ることを重視するモノである。
攻めというよりは、守りに重きを置いていると言ってもいいだろうが、守りに重きを置いているだけで攻撃が弱いわけではない。
今回行うのは、投げ技を中心とした技法の勉強だ。もちろん最後には締め技も教えはするが、基本は相手の力を利用する投げ技を学んでもらう予定だ。
特に子どもの締め技は、大人には効き難い。子どもたちが模擬戦をする相手という限定的な枠組みになるが、締め技を決めていても、抑えるための体重も体格も足りていないので、簡単に持ち上げられてしまうのだ。
辺境の騎士団長クラスであれば、組みつかれた時点で意識が飛ぶか、骨のどこかがいかれるので問題ないのだが、それで満足する子たちではないので、締め技の優先順位は低い。
それと同じで、柔術に近い締め技で抑え込まれた時、かなりの実力差が無いと振りほどくことができない。それこそ辺境の騎士団長クラスでも、しっかりと要点をおさえていたら、子どもたちには抜け出せないだろう。まぁ騎士団長クラスなら、裏技を使えば簡単に抜け出せるんだけどね。
と、まぁ簡単に話したが、体験してみるのが一番だろう。俺はステータスを抑える腕輪を付けて、子どもたちに締め技をかけた。
5分間粘っても抜け出せずに、ギブアップした。戦場であれば、5分なんて言う長い時間はかけられない。10秒でも命取りになるレベルなのだ。
反対に基礎を教えて締め技をかけさせるが、体格が足りていないのでやはり押さえきれずに締め技が解けてしまう。
それで一応締め技については話が終わった。
次に投げ技と言いたいところだが、怪我を減らすために基本である受け身を教える。
受け身とは、地面に激突する際に、身体的ダメージを軽減するための防御の姿勢、または動作のこと。頭部などの重要器官を護ることを主眼とし、かつ身体の他の部位にも損傷を被らぬよう、柔らかく衝撃を逃がす動きだ。
要は投げられることが前提で、投げられた後の対応方法だ。これができるとできないとでは、体に与えられるダメージが全然違ってくる。
一朝一夕で出来るようになるものでもないので、訓練の初めに受け身の練習をさせるのがいいかもしれないな。
受け身ができないのに投げるのは危ないが、先日の模擬戦でも投げているし、俺が気をつけて投げれば問題ない。それにいざという時には、近くにスライムたちがいるので、投げられる前に間に入ってくれるだろう。
そもそも戦うことが目的ではなく、柔術を体験させて、学んでもらうことが中心になるので、無茶をする気もない。
よし、かかってきなさい!
ミーシャから俺に向かって素手で攻撃を仕掛けてくる。
俺は躱すと同時に殴ってきた腕を取り、体勢を崩すように引っ張って、前転をさせるように頭の位置を下げるように誘導する。そのまま宙へ浮かして畳に背中から落とした。
隅落しや空気投げと言われる投げ方に近い技法だと思う。個人的には合気術に近いものだと思っている投げ技の1つだな。柔道も合気道も古武術も、全然知識がないので、俺が考えた合気道っぽい動きというだけだ。
戦場で背負い投げをするかもしれないが、複数人と対峙していることを前提と考えると、体を密着させずに投げる技が中心となる。背負い投げなんて、1対1でしか使えないと思う。敵側が複数だった場合、致命的な隙になるからな。
その点、隅落しのような投げ方であれば、体を密着させる必要がないので、技術としては難しいが習得させるならこの投げ技だろう。
体勢を崩させるという意味では、足払いも有効な技術だろう。攻撃的に攻めている時に、相手が受けた瞬間に足が届くなら、足を払って体勢を崩させ、有利に戦えるようになるだろう。
いくつも教えるのは、子どもたちにとって良くないので、1つ1つ丁寧に教えていくことを決めている。
まずは隅落し、空気投げの体験を何度もさせて、今度はその投げ技を使う感覚を覚えるように手伝う形だな。
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