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第2270話 模擬戦終了
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戦闘を始めてから約1時間は経っただろうか? やっとウルたちの足が止まった。悔しそうな顔をしているが、まだ本気を出していないのに負けるわけにはいかないさ。君たちは確かに強くなったけど、まだまだ粗削りだからな。
戦闘のプロってわけじゃないけど、実戦経験も訓練も君たちの何倍もしているんだから、勝てなくても仕方がない。それでも悔しく思うのは、本気を出してもらえなかったことによる悔しさと、勝てる可能性があると思っていたからだろう。
子どもになめられている気はするが、妻たちに比べれば娘たちには甘いからな。その隙を突けば勝てないこともなかっただろう。実際、初動の攻防では危うく負け判定を取られる可能性があったからな。
利き手の指を無くして片手での対応になれば、さすがに俺も勝てなかったと思う。あの場面をよくしのいだもんだ。指って本当に大切だよな。殴るだけなら部位があればなんとかなるかもしれないけど、それだけじゃ本当にどうにもならん問題が多い。
戦闘中に部位欠損を治すことも出来なくはないが、補助してくれる仲間がいることが前提だから、1人の時にはまず無理だろう。それに栄養が一気に持って行かれるから、栄養剤のポーションも飲まないといけない。さすがに腕輪に入れてないから、下手したら回復した瞬間にぶっ倒れる可能性だってあったな。
4人で戦って1時間か……長いのか短いのか判断に困るが、妻たちもここまでは戦わないから、どう評価したものか。
悩んでいると、戦いを見ていたシュリが4人に声をかけた。
「あなたたちも強くなっているけど、お父さんは強いでしょ? 私たちと訓練しているだけでは分からないことも多いわ。もっと強くなりたいと思うなら、色々な事を経験しないとね。リリーのお爺ちゃんに話をしてあげるから、戦い方を習ってみるのもいいと思うわよ」
ドラゴニュートのリリーのお爺ちゃん、レイリーは、本当に強い。戦いの玄人なんだよな。駆け引きも上手いし、フェイントも上手い。とにかく戦い方が上手いって感じるんだよな。俺みたいに奇策で倒すのではなく、実力で真正面から叩き伏せる感じなんだよな。
最近の戦績は俺の方が上だけど、昔なんて手も足も出なかったんだよな。何でそんな人が奴隷にとも思ったけど、真面目な人だったから、自分だけで済むならと思って奴隷になったら孫も一緒だったし、リリーの両親は殺されたんだったっけな。
レイリーは俺とは違い、家族だったとしても手加減をすることは無い。手加減はしないが、全力で模擬戦などをする。容赦なく攻撃をして、対戦相手を導いてくれるのだ。
実力が近くなってくれば指導はできないが、その分本気の度合いが高くなっていく感じだな。
そのお爺ちゃんにシュリが頼むようだな。話の流れからレイリーって、子どもたちに教えたことってまだ無いのかな?
レイリーなら、俺が教えるよりは適切な人選ではある。
俺はそこまで教導する人間としては優れていないので、レイリーは適任だと思う。リリーに戦いを教えていたこともあるので、小さい子どもを相手にした訓練はお手の物だろうな。親としては複雑だが、レイリーとしては嬉しい事だろうから、子どもたちが望むならレイリーに俺も言ってやろう。
疲れている子どもたちは、大の字で地面に転がっているが、レイリーの話を聞いて喜んでいるところを見ると、嬉しいんだろうな。
ブラウニーたちから水分を受け取って、俺はミーシャたちに水分補給を促しに行く。俺も一緒に飲むことになるので、5個のボトルを持っている。
おっと、いつの間にか姉の近くに来ていたシンラたちが、自分たちも飲みたいと要求してきたので……ブラウニーたちが対応してくれた。
お前さんたちは戦っていないのに、そこまで喉が渇いたのか?
「シンちゃんたちは、お姉ちゃんたちが投げ飛ばされている間、ずっと手足を動かして応援したから、喉が渇いていたと思うわよ」
知らない所で体を動かしていたみたいだな。
ゴキュゴキュと音がしそうな勢いでスポーツドリンクを飲んでいるシンラたちは、何かをやり切った後のような顔で満足そうな顔をしている。
訓練が終わり10分ほど経っているが、ミーシャたちはまだ立ち上がれないようだな。ウルは何とか体を起こして水分を取っているが、3人はまだまだ息が上がっている。
そこまでハードにしたつもりはないが、子どもたちにとってはかなりきつかったみたいだな。でも、そのまま寝かせるわけにはいかないので、シンラたちに手伝ってもらって、ミーシャたち3人に少しずつ水分を取らせることにした。
あまり無理に飲ませたくはないが、かなり汗をかいているので、速めに水分を少しは取らせておきたかったんだよな。
風邪をひかないように魔法で周囲を温めているし、子どもたちの体にはかなり気を使っている。戦闘中も気を使っていたら、妻たちにブーイングされたけど、反対に気を使わなければ使わなかったでブーイングされるのは目に見えているので、無視することにしたんだよな。
自分たちも勝ち越せていないからって、子どもたちを利用して、更には精神攻撃も仕掛けてくるんだから、妻たちも良い性格をしている。実力で倒したいけどまだ倒せないから、搦め手を使って何とか勝利をもぎ取りたいと考えているんだろうな。
仲が悪いわけじゃないから、これはこれで面白いし良いんだけど、たまに野次で飛ばしてくる「娘たちに嫌われるわよ!」って言うのだけは止めてくれ。もし本当になってしまったと考えたら、1週間は立ち直れなくなるから!
自分の力で体を起こせるようになったが、動くのはまだ大変みたいだな。このままというわけにはいかないので、妻たちにも協力してもらって、シャワーを浴びさせる方が良さそうだな。
妻たちもそろそろ動こうと考えていたようで、声をかけるタイミングがかぶり、みんなで笑ってしまった。
シャワーと言っても大浴場の方で入ることになる。立っているのも大変な状態でシャワー室というのもないので、ゆっくりと椅子に座って体を洗える大浴場に行くことになった。
ミーシャたちの体は妻たちが洗うだろうから、俺は自分の体を……と思ったら、今日も今日とてシンラが俺の前にいた。自分で洗う気はなさそうだな。
夕食までは時間があったので、そのまま湯舟にも浸かることになった。
シンラは、ゲームのできる時間が増えたと喜んでいるので、湯舟に浸かると言い始めたのも計算の内だったかもしれないな。
戦闘のプロってわけじゃないけど、実戦経験も訓練も君たちの何倍もしているんだから、勝てなくても仕方がない。それでも悔しく思うのは、本気を出してもらえなかったことによる悔しさと、勝てる可能性があると思っていたからだろう。
子どもになめられている気はするが、妻たちに比べれば娘たちには甘いからな。その隙を突けば勝てないこともなかっただろう。実際、初動の攻防では危うく負け判定を取られる可能性があったからな。
利き手の指を無くして片手での対応になれば、さすがに俺も勝てなかったと思う。あの場面をよくしのいだもんだ。指って本当に大切だよな。殴るだけなら部位があればなんとかなるかもしれないけど、それだけじゃ本当にどうにもならん問題が多い。
戦闘中に部位欠損を治すことも出来なくはないが、補助してくれる仲間がいることが前提だから、1人の時にはまず無理だろう。それに栄養が一気に持って行かれるから、栄養剤のポーションも飲まないといけない。さすがに腕輪に入れてないから、下手したら回復した瞬間にぶっ倒れる可能性だってあったな。
4人で戦って1時間か……長いのか短いのか判断に困るが、妻たちもここまでは戦わないから、どう評価したものか。
悩んでいると、戦いを見ていたシュリが4人に声をかけた。
「あなたたちも強くなっているけど、お父さんは強いでしょ? 私たちと訓練しているだけでは分からないことも多いわ。もっと強くなりたいと思うなら、色々な事を経験しないとね。リリーのお爺ちゃんに話をしてあげるから、戦い方を習ってみるのもいいと思うわよ」
ドラゴニュートのリリーのお爺ちゃん、レイリーは、本当に強い。戦いの玄人なんだよな。駆け引きも上手いし、フェイントも上手い。とにかく戦い方が上手いって感じるんだよな。俺みたいに奇策で倒すのではなく、実力で真正面から叩き伏せる感じなんだよな。
最近の戦績は俺の方が上だけど、昔なんて手も足も出なかったんだよな。何でそんな人が奴隷にとも思ったけど、真面目な人だったから、自分だけで済むならと思って奴隷になったら孫も一緒だったし、リリーの両親は殺されたんだったっけな。
レイリーは俺とは違い、家族だったとしても手加減をすることは無い。手加減はしないが、全力で模擬戦などをする。容赦なく攻撃をして、対戦相手を導いてくれるのだ。
実力が近くなってくれば指導はできないが、その分本気の度合いが高くなっていく感じだな。
そのお爺ちゃんにシュリが頼むようだな。話の流れからレイリーって、子どもたちに教えたことってまだ無いのかな?
レイリーなら、俺が教えるよりは適切な人選ではある。
俺はそこまで教導する人間としては優れていないので、レイリーは適任だと思う。リリーに戦いを教えていたこともあるので、小さい子どもを相手にした訓練はお手の物だろうな。親としては複雑だが、レイリーとしては嬉しい事だろうから、子どもたちが望むならレイリーに俺も言ってやろう。
疲れている子どもたちは、大の字で地面に転がっているが、レイリーの話を聞いて喜んでいるところを見ると、嬉しいんだろうな。
ブラウニーたちから水分を受け取って、俺はミーシャたちに水分補給を促しに行く。俺も一緒に飲むことになるので、5個のボトルを持っている。
おっと、いつの間にか姉の近くに来ていたシンラたちが、自分たちも飲みたいと要求してきたので……ブラウニーたちが対応してくれた。
お前さんたちは戦っていないのに、そこまで喉が渇いたのか?
「シンちゃんたちは、お姉ちゃんたちが投げ飛ばされている間、ずっと手足を動かして応援したから、喉が渇いていたと思うわよ」
知らない所で体を動かしていたみたいだな。
ゴキュゴキュと音がしそうな勢いでスポーツドリンクを飲んでいるシンラたちは、何かをやり切った後のような顔で満足そうな顔をしている。
訓練が終わり10分ほど経っているが、ミーシャたちはまだ立ち上がれないようだな。ウルは何とか体を起こして水分を取っているが、3人はまだまだ息が上がっている。
そこまでハードにしたつもりはないが、子どもたちにとってはかなりきつかったみたいだな。でも、そのまま寝かせるわけにはいかないので、シンラたちに手伝ってもらって、ミーシャたち3人に少しずつ水分を取らせることにした。
あまり無理に飲ませたくはないが、かなり汗をかいているので、速めに水分を少しは取らせておきたかったんだよな。
風邪をひかないように魔法で周囲を温めているし、子どもたちの体にはかなり気を使っている。戦闘中も気を使っていたら、妻たちにブーイングされたけど、反対に気を使わなければ使わなかったでブーイングされるのは目に見えているので、無視することにしたんだよな。
自分たちも勝ち越せていないからって、子どもたちを利用して、更には精神攻撃も仕掛けてくるんだから、妻たちも良い性格をしている。実力で倒したいけどまだ倒せないから、搦め手を使って何とか勝利をもぎ取りたいと考えているんだろうな。
仲が悪いわけじゃないから、これはこれで面白いし良いんだけど、たまに野次で飛ばしてくる「娘たちに嫌われるわよ!」って言うのだけは止めてくれ。もし本当になってしまったと考えたら、1週間は立ち直れなくなるから!
自分の力で体を起こせるようになったが、動くのはまだ大変みたいだな。このままというわけにはいかないので、妻たちにも協力してもらって、シャワーを浴びさせる方が良さそうだな。
妻たちもそろそろ動こうと考えていたようで、声をかけるタイミングがかぶり、みんなで笑ってしまった。
シャワーと言っても大浴場の方で入ることになる。立っているのも大変な状態でシャワー室というのもないので、ゆっくりと椅子に座って体を洗える大浴場に行くことになった。
ミーシャたちの体は妻たちが洗うだろうから、俺は自分の体を……と思ったら、今日も今日とてシンラが俺の前にいた。自分で洗う気はなさそうだな。
夕食までは時間があったので、そのまま湯舟にも浸かることになった。
シンラは、ゲームのできる時間が増えたと喜んでいるので、湯舟に浸かると言い始めたのも計算の内だったかもしれないな。
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