ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第2268話 戦い方は子どもたちの方が上?

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 子どもたちの前では使った事のない、収束がしやすい世界樹の枝を使った杖を取り出す。魔法構築の補助を目的として、主に連射をに重点を置いた杖だ。後手に回っているので、どうにかして先手を取れるようにするか、せめてイーブンまで状況を持って行きたいところだ。

 俺が杖を取り出すと、妻たちからブーイングが飛んできた。

 子ども相手にそれはさすがにズルい! もうちょっと手加減しなさい! 大人気ない!

 などなど、普通夫にかけるような言葉ではないと思う。子どもたちが可愛いのは認めるが、だからと言って模擬戦の時に明らかに味方するのはダメだろう……

 娘たちの武器には制限がかかってないけど、俺の武器は全部制限がかかってるんだから杖を使ったっていいだろう! 刃物系は全部刃にカバーを付けたうえで弾力のあるよくわからない布に包まれているし、鈍器系はさらに厚く布に包まれている。

 杖に関しては威力を半分ほどになるように調整されている。無駄に高度な魔道具で、今日の今日まであることすら知らなかったものだ。

 ライムたち魔法が得意な妻たちが子どもたちと訓練するのに、威力を押さえる魔道具を探していた所、チビ神が召喚できるようにしてくれた魔道具で、魔法を使った時の威力が強制的に半分になるような魔道具で、限度を超える魔法は、威力が極端に下がるようになっている。

 威力を下げる杖でもよかったのだが、使用感覚が極端に変わってしまうのが嫌で探していた魔導具だ。俺は普段杖を使わないからあまり気にならないが、杖を中心に使っている魔法組の妻たちは、使用感が違うと気になってしまうようなのだ。

 その魔道具を取り付けられている俺の杖。威力が下がっているだけなので、連射には問題ない。子どもたちに使うのは大人気ないと言われても、レギュレーションの範囲内なので問題なし!

 体の周囲に水と土の塊を大量に生み出し、子どもたちに向かって拡散気味に撃ち出す。このくらいなら妻たちだってやっているはずなので、問題ないはずだ。

 妻たちからのブーイングは止まないが、子どもたちは冷静に対処を始める。

 両手に武器は良くないと判断して、ミーシャが両手の武器を持ち替える……初めて見たが、両手に盾。体全体を隠せるような盾を合わせて、スミレとブルムも後ろにかくまっている。2人もいつの間にか持ち替えており、片手を盾にしているな。

 2人の盾をミーシャの盾に揃えて、更に守れる範囲を広げている。

 そこへウルも合流して、動き始める。

 俺との距離の半分程に見えない壁が急に出現する……結界による魔法遮断だろう。

 それと同時にウルたち4人が距離を詰めてきている。何が何でも近距離戦に持ち込みたいのだろう。しょうがない、この時のためにあったのかと思う武具に換装する。

 これも子どもたちには使っているところを見せたことは無い。妻たちとの訓練にも使ったことがない手甲脚甲に変えた。これはシェリルも使っているので見たことあるだろうが、俺が使うのは意外だっただろう。

 これなら、4人からの攻撃を同時に防ぐことが可能だ。手数の問題で後手になるだろうが、それでも剣盾の時よりはるかに戦いやすいだろう。

 俺が使っているのが初めてでも、妻たちの中に使っている妻がいるので、ウルたちの行動は変わらず突撃だな。距離を詰めている時に、シェリルお母さんと言っているので、シェリルを相手にする時の作戦を流用するみたいだ。

 俺にはどんなものか分からないが、真正面から受けてたとう。

 なんて思ったのが間違いだった。

 こちらからも距離を詰めて戦おうとしたところ、ウルから大量の水が撃ち込まれた。ダメージを目的としているのではなく、押し流すようなイメージの水の使い方だ。

 流されまいと前傾姿勢になり、両足に力を入れ耐えた。

 間違いだと思ったのは次の瞬間で、ウルたちの位置を確認したところ、周りを囲まれていたのだ。

 全方位からの攻撃にさらされるということだ。

 チラッと確認したが、全員が俺と同じ手甲脚甲を装備しており、同時に攻撃を仕掛けてきたのだ。

 1人の人間を囲んで攻撃できる人数はそう多くない。それを利用して、実力のある人が乱戦に持ち込む戦い方もあるが、それは両者の力の差がかなりあることが前提だ。

 子どもたちとの実力差はかなりあるが、簡単にあしらえるほどの差は無い。俺に攻撃力の制限がかかっているから、簡単に倒すことが難しいのだ。それこそ、大怪我をするような攻撃をしないといけなくなる。俺にはそんなことは無理だ。

 今日は闘技場を使っていないので、怪我は怪我として残ってしまうから、痛い思いをさせてしまうことになる。これも、妻たちからのハンデの一種だろう。闘技場の保護シールがあっても、そこまでの攻撃はしないけど、この状況はかなりヤバいかな。

 目の届く前3人はまだいいのだが、位置を変えながら攻撃をしてきて、死角にいる4人目が的確に俺の嫌なところを攻撃してくる。

 対処に慣れるまでに4発ほど良いのをもらってしまい、結構な痛手を負ったが、回復魔法を使ってダメージは抜いている。

 この回復魔法も妻たちにブーイングを受けたが、君たちだって模擬戦や訓練の時に使ってるのを見たことあるぞ! 俺だけ禁止して戦えって言うのはおかしくないか!

 そんなことを考えていても子どもたちの攻撃は止まらない。

 的確に嫌なところを攻撃してくるということは、反対を言えば攻撃してくるところが簡単に予想できるということだ。簡単に反応すると攻撃が読まれているとバレてしまうので、少し苦戦しているように見せかけることも忘れていない。

 攻撃が当たらなくなり、攻撃が読まれているのが分かったのか、死角にいる4人目の攻撃が変わった。嫌な所だったものが、一撃が重くなるような攻撃に変わったのだ。

 一撃が重いので防ぐのが大変になる。

 4人目の攻撃はまともにくらいたくないと考え、この方位から抜け出そうとジャンプをすると、頭が固い何かにぶつかり目がちかちかする。

 子どもたちと距離が取れていないことは気配で分かる。俺に追撃を仕掛けようとしているのも気配で分かる。何が起きたのかだけが俺には分かっていない。

 あまりしたくなかったが、投げ技を解禁しよう。一番近い気配のミーシャに向かって距離を詰め、攻撃を受けたところを掴んで、勢いを殺さずに追いかけてきた後ろの気配に向かって投げつける。

 左右からの攻撃も何とか受け、2人を転がすように地面へと投げた。

 ちかちかしていた目が復活して、4人から距離を取って何が起きたのか確認する。
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