ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
上 下
2,230 / 2,518

第2230話 遺跡の探検開始

しおりを挟む
 お揃いの服を着た子どもたちは、隊長っぽい少しゴージャスな探検服を着ているウルを先頭に、遺跡群の中へ入っていく。ゴージャスというか、着けているネッカチーフやエンブレムが違うみたいだな。こんなに細かく準備したのは……妻たちみたいだな。

 少し遠くで望遠カメラを使って、子どもたちの写真を撮っている。

 おっとシンラよ、その格好ならこの木の枝を持つんだ。この前、ユグドラシルからもらった枝だぞ。たまにくれるんだけど、使い道が無いのでこういう時に使ってあげないとね。

 ユグドラシルが枝をくれるのは自分で剪定しており、素材として使えるので俺たちに渡してくれるのだ。そのまま下に落とすと大惨事になるので、俺たちに渡してくるのだ。有り余っているので、その枝でシンラが振り回せそうな物を渡している。

 ウルやミーシャたちはレベルが上がっているので、それ相応の体力もあるので、シンラたちのスライムの騎乗移動でも問題なくついていける。シンラたちもレベルはあげているが、足の長さ諸々の関係で速度がでないのと、子どもの所為か疲れが溜まりやすいのでスライムでの移動だ。

 ウルが先頭を歩き、その横をシンラが進んでいる。一番前を進みたいであろうシンラは、ウルに先に行ったらお母さんたちを呼ぶよと言われて、前に行こうとしていたのを止めている。まだトラウマになってるみたいだな。

 俺の言うことは聞かないけど、ウルの言うことなら聞くみたいだな。今なら俺でも同じことができたかね?

 俺もゆっくり見て回りたいけど、子どもたちについていないといけないので、1人でゆっくり見るのは無理だな。周りを見てたら子どもたちに置いてかれそうだから、しっかりと見てないとな。

 そんなことを考えていると、隣に久々に見たギンが近くで寄り添ってきて、首輪につかまるように促してきた。何かと思えば、掴まっていれば移動するから、気になるところがあれば引っ張っていくぞ! みたいな感じで言っている気がする。

 後ろにはクロが待機しているので、遅れたら押してくれるみたいだな。

 これで俺も少しは楽しめそうだな。プラムたちと話しているミーシャたちに声をかけて、もし遅れそうになったら呼ぶようにお願いした。もう1つセーフティがあれば、大丈夫かもしれないな。

 遺跡群の中に入っていくと、外から見ている時と全く違う面を見せてくれた。

 同じ遺跡群でも見る位置でこんなに変わるんだな……

 そう考えると同時に、中学生の時の登山の事を思い出した。

 かなり遠くから見る山と登る時の山は、まったく違う顔を見せるからな。そのことを思い出し、眺める楽しみと中に入ってからの楽しみがあることを思い出す。

 ということは、子どもたちには悪いが、楽しめる部分は俺も楽しませてもらおう。本物と違うので、自由に触っていいのが今回の良いところだよな。

 それにしても、滅んでから何世紀も経っているのに、土台が綺麗に残っているもんだな。壁も残っている場所もあるし、こういう建築だと残らない気がするんだけど、それは日本人の感覚なんだろうな。

 風化が進みにくいのかは分からないが、日本では地震があるから崩れそうな気がするんだよな……あれ? そう言えば、日本の城に使われている石垣も何百年も耐えてる奴があったな。中には崩れてしまったのもあるけど、かなり頑丈なイメージがあるな……

 でも、家や塀だと考えると、長く耐えている気がするんだよな。

 俺は考古学者とかではないので、細かい事を考えることは無いよな。なんとなく自己満足で考察するから面白いんだよな。

 こんなところでどうやって生活してたんだろうな。山の上だから井戸なんて掘っても水は出ないだろうし、水源らしい水源が無いけど……水の確保はどうしてたんだろ? 雨水をためてろ過と化して飲んでたのかね?

 パッと見た感じ、水路は見当たらないのに、水の流れている場所があるのは何でだ? やっぱり溜めた水を流しているのかな。

 食料は畑を近くに作ってたのかね? 見れば見るほど不思議な都市だな。

 正解が欲しいわけじゃないけど、どんな風に生活していたのかとか考えるのって面白いよな。

 こっちの世界でこんな街があれば、水の確保は魔導具か魔法で話が進むだろうが、地球には魔法は無いのでどんなふうに生活していたのか、考えるだけでも楽しいな。

 雨が降る地域ではあるみたいだけど、この遺跡のどこにそんなに水をためておけるのやら。

 おっと、足が止まっていたみたいだな。掴んでいる首輪に引っ張られ、背中をグイグイと押されて気付く。

 ミーシャたちも探検を楽しんでいるようで、プラムたちと騒いでいた。あ~、一応セーフティを頼んだけど、子どもたちだって色々みたいんだから、セーフティの役目を果たせると思い込んでた俺は間違っていたな。

 気になることはあるけど、遅れると大変なので早く追いかけなきゃな。距離にして20メートルくらいなんだけど、それでも子どもはあまり長い間目を離すと何をするか分からないからな。

 追いつくと、離れるなよ! みたいな視線で俺の方を見てきたシンラ……立場が逆転してる!

 シンラは、建物だと思われる壁の中に入ったりするだけで満足しているようだ。1メートル以上の高さのある段差を、スライムでジャンプして登ったりしている。高い所に登っては、手に持った枝を天に向けてドヤ顔をしている。

 何がしたいのか良く分からないが、本人が楽しそうなのでまぁいいとしよう。スライムたちがいなければ、絶対に許さない行動ではあるが、スライムたちが安全確保をしているので心配はしていない。

 しばらく遺跡の中を歩いていると遠くから、ごはんの時間だと声がする。

 その声に一番初めに反応したのは、やっぱりと言っていいのかシンラだった。

 スライムに命令して一目散に向かおうとしていたが、ウルの命令で上書きされたスライムは急に止まった。

 先に言ってはいけないと怒られ、片方の手をウルが握って離さなかった。プラムたちはそれを見ていたが、いつの間にかミーシャたちに抱っこされており、なんか満足しているので騒ぐ様子は無かった。

 しばらく進むと、見晴らしのいいところでブラウニーたちが食事の準備をしているのが見えた。
しおりを挟む
感想 316

あなたにおすすめの小説

サバイバル能力に全振りした男の半端仙人道

コアラ太
ファンタジー
年齢(3000歳)特技(逃げ足)趣味(採取)。半仙人やってます。  主人公は都会の生活に疲れて脱サラし、山暮らしを始めた。  こじんまりとした生活の中で、自然に触れていくと、瞑想にハマり始める。  そんなある日、森の中で見知らぬ老人から声をかけられたことがきっかけとなり、その老人に弟子入りすることになった。  修行する中で、仙人の道へ足を踏み入れるが、師匠から仙人にはなれないと言われてしまった。それでも良いやと気楽に修行を続け、正式な仙人にはなれずとも。足掛け程度は認められることになる。    それから何年も何年も何年も過ぎ、いつものように没頭していた瞑想を終えて目開けると、視界に映るのは密林。仕方なく周辺を探索していると、二足歩行の獣に捕まってしまう。言葉の通じないモフモフ達の言語から覚えなければ……。  不死になれなかった半端な仙人が起こす珍道中。  記憶力の無い男が、日記を探して旅をする。     メサメサメサ   メサ      メサ メサ          メサ メサ          メサ   メサメサメサメサメサ  メ サ  メ  サ  サ  メ サ  メ  サ  サ  サ メ  サ  メ   サ  ササ  他サイトにも掲載しています。

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い

平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。 ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。 かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。

性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。

狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。 街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。 彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

女神から貰えるはずのチート能力をクラスメートに奪われ、原生林みたいなところに飛ばされたけどゲームキャラの能力が使えるので問題ありません

青山 有
ファンタジー
強引に言い寄る男から片思いの幼馴染を守ろうとした瞬間、教室に魔法陣が突如現れクラスごと異世界へ。 だが主人公と幼馴染、友人の三人は、女神から貰えるはずの希少スキルを他の生徒に奪われてしまう。さらに、一緒に召喚されたはずの生徒とは別の場所に弾かれてしまった。 女神から貰えるはずのチート能力は奪われ、弾かれた先は未開の原生林。 途方に暮れる主人公たち。 だが、たった一つの救いがあった。 三人は開発中のファンタジーRPGのキャラクターの能力を引き継いでいたのだ。 右も左も分からない異世界で途方に暮れる主人公たちが出会ったのは悩める大司教。 圧倒的な能力を持ちながら寄る辺なき主人公と、教会内部の勢力争いに勝利するためにも優秀な部下を必要としている大司教。 双方の利害が一致した。 ※他サイトで投稿した作品を加筆修正して投稿しております

神の宝物庫〜すごいスキルで楽しい人生を〜

月風レイ
ファンタジー
 グロービル伯爵家に転生したカインは、転生後憧れの魔法を使おうとするも、魔法を発動することができなかった。そして、自分が魔法が使えないのであれば、剣を磨こうとしたところ、驚くべきことを告げられる。  それは、この世界では誰でも6歳にならないと、魔法が使えないということだ。この世界には神から与えられる、恩恵いわばギフトというものがかって、それをもらうことで初めて魔法やスキルを行使できるようになる。  と、カインは自分が無能なのだと思ってたところから、6歳で行う洗礼の儀でその運命が変わった。  洗礼の儀にて、この世界の邪神を除く、12神たちと出会い、12神全員の祝福をもらい、さらには恩恵として神をも凌ぐ、とてつもない能力を入手した。  カインはそのとてつもない能力をもって、周りの人々に支えられながらも、異世界ファンタジーという夢溢れる、憧れの世界を自由気ままに創意工夫しながら、楽しく過ごしていく。

「残念でした~。レベル1だしチートスキルなんてありませ~ん笑」と女神に言われ異世界転生させられましたが、転移先がレベルアップの実の宝庫でした

御浦祥太
ファンタジー
どこにでもいる高校生、朝比奈結人《あさひなゆいと》は修学旅行で京都を訪れた際に、突然清水寺から落下してしまう。不思議な空間にワープした結人は女神を名乗る女性に会い、自分がこれから異世界転生することを告げられる。 異世界と聞いて結人は、何かチートのような特別なスキルがもらえるのか女神に尋ねるが、返ってきたのは「残念でした~~。レベル1だしチートスキルなんてありませ~~ん(笑)」という強烈な言葉だった。 女神の言葉に落胆しつつも異世界に転生させられる結人。 ――しかし、彼は知らなかった。 転移先がまさかの禁断のレベルアップの実の群生地であり、その実を食べることで自身のレベルが世界最高となることを――

処理中です...