ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第2182話 成長と思いやり

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 シンラの後に、プラムもシオンもスライムのブルブル攻撃を受け、ブラウニーに何かを言われた後、俺の方に来て、

「「「ごめんなさい」」」

 と謝ってきた。

「しっかり謝れて偉いね。自分では分からないこともあるから、しっかりと人の話を聞いて、相手の事を考えるんだぞ。悪い事をしたらしっかり謝り、悪い事をしている人がいたら注意する。でも、間違っちゃいけないんは、君たちにはまだ力がない。だから、悪い事をしている人がいたら、お父さんやお母さんに相談しなさい」

 3人の頭を撫でながら、謝れたことを褒めた。

 今回の事は、この子たちにとって大切な財産になるだろうな。今までは、暖簾に腕押しとまではいかないが、あまり効果がなかったから、本当にいい経験をしたと思う。後で、妻たちにも教えてあげよう。

 ん? そう言えば、妻たちが1人もいないな。子どもたちの様子を見ているのは、ブラウニーたちだし……何で誰もいないのだろう? いつもなら誰かしら1人は、シンラたちの近くにいた気がするんだがな。俺やブラウニーがいるから、問題ないと判断したのかね。

 俺に謝ったシンラたちは、自分たちのつくへに戻って、何やら話し始めた。

 とても気になるが、ブラウニーたちからは私たちが看ておきますので問題ないとのことで、ハンドサインを受けたので、その場を後にする。シンラたちの机には野菜スティックが出ており、それをポリポリと食べている様子を横目に見ながら東屋を離れる。

 あそこでのんびりしたかったが、シンラたちの教育に邪魔だというような無言の圧力があったので、そそくさと離れた次第である。

 家に戻っても本を読むかゲームをするかくらいしかないので、東屋は見えるがシンラたちは見えない位置で、治療師たちの子どもたちと遊ぶことにした。追いかけっこをしていたので、俺も仲間に入れてもらう形だ。

 こういう遊びになると、大体は大人が1人で鬼をやって子どもたちを捕まえていくゲームになるか、子どもたちが全員鬼で大人を捕まえるゲームになる。子どもたちが選んだのは、俺が鬼になってみんなで逃げる方だった。

 子どもたちが遊んでいたスペースでは狭いので、ブラウニーたちに協力してもらって逃げて良い範囲を決める。体力がありスピードもあればずっと逃げれるように、家の周りも含む外で追いかけっこが始まった。

 もちろん、建物の中に入るのは禁止だが、それ以外ならどうやって隠れてもいい。木に登って息をひそめようが、穴を掘って隠れようが何でもありだ。だけど、これは昔やった妻たちとのゲームとは違い、そこまでできる子はいないので、単純な追いかけっことかくれんぼの合わせ技のようなゲームになる。

「時間が経ったから、みんなの事を捕まえるぞ! わりーごわいねがー」

 どこぞの寒い地域の来訪神の真似をしてみた。鬼と混同されがちだが、本来は厄払いや怠け者を諭したりする神様らしい。

 子どもたちにとっては、恐怖の象徴みたいに見えるが、これも一種の教育の1つではないかと思う。

 悪い事や良くないことをする前に戒めるための物の1つと考えている。それが伝統となり、地域に根付いた伝統ある行事だろう。

 戒めの意味を込めた行事や言葉は、世界にもたくさんある。

 少し怖がらせてみようという遊び心でやってみたが、理由も分からず見た目も俺のままなので、子どもたちは雰囲気に合わせてワーキャー言って逃げるだけだった。

 ちょっと傷心気味になるが、めげずに子どもたちを追いかけることにした。本来のステータスのままだと、全員を捕まえるのに10分もかからないだろう。それでは面白くないので、腕輪を使い子どもたちのレベルに合わせている。

 足の速い子遅い子はいるので、レベルを合わせたといっても手加減をしてやる必要がある。初めに捕まえるのは……少し自信のありそうな、1人でいる子を狙ってみよう。

 家の影から俺の様子を窺っている子にターゲットを合わせる。

 ゆっくりと歩いて気付いていないふりをしつつ、子どもの方へ近付く。丸見えなのだが、バレていないと思っているのか、その子が動く気配はない。通り過ぎながらキョロキョロして、見つけたふりをする。

 待て~! と言いながら、誰が待つか! みたいなやり取りをする。

 30秒ほど追いかけて、何とか捕まえる。悔しがっているが、運動神経の悪くない俺を相手に、逃げられるわけが無かろうに。

 次は、5人で固まっている子どもたちに狙いを定める。

 みんなで逃げるが、やはり身体能力の差が出てしまい、1人だけ逃げ遅れてしまう。その1人に手を伸ばす子がいた。他の3人はさっさと逃げてしまったが、この子だけは逃げ遅れた子を助けようと頑張っている。

 しばらく追いかけて捕まえた。

「よく頑張ったね。遊びとはいえ、友達に手を伸ばせるのは凄い事だと思うよ。そんな君たちには、これをプレゼントしよう」

 何となく、この子たちにはご褒美をあげたいと思ったので、ブラウニーたちのお店で無料で食べられる、ファミリーチケットを5枚ずつあげる。2人はキョトンとしていたが、ブラウニーたちのお店でお母さんや兄弟と一緒にご飯が食べられるチケットだと教えてあげた。

 そうすると、何を言っているのか分からない位に、はしゃぎだしてしまったので、ブラウニーを呼んで落ち着くまで面倒を看てもらうことにした。

 治療師たちの給料を考えれば、ブラウニーたちのお店で食べることは、贅沢な食事として食べることは可能だが、お金の大切さを理解しているので、治療師たちは無駄遣いしない傾向にある。

 それとは別に、治療院でも孤児院でも、ブラウニーたちがいたり、技術を学んだ人たちが食事を提供してくれるので、行かなくても美味しい料理は食べられるので、無理に行こうとはしないのだ。

 一番の理由は、お金があってもブラウニーたちのお店は、予約をとることが困難なので、食べに行く機会がさらに減るというものだ。

 でも、美味しいと評判なので食べてみたいと思う子どもたちは多いだろう。それを解決できるのが、俺の渡すチケットだ。前日に本人が抽選に当たり予約することで利用できる特殊なお店なのだが、このチケットなら前日じゃなくても予約ができるというすごいチケットなのだ。

 1時間ほど追いかけっこをして、8割ほどの子どもたちを捕まえた。

 全員に5枚ずつあげるわけにはいかないが、何かと理由をつけて枚数に差を出してチケットをあげた。あげないと、イジメになってしまうかもしれないので、全員にあげた形だな。
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