ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
上 下
2,178 / 2,518

第2178話 ちょっとした贅沢

しおりを挟む
 スライムに乗ったシンラを先頭に、プラムとシオンが左右斜め後ろについて進んでいく……あれ? いつもくっ付いてるか、後ろをついて回っている2人なのに、今日は斜め後ろなのか。イメージと違う位置にいるからか、俺の感覚が変な感じがkする。

 いや待てよ、寝る時や食事の時はいつもくっ付いてるけど、起きている時は大分離れて生活するようになってたな。この子たちに合う時って大体、寝てる時か食事の時が多いから、くっ付いているイメージがするんだよな。

 それ以外の時は、離れて生活してることが多いもんな。勉強の時だって、体を動かす時だって、お風呂の時もくっ付いているわけじゃないもんな。

 でさ、シンラさんやい。右手に持ってる木の棒をどこから持ってきたんだ? 君たちにはまだ、収納の腕輪渡してないはずなんだけどな……それと、家の中で振り回すと、シルキーたちに叱られるぞ。

 っと、もう遅かったか。

「シンラお坊ちゃま。家の中では物を振り回してはいけないと、何度もお伝えしましたよね? それなのに、何故木の棒を振り回しているのでしょうか? それと、これを持ってきたスライムたち、あなたたちも同罪ですよ。ブラウニーの皆さん、スライムたちの食事はあれを準備してください」

 スカーレットに見つかり、シンラは青い顔になっている。話しぶりからすると、1~2回って感じじゃないな。軽く2桁いってそうだな。

 それに、木の棒がどこから現れたのか分かった。スライムたちが準備してたんだな。こいつらも懲りないから何度も同じことしてるんだよな。

 今回の件に関係ないスライムたちも同罪になって、主犯のスライムがボコボコにされるまでが1セットなんだよな。本当に懲りない奴らだ。

「奥様方も、ご主人様も、注意してくださらないと困ります。甘やかすだけが親の仕事ではありませんよ!」

 っと怒られてしまった。次からは怒るように気をつけるわ。ところで、シンラの顔が青いままなのだが、何かトラウマになるようなことでもあったのか? うちの子というか、家族全員苦手な物はあるけど、食べれないほど嫌いな物ってないけど……精進料理的なものでも出るのか?

「精進料理は精進料理で、栄養価抜群に作りますので、罰則のようなお食事ではありませんよ。それに、体の出来上がっていない子どもたちに、罰則のような料理を出すはずがありません! ドワーフや従魔のアホ共と一緒に語ったらいけません」

 そう言えば、精進料理と言いながら、シルキーたちの作る精進料理って、完成度が高く満足度も栄養価も味も食感も最高だからな。

 じゃぁ何でシンラの顔が青いままなんだ?

「シンラお坊ちゃまに関しては、罰則というよりは、プラムお嬢様とシオンお嬢様へのご褒美ですかね。シンラお坊ちゃまに関しては、御二方に注意してもらう方が効果がありますので、おまかせしているんです」

 シンラの教育を姉妹の2人に任せるのか……斬新な発想だけど、シンラが繰り返すから効果は無いんじゃないか? あ~一定期間の効果は抜群なんだね。

 今更なんだけど、シンラやプラム、シオンをお坊ちゃま、お嬢様って呼んでるんだな。初めて知ったわ。最近呼び始めたのか? へ~そうだったんだ。じゃぁ、ミーシャたちは? 普通に様呼びなのね。違いが良く分からんけど、みんなが決めたことならそれでいいわ。

 食堂に着くと、いつものようにビュッフェが準備されていた。自宅ではないので、種類は少ないが曜日ごとにしっかりとコンセプトがあるみたいだな。今日は、日本料理が中心だから、白米が美味いだろうな!

 サラダは、常時10種類くらい準備されているので、その日の気分に合ったものを食べれて嬉しい。もやしのピリ辛和えと漬物各種をお願いして、鮭を中心に煮物などをとっていく。筑前煮もあるな。これはちょっと多めに、汁物は豚汁で! 七味もいっぱいよろしく。

 漬物は、塩分が濃くならないように注意されて作られた物なので、多めに取っても塩分過多にはならないだろう。この中で一番塩分が強いのは、豚汁かね? 筑前煮や鮭も塩分控えめで作られてるからな。

 それでもしっかりと味がして……うまうま。

 鮭を食べ終えると、サバの塩焼きまで出てきた。日本でこんな朝食食べたこと無いよな。ホテルに泊まって朝食ビュッフェみたいのでもなければ、ここまで食べることも無いしな。

 さっきまで青い顔をしていたシンラだが、朝食をモリモリと食べているな。朝から唐揚げを食べてるな。俺も朝食から重たい物を普通に食べれるから、そういう所は……って、うちの家族全員何でも食うんだった。

 唐揚げ小さめを5つ食べた後に、トンカツまで注文してるぞこいつ。そのサイズがシンラたちように揚げられたものなので大きくは無いが、お前もよく食うようになったな。ちょっと前まで普通くらいだったと思うが、2~3割くらい食べる量が増えてるんじゃないかな?

 食べるといえば、プラムとシオンもよく食べるようになってきた。女の子の方が成長が早いのか、シンラより少し多く食べる気がする。体の大きさも、シンラより若干大きい気がするしな。

 シンラが肉多めに大して、プラムとシオンは野菜が多めなんだよな。それでもシンラが食べている肉系も半分くらいは注文しているから、食べていないわけじゃない。あ~お米はシンラの方が多いな。ご飯のお供が多いから進むのはしょうがないか。

 ミーシャたちも量を食べるようになってるな。同じ年の時は、下の子たちの方が多く食べていると思うけど、その頃に比べれば倍くらいは食べているんじゃなかろうか? 大食いって言うよりは、体を動かすからたくさんのエネルギーが必要って感じだな。

 ウルをよく見ていると分かるんだけど、訓練がある日と無い日では、食事量が3割くらい違うんだよね。それだけ動いてエネルギーを使い、体を作るのに栄養をたくさん使ってるんだろうな。

 マッチョになるためではないけど、訓練の補給時などには、子どもたち専用に調合されたプロテインを低脂肪乳に混ぜて飲ませている。低脂肪乳なのは、吸収率やその他の関係で、ボディービルダーの選手の中には、トレーニング後に飲んでいる人も多いらしいので、採用している物だ。

 プロテインに関しても、子どもたちが飲みやすいようにしっかりと解ける物で作られており、味もいろんな種類から選べるようになっている。子どもたちが飽きないようにといった感じだな。妻たちも飲んでいることがあるし、味も美味しいみたいだな。

 ズズっと豚汁を飲み中の具を食べる。大鍋で作った時に、下から具材だけをすくい上げて入れたような感じで、山もりの具なんだよな。うちの汁物って基本的に、具材が多く入れられているから、食べ応えがすごいんだよな。

 この豚汁だけと白米……おにぎりだけでも十分な食事と言えるくらいには、満足感が高い。

 ちょっとした贅沢を感じながら、今日は何をするか考え始めた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

月が導く異世界道中extra

あずみ 圭
ファンタジー
 月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。  真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。  彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。  これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。  こちらは月が導く異世界道中番外編になります。

彼女をイケメンに取られた俺が異世界帰り

あおアンドあお
ファンタジー
俺...光野朔夜(こうのさくや)には、大好きな彼女がいた。 しかし親の都合で遠くへと転校してしまった。 だが今は遠くの人と通信が出来る手段は多々ある。 その通信手段を使い、彼女と毎日連絡を取り合っていた。 ―――そんな恋愛関係が続くこと、数ヶ月。 いつものように朝食を食べていると、母が母友から聞いたという話を 俺に教えてきた。 ―――それは俺の彼女...海川恵美(うみかわめぐみ)の浮気情報だった。 「――――は!?」 俺は思わず、嘘だろうという声が口から洩れてしまう。 あいつが浮気してをいたなんて信じたくなかった。 だが残念ながら、母友の集まりで流れる情報はガセがない事で 有名だった。 恵美の浮気にショックを受けた俺は、未練が残らないようにと、 あいつとの連絡手段の全て絶ち切った。 恵美の浮気を聞かされ、一体どれだけの月日が流れただろうか? 時が経てば、少しずつあいつの事を忘れていくものだと思っていた。 ―――だが、現実は厳しかった。 幾ら時が過ぎろうとも、未だに恵美の裏切りを忘れる事なんて 出来ずにいた。 ......そんな日々が幾ばくか過ぎ去った、とある日。 ―――――俺はトラックに跳ねられてしまった。 今度こそ良い人生を願いつつ、薄れゆく意識と共にまぶたを閉じていく。 ......が、その瞬間、 突如と聞こえてくる大きな声にて、俺の消え入った意識は無理やり 引き戻されてしまう。 俺は目を開け、声の聞こえた方向を見ると、そこには美しい女性が 立っていた。 その女性にここはどこだと訊ねてみると、ニコッとした微笑みで こう告げてくる。 ―――ここは天国に近い場所、天界です。 そしてその女性は俺の顔を見て、続け様にこう言った。 ―――ようこそ、天界に勇者様。 ...と。 どうやら俺は、この女性...女神メリアーナの管轄する異世界に蔓延る 魔族の王、魔王を打ち倒す勇者として選ばれたらしい。 んなもん、無理無理と最初は断った。 だが、俺はふと考える。 「勇者となって使命に没頭すれば、恵美の事を忘れられるのでは!?」 そう思った俺は、女神様の嘆願を快く受諾する。 こうして俺は魔王の討伐の為、異世界へと旅立って行く。 ―――それから、五年と数ヶ月後が流れた。 幾度の艱難辛苦を乗り越えた俺は、女神様の願いであった魔王の討伐に 見事成功し、女神様からの恩恵...『勇者』の力を保持したまま元の世界へと 帰還するのだった。 ※小説家になろう様とツギクル様でも掲載中です。

あなたのレベル買い取ります! 無能と罵られ最強ギルドを追放されたので、世界で唯一の店を出した ~俺だけの【レベル売買】スキルで稼ぎまくり~

桜井正宗
ファンタジー
 異世界で暮らすただの商人・カイトは『レベル売買』という通常では絶対にありえない、世界で唯一のスキルを所持していた事に気付く。ゆえに最強ギルドに目をつけられ、直ぐにスカウトされ所属していた。  その万能スキルを使いギルドメンバーのレベルを底上げしていき、やがてギルドは世界最強に。しかし、そうなる一方でレベルの十分に上がったメンバーはカイトを必要としなくなった。もともと、カイトは戦闘には不向きなタイプ。やがてギルドマスターから『追放』を言い渡された。  途方に暮れたカイトは彷徨った。  そんな絶望的で理不尽な状況ではあったが、月光のように美しいメイド『ルナ』が救ってくれた。それから程なくし、共に世界で唯一の『レベル売買』店を展開。更に帝国の女騎士と魔法使いのエルフを迎える。  元から商売センスのあったカイトはその才能を遺憾なく発揮していく。すると驚くほど経営が上手くいき、一躍有名人となる。その風の噂を聞いた最強ギルドも「戻ってこい」と必死になるが、もう遅い。  見返すと心に決めたカイトは最強ギルドへの逆襲を開始する――。 【登場人物】(メインキャラ) 主人公 :カイト   / 男 / 商人 ヒロイン:ルナ    / 女 / メイド ヒロイン:ソレイユ  / 女 / 聖騎士 ヒロイン:ミーティア / 女 / ダークエルフ ***忙しい人向けの簡単な流れ*** ◇ギルドを追放されますが、実は最強のスキル持ち ◇メイドと出会い、新しい仲間も増えます ◇自分たちだけのお店を開きます ◇みんな優しいです ◇大儲けしていきます ◇元ギルドへの反撃もしていきます ◇世界一の帝国へ移住します ◇もっと稼ぎまくります

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第二章シャーカ王国編

悪役貴族の四男に転生した俺は、怠惰で自由な生活がしたいので、自由気ままな冒険者生活(スローライフ)を始めたかった。

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
俺は何もしてないのに兄達のせいで悪役貴族扱いされているんだが…… アーノルドは名門貴族クローリー家の四男に転生した。家の掲げる独立独行の家訓のため、剣技に魔術果ては鍛冶師の技術を身に着けた。 そして15歳となった現在。アーノルドは、魔剣士を育成する教育機関に入学するのだが、親戚や上の兄達のせいで悪役扱いをされ、付いた渾名は【悪役公子】。  実家ではやりたくもない【付与魔術】をやらされ、学園に通っていても心の無い言葉を投げかけられる日々に嫌気がさした俺は、自由を求めて冒険者になる事にした。  剣術ではなく刀を打ち刀を使う彼は、憧れの自由と、美味いメシとスローライフを求めて、時に戦い。時にメシを食らい、時に剣を打つ。  アーノルドの第二の人生が幕を開ける。しかし、同級生で仲の悪いメイザース家の娘ミナに学園での態度が演技だと知られてしまい。アーノルドの理想の生活は、ハチャメチャなものになって行く。

異世界転移したら~彼女の"王位争い"を手助けすることになった件~最強スキル《精霊使い》を駆使して無双します~

そらら
ファンタジー
↑「お気に入りに追加」を押してくださいっ!↑ とある大陸にあるローレスト王国 剣術や魔法、そして軍事力にも長けており隙の無い王国として知られていた。 だが王太子の座が決まっておらず、国王の子供たちが次々と勢力を広げていき王位を争っていた。 そんな中、主人公である『タツキ』は異世界に転移してしまう。 「俺は確か家に帰ってたはずなんだけど......ここどこだ?」 タツキは元々理系大学の工学部にいた普通の大学生だが、異世界では《精霊使い》という最強スキルに恵まれる。 異世界に転移してからタツキは冒険者になり、優雅に暮らしていくはずだったが...... ローレスト王国の第三王女である『ソフィア』に異世界転移してから色々助けてもらったので、彼女の"王位争い"を手助けする事にしました。

バランスブレイカー〜ガチャで手に入れたブッ壊れ装備には美少女が宿ってました〜

ふるっかわ
ファンタジー
ガチャで手に入れたアイテムには美少女達が宿っていた!? 主人公のユイトは大人気VRMMO「ナイト&アルケミー」に実装されたぶっ壊れ装備を手に入れた瞬間見た事も無い世界に突如転送される。 転送されたユイトは唯一手元に残った刀に宿った少女サクヤと無くした装備を探す旅に出るがやがて世界を巻き込んだ大事件に巻き込まれて行く… ※感想などいただけると励みになります、稚作ではありますが楽しんでいただければ嬉しいです。 ※こちらの作品は小説家になろう様にも掲載しております。

処理中です...