ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第2157話 訓練前のミーティング

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 お風呂から上がった俺は、バザールに連絡を入れ火薬で矢を発射できる銃の準備をお願いした。一応、効果として弓扱いか銃扱いかを確認しておいてほしいことも、お願いしておいた。

 もし駄目だった場合は、火や水などを中心とした魔法と、接近戦による撃破をすることにしよう。後は……ステータスを制御できる腕輪で、守り以外のステータスはレベル400あたりを基準に調整するか。

 レイリーや副官は別として、今回来ている上級士官で一番レベルが高いのが、300にギリギリ到達していない位だから、人数差を考えればこのくらい無いと物量で負けるからな。これが、レベル100程度が最高なら話は別だけど、最低ラインが100位だから、400でも危ない気はする。

 何があってもいいように、守りや体力……ゲーム的に言えば防御力とヒットポイントは、下げないようにするつもりだから、問題ないだろう。

 働いていない頭を使って考えた結果をみんなに伝え、みんなからも情報を吸い上げて残りは、レイリーたちに任せることにした。

 ベッドに向かうと、シンラを中心に子どもたちがくっ付いて寝ており、シンラの顔は若干険しいがこれはいつも通りだな。子どもたちを起こさないように、子どもたちとは別のベッドで寝るかな。

 朝起きると、既に部屋から人の気配は無く、少し離れた所で人の動く気配がするので、全員起きているのだろう。時間を確認すると……っと、朝食の時間がもう始まってるじゃないか! 慌てて準備をして食堂へ向かう。

 今日も美味しい食事をありがとうございます。

 今日の予定を確認してもいいですかね? 誰か知っている人がいないか聞いてみると、スカーレットが今日の予定を教えてくれた。

 レイリーから連絡があり、午前中は街を作っている場所で最終打ち合わせをして、午後に備えて待機をしてもらい、時間になったら攻め込む形になると、簡単に説明してくれた。細かい話は、あっちでレイリーに聞けってことだな。

 土木組の子たちも全員話を聞いており、準備はできているとの事。妻たちは、久しぶりに体を動かせるのか、少し張り切り気味な感じがする。制限するから、張り切っていても問題ないはずだな。

 今日は街作りは無いが、アリバイ工作も兼ねて街の建設予定地まで足を運んでいる。

 多分、初期の段階で俺たちが攻めてきていることはバレるだろうが、訓練だということをしっかりと認識して動いてくれるだろう。腑抜けていれば……俺や妻たちから教育的指導が入るので、レイリーたちだけでやってた時以上に、真剣になってくれるはずだ。

 そもそも、この訓練は緊急時の対応訓練だったのだが、訓練だということで少し気を抜いている兵士が増えてしまったため、テコ入れで精神を追い詰めるような攻め方をしたことがあるんだよね。

 それ以来、真剣になっていたんだけど、最近俺が参加してなかったから少し緩んできているみたいだしな。バザールに協力をしてもらえば、あの地獄を簡単に再現できるし、今回の結果次第ではもう一度体験させてもいいか?

 地獄というのも、野営訓練をしている兵士たちに、四六時中攻撃を仕掛けて深い眠りにつけなくさせただけだ。しっかりと訓練をこなせた兵士たちで、3日で6時間寝れていればいい方かもしれないな。途中で意識を失う兵士もいたが、レイリーの希望で容赦なく続けたもんだ。

 過酷すぎると思われるかもしれないが、正規の兵たちにはかなりの給金が出ているのだ。何もないからと訓練だけでは困る。いざという時に動けない者に用は無いのだ。そういう時のために訓練をしているので、使えない者は容赦なく兵士から訓練兵に身分が落とされる。

 訓練兵だったとしても、衛兵の代わりはできるし街の治安維持には十分役に立つので、しっかりと給金は保障されているので、恵まれた職場であることは言うまでもない。

 ちなみに、能力があっても戦争なんかに行きたくないという兵士は、一定数存在している。こういう兵士たちは、能力次第だが治安維持の職務の中で上の役職についている者もいる。

 中には、どんなに矯正しても根性のなおらない奴や、どんなに頑張っても使い物にならない人間はいる。そういう人間には、違う職業を斡旋するが、そこも長持ちせずに辞めて、いつの間にか街からいなくなっているパターンが多い。

 どんなに頑張っても向いていない人間って言うのがいるからな。そんな人間まで、養うほど甘くないということだろう。

 矯正しても良くならない人間の典型的パターンで、俺は実戦ではなく参謀として優れている! みたいなことを言う、自信家のアホだな。頭だけの人間は、軍にはいらないんだよ。そういう人間が上に立つと、負傷者を数字でしか見なくなり、無駄な犠牲を出す典型的な害虫だ。

 小説ではこういった、頭でっかち……いや、頭も良くないのに優れていると思っている貴族が指揮をとって、全滅した……なんて話は沢山かかれているな。

 軍の上に立つ人間は、大前提に戦闘能力が高い事が上げられているので、参謀になるつもりで来た奴はいらんのだよ。

 参謀として優れているとか言うから、指揮能力が高かったり、分析力があるのかと思って、何度か士官たちの勉強会や指揮訓練に参加させてやったが、結果を残せた奴は1人もいなかったって話だったな。

 口だけの人間は、更にいらない。こういう奴は、責任ある立場になったら不正をするし、下がってはいけない所で仲間を見捨てて自分だけ助かろうとする、クズが基本だからな。

 っと、色々考えている内に昨日リンドが指揮をとっていた塔に到着する。

 そこにはすでにレイリーたちが待機しており、すぐにでも話し合いを始められるようになっていた。

 レイリーと副官2名が、教壇の位置に当たる部分に座り、俺たちは生徒たちが座るように、教壇に向いている椅子に座っていく。

 プロジェクターに地図が映し出され、レイリーが今回の訓練について説明を始めた。

 概ね、昨日俺が考えていた通りになっているな。違いがあるとすれば……ステータス制御の腕輪の抑える率だろうか。俺はレベル400くらいを考えていたが、レイリーはレベル450にしてほしいとのことだ。

 それで、どれだけの差が出るか理解しているレイリーなのだが、今回は今までの訓練でしたことの無い、圧倒的な不利な状況下での拠点までの撤退戦をさせるつもりなのだとか。

 もしもの事態に備えて、暗部の鬼人たちの協力も得たそうだ。エリクサーを大量に準備して、使用された兵士は力尽くで退場させるんだってさ。確かに鬼人たちなら、それも可能だな。

 矢に関しては、バザールの実験が上手くいったらしく、今矢を量産しているところだと連絡があったらしい。

 準備が着々と整っていくな。
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