ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第2149話 準備された昼食は?

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 シンラたちが待っている中央の塔に向かって移動する。塔の側にはキッチン馬車が停まっており、その近くには机が並べられており、ブラウニーたちが慌ただしく飛んでいる様子が見られる。

 どうやらシンラたちは俺たちに声を届けた後、シンラたちはあそこに座らされたのだろう。静かにしているが、両手にスプーンとフォーク持って、無言で並べられている食事を見ているので、さすがに苦笑せざるを得ない。

 その近くには、ウルやミーシャたちも座っており、4人ともシンラの様子に笑っているな。

 机と椅子の配置を考えると、昼食は子どもたちと別々みたいだな。机は違うけど近くには座るようだな。なんというか、シンラと背中合わせの位置に座るように誘導された。

 シンラもプラムもシオンも、動かずにじっと食事を待っているので、少し気になって頬を突いてみた。3人とも気にする様子なく、目の前に置かれていく食事に目が釘付けだ。しつこく突いてみるが、まったく反応しないな。

 俺の行動にシンラたち3人以外は苦笑しているが、当の本人たちは昼食に目が釘付けだ。まぁ、特にこの子たちの好きな……シンラたちだけじゃないな、子どもだけじゃなく俺や妻たちもみんな好きな料理だな。

 なんていうかさ、行楽弁当なのよ。嫌いな人間なんていないだろ? しかも、俺たちが好きな物が詰め込まれているから、外れがないのよ! シンラたちが釘付けになるのも分からなくは無いかな。

 そして、今回は面白い事にみんなで食べる方式なので、シンラたち3人の前にデデーンと好きな物が置かれている。3人とも好きな物は似ているので、3人分の行楽弁当として詰め込まれていると、バランスが悪いな……

 でも、しっかりと野菜も食べれるようにしているあたり、シルキーたちの調理技術が光っているな。行楽弁当で好きな物というとお肉に偏りがちなので、例えば唐揚げ単品ではなく、一緒に食べたくなる南蛮漬けの野菜とか、ハンバーグの中にはみじん切りの野菜がたくさん入ってたりする。

 肉と同じ量位の野菜が入っているように見えるハンバーグなのだが、形は崩れずにハンバーグとしての見た目がしっかりと残っている。しかもそれをシンラたちの前で、煮込みハンバーグみたいにしている……行楽弁当じゃなくなってるけど美味そうだな。煮込みにも大量に野菜が入っているな。

 で俺の前に準備された弁当は、野菜が単品で色々並べられている箱がある。アスパラ、ベビーコーン、三色パプリカ、キュウリ、ダイコン、らっきょう、ミョウガ、トマト、ナス……9種類の野菜がピクルスにされて出てきている。

 他には、シンラたちのにも入っていた唐揚げの南蛮漬けや、俺が好きな油淋鶏、とり天、角煮などが所狭しと並んでいる。俺の好物だけでなく、隣に座っている妻たちの料理も入っているので、すごい事になってるな。

 では、みなさん……いただきます!

 挨拶と共に、シンラたちは競争でも始めたかのように、自分のお皿に好物を乗せていく。プラムとシオンは自分の好物をお皿に乗せているのに、取り終わるとシンラのお皿を狙い始める……マジでこの行動が良く分からんのよな。

 だけど、シンラは自分の好物を必死にガードしながら食事を勧めている。あまりやりすぎると、シルキーたちに怒られることを学んでいるので、前に比べて取り合う姿に迫力が無くなってるな。

 シンラのことを見るのに後ろを向かないといけないので、体制が辛い……様子観察はこの辺で終わりだな。俺も食べるぞ!

 まずは! 唐揚げの南蛮漬け! お酢の酸味に鷹の爪のちょっとしたピリ辛! 食欲の進む一品でござる!

 っと、何故かバザールの口癖が出てしまったな。唐揚げも美味いんだけど、酸っぱいピリ辛の野菜たちも美味いんだよな。コッテリとした油淋鶏を口に運んで、酢漬け……ピクルスされた野菜たちを口に運んでいく。少し甘みのある、ヤングコーンうめえ!

 たださ、シュリだけは何か次元が違うんだよな。おそらく全種類のおかずの他に、おにぎり、お稲荷などの米物が沢山準備されている。唐揚げ食べておにぎりをかじる……あのコンボはマジで美味いだろうな。

 俺、地球にいた時ってさ米が好きだったから、焼肉屋とか行っても絶対に米が欲しい人間だったんだよな。食べ放題の所でもない限り、絶対に大盛りライスを頼んでた。食べ放題の所で米食べたらさすがにね……なんかに負けた気になるので、食べてなかったけどな。

 その代わり、場所にもよるけど、美味しいサラダがあったら、それをモリモリ食べてたっけな? こっちでは、準備された物は全部美味しいから気にしたこと無いけど、あっちにいたときの外食は食べる物が偏ってた気がするな。

 後ろでは、まだシンラたち3人がバトルを続けているようだな。大きな声や音は出していないが、必死の攻防が続いているのが感じ取れる。本当に仲がいいんだか悪いんだか……少なくとも、シンラが本気で嫌がっていないので、仲が悪いということは無いだろう。

 プラムやシオンも、今後ろで攻防を繰り広げているが、寝る時なんかは近くにいないとぐずるので、好きなことは確定しているな。

 そう言えば上の子たちも昔は、一緒にいるとくっ付いて寝ていたっけ? って、今もウルも含めて4人で寝ている時は、くっ付いて寝てるんだっけ?

 少し離れた所にいるミリーに上の子たちの寝る時の様子を聞いてみると、くっ付いて寝ているのはスミレとブルムの2人らしい。ウルとミーシャは、抱き枕にされている側のようだ。嫌がっているわけでもなく、中良さそうなので、特に問題ないだろう。

 ここにプラムたちも一緒になると、シンラを中心に両サイドにプラムとシオン、その外側にウルとミーシャ、一番外側にスミレとブルムの順で並ぶんだとさ。シンラ……姉妹にモテモテだな!

 でもさ、6人に囲まれている時のシンラの顔が容易に想像できて、苦笑してしまう。みんなは寝てるのにシンラだけは、仏頂面をしているか、寝ているが眉間にしわが寄っていそうだな。

 そろそろお腹がいっぱいだからシメを食べたいのだが……何がいいかな?

 そんなことを考えていると、ブラウニーがササッと近付いてきて、焼きおにぎりを器の中に入れ、山葵を乗せてお茶をかけた……まさか行楽弁当のシメでお茶漬けか、ビックリだな。しかも俺の好きな佃煮がいっぱい入っていて、それがお茶に広がって……うめぇ!
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