ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
上 下
2,145 / 2,518

第2145話 難民の街をつくろう

しおりを挟む
 レイリーに会いに駐屯地へ向かう。昨日作った橋を渡って、レイリーのいるエリアを目指す。橋を渡って少し行けば、レイリーのいる場所なので大して時間はかからなかった。

 問題があるとすれば、俺は軍のトップではないが最高権力者になるので、道を通ると兵士たちが足を止めて敬礼をするため、仕事の邪魔をしている気分になってしまう。レイリーに言わせれば、下の人間がとるべき行動なので問題ないというだろう。

 テレビとかでも、クソ忙しいのに社長が来たら手を止めて、どうでもいい話を聞かされる……みたいな、ショートコントがあったっけ? 実際にあんなことって本当にあるんかね? 職員が手を止めて対応した結果、残業が長引いた……みたいなところまでが、1セットだったっけな?

 上に立つ人って、挨拶してもらうのが当たり前って思っているのかね?

 確かに、当たり前な部分もあるだろうけど、時と場合によると思うんだよな。こんな考え方をする俺は、組織のトップに向いていないんじゃないかな。

 俺がいちいち足を止めてまで敬礼する必要はないって言っても、兵士たちの上司が叱責するから、迂闊にそういう事も言えないんだよな。これがディストピアの街中で、訓練中なのであればそこまで気にならないんだけど、今は……状況が違うじゃん。

 戦闘警戒レベルは高くないけど、街中ではなくいつ状況が変わるか不明なのに、そんな中で足を止めて敬礼されても困るんだけどな。

 レイリーの所に着いて聞いてみたが、やはり敬礼の方が重要でしょうと言われた。俺が行ったように警戒レベルは高くないから、敬礼が優先されるべきだと考えているみたいだ。警戒レベルが上がったなら、優先順位が変わるが、現状では大きな危険は無いので……だってさ。

 それに急に警戒レベルが上がったとしても、戦える集団がすぐそばに集まっているので、慌てる必要もないから、問題なく対処は可能だとさ。

 そういうものだと、理解しておこう。納得できるわけじゃないけど、ルールとして決められている以上、そのルールを変更しない限り俺の独断で強制できないからな。いや、厳密には強制することは可能だが、周りの反対を押し切って、やる必要性があるほどの事でもないからな……

 当初の目的通り、レイリーに難民たちの街について話をすることにした。

 グリエルたちとも密に連絡を取っているようで、着手するのであればこのようにしてほしいと、計画書を俺の前に置いた。リンドとも話していたが、その計画とあまり差は無いようだな。ダゴンに関しては、こっちで勝手に決めたので、後で連絡をしておかないとな。

 それにしても、レイリーは既に準備を始めていたようだな。大体の広さは、兵士たちが先行して目印を置いておいてくれているらしい。細かい調整は、こちらでする必要があるが、最低限の目印は行っているとの事。

 後、俺は知らなかったが、ある程度街の中の設計にも手を加えるようで、無秩序に建物が経たないように、メインとなる道は始めに整備しておいてほしいとのことだ。

 道のことは考えてなかったけど、トイレは作る予定だったから……メインとなる道に合わせて作ればいいかな。道も大雑把で、格子状に道を走らせるだけなので簡単だ。

 さて、現場に向かうか! と思ったが、土木組にも手伝ってもらうのに、拠点に置いてきてしまったため、呼びに行かないといけない。一緒に来ても、レイリーからまだだと言われれば、一緒に来た意味がなくなるので、置いてきたことは問題は無かっただろう。

 って、誰に言訳してんだ? そもそも、妻たちも一緒にいるのはリンドだけだし、一度は帰らないといけなかったのだから、どっちにしろというものだろう。

 リンドとレイリーからもらった計画書を見ながら、拠点へもどると……すでに準備の終わった妻と土木組の子たちが待機していた。その後ろでは、こっちに来ている従魔たちの半数ほどが、同行できるように待機している。

 リンドも目を丸くしているので、共犯ではなさそうだ。

 ミリーは拠点のトップとして残るようだ。妻の半数ほどが同行して、土木組と……子どもたちも来るのか?

 妻たちに隠れていて見えなかったが、上の子たちも一緒に来るみたいで、従魔たちと戯れていた。

 こっちに同行するっぽいシリウス君は、メグちゃんに何やら言われているな。真面目に聞いていないと分かると、首根っこを噛まれて情けない声を出している……めっちゃカオスな状況なんだが、なんなんだろうかこの状況。

 ダマが元の大きさになり、ミーシャたち3人を背中に乗せて移動を開始する。ウルも一緒に来ているのだが、ダマの背中ではなく俺の近くをリンドと一緒に歩いている。

 最近のウルは勉強熱心で、学べることはすべて学んだいる感じだ。ちょっとやりすぎじゃないかとシルキーたちに相談したこともあるが、本人のヤル気があるうちは可能な限り、ウルのしたいようにやらせたいといっていた。

 無理していないのならいいけど、ちょっと心配である。

 色々覚えすぎても頭でっかちで、無駄な思考をしてしまう気はするのだが、知らないより知っていた方がいいことは沢山あるので、ウルが頑張っている内は無理のない範囲で学ばせている。

 で、今ウルがリンドに聞いているのは、街の構造についてだ。

 構造といっても作り方とかではなく、形みたいな感じかな? 設計思想とも違うが、道の事や建物の区割りとかについて、レクチャーを受けている。

 俺たちが手掛けた街は基本的に、街並みが綺麗に見えるように整っている物が多い。でも街には、中にはいられた時の事を考えて、わざと入り組んだ造りをしている街もある。王都と帝都はこれに当たる。

 俺の場合は空からいけるので無意味なのだが、2つの首都は一番外側が低所得者や農家の家族が住んでいるエリアで、壁を壊されて入られてもちょっとした防壁代わりになる。まぁ、壁を壊したり乗り越えられる敵に対して、効果のある者ではないと思うけどね。

 このエリアには、馬車の通れる道は、門から中心に向かう場所だけで、そこには兵士や騎士たちの駐屯場所があるので、この道を通って街の中に向かわれる可能性は少ないと考えているとか、なんかの本に書いてあったと思う。

 正直な話、ここまで攻め込まれている時点で、守りをいくら固めても意味がないと思うけどね……

 俺の思っていることをリンドが説明してくれているので、俺から突っ込むことは無い。どうせ効果が薄いのなら、街の人たちが快適に過ごせるようにする方がよっぽどましだろう。

 もっと言えば、壁を高くするか厚くするか、複数作る方が現実的だと思うけどな!
しおりを挟む
感想 316

あなたにおすすめの小説

サバイバル能力に全振りした男の半端仙人道

コアラ太
ファンタジー
年齢(3000歳)特技(逃げ足)趣味(採取)。半仙人やってます。  主人公は都会の生活に疲れて脱サラし、山暮らしを始めた。  こじんまりとした生活の中で、自然に触れていくと、瞑想にハマり始める。  そんなある日、森の中で見知らぬ老人から声をかけられたことがきっかけとなり、その老人に弟子入りすることになった。  修行する中で、仙人の道へ足を踏み入れるが、師匠から仙人にはなれないと言われてしまった。それでも良いやと気楽に修行を続け、正式な仙人にはなれずとも。足掛け程度は認められることになる。    それから何年も何年も何年も過ぎ、いつものように没頭していた瞑想を終えて目開けると、視界に映るのは密林。仕方なく周辺を探索していると、二足歩行の獣に捕まってしまう。言葉の通じないモフモフ達の言語から覚えなければ……。  不死になれなかった半端な仙人が起こす珍道中。  記憶力の無い男が、日記を探して旅をする。     メサメサメサ   メサ      メサ メサ          メサ メサ          メサ   メサメサメサメサメサ  メ サ  メ  サ  サ  メ サ  メ  サ  サ  サ メ  サ  メ   サ  ササ  他サイトにも掲載しています。

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

「残念でした~。レベル1だしチートスキルなんてありませ~ん笑」と女神に言われ異世界転生させられましたが、転移先がレベルアップの実の宝庫でした

御浦祥太
ファンタジー
どこにでもいる高校生、朝比奈結人《あさひなゆいと》は修学旅行で京都を訪れた際に、突然清水寺から落下してしまう。不思議な空間にワープした結人は女神を名乗る女性に会い、自分がこれから異世界転生することを告げられる。 異世界と聞いて結人は、何かチートのような特別なスキルがもらえるのか女神に尋ねるが、返ってきたのは「残念でした~~。レベル1だしチートスキルなんてありませ~~ん(笑)」という強烈な言葉だった。 女神の言葉に落胆しつつも異世界に転生させられる結人。 ――しかし、彼は知らなかった。 転移先がまさかの禁断のレベルアップの実の群生地であり、その実を食べることで自身のレベルが世界最高となることを――

性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。

狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。 街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。 彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い

平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。 ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。 かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

神の宝物庫〜すごいスキルで楽しい人生を〜

月風レイ
ファンタジー
 グロービル伯爵家に転生したカインは、転生後憧れの魔法を使おうとするも、魔法を発動することができなかった。そして、自分が魔法が使えないのであれば、剣を磨こうとしたところ、驚くべきことを告げられる。  それは、この世界では誰でも6歳にならないと、魔法が使えないということだ。この世界には神から与えられる、恩恵いわばギフトというものがかって、それをもらうことで初めて魔法やスキルを行使できるようになる。  と、カインは自分が無能なのだと思ってたところから、6歳で行う洗礼の儀でその運命が変わった。  洗礼の儀にて、この世界の邪神を除く、12神たちと出会い、12神全員の祝福をもらい、さらには恩恵として神をも凌ぐ、とてつもない能力を入手した。  カインはそのとてつもない能力をもって、周りの人々に支えられながらも、異世界ファンタジーという夢溢れる、憧れの世界を自由気ままに創意工夫しながら、楽しく過ごしていく。

処理中です...