ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
上 下
2,118 / 2,518

第2118話 治療師到着

しおりを挟む
 ガチャガチャ音がした方向から現れたのは、レイリーと副官2名の3人だけだと思っていたが、レイリーたちが入ってきた後に、複数の足音が聞こえてきた。

 俺の予定にない訪問だけど、ブラウニーたちが管理しているということは、予定外ではないということだ。もともとの計画に入っていた誰かが訪問してきたことになるな……となると、

「シュウ様、治療師の方々が駐屯地に着いたので、滞在するこちらの建物へ連れてきました。これから同じ建物内で生活することになりますので、始めに挨拶をさせていただければと思っております」

 治療師の人たちか。食べるにも困っていたはずの人たちだが、肌艶も良く雇った時のようにやせ細っているということも無く、身なりもとてもきれいにしているな。子どもたちも、元気いっぱいに育っているようでとかったな。

 日本で言う中学生くらいであれば大人しいけど、まだ小学校の低学年以下の子どもに落ち着けって言うのは難しい気がするな。俺は気にしないけど、お母さんたちが怒りそうだったので、

「そうだな……君! ちょっとこっち来てくれるかな。今から大切なお話があるから、これをこれを持って大人しくいい子にした子たちに、配ってもらっていいかな? 目の届く庭で待っててもらえると嬉しいんだけど、出来るかな?」

 子どもたちの中で一番年上に見える子を呼んで飴を渡して、小さな子たちを連れていってもらうことにした。DPで出しており、1DPで7~8袋出せる飴を持たせた。高級品ではないが、嗜好品なので子どもたちは喜んでくれたようだ。

 母親たちは恐縮しきっているが、気にする必要なんて何もないぞ。シンラたちは飴より、野菜スティックの方がいいらしく、ブラウニーに許可を出してもらえるのを、部屋の隅で待っている。スライムたちと戯れているので、そのうち寝そうな気もするな。

「では、改めまして。自己紹介の必要はないと思いますが、シュウです。皆さんが健康的で、子どもたちが健やかに生活できているようで、良かったです。今回は、難民の対応で自ら参加したいと志願されたと聞いていますが、どれだけ時間がかかるか分かっていません。

 ですが、ここにいる間、帰ってからのサポートはさせていただきますので、安心して活動していければと思います。街のように買い物する場所があるわけではないので、必要な物は取り寄せます。代金は、給金からの天引きをして、帰る時に残りの全額お支払いすることになります」

 記憶から引っ張り出して、先に伝えておくべき給金の事を話した。ここにきているということは、給金について了承した人たちだろうが、しっかりと話しておかないといけない。

 街から離れて危険ではないが、娯楽の乏しいところで生活をするので、割高の給金を支払うとレイリーには言っている。街で得ていた平均の給料の5割増しほどを想定している。妻たちからグリエルからも反対は出ていないので、おそらくその額が給金として支払われることとなる。

 お金に関しては、俺の商会が預かり好きな時に引き出せるように、商人ギルドのカードを流用して、俺の商会がある街であればお金をおろせるようにしている。なので、安心して受け取ってくれ。あ、商会のキャラバンでも、お金を降ろせるよ!

 いくつか取り決めをした。

 大浴槽は、基本的に自由に使っていい。だけど、子どもだけで入らせることは禁止。最低でも子ども3人対して大人1人は、見守りをお願いした。どうしても手が空かないときは、大人1人とブラウニーが見守りに入ることになった。

 中央の建物は、自由に使っていい。昼間は、子どもたちの勉強や運動のスペースになるが、夜は空いているので、仕事に差し支えの無い範囲で、使っても問題ない事を伝える。

 昼間は、妻たちも協力して、子どもたちの面倒を看るが、夜勤の場合の時は、申し訳ないが治療師の皆さんで協力してもらいたいことを伝えた。

 夜に関して、始めは妻たちも協力すると言っていたが、そうすると治療師の人たちが困ると、グリエルたちに忠告されたので、昼間は俺の子どもたちと一緒に面倒を看るが、休みの治療師の方たちにも手伝ってもらい、夜は全部お任せする形になった。

 俺たちの生活のエリアには、極力入らないようにお願いした。

 治療師たちの住む部屋もかなり設備が整っているが、俺たちの生活エリアは設備の次元が違うから、出来れば見せたくないと考えている。治療師たちには娯楽が少ないのに、俺たちばかり楽しんでいるのは……と、少し後ろめたい気持ちがあるのだ。

 バレてしまっても、何も言われないだろうが、子どもたちは羨ましがるだろうからな。共有スペースには、カードゲームやボードゲームを楽しめるように、いくつも置いてあるので、それで我慢してほしい。帰る時に気に入ったのがあったら、持って帰っていいぞ。

「最後に、ここに志願してきてもらっていますが、どうしても環境があわない、兵士や難民たちと上手く接せられないなど、ここにいるのが辛くなった場合は、すぐに言ってください。街へ帰れるように手配します。絶対に無理して残ることだけは、止めてください。私からは、以上です」

 話し合いながらだったので、結構な時間がかかったな。1時間は経っていないが、45分くらいは経過しているだろう。シンラたちは、スライムの上でだらけて寝ているくらいには、時間が経っていた。

 妻たちからも、子どもたちに関して話があり、レイリーからは仕事のシフトや働く場所の話が合った。

 話が全部終わると、ブラウニーたちが子どもを集めて、これから生活する部屋へ案内した。

 妻たちもそれについていき、食堂には、俺とレイリーと副官2名、部屋の隅で寝ているシンラたち3人が残った。

「レイリー、あの人たちって、昨日ついてたよな? 何で今日の朝一でこっちに来たんだ? 到着が遅かったとか?」

「いえ、暗くなる前に着いていましたが、治療師たちが疲れていましたので、その状態で話をすると大変かと思い、一日置いた形ですね」

 俺的には来ても良かったのだが、今のような話をするなら、長距離を移動してきた人もいるから、疲れている昨日ではなく、今日という判断に至ったってことか。おそらくだけど、ブラウニーたちが休ませるように進言していたんじゃないかな。
しおりを挟む
感想 316

あなたにおすすめの小説

サバイバル能力に全振りした男の半端仙人道

コアラ太
ファンタジー
年齢(3000歳)特技(逃げ足)趣味(採取)。半仙人やってます。  主人公は都会の生活に疲れて脱サラし、山暮らしを始めた。  こじんまりとした生活の中で、自然に触れていくと、瞑想にハマり始める。  そんなある日、森の中で見知らぬ老人から声をかけられたことがきっかけとなり、その老人に弟子入りすることになった。  修行する中で、仙人の道へ足を踏み入れるが、師匠から仙人にはなれないと言われてしまった。それでも良いやと気楽に修行を続け、正式な仙人にはなれずとも。足掛け程度は認められることになる。    それから何年も何年も何年も過ぎ、いつものように没頭していた瞑想を終えて目開けると、視界に映るのは密林。仕方なく周辺を探索していると、二足歩行の獣に捕まってしまう。言葉の通じないモフモフ達の言語から覚えなければ……。  不死になれなかった半端な仙人が起こす珍道中。  記憶力の無い男が、日記を探して旅をする。     メサメサメサ   メサ      メサ メサ          メサ メサ          メサ   メサメサメサメサメサ  メ サ  メ  サ  サ  メ サ  メ  サ  サ  サ メ  サ  メ   サ  ササ  他サイトにも掲載しています。

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。

狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。 街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。 彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。

錬金術師が不遇なのってお前らだけの常識じゃん。

いいたか
ファンタジー
小説家になろうにて130万PVを達成! この世界『アレスディア』には天職と呼ばれる物がある。 戦闘に秀でていて他を寄せ付けない程の力を持つ剣士や戦士などの戦闘系の天職や、鑑定士や聖女など様々な助けを担ってくれる補助系の天職、様々な天職の中にはこの『アストレア王国』をはじめ、いくつもの国では不遇とされ虐げられてきた鍛冶師や錬金術師などと言った生産系天職がある。 これは、そんな『アストレア王国』で不遇な天職を賜ってしまった違う世界『地球』の前世の記憶を蘇らせてしまった一人の少年の物語である。 彼の行く先は天国か?それとも...? 誤字報告は訂正後削除させていただきます。ありがとうございます。 小説家になろう、カクヨム、アルファポリスで連載中! 現在アルファポリス版は5話まで改稿中です。

女神から貰えるはずのチート能力をクラスメートに奪われ、原生林みたいなところに飛ばされたけどゲームキャラの能力が使えるので問題ありません

青山 有
ファンタジー
強引に言い寄る男から片思いの幼馴染を守ろうとした瞬間、教室に魔法陣が突如現れクラスごと異世界へ。 だが主人公と幼馴染、友人の三人は、女神から貰えるはずの希少スキルを他の生徒に奪われてしまう。さらに、一緒に召喚されたはずの生徒とは別の場所に弾かれてしまった。 女神から貰えるはずのチート能力は奪われ、弾かれた先は未開の原生林。 途方に暮れる主人公たち。 だが、たった一つの救いがあった。 三人は開発中のファンタジーRPGのキャラクターの能力を引き継いでいたのだ。 右も左も分からない異世界で途方に暮れる主人公たちが出会ったのは悩める大司教。 圧倒的な能力を持ちながら寄る辺なき主人公と、教会内部の勢力争いに勝利するためにも優秀な部下を必要としている大司教。 双方の利害が一致した。 ※他サイトで投稿した作品を加筆修正して投稿しております

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

処理中です...