ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第2098話 午前中の作業終了

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 綾乃が1時間ほど魔法を使うと、魔力の残量が厳しくなったようで、バザールに交代する。バザールは、綾乃の魔法を使えないので、収納の腕輪と箱を使って作業をするようだ。しかも、俺にできない方法を使って、俺に見せつけるような形だ。

 ノーライフキングの能力でアンデッドを操って、マルチタスクで掘削作業を始めた。しかもこいつ、急に呼び出したのに、しっかりと影の中にエルダーリッチも入れてきており、そいつらにも掘削作業を行っている。

 バザールが作業をしている間に、綾乃に魔法の説明を受けてみた。

 うん、原理は良く分からないのだが要約すると……俺たちが使う土魔法は、穴掘りたい場所に魔法をかけて、その時に出た土を周囲に押し付けて圧縮する形だ。綾乃の魔法は、穴を掘りたい場所の周辺にまで魔力を浸透させ、効果範囲内にある全部を押し付ける形だ。

 原理は分からなかったが、概要は理解することは出来た。

 魔法は原理を考えずに、イメージだけで魔法を使っていたからな。これだけなら、バザールも使えそうだと思ったのだが、実践してみて違和感を感じる。今までにも、魔力浸透させて魔法を使ったことがあるのだが、今までと何かが違うな。

 綾乃の原理が理解できないと、使えないのだろうか?

 何度か試してみたけど、イメージだけではどうしようのない魔法も存在しているんだな……ドワーフたちが、俺たちにみたいにクリエイトゴーレムを使えないような物かな?

 同じように魔法を使うことができなくても、同じような効果を発揮させることは可能だな。

 綾乃がやると、1つの岩盤のようになるのだが、俺がやると何層もの岩盤が重なった状態になる感じだ。

 綾乃は一気に圧縮するのに対して、俺の方は外側から圧縮して固めて、内側を外側に向かって何回にも分けて押し固めていくため、層になる感じだな。同じ効果を得られても、大変なので収納アイテムを使う方が圧倒的に楽だ。

 バザールの魔力は、アンデッドから供給されているため、尽きそうにないな。

 ここをダンジョンにしていいのなら、有り余ったDPでいくらでも侵入困難な場所にするのだが、前にグリエルたちに、俺の管理する街以外でのダンジョン化はしないように言われてたからな。だから出張ってくることになったんだけどな。

 だからって言うのは変か。大変とか面倒な事とか言ってはいるが、家族全員でここに来れていることは、実は嬉しいからな。子どもたちは、その内つまらなくなってくるかもしれないけど、そうなったら妻たちに協力してもらって、何人かに帰ってもらうつもりなので、大丈夫かな。

 む~、子どもたちが来ても、これじゃあ俺がやってるところなんて、見せてやれないな。綾乃の魔法もそうだけど、バザールがアンデッドを使ってブーストしてまで、魔法を使い続けるのは誤算だったな。

 っと、俺にもできる仕事があったな。箱をバザールと綾乃が作ってくれたから、俺は排水装置を作りますかね。高低差を利用して水を排出する方法をとるとなると、このスライム層を水堀の上に持ってこなきゃいけなくなる。

 それはさすがに無理なので、今回利用するのは、出ていく水をきれいにできるように、2層型を試しで使うことになっている。上の段は従来のスライム層で、下の層は直接水堀に繋げて、水が循環するようにしている。

 多少水堀に汚水が入っても、ダンジョンを使って水を回収しているので、何の問題も無い。多少汚れると言っても、道頓堀ほどじゃないからな。今って、あの川綺麗になってるんかね?

 あ、水堀のダンジョンは、一応守りのために必要ということで、許可を出させている。あの2人も俺が本気で要求すれば、拒否することは無いからな。子どもたちも妻たちも来ないのであれば、シリウス君に頼んで地下水が循環するように、穴を掘ってもらっただろうね。

 バザールと綾乃がスライムの場所と水槽を作ってくれているので、俺は水堀に続く穴を掘り掘り。今開けると、俺と綾乃が抜け出るのに面倒なことになるので、最後の仕上げはバザールにやってもらう予定だ。

 あいつは、呼吸の必要が無いので、こういう時に向いているんだよな。転移の約束のネタで、壁に埋まっている……になっても、こいつの場合動けないだけで死なないんだよな。ある意味かわいそうだ。そんな転移の魔法なんてないんだけどね。

 水を循環させるために、水堀にある水の流れをこの中に取り込むために、一応取り込みを大きくして、水槽に入ってくる部分を少し狭くして、水に勢いをつける感じかな。

 せっせと作業をしていると、賑やかな声が聞こえてきた。子どもたちの声がするので、本当に見学に来たみたいだな。

「とおたーん、そろそろ昼食になるから、戻って来てー」

 おや? ミーシャたちは俺を呼びに来てくれたんだな。それにしても、とーたん呼びは治らないね。というか、姉たち3人にとってとーたんという言葉が、俺の事を指す言葉なのかもしれないな。

 でも、妻たちの事は、お母さんなんだよな。

「ミーシャ、呼びに来てくれてありがと。スミレもブルムもありがとな。下の子たちは、来てないのか?」

「あの子たちは、グレンの事を気にしてて、こっちには来てないわ。少し落ち着いたみたいだから、あの子たちが近くにいれば、グレンが暴走することは無いわよ。それに、メグちゃんとシリウス君も一緒にいるし、問題ないわよ」

 カエデが近くに来て、教えてくれた。

 俺の事はおざなりなのに、従魔たちには優しいんだよな……本当に俺の事をどんな風に思っているのだか。

 久しぶりに娘たちを体に装備して、拠点に帰ることにした。今朝来たときみたいに、人間大砲をして帰ることは出来ないので、俺の有り余っている魔力で、水堀の広範囲を凍らせてその上を優雅に歩いて帰……れなかった。

 転びはしなかったが、娘たちがしがみついていたので、バランスが崩れてしまい、状態を維持することだけに集中して、とても優雅とは言えない状況だった。ツルツル滑るのが楽しかったのか、娘たちが喜んでくれたのが幸いだな。

 姉たちの楽しそうな声が聞こえると、下の子たちが集まってくるが……俺たちの様子を見て、明らかに興味を失って、近くを歩いていたダマをモフリにきた。

 どうせこんなもんだよな。
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