ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
上 下
2,049 / 2,518

第2049話 出発前の大仕事①

しおりを挟む
 グリエルたちとの話し合いが終わった後、レイリーに準備の状況を確認する。昨日の話の通り、兵士たちの準備はすぐに終わっており、問題となっている部分は暗部の人間が監視をしているので、問題ないとのことだった。

 追加で確認した、暗部の中で人員が余っていないかという話だが、今回出た暗部の人間は全体から見れば一部で、活動したがっている人員がまだまだいるので、ドンドン仕事を回してほしいのだと、お願いされたくらいで、レイリーも困っていた。

 人員を出せるというのであれば、暗部からも人を出してもらい、聞き取り調査の時に同伴してもらおう。シルクちゃんを中心とした、光魔法の【トゥルー真実オアフォールス偽か】を使えるメンバーも派遣するが、嘘を言わずに入り込んでくる可能性を考え、暗部を立ち会わせたいんだよね。

 シルクちゃんの頑張りで、妻たちの半数ほどが【トゥルー真実オアフォールス偽か】を使えるようになったので、見えない位置からの確認役として、連れていく必要があるので、その護衛としても暗部をつけたいところだ。

 家族の全員の影の中に、シャドーやサイレントアサシンを潜ませているので、最悪撃退できなくても時間稼ぎできるだけの魔物を配置しているので、身の安全は大丈夫だろう。

 理由は分からないが、【トゥルー真実オアフォールス偽か】は、ドッペルの体では何故か使えなかったので、生身で行く必要があるのだ。今回は子どもたちを連れていくことは出来ないだろうから、何て言って子どもたちに残ってもらおうかね……

 俺が街を離れる=どこかに遊びに行く……とか思っているシンラたちを、どう説得するべきか悩むところだ。特に、ウルと一緒に飛ばされたあの世界を、テレビで見ることができたから、遊んでいると勘違いされてしまったのだ。

 やるべきことは……俺や妻たちもいくことになるんだから、兵士たち駐屯地以外にも俺たちや土木組のみんなが休める場所を作らないといけないか。建物よりは、セキュリティーの安全なダンジョン内の方が安心できるので、地下に拠点を作るべきだな。

 かなり昔に作った覚えのある、拡張版の簡易拠点でいいかな。お風呂とキッチン、トイレ、食堂兼リビングに多目的室、寝室を人数分、足りないものがあれば、都度増やしていけば問題ないだろう。

 設計図だけ簡単に引いておいて、レイリーのいる指令室みたいな場所からだけ地下に入れるようにして、問題があれば入り口を変えればいいだろう。レイリーの部屋も少し豪華にしておくか。

 土木組の子たちは……そういえば、連絡取れた? 最近は仕事が減って、のんびりとしてるのか。あれだけハイペースで仕事を受けてれば、その内仕事が無くなってもおかしくないか。それに、あの子たちはもう、一生分のお金を稼いでるから、遊んで暮らせるんだったっけ。

 今は冒険者として、いろんな所へ出向いたりしているけど、キレイな景色以外はディストピアがいいのか……嬉しい事を言ってくれるな。

 最近は勉強に力を入れているみたいで、ディストピアにいるのか。だったら、邪魔しない方がいい? えっと、勉強は何処でもできるから、付いてきてくれるのか。年少組……とは呼べないけど、みんなとも遊びに行きたいと。それならオーケーだ!

 レイリーたちは、軍としての行動になるので、準備に時間がかかるようだな。物資に関しては、ゼニスが手配してくれているので問題はなさそうだが、兵士たちは武器や防具の手入れもしないといけないので、その手配が大変だといっていた。

 ドワーフもある程度連れていくから、修理が必要になるほどの物は、そっちで対応してもらおう。人数分の予備を持っていくとなると、かなりかさばるから、気にしなくていいぞ。修理中に貸し出せる分だけあれば、問題ないだろう。

 ドワーフたちが嫌がらないかとか考えなくていい。あいつらには酒を渡しておくから、何の問題も無い。追加で修理とかをしてくれるのなら、手の空いている時にブラウニーたちの料理と酒がでるといっておけば、無駄に頑張って仕事をしてくれるさ。

 ドワーフには酒、この方程式は絶対に崩れない、この世界の真理なのでみんなも納得だ。

 あっ! 真理は、【しんり】であって、決して女性の名前の【まり】じゃないからな……自分の心の中で、おやじギャグを言ってしまった自分に、少し嫌悪感を抱きながら俺がするべきことを進めていく。

 俺もいくのだから、向こうでも仕事をできるようにしておかないとな。

 グリエルとガリアよ、度々呼び出してすまないが、書類なんかはゲートを使って取りに来るから、あの机の上にでも置いておいてくれ。お前たちが帰るころには終わっているだろうから、取りに来てもらっていいかな? 書類がもし置いてなかったら、向こうの仕事が忙しかったと思ってくれ。

 緊急で処理が必要な案件が飛び込んできたら、魔導無線で連絡を入れてくれれば、対処するからよろしく。

 ゲートをこんなに簡単に使うなら、ここで仕事をすれば……みたいなことを言われたけど、可能な限りゲートを使った移動は避けたいって言うのが俺の意見だからな。のんびりと……ではないけど、普通に移動するのも俺の楽しみの1つだと思ってくれ。

 瞬間移動じみたゲートは、もともとこの世界には無いスキルだから、あんまり利便性を良くし過ぎると、もしもの時に大変になるからな。今でもかなり危ない気はしているが、土木組が手伝えば地下にトンネルを掘ることも、問題なくできる。

 魔導列車は基本的にクリエイトゴーレム製なので替えはきかないが、魔石を火魔法の動力として無煙性で、完全循環型の蒸気動力の開発には成功しているので、ドワーフたちの精密な技術があれば、魔導列車のように走らせることが可能だ。

 一番の問題は、レールの方だろう。あればっかりは、土木組の技術をもってしても、今の所再現できていない。ドワーフたちに作らせれば、レールの土台自体は簡単に完成するが、それを設置するのにはかなりの手間がかかる。修理にも保全にもかなり手間がかかるだろう。

 それなら、車みたいにタイヤで走る物を作って、トンネルの大きさに合わせた車体を作り、ミニ四駆みたいにローラーでコースを安定的に走れるようにすれば、いいのではないかと最近考えているが、急ぐことではないので実験していない。

 レールと車輪の整備を考えれば、大分楽になるだろう。決まったコースをガイドに従って走るだけなので、車体の整備だけで済む。問題になるのは、分かれ道の時だろう。1本道ではなく、ディストピアから外へ向かう通路は、1本だけではなく途中で分岐するので、その対応だけしっかりすれば行けると思う。

 今使われている魔導列車は、行先を指定すれば勝手にコースを変えてくれるので、電車に比べてもかなり便利なモノだろう。運転手がいなくても自動で動く、モノレールに近い感じかもしれないな。

 余計なことを考えている間にも準備ができたので、一度家に帰り、みんなの説得に向かいますかね。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい

一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。 しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。 家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。 そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。 そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。 ……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──

勇者に幼馴染で婚約者の彼女を寝取られたら、勇者のパーティーが仲間になった。~ただの村人だった青年は、魔術師、聖女、剣聖を仲間にして旅に出る~

霜月雹花
ファンタジー
田舎で住む少年ロイドには、幼馴染で婚約者のルネが居た。しかし、いつもの様に農作業をしていると、ルネから呼び出しを受けて付いて行くとルネの両親と勇者が居て、ルネは勇者と一緒になると告げられた。村人達もルネが勇者と一緒になれば村が有名になると思い上がり、ロイドを村から追い出した。。  ロイドはそんなルネや村人達の行動に心が折れ、村から近い湖で一人泣いていると、勇者の仲間である3人の女性がロイドの所へとやって来て、ロイドに向かって「一緒に旅に出ないか」と持ち掛けられた。  これは、勇者に幼馴染で婚約者を寝取られた少年が、勇者の仲間から誘われ、時に人助けをしたり、時に冒険をする。そんなお話である

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

エラーから始まる異世界生活

KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。 本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。 高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。 冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。 その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。 某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。 実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。 勇者として活躍するのかしないのか? 能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。 多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。 初めての作品にお付き合い下さい。

転生したら倉庫キャラ♀でした。

ともQ
ファンタジー
最高に楽しいオフ会をしよう。 ゲーム内いつものギルドメンバーとの会話中、そんな僕の一言からオフ会の開催が決定された。 どうしても気になってしまうのは中の人、出会う相手は男性?女性? ドキドキしながら迎えたオフ会の当日、そのささやかな夢は未曾有の大天災、隕石の落下により地球が消滅したため無念にも中止となる。 死んで目を覚ますと、僕はMMORPG "オンリー・テイル" の世界に転生していた。   「なんでメインキャラじゃなくて倉庫キャラなの?!」 鍛え上げたキャラクターとは《性別すらも正反対》完全な初期状態からのスタート。 加えて、オンリー・テイルでは不人気と名高い《ユニーク職》、パーティーには完全不向き最凶最悪ジョブ《触術師》であった。 ギルドメンバーも転生していることを祈り、倉庫に貯めまくったレアアイテムとお金、最強ゲーム知識をフルバーストしこの世界を旅することを決意する。 道中、同じプレイヤーの猫耳魔法少女を仲間に入れて冒険ライフ、その旅路はのちに《英雄の軌跡》と称される。 今、オフ会のリベンジを果たすため "オンリー・テイル" の攻略が始まった。

処理中です...