ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第2040話 なんとかなりそうか?

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 昼食も終わり、シンラたちが執務室の中の探検を始める。ただ広いだけの部屋だが今は従魔たちも多く、食事をしたこともあり色々なモノが配置されている。スライムに乗って移動するのではなく、キョロキョロしながら従魔たちの間や、机の下などいろんなところを見て回っている。

 その後ろを、姉たちが見守る形になっているので、体の大きさは異なるがカルガモの親がシンラで、姉妹たちが後ろをついてくるコガモに見えなくもない。

 妻たちもツボにはまったのか、半数以上の妻たちがカメラを取り出して、シンラたちの様子を写真におさめている。

「シンラは、何を探しているんだろうな? ただ探検を楽しんでいるだけなのかね。プラムとシオンも、何が面白くてシンラに付いていっているんだろうな。ミーシャたちは、シンラたちが危ない事をしないように見守っているのは分かるけど……家でもあんなことしてるのか?」

 近くにいたリリーに話を振ってみた。

「シンちゃんたちは、家の中ではもうしていないですね。生まれてからずっと住んでいるから、探検は終わっているんだと思いますよ。行く度に変わっているダンジョン農園の畑なんかは、いつもあんな感じで探検していますね」

 ダンジョン農園で探検? 畝に合わせて食物を育てているだけだろ? 疑問に感じていたら、リリーが周りの妻たちに声をかけ、色々な写真を見せてくれた。

 そこには迷路のように畝が作られており、そこに食物……野菜や果物などを育てていた。

 ん? 何でこんな感じになっているんだ。直線じゃない畝なんて、管理が面倒なだけだろ。なんでこんなことになっているんだ?

 話を聞けば簡単な話だった。シンラたちがたまに遊びに来るようになってから、畑の中を動き回る姿を見ていたドリアードたちが、迷路みたいに作ったら楽しんでもらえるんじゃないか、と考えた結果、畝が迷路状に配置されたようだ。

 畝に関しては、土魔法で行っており、迷路の形を考えるのが少し手間のようだが、ドリアードたちはその手間を楽しんでいるようなので、問題ないのだとか。ドリアードたちがそれでいいなら問題ないが、それでいいのかな?

 基本的には畝の上を移動できないように植物を育てているのだが、極一部に通れる穴を作っているので、その穴を探すのが、シンラたちの最近の畑でのパターンになっているそうだ。

 邪魔をしているわけじゃないならいいか。妻たちの話では、邪魔をしているどころか収穫の手伝いもしているので、畑を探検しても問題ないんだとか。

 なんとなく、トト〇の1シーンを思い出した。2人いる主人公の妹の代わりに、大きなトウモロコシをシンラが持っている姿だ。なんか鼻水垂らしてたから、大切なシーンが台無しになってるな。

 30分ほど歩き回ったところで、猫たちへ近付いていく。急に触られたランがビクッと反応して、何事かと触られた場所を振り返って、シンラたちがいることに気付いて、体勢を変えた。

 シンラたちは、従魔たちの柔らかい毛に包まれて寝るのが好きなので、ランもそれを分かっているんだろうな。寝やすいようにお腹を出していた。腕も投げ出しているので、枕にすることも可能だな。

 シンラたちは、ランのお腹の毛や腕の位置をペタペタ触って、感触を確かめている。座って寝るより腕を枕にすることを選んだのか、スライムを運んできてベッド変わりに並べ、腕が枕になるように調整してから横になった。

「なぁ、あの子たちっていつもあんな感じなのか?」

 おおよそ、子どもらしくないシンラたちの行動を見て、ついつい言葉が出てしまった。あの年頃の子どもが寝やすさを求めて、寝る場所を作るのはなかなか無い光景だろう。あの年頃だったら、整える前にパタンと眠ってしまうと思うんだよな。

 どうやら、家でも自分たちのベッド以外で寝る時は、あんな風にして寝やすいように場所を整えてから、3人で眠るそうだ。

 おや? 寝る場所を整えたのに、また移動を始めた……その先にいたのは、姉たちだな。

 ミーシャたちの手を引いて、作った寝床へ移動を始める。その様子にラン以外の従魔たちが、ランに向かって怒気をぶつけているような気がする。巧妙に隠されているのか、俺にはほとんど分からないが、ランは若干震えているのでそう判断した。

 これはランのせいじゃないのに、後輩従魔に嫉妬するな。従魔たちのまとめ役を押し付けられているダマに、他の四聖獣も使って、猫とスライムたち以外の従魔を追い出すように命令を出す。

 いつも俺の命令を聞かない従魔たちだが、俺が本気で邪魔だと思っていると感じたのか、慌てて執務室から出ていく。しかも、扉からではなく窓から出て、飛び降りる形で逃げていった。

 いつもこのくらい素直に命令を聞いてくれるといいんだけどな。

 シンラはランの腕を枕にして大の字に寝始めた。その左右をプラムとシオンがシンラに抱き着く形で陣取り、2人に腕枕をしているように見えなくもない。実際は抱き枕にされているという方が正しいだろう。

 連れてこられた姉たちは困惑気味だが、一緒に寝てほしいというよりは、いつもと違う場所だから近くにいてほしいというのが正解だろう。起きた時に近くにいなければ、面倒なことになるだろうと思ったのか、ランのお腹にうまる形で3人とも休み始めた。

 寒くはないのだが、ライが姉たち3人の足の上にフワッと座り、ランと協力してモフッとした尻尾でシンラたちの掛布団代わりをしている。テトは……何故かシンラのおでこに肉球を当てた状態で寝ている。どういう状況かまったく分からないが、シンラが落ち着いている以上問題はないのだろう。

 時々と言わず、シンラの事がほとんど常に分からない。俺が特殊過ぎるのか、シンラが特殊過ぎるのか……どちらだろうか?

 執務室が静かになったので、遮音結界でシンラたちの周囲を囲み、仕事に戻る妻たち以外は全員がここに残り、仕事を手伝ってくれるようだ。

 遮音結界で囲っているので、その範囲内に誰かはいるようにして、シンラたちが起きたら呼ぶように気にかけている。

 グリエルたちの仕事を回してもらっているが、思っている以上に俺たちで処理できる物が多かったな。予算関係や決済については、俺だけで勝手にできないので、グリエルたちにもしっかりと確認してもらう必要がある。それでも2つ分しかないので、戻ってきたら確認してもらえばいいだろう。

 予算や決済に関しては、ダブルチェックではなく、トリプルチェックで、俺・グリエル・ガリアの3人が許可しないと、次の段階へ進めないようになっている。各部署で作成されているので、ほとんど却下されないのだが、たまに数字をミスしていることもあるので、3人でのチェックが基本となっている。

 グリエルとガリアがいない後2日、何とかなりそうだな。
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