2,033 / 2,518
第2033話 日常?
しおりを挟む
体を動かし朝食を食べた後、二日分の仕事をこなすために玄関へ向かう。
「とぅ!」
掛け声と一緒に現れたのはシンラだ。何をするのかと思えば、食事の前にしていた組手に感化されたのか、スライムを使って何やらしている。そう判断したのは、掛け声と同時に現れた時の姿が、漫画で見るような跳び蹴りで現れたのだ……スライムに乗って。
何をしたいのか分からないが、スライムに指示をして俺に突貫してきた。
俺の言うことは聞かないのに、シンラやプラムたち、ミーシャたちの命令は何故聞くのだか……
「で、何でシンラは俺の所に向かってくるんだ?」
今日一緒に庁舎へ向かう、シンラの生みの親のライラに聞いてみる。
「ん~、分からないですね。最近は良く分からない行動をしていますが、今回は特に分かりにくいですね」
ライラも混乱している。
戦術も戦略も何も知らないシンラは、スライムを巧みに操って突進してきている。このままやられてもいいのだが、何となく癪に障るのでひょいと躱す。
右手に持っていた何か分からない武器を振り回して、俺の横を通りぬけていく。なのに、スライムが器用にシンラの体勢を制御して、普通ならありえない軌道で再度襲ってきた。シンラに負担をかけずに方向転換してまで、俺に対して何をしたいのだろうか?
わざと攻撃を受けるべきか、それともすべてを防ぎきるべきか……悩みながらシンラの攻撃を避け続ける。
「何か悩んでいるみたいだけど、シンちゃんが必死になるからそろそろどうにかしてほしいと思うのですが」
攻撃をかわしながら考えていると、ムキになるシンラの心配をして、ライラがどうにかしてほしいとお願いしてくる。
良く分からないがシンラがヤル気なので、俺もそれに付き合ってやろう。今のシンラを無力化をするのに一番簡単な方法は……こうだ!
飛び込んできたシンラの両脇に手を入れ、脚に張り付いているスライムを蹴り落す。そして、シンラのお腹に顔を擦りつける。笑って苦しいだろうが、そんなことは関係ない! 俺に挑むとはこういうことなのだ!
パシン!
頭を叩かれた。
「止めてほしいとは言ったけど、止めた先に苦しくなるようなことをするのは、止めてあげてほしいかな」
またツッコまれてしまった。
「りょーかい。シンラよ、俺に勝つのは100年早いぞ! 俺は逃げも隠れもしない、いつでもお前の挑戦を受けてや『スパーンッ!』……痛いな。せっかくいいセリフを言っているところなのに、頭を叩かなくてもいいんじゃないかな?」
「自分の子どもに変な事いわないの。親子のスキンシップというには、少し過激だと思うわよ」
「それなら、今俺の足にしがみついているこの子たちにも言ってくれないかな。体は痛くないんだけど、心が痛むんだよ」
ライラは苦笑いするだけで、助けてくれなかった。俺を救ってくれたのは、まさかのシンラだった。
俺にお腹グリグリの刑を受け解放された後に、俺の両足にしがみついていた2人を引っ張るように、俺の足から引き剥がしてくれた。
2人を連れて歩いているシンラが、不意に俺の方を振り返り『今日は負けたから、身を引いてやるぜ!』みたいなことを、
「考えているような表情はしていないわよ。変な事考えてないで、仕事が溜まっているんだから、早く仕事へ行きましょう」
俺はライラに引っ張られ庁舎へ向かう。ムムム。シンラとライラが似ている気がするのは、気のせいではないな。
執務室へ入ると、猫たちは各々の定位置へ向かってしまう。なんか寂しいが、猫なんてこんなものだろう。自分の席へ着くと、いつもの倍ほどの紙が積まれていた。
サクッと件名をパラパラとめくって、今日処理するべき書類を見てみる。いつもと変わらない内容っぽいな。もし異常があったのなら、昨日連絡が来たよな。
ぺったんぺったんつるぺったん……っと。これって、誰が言い始めたんだろうな? 俺が知っているのは、動画投稿サイトの中のメドレーで知ったんだけど、元ネタを知らないんだよね。調べれば分かると思うけど、まぁいっか。
適当に押しているように見えるけど、しっかり読んでいるよ。誰に言訳しているんだかな。
おや?
1つの書類を見て違和感を感じた。
なんだろな? 普通の書類なのに違和感を感じる。普通の報告書なんだけどな……1人で考えても分からないなら、誰かを呼んでみよう。
「ということで、来てもらったよ」
「「はぁ~~」」
俺の目の前でため息をついているグリエルとガリアがいる。その隣で、カタカタ顎を鳴らしているバザールと、ニヤニヤしている綾乃もいるな。
俺と同じ世界に生きていた2人も呼んで、この違和感に気付くか見てもらうためにここに呼んだ。
「で、今回呼んだのは、これ?」
綾乃が俺が違和感を感じた報告書をペラペラと振り回している。みんなにはコピーを渡しているので、それをじっと見ている。
「某には、特に何も感じないでござる」
「自分も、何も感じませんね」
「同意ですね」
バザール、ガリア、グリエルの3人が続いて返事をしてくる。
「ムムムムム? なんか変な感じがするわね」
綾乃も俺と同じように疑問を感じているようだ。だけど何に疑問を感じているか分からないみたいだな。
「俺と同じような感じになってるな。俺も正体が分からなかったから、こんなふうに悩んだのかね?」
今日の同伴であるライラは、ウンウンと頷いていた。どうやら、今の様な綾乃の状態だったのか……
「綾乃が感じている違和感はどの辺だ?」
「えっと、こことここらへんかな? なんか変なんだよね……」
綾乃が差したところは、俺が違和感を感じていた場所とはちょっと違うな。なんでだ?
「あっ! なるほど、普通の報告書っぽいけど、文字が少しずれてるな。これが違和感の正体か! なんだ、分かってみると案外簡単なことだったんだな」
「1人で納得してないで、こっちにも説明してよ!」
綾乃に蹴られた。
「これよく見てみて、二列目三列目は揃ってるのに一列目がズレてるように見えるだろ? 文章を漠然と読んでいたから、俺はこのずれに違和感を感じていたんだ。普通は全体がズレているのに、これは揃っている場所があるから違和感だったんだ」
「確かに言われてみたらおかしいですが、これが何なんですか?」
「「「…………」」」
俺たちは黙ってしまった。
「とぅ!」
掛け声と一緒に現れたのはシンラだ。何をするのかと思えば、食事の前にしていた組手に感化されたのか、スライムを使って何やらしている。そう判断したのは、掛け声と同時に現れた時の姿が、漫画で見るような跳び蹴りで現れたのだ……スライムに乗って。
何をしたいのか分からないが、スライムに指示をして俺に突貫してきた。
俺の言うことは聞かないのに、シンラやプラムたち、ミーシャたちの命令は何故聞くのだか……
「で、何でシンラは俺の所に向かってくるんだ?」
今日一緒に庁舎へ向かう、シンラの生みの親のライラに聞いてみる。
「ん~、分からないですね。最近は良く分からない行動をしていますが、今回は特に分かりにくいですね」
ライラも混乱している。
戦術も戦略も何も知らないシンラは、スライムを巧みに操って突進してきている。このままやられてもいいのだが、何となく癪に障るのでひょいと躱す。
右手に持っていた何か分からない武器を振り回して、俺の横を通りぬけていく。なのに、スライムが器用にシンラの体勢を制御して、普通ならありえない軌道で再度襲ってきた。シンラに負担をかけずに方向転換してまで、俺に対して何をしたいのだろうか?
わざと攻撃を受けるべきか、それともすべてを防ぎきるべきか……悩みながらシンラの攻撃を避け続ける。
「何か悩んでいるみたいだけど、シンちゃんが必死になるからそろそろどうにかしてほしいと思うのですが」
攻撃をかわしながら考えていると、ムキになるシンラの心配をして、ライラがどうにかしてほしいとお願いしてくる。
良く分からないがシンラがヤル気なので、俺もそれに付き合ってやろう。今のシンラを無力化をするのに一番簡単な方法は……こうだ!
飛び込んできたシンラの両脇に手を入れ、脚に張り付いているスライムを蹴り落す。そして、シンラのお腹に顔を擦りつける。笑って苦しいだろうが、そんなことは関係ない! 俺に挑むとはこういうことなのだ!
パシン!
頭を叩かれた。
「止めてほしいとは言ったけど、止めた先に苦しくなるようなことをするのは、止めてあげてほしいかな」
またツッコまれてしまった。
「りょーかい。シンラよ、俺に勝つのは100年早いぞ! 俺は逃げも隠れもしない、いつでもお前の挑戦を受けてや『スパーンッ!』……痛いな。せっかくいいセリフを言っているところなのに、頭を叩かなくてもいいんじゃないかな?」
「自分の子どもに変な事いわないの。親子のスキンシップというには、少し過激だと思うわよ」
「それなら、今俺の足にしがみついているこの子たちにも言ってくれないかな。体は痛くないんだけど、心が痛むんだよ」
ライラは苦笑いするだけで、助けてくれなかった。俺を救ってくれたのは、まさかのシンラだった。
俺にお腹グリグリの刑を受け解放された後に、俺の両足にしがみついていた2人を引っ張るように、俺の足から引き剥がしてくれた。
2人を連れて歩いているシンラが、不意に俺の方を振り返り『今日は負けたから、身を引いてやるぜ!』みたいなことを、
「考えているような表情はしていないわよ。変な事考えてないで、仕事が溜まっているんだから、早く仕事へ行きましょう」
俺はライラに引っ張られ庁舎へ向かう。ムムム。シンラとライラが似ている気がするのは、気のせいではないな。
執務室へ入ると、猫たちは各々の定位置へ向かってしまう。なんか寂しいが、猫なんてこんなものだろう。自分の席へ着くと、いつもの倍ほどの紙が積まれていた。
サクッと件名をパラパラとめくって、今日処理するべき書類を見てみる。いつもと変わらない内容っぽいな。もし異常があったのなら、昨日連絡が来たよな。
ぺったんぺったんつるぺったん……っと。これって、誰が言い始めたんだろうな? 俺が知っているのは、動画投稿サイトの中のメドレーで知ったんだけど、元ネタを知らないんだよね。調べれば分かると思うけど、まぁいっか。
適当に押しているように見えるけど、しっかり読んでいるよ。誰に言訳しているんだかな。
おや?
1つの書類を見て違和感を感じた。
なんだろな? 普通の書類なのに違和感を感じる。普通の報告書なんだけどな……1人で考えても分からないなら、誰かを呼んでみよう。
「ということで、来てもらったよ」
「「はぁ~~」」
俺の目の前でため息をついているグリエルとガリアがいる。その隣で、カタカタ顎を鳴らしているバザールと、ニヤニヤしている綾乃もいるな。
俺と同じ世界に生きていた2人も呼んで、この違和感に気付くか見てもらうためにここに呼んだ。
「で、今回呼んだのは、これ?」
綾乃が俺が違和感を感じた報告書をペラペラと振り回している。みんなにはコピーを渡しているので、それをじっと見ている。
「某には、特に何も感じないでござる」
「自分も、何も感じませんね」
「同意ですね」
バザール、ガリア、グリエルの3人が続いて返事をしてくる。
「ムムムムム? なんか変な感じがするわね」
綾乃も俺と同じように疑問を感じているようだ。だけど何に疑問を感じているか分からないみたいだな。
「俺と同じような感じになってるな。俺も正体が分からなかったから、こんなふうに悩んだのかね?」
今日の同伴であるライラは、ウンウンと頷いていた。どうやら、今の様な綾乃の状態だったのか……
「綾乃が感じている違和感はどの辺だ?」
「えっと、こことここらへんかな? なんか変なんだよね……」
綾乃が差したところは、俺が違和感を感じていた場所とはちょっと違うな。なんでだ?
「あっ! なるほど、普通の報告書っぽいけど、文字が少しずれてるな。これが違和感の正体か! なんだ、分かってみると案外簡単なことだったんだな」
「1人で納得してないで、こっちにも説明してよ!」
綾乃に蹴られた。
「これよく見てみて、二列目三列目は揃ってるのに一列目がズレてるように見えるだろ? 文章を漠然と読んでいたから、俺はこのずれに違和感を感じていたんだ。普通は全体がズレているのに、これは揃っている場所があるから違和感だったんだ」
「確かに言われてみたらおかしいですが、これが何なんですか?」
「「「…………」」」
俺たちは黙ってしまった。
0
お気に入りに追加
449
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい
一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。
しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。
家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。
そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。
そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。
……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──
勇者に幼馴染で婚約者の彼女を寝取られたら、勇者のパーティーが仲間になった。~ただの村人だった青年は、魔術師、聖女、剣聖を仲間にして旅に出る~
霜月雹花
ファンタジー
田舎で住む少年ロイドには、幼馴染で婚約者のルネが居た。しかし、いつもの様に農作業をしていると、ルネから呼び出しを受けて付いて行くとルネの両親と勇者が居て、ルネは勇者と一緒になると告げられた。村人達もルネが勇者と一緒になれば村が有名になると思い上がり、ロイドを村から追い出した。。
ロイドはそんなルネや村人達の行動に心が折れ、村から近い湖で一人泣いていると、勇者の仲間である3人の女性がロイドの所へとやって来て、ロイドに向かって「一緒に旅に出ないか」と持ち掛けられた。
これは、勇者に幼馴染で婚約者を寝取られた少年が、勇者の仲間から誘われ、時に人助けをしたり、時に冒険をする。そんなお話である
チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい
616號
ファンタジー
不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
エラーから始まる異世界生活
KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。
本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。
高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。
冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。
その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。
某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。
実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。
勇者として活躍するのかしないのか?
能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。
多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。
初めての作品にお付き合い下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる