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第2005話 束の間のひととき
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昼食を食べ終わっても、食堂に居座っている綾乃を見て……
「なんで残ってるんだ?」
思わず聞いてしまった。
「初期の報告ならすぐにくるだろうから、シュウの近くにいるだけよ。どうせ呼び出されるんでしょ?」
……確かに、言われてみれば、こいつの家は俺の家の敷地に隣接しているので、呼び出すだろうな。ダンジョン農園に作った指令室って言う線もあるけど、今回はあそこを使う必要はないから、どこでも問題なかったりするんだよな。
綾乃がしばらく居座るということが分かったので、ブラウニーたちに食堂の隅に綾乃のスペースを作るようにお願いする。1分も経たないうちに、駄目人間製造機の様な一角が完成する。何も言っていないのに、呼吸をするかの如く移動する綾乃……
気にしてもしょうがないな。俺はウッドデッキに出て、娘たちが世話をしているプランターを眺める。
ふむ、芽ってもう出てるんだな。こんなに早いんだっけ? 種を植えてからどのくらいで発芽をするか知らない俺は、判断に困った。畑エリアの知識は全く役に立たないから、この状況が正常なのかどうなのか良く分からない……
ドリアードも様子を見に来たようで、話を聞いてみた。そこで1つの事実を知る。
プランターや畑で育っている植物たちは、本来の成長速度らしい。早いもので3日程、遅くても1週間ほどあれば目が出るのが普通らしい。畑エリアでは数倍の勢いで育つので、半日で芽が出ることがあるそうだ。
アスパラは、普通でも1日に10~20センチメートルとか伸びるらしく、朝昼夕と3回収穫が必要になるのだとか。そのアスパラを畑エリアで育てると大変なことになるらしい。テレビの早送りみたいなスピードで、ニョキニョキと育つらしい……広さにもよるけど、悪夢だな。
なので、成長の速い植物は、途中で植え替えているらしい。そうでもしないと、収穫しても食べられなくなってしまうからだ。畑エリアの一角に早く育たないエリアを作って、収穫時期に合わせて植え替えるんだとさ。手間がかかってるんだな。
そう言えば稲とかって、刺激を与えると多少太く成長するらしいけど、他の食物ではやらないのか聞いてみた。結論は、物によるらしい。ストレスで強く育ったりするらしいのだが、ストレスに弱い植物はあるし、そんなことしなくても育つ植物ももちろんあるのだとか。
植物にあった育て方が重要だということらしい。俺も知っているトマトで、あらためて説明してくれたよ。
子どもたちの好きな甘いフルーツトマトは、水分を制限してトマトにストレスを与えることで、必死に生きようとして糖分を蓄えるから、あれだけ甘くなるのだ。
ドリアードと話しながら、プランターの様子を眺めていると、いくつかのプランターでは芽がまだ出ていなかった。もう出ていないとおかしいのに……どうして?
植えた時期があっていないので、タネのまま発芽しなかったということが正解らしい。娘たちに失敗から学んでほしいと、時期に合わない植物も育てさせてみるとか言ってたっけ? それがここのプランターたちなんだな。
そんな話をしていると、シンラがウッドデッキに出てきた。後ろからプラムとシオンが付いてくるのは、いつもの光景だな。よたよた歩きながら、自分たちの世話をしている鉢の前に向かって行く。
「ドリー、これ、こう?」
なんだと! シンラよ、お前ってそんなにキレイに発音できたのか!? 俺の事なんて、おい! とか良く分からない言葉でしか呼ばないのに、ドリアードの事をドリーって呼んでるし、このやり場のないモヤモヤをどうすればいいんだ!
スパーンッ!
痛くないけど、いい音が鳴った。これはハリセンだな。しかも謎技術を詰め込んだ、綾乃特製のハリセンだ。
「シュウ、またくだらない事考えてたんでしょ。それよりもバザールからまだ連絡ないの?」
「どうでもよくないわ! シンラがドリーってドリアードたちの事を呼ぶのに、俺の事はお父さんでもパパでもいいのに、呼んでくれないんだぞ!」
「……本当にどうでもよかった。ちなみに、この子たち私の事は、あやーって呼んでくれるわよ。シュウより仲がいいかもしれないわね」
なんだと……
スパーンッ!
今度は若干痛かった。誰かと思ったら、シンラたちに付いてきたライラだった。小言を貰ってしまった。
シンラたちが何をしているのか気になったので、様子をうかがっていると、植物を育てているという認識があるのか、水やりについてドリアードに相談しているみたいだ。早く育ってほしいから水をたくさんあげたいようだけど、あげすぎると死んでしまうと教わっていたので、確認しているみたいだ。
この歳でそこまで理解しているとは……こいつ天才か!
っと冗談はさておき、この子たちは何を育てているのだろうか? ドリアードたちに聞いてみたが、秘密と言われてしまったので、大きくなるのを期待して待つしかないようだ。
世話が終わると、いったん子ども部屋に戻り、クッションを持ってまたウッドデッキに出てきた。何をするのかと思えば、日当たりのいいところにある椅子にクッションを置き、3人で埋まるように椅子に座ってくつろぎ始めた。
ブラウニーたちがストロー付きコップで飲み物を運んできて、それを受け取りオッサンくさく、プハーッとか言ってやがる。こいつの生態は謎過ぎるな。プラムたちはシンラの真似をしてはいるが、プハーッとまではしていないな。
そんな様子に苦笑していると、バザールから連絡が入る。一応会って話したいとのことで、使う予定の無かった指令室へ向かう。もちろん綾乃も付いてきているぞ。近未来的な監視室で働いているスプリガンの皆さんに挨拶をして、奥へ入っていく。
ここにはゲートがあるのだが、実は何処ともつながっていない。このゲート自体はマイワールドに繋がっているのだが、その先へ移動する方法が無いのだ。俺はゲートをくぐり、暗部が使っているマイワールドにゲートを作る。そこを通ってすぐにバザールが現れた。
指令室へ戻り、飲み物を持って来てもらい、監視の途中報告を聞く。
「なんで残ってるんだ?」
思わず聞いてしまった。
「初期の報告ならすぐにくるだろうから、シュウの近くにいるだけよ。どうせ呼び出されるんでしょ?」
……確かに、言われてみれば、こいつの家は俺の家の敷地に隣接しているので、呼び出すだろうな。ダンジョン農園に作った指令室って言う線もあるけど、今回はあそこを使う必要はないから、どこでも問題なかったりするんだよな。
綾乃がしばらく居座るということが分かったので、ブラウニーたちに食堂の隅に綾乃のスペースを作るようにお願いする。1分も経たないうちに、駄目人間製造機の様な一角が完成する。何も言っていないのに、呼吸をするかの如く移動する綾乃……
気にしてもしょうがないな。俺はウッドデッキに出て、娘たちが世話をしているプランターを眺める。
ふむ、芽ってもう出てるんだな。こんなに早いんだっけ? 種を植えてからどのくらいで発芽をするか知らない俺は、判断に困った。畑エリアの知識は全く役に立たないから、この状況が正常なのかどうなのか良く分からない……
ドリアードも様子を見に来たようで、話を聞いてみた。そこで1つの事実を知る。
プランターや畑で育っている植物たちは、本来の成長速度らしい。早いもので3日程、遅くても1週間ほどあれば目が出るのが普通らしい。畑エリアでは数倍の勢いで育つので、半日で芽が出ることがあるそうだ。
アスパラは、普通でも1日に10~20センチメートルとか伸びるらしく、朝昼夕と3回収穫が必要になるのだとか。そのアスパラを畑エリアで育てると大変なことになるらしい。テレビの早送りみたいなスピードで、ニョキニョキと育つらしい……広さにもよるけど、悪夢だな。
なので、成長の速い植物は、途中で植え替えているらしい。そうでもしないと、収穫しても食べられなくなってしまうからだ。畑エリアの一角に早く育たないエリアを作って、収穫時期に合わせて植え替えるんだとさ。手間がかかってるんだな。
そう言えば稲とかって、刺激を与えると多少太く成長するらしいけど、他の食物ではやらないのか聞いてみた。結論は、物によるらしい。ストレスで強く育ったりするらしいのだが、ストレスに弱い植物はあるし、そんなことしなくても育つ植物ももちろんあるのだとか。
植物にあった育て方が重要だということらしい。俺も知っているトマトで、あらためて説明してくれたよ。
子どもたちの好きな甘いフルーツトマトは、水分を制限してトマトにストレスを与えることで、必死に生きようとして糖分を蓄えるから、あれだけ甘くなるのだ。
ドリアードと話しながら、プランターの様子を眺めていると、いくつかのプランターでは芽がまだ出ていなかった。もう出ていないとおかしいのに……どうして?
植えた時期があっていないので、タネのまま発芽しなかったということが正解らしい。娘たちに失敗から学んでほしいと、時期に合わない植物も育てさせてみるとか言ってたっけ? それがここのプランターたちなんだな。
そんな話をしていると、シンラがウッドデッキに出てきた。後ろからプラムとシオンが付いてくるのは、いつもの光景だな。よたよた歩きながら、自分たちの世話をしている鉢の前に向かって行く。
「ドリー、これ、こう?」
なんだと! シンラよ、お前ってそんなにキレイに発音できたのか!? 俺の事なんて、おい! とか良く分からない言葉でしか呼ばないのに、ドリアードの事をドリーって呼んでるし、このやり場のないモヤモヤをどうすればいいんだ!
スパーンッ!
痛くないけど、いい音が鳴った。これはハリセンだな。しかも謎技術を詰め込んだ、綾乃特製のハリセンだ。
「シュウ、またくだらない事考えてたんでしょ。それよりもバザールからまだ連絡ないの?」
「どうでもよくないわ! シンラがドリーってドリアードたちの事を呼ぶのに、俺の事はお父さんでもパパでもいいのに、呼んでくれないんだぞ!」
「……本当にどうでもよかった。ちなみに、この子たち私の事は、あやーって呼んでくれるわよ。シュウより仲がいいかもしれないわね」
なんだと……
スパーンッ!
今度は若干痛かった。誰かと思ったら、シンラたちに付いてきたライラだった。小言を貰ってしまった。
シンラたちが何をしているのか気になったので、様子をうかがっていると、植物を育てているという認識があるのか、水やりについてドリアードに相談しているみたいだ。早く育ってほしいから水をたくさんあげたいようだけど、あげすぎると死んでしまうと教わっていたので、確認しているみたいだ。
この歳でそこまで理解しているとは……こいつ天才か!
っと冗談はさておき、この子たちは何を育てているのだろうか? ドリアードたちに聞いてみたが、秘密と言われてしまったので、大きくなるのを期待して待つしかないようだ。
世話が終わると、いったん子ども部屋に戻り、クッションを持ってまたウッドデッキに出てきた。何をするのかと思えば、日当たりのいいところにある椅子にクッションを置き、3人で埋まるように椅子に座ってくつろぎ始めた。
ブラウニーたちがストロー付きコップで飲み物を運んできて、それを受け取りオッサンくさく、プハーッとか言ってやがる。こいつの生態は謎過ぎるな。プラムたちはシンラの真似をしてはいるが、プハーッとまではしていないな。
そんな様子に苦笑していると、バザールから連絡が入る。一応会って話したいとのことで、使う予定の無かった指令室へ向かう。もちろん綾乃も付いてきているぞ。近未来的な監視室で働いているスプリガンの皆さんに挨拶をして、奥へ入っていく。
ここにはゲートがあるのだが、実は何処ともつながっていない。このゲート自体はマイワールドに繋がっているのだが、その先へ移動する方法が無いのだ。俺はゲートをくぐり、暗部が使っているマイワールドにゲートを作る。そこを通ってすぐにバザールが現れた。
指令室へ戻り、飲み物を持って来てもらい、監視の途中報告を聞く。
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