ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
上 下
1,993 / 2,518

第1993話 子どもたちの仕事が増える

しおりを挟む
 休憩しておやつを食べようとしていたが、老ドワーフの忠告を聞いてウッドデッキに柵をつけることにした。高さは……大人の腰くらいかな? これを乗り越えられる歳なら、この高さくらい問題ないだろう。

 元々柵をつける予定はなかったので、無計画に柵をつけることになってしまった。そうすると、強度の問題が出てくるとドワーフの爺様方に言われたので、クリエイトゴーレムで強引にくっ付けることにした。

 ウッドデッキ自体にもクリエイトゴーレムをかけて、自動修復機能をつけているので今更だと思い、子どもたちに危険が無いように作っていく。そんなことしなくても、スライムたちやケットシーが安全を確保してくれるのだが、それとこれとは別なのだ。

 ウッドデッキの床と柵は同じ色で統一……ちょっと色合いが微妙かな? そんなことを思い首を傾げていると、

「シュウ、ここにプランターを置いたりできないかな? 子どもたちも畑仕事をしているけど、一から全部しているわけじゃないでしょ? 植物を育てるのは、思っている以上に大変だということを教えたいから、プランターで教えるのはどうかな? 部屋からも近いしさ」

 なるほど。カエデに言われて、色々思い浮かべてみる。畑とプランターでは、どちらが育てるのが大変とか差はないのだが、育てられるものの種類や手入れの関係で、プランターの方が簡単な物も多い。畑みたいに広くないし、手入れはしやすいと思う。

 子どもたちの教育にとってはいいかもしれないな。

 ウッドデッキにそのまま置いても問題はないのだが、個人的には面白くないので少し工夫をしたいところだな。ただ引っ掻けるのも面白くないし……子どもたちが手入れをすることを考えると、あまり高い位置も良くないか?

 プランターの位置なら最悪クリエイトゴーレムでなんとかなるんだから、高さは今の子どもたちに合わせよう。じょうろで水をあげるとなると、高い位置は大変だが、魔法やホースで水をあげるなら、作業しやすい高さがいいよな。

 ひっかけるタイプじゃないとすれば、置くしかないのだが……何かいい方法は無いかね?

 Uの字の様な水路を作りそれを柵に取り付けて、そこにプランターを置くか? 水をやっても、そのまま水路を流れてウッドデッキを汚すことも無いしな。

 うん、悪くないんじゃないか?

 早速、俺のプランを妻たちに説明すると、受け入れてもらえたので、ウッドデッキの板材と同じものでUの字の箱を作り、柵へ取り付けていく。内側は、手元にクリアメタルが大量にあったので、それでコーティングしている。

 初めは一方方向に水が流れるように考えていたのだが、ウッドデッキの柵が予想以上に長かったので、少しだけ傾斜をつけても、端から端となると、結構なずれができてしまった。プランターで5個を1セットにして、傾斜を変えていく方式にした。

 水の流れ落ちる場所が増えるので、しっかりとその部分の調整を行い、ウッドデッキが汚れないように細工をしていく。

「うっし、完成! ウル、ミーシャ、スミレ、ブルム、ちょっと来てくれ」

 お父さん、何? と言いながら4人が近付いて来た。母親たちがプランターで植物を育てる話をすると、露骨にミーシャたち3人は嫌な顔をするが、ウルは笑顔で返事をしている。ウルは、色々な体験から学べることがあると教わっているため、これもいい経験だと考えているようだ。

 小学生の低学年の子どもが、いい経験だからって自分で考えて体験するとか……日本じゃ信じられないな。外国では、子どもでも働いている国はあるし、日本だって100年前は子どもが普通に働いてたわけだし、おかしなことではないのかもしれないが……

 ミーシャたちは文句を言うと分かっていた母親たちは、ご褒美をあげることでミーシャたちのヤル気を引き出そうとしている。ご褒美というのも、自分のマイワールドをいじるためのDPだ。

 猫の餌やりも、下の子たちの面倒を看るのも、習慣化させているが、子どもたちの仕事というと語弊があるが、責任を持ってしてもらうこととしてお願いしており、それに対してご褒美という形でDPをあげている。

 それの1つとして、今回の植物の世話もしてもらおうと考えているようだ。ミーシャは、考えなく欲しいと思った物をどんどん追加していくため、DP不足になりやすく、一番初めに食いついた。

 スミレは計画的に使っているが、最近は大きな物を作りたくてDPを貯めているようで、渋々了承したような感じだな。

 ブルムは自分の居場所……俺で言う、趣味部屋みたいなのを作り、自分の好きな物を置いているが、広くないので、DPをそこまで消費していないため、後ろ向きな感じだな。一番やりくりが上手いかもしれないな。面倒なことは極力避ける……みたいな?

 ブルム以外はヤル気になっているが、それだと溝ができそうだよな……何とかしないといけないか?

 ブルムさんやい。どうしたら植物の世話をしてくれますかな? こんな感じではないが、ブルムに話を聞いてみた。

 ブルム曰く、プランターじゃなくて、お花畑がいいんだとか。取り寄せた写真集で、花を並べたキレイな畑を見て、あんなのを作ってみたいと思っていたらしい。

 あそこまでキレイに作るのは大変だけど、小さい畑で育て方を覚えながら、キレイな花畑を作ろうという話になる。

 ミーシャとスミレは、プランターで育てる植物の世話を中心に、ブルムはウッドデッキの隣に作った小さなお花畑の世話を中心にすることになる。ウルは、状況を見てどちらもお手伝いすることとなった。

 正直、畑の場合は、雑草の処理とかが大変になるので、ある程度自分でやったらスライムたちの手を借りても良いことにした。そうでもしないと、スミレだけが大変な思いをすることになるからな。

 役割も決まり、育てる植物や花も決まった。土づくりをして、タネを植えようと思ったが、時間的に無理があるので、今日はこの辺で終わりにしよう。

 おやつの休憩も取らずに作業をしていたので、喉がカラカラだ。途中で水分補給をしていたが、足りていなかったようだな。集中している時って、喉が渇いているとかあんまり感じないもんだな。

 夕焼けに染まっていく空を見ながら、フレッシュジュースの炭酸割りを喉に流し込む。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい

一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。 しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。 家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。 そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。 そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。 ……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──

勇者に幼馴染で婚約者の彼女を寝取られたら、勇者のパーティーが仲間になった。~ただの村人だった青年は、魔術師、聖女、剣聖を仲間にして旅に出る~

霜月雹花
ファンタジー
田舎で住む少年ロイドには、幼馴染で婚約者のルネが居た。しかし、いつもの様に農作業をしていると、ルネから呼び出しを受けて付いて行くとルネの両親と勇者が居て、ルネは勇者と一緒になると告げられた。村人達もルネが勇者と一緒になれば村が有名になると思い上がり、ロイドを村から追い出した。。  ロイドはそんなルネや村人達の行動に心が折れ、村から近い湖で一人泣いていると、勇者の仲間である3人の女性がロイドの所へとやって来て、ロイドに向かって「一緒に旅に出ないか」と持ち掛けられた。  これは、勇者に幼馴染で婚約者を寝取られた少年が、勇者の仲間から誘われ、時に人助けをしたり、時に冒険をする。そんなお話である

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する

雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。 その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。 代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。 それを見た柊茜は 「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」 【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。 追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん….... 主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します

エラーから始まる異世界生活

KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。 本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。 高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。 冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。 その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。 某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。 実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。 勇者として活躍するのかしないのか? 能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。 多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。 初めての作品にお付き合い下さい。

処理中です...