ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
上 下
1,986 / 2,518

第1986話 体を動かそう

しおりを挟む
 今日のおやつはいつもより量が多かったため、夕食は少し遅めの時間にすると言われた。

 さて、ぽっかり空いてしまった時間をどうしようか? ミーシャたちは、勉強も運動も終わっており、自由時間らしい。下の子たちは、勉強はまだ始めていないが、体は動かし始めている。動かしているだけで、スポーツとも呼べない感じなのだとか。

 いつもやっている追いかけっこの方が、ハードな運動だと思うって言われてるけど、お前たちってそこまで本気で追いかけっこしてんのか?

 この子たちが何をしたいのかは、良く分からないがスライムたちが見守ってくれているので、大きな怪我は無いだろう。そう言う意味ではスライムって、最高のベビーシッターだな。それにケットシーたちも付いているから、完璧な布陣だろう。

 っと話がそれた。することが無いのでどうしようか悩んでいたんだったな。娘たちは、アニメを見るか体を動かすかどっちにしようか? という感じだな。下の子たちは、もう少ししたら寝かせてやった方がいいと、ブラウニーたちが言っていた。

 下の子たちは、午前中に軽くしか寝ていないので、夕食までに少し眠っておかないと、夜早く寝て深夜に起きてしまう可能性があるから、寝かせられるなら寝かせてくださいってさ。

 でも、テンションの上がっているこの3人を今眠らさせるのは難しいな。ならば、少し暴れさせてから体力を消費させて、寝るのがよさそうだな。

 外は暑いからあまり出したくない。となると、家の中か? いや、ダンジョン農園って手もあるか?

 おやつを食べて、何をしようか悩んでいる。その隣でミーシャたちも一緒に悩んでいる風だ。風というのは、俺の真似をして「う~~~ん」と言っているだけで、遊んでいるのだ。それを見た下の子たちも真似ているので、俺の周りは変な空気になっている。

 悩んでいると、妻たちから提案がある。久しぶりにプールでもどうか? とのことだ。プールという言葉にいち早く反応したのが、シンラだった。お前ってプール好きだったのか? とか考えていたら、プラムとシオンが猛抗議している。

 あ~、シオンはある程度泳げるけど、プラムとシオンは泳げないのかもな。シンラの泳げるって言うのも、浮き輪とかつけてなんだろうから、プラムたちも頑張れば追いつけると思うけどな……と考えていると、シンラにキッと睨まれた。

 2人から逃げるためにプールを利用するつもりか? 自分が多少泳げるからって、大人げない奴だな。

 しょうがない、プラムとシオンよ、良い事を教えてあげよう。猛抗議中のプラムとシオンを捕まえて抱きかかえる。2人の耳元で「スライムたちを使えば、上手に泳げるように練習できるぞ」とつぶやくと、目をキラキラさせて俺の方を見てきた。

 この子らにこんな目をされるのは初めてかもしれんな。ニコ! どこかで見てるんだろ? 水に強いスライム連れてきてくれ! そう念じると、部屋の隅でおしくらまんじゅうをしていたスライムたちの中から、2匹が前に出てきた。

 って、青じゃないんかい! てっきり、水と言えば青いスライムが強いイメージだったのだが、前に出てきたのは赤と茶色だった……そういえばこいつらって、色は特性に関係ないんだっけ? 2匹はプラムとシオンに近付き、俺に乗れ! みたいな感じで体の形を変えた。

 それに乗ってプラムたちは、母親を追いかけて着替えに行くようだ。

 その一部始終を見ていたシンラは、絶望的な顔をしている。本当に表情豊かな奴だな。シンラも、お姉ちゃんたちと一緒に着替えてきなさい。俺は、トランクスタイプの水着を着るだけだからな。

 1分もかからずに着替え終わった俺は、庭に昔作ったプールの所へ向かう……

「小さいな。少し大きくして、周囲は流れるプールみたいにするか。スポーツ施設にある奴ほど水流は早くないけど、下の子たちが遊ぶ分には、早くない方がいいだろう」

 独り言を言っていると、後ろから、

「そうね。私たちが遊ぶわけじゃないし、子どもたちの安全を考えれば、緩やかな方がいいわね」

 ミリーを先頭に着替え終わった妻たちがこっちに向かってきている。ん~、全員となるとさすがに小さいな。もう少し大きくしようか。俺たちは泳ぐわけじゃなく、浸かるだけになるからちょっと広めの方がいいだろう。

 子どもたちも着替え終わったのか、元気な声を出してプールへ向かって走ってきている。シンラは……スライムに乗せられて、運ばれてきているな。

 それにしてもお前さんや、ブーメランやトランクスタイプじゃなく、タンクトップとボクサーパンツみたいにぴったりした奴が合わさったような水着なんだな……子どもとはいえ着難そうな水着だな。

 何かを吹っ切ったのか、シンラは準備体操なようなことを始め、体を動かしている。しばらくすると、プールの近くへ行き、体にプールの水をかけ始め、体を水に慣れさすと……両腕に浮き輪をつけてもらい、プールへ飛び込んだ。

 危ないと思ったが、既にスライムが待機しており、シンラを受け止めてからゆっくりと沈んでくれていた。マジで有能だな!

 プラムたちも遅れまいと、体を動かしてスライムたちの補助を受け、プールへ入っていく。それを追いかけるように、妻たちもプールの中へ。

 ウルやミーシャたちは、シンラたちの様子を微笑ましく見守りながら、準備体操を始める。こっちは、シンラたちに比べて入念に体を動かしている。

 流れるプールは、蛇行しており1週400メートルくらいはあるだろう。シンラたちに1週分遅れて、姉たちがプールへ入っていく。

 一生懸命逃げるシンラ、スライムを巧みに使い追いかけるプラムとシオン……いつもの追いかけっこだな。

 それを追うように姉たち4人は泳ぎ始める……おぉ? 全員普通に泳げるようになったのか。誰か泳ぐの苦手じゃなかったっけ? 思い出せない記憶をほじくり返していると、シンラたちに追いついた姉たちが、3人を捕まえた。

 シンラは安心したような顔をして、プラムたちは悔しそうな顔をしている。シンラたちを疲れさせることが目的なので、シンラは自分で泳いでいるからいいのだが、プラムたちはスライムを使っているので、体力が余りそうなのだ。

 それを考慮してミリーたちからウルたちに指令が出されており、下の子3人に泳ぎの練習をさせるようにとの事らしい。

 1時間ほどプールで遊びへとへとになった下の子たちは、母親たちの手を借りてシャワーを浴び髪の毛を乾かされたのちに、木陰に準備されたエアーベッドの下に送り込まれる。

 そこでは先に休んでいた俺が大の字に横になっており、シンラは俺の真似をするように大の字になって寝ころび、プラムとシオンは、シンラにくっ付いて寝る前に力尽きて、うつぶせに寝てしまった。

 さすがにその体勢は無いだろう……軽く転がして、仰向けにならせてタオルケットをかけてやる。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

救国の大聖女は生まれ変わって【薬剤師】になりました ~聖女の力には限界があるけど、万能薬ならもっとたくさんの人を救えますよね?~

日之影ソラ
恋愛
千年前、大聖女として多くの人々を救った一人の女性がいた。国を蝕む病と一人で戦った彼女は、僅かニ十歳でその生涯を終えてしまう。その原因は、聖女の力を使い過ぎたこと。聖女の力には、使うことで自身の命を削るというリスクがあった。それを知ってからも、彼女は聖女としての使命を果たすべく、人々のために祈り続けた。そして、命が終わる瞬間、彼女は後悔した。もっと多くの人を救えたはずなのに……と。 そんな彼女は、ユリアとして千年後の世界で新たな生を受ける。今度こそ、より多くの人を救いたい。その一心で、彼女は薬剤師になった。万能薬を作ることで、かつて救えなかった人たちの笑顔を守ろうとした。 優しい王子に、元気で真面目な後輩。宮廷での環境にも恵まれ、一歩ずつ万能薬という目標に進んでいく。 しかし、新たな聖女が誕生してしまったことで、彼女の人生は大きく変化する。

【完結】10引き裂かれた公爵令息への愛は永遠に、、、

華蓮
恋愛
ムールナイト公爵家のカンナとカウジライト公爵家のマロンは愛し合ってた。 小さい頃から気が合い、早いうちに婚約者になった。

鮮明な月

BL
鮮明な月のようなあの人のことを、幼い頃からひたすらに思い続けていた。叶わないと知りながら、それでもただひたすらに密やかに思い続ける源川仁聖。叶わないのは当然だ、鮮明な月のようなあの人は、自分と同じ男性なのだから。 彼を思いながら、他の人間で代用し続ける矛盾に耐えきれなくなっていく。そんな時ふと鮮明な月のような彼に、手が届きそうな気がした。 第九章以降は鮮明な月の後日談 月のような彼に源川仁聖の手が届いてからの物語。 基本的にはエッチ多目だと思われます。 読む際にはご注意下さい。第九章以降は主人公達以外の他キャラ主体が元気なため誰が主人公やねんなところもあります。すみません。

転移魔法に失敗したら大変な事に巻き込まれたようです。

ミカヅキグマ
ファンタジー
 魔導師のヴァージニアは転移魔法に失敗して見知らぬ島に来てしまった。  地図にも載っていないその島には何やら怪しげな遺跡がポツンと建っていた。ヴァージニアはただでさえ転移魔法の失敗で落ち込んでいるのに、うっかりその遺跡に閉じ込められてしまう。彼女が出口を探すために仕方なく遺跡の奥に進んで行くと、なんとそこには一人の幼い少年がいた。何故こんな所に少年が? 彼は一体何者なのだろうか?  ヴァージニアは少年の正体が世界を揺るがす出来事に発展するとは露程も思っていなかったのだった……。 ※台詞が多めです。現在(2021年11月)投稿している辺りだと地の文が増えてきています。 ※最終話の後に登場人物紹介がありますので、少しのネタバレならOKという方はどうぞご覧下さい。 ネタバレ ※ヴァージニア(主人公)が抱く疑問は地竜とキャサリンが登場すると解けていきます。(伏線回収) さらにネタバレ ※何度もループしている世界の話ですが、主人公達は前の世界の記憶を持っていません。しかし違和感などは覚えています。(あんまりループ要素はないです) さらにさらにネタバレ? ※少年の正体は早い段階で出てるじゃないかと思っている方……、それじゃないんです。別にあるんです。

没落した元名門貴族の令嬢は、馬鹿にしてきた人たちを見返すため王子の騎士を目指します!

日之影ソラ
ファンタジー
 かつては騎士の名門と呼ばれたブレイブ公爵家は、代々王族の専属護衛を任されていた。 しかし数世代前から優秀な騎士が生まれず、ついに専属護衛の任を解かれてしまう。それ以降も目立った活躍はなく、貴族としての地位や立場は薄れて行く。  ブレイブ家の長女として生まれたミスティアは、才能がないながらも剣士として研鑽をつみ、騎士となった父の背中を見て育った。彼女は父を尊敬していたが、周囲の目は冷ややかであり、落ちぶれた騎士の一族と馬鹿にされてしまう。  そんなある日、父が戦場で命を落としてしまった。残されたのは母も病に倒れ、ついにはミスティア一人になってしまう。土地、お金、人、多くを失ってしまったミスティアは、亡き両親の想いを受け継ぎ、再びブレイブ家を最高の騎士の名家にするため、第一王子の護衛騎士になることを決意する。 こちらの作品の連載版です。 https://ncode.syosetu.com/n8177jc/

悪魔だと呼ばれる強面騎士団長様に勢いで結婚を申し込んでしまった私の結婚生活

束原ミヤコ
恋愛
ラーチェル・クリスタニアは、男運がない。 初恋の幼馴染みは、もう一人の幼馴染みと結婚をしてしまい、傷心のまま婚約をした相手は、結婚間近に浮気が発覚して破談になってしまった。 ある日の舞踏会で、ラーチェルは幼馴染みのナターシャに小馬鹿にされて、酒を飲み、ふらついてぶつかった相手に、勢いで結婚を申し込んだ。 それは悪魔の騎士団長と呼ばれる、オルフェレウス・レノクスだった。

優秀な姉の添え物でしかない私を必要としてくれたのは、優しい勇者様でした ~病弱だった少女は異世界で恩返しの旅に出る~

日之影ソラ
ファンタジー
前世では病弱で、生涯のほとんどを病室で過ごした少女がいた。彼女は死を迎える直前、神様に願った。 もしも来世があるのなら、今度は私が誰かを支えられるような人間になりたい。見知らぬ誰かの優しさが、病に苦しむ自分を支えてくれたように。 そして彼女は貴族の令嬢ミモザとして生まれ変わった。非凡な姉と比べられ、常に見下されながらも、自分にやれることを精一杯取り組み、他人を支えることに人生をかけた。 誰かのために生きたい。その想いに嘘はない。けれど……本当にこれでいいのか? そんな疑問に答えをくれたのは、平和な時代に生まれた勇者様だった。

欲情しないと仰いましたので白い結婚でお願いします

ユユ
恋愛
他国の王太子の第三妃として望まれたはずが、 王太子からは拒絶されてしまった。 欲情しない? ならば白い結婚で。 同伴公務も拒否します。 だけど王太子が何故か付き纏い出す。 * 作り話です * 暇つぶしにどうぞ

処理中です...