ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
上 下
1,983 / 2,518

第1983話 空気の読める子

しおりを挟む
 食事が始まり、食べながら子どもたちの様子を見る。

 シンラは……いつも通り、勢いよくムシャムシャ食べているな。同年代の子どもに比べて、3~5割くらい多く食べてるんじゃないか? 太ったりはしないのかな? この歳で太るって、あんまり考えられないけど、注意が必要かもしれないな。

 シンラの横で食べているプラムとシオンは、一般的と思える量の食事だから……シンラが特別に食べる量が多い気がする。そしてプラムよ、苦手な野菜があるからってシンラの皿にコッソリ置くな。そしてシオンよ、シンラの皿から好きなものを盗むな。

 それでも気にせずムシャムシャと食べるシンラは、将来大物になりそうな予感だな。今でも大物感が漂っている時があるからな、間違いないだろう。

 あ~、言わんこっちゃない。プラムとシオンは、ブラウニーたちに見つかり怒られている。怒られている理由も、人の皿に移したり盗んだりしているからという理由だ。嫌いなものを食べられないのは仕方がないので、そこらへんはブラウニーたちが何かしら考えるのだろう。

 人の皿から奪うのは良くないことだと怒られているシオンは、半分不貞腐れているが、食べたいならブラウニーたちに言えばお替りがもらえるのだから、シンラのを奪うなと怒られている。

 その間もシンラはムシャムシャ食べており、お皿に食事が無くなるとお替りをお願いしている。きちんと自分の食べられそうな分だけ注文しているあたり、歳を疑ってしまうな。

 ミーシャたちは俺が帰ってくるまでは、いつもの半分ほどしか食べなくなり心配していたが、戻ってくると7割ほどまで回復しているので、シルキーたちも安心しているようだ。

 ミーシャたちの運動量を考えると、7割でも少し少ないのだが、半分の時に比べれば大分改善している。多少栄養価の高い食事を出して、量より質で補っていたので何とかなった感じだな。

 でも、一度食が細くなってしまったのか、1週間以上たった今も俺がいなくなる前の8割ほどしか、食べれていないそうだ。運動量が戻っているので、カロリーや栄養素が気になるところだが、おやつの量を増やしたりして対応してくれているみたいだ。

 ウルは、戻ってきた当日はかなり食事量が少なかったが、向こうでもしっかり食べさせており、戻ってきてからもシルキーたちが頑張ってくれたので、そこまで食事量は落ちていない。でも、運動量が少し下がっているので、太らないように様子観察しているらしい。

 この年代の子どもたちは、制限すると恐ろしく急激に痩せたりするから、痩せすぎるくらいなら多少ポッチャリでも、しっかり食べさせるのがシルキーたちの考えらしい。俺もそれに賛成だ。ポッチャリになっても、妻たちと訓練をすればすぐに痩せてしまうので、見極めが大切だと言っている。

 俺は戻ってきてから、少し食事量が増えていると言われたな。体感にすれば2週間はシルキーたちの食事を食べられていなかったので、その反動ではないかと考えている。

 体を改造する前は食べれば太ったし、制限すれば痩せていたのだが、改造後は食べても食べても太ることはほとんどなくなったっけ? その代わり、食べないとすぐに痩せてしまうのだ。

 シュリやライガみたいに、非効率的な消費量ではないが、基礎消費量が上がっているのだと思う。あの2人は、俺と違って消化速度も速かったりするので、量を食べられるのだが、俺は普通の人間の胃に詰め込まないといけないので、多少無理をして食べる必要がある時が存在する。

 それが無くなっているのは嬉しい事だが、動かなかったら太るとかは無いよね?

 ちょっと気になるので、午後は運動をするかな。久々に泳いだりするか。

 っと、午後一はゴーストタウンに行って、追悼してこようと思っていたんだった。グリエルたちはともかくレイリーは来そうなので、リリーに連絡を入れておいてもらわないとな。1時間後にゴーストタウンに行くからよろしく。

 そんなことを口頭で伝えていたら、食堂で聞いていた妻たちが全員行くことになり、子どもたちも連れていくことになった。上の子たちは体験はあるが、下の子たちはほとんどなかったはず……大丈夫か?

 言葉も理解し始めているので、連れて行っても問題ないというのが妻とシルキーたちの判断だ。もしうるさくするようなら、シンラたちは違うところで待機させるということになった。

 ダンジョン農園の一角のホームステーションで準備をしていたら、庁舎の方から魔導列車が到着する。レイリーだけなら歩いてくると思ってたけど……

 魔導列車から降りてきたのは、20人ほどの兵士たちだった。

 他の兵士たちも仲間の追悼に行きたがっていたのだが、関係者として直属の上司たちだけの参加となった。

 参加したい人数を考えると、追悼式をしっかりとやるべきだろうという話になり、後日大規模に追悼式を行うことになった。遺族に補償はしているが、そう言うことじゃないんだよな。年に1回は行うように、グリエルたちに計画を立ててもらうことにした。

 兵士を伴い、慰霊碑のあるゴーストタウンの墓地へ向かう。途中で、ゴーストタウンの上層部の人間も合流して、献花を行うことにした。家族も呼んでおり、人数は少ないが盛大に行おう!

 遺骨の数だけ慰霊碑に花束を置くことを決め、ダンジョンマスターの能力で、様々な白い花を準備して、思い思いの場所へ置いてもらうことにした。

 俺は最後に、慰霊碑より大きな酒樽を準備して、高級な日本酒を大量に準備して、追悼に来たみんなで慰霊碑にお酒をかけることにした。礼儀としてあっているか分からないが、この世界では墓標にお酒をかける文化があるようなので、今回のようにしたのだ。

 慰霊碑より大きいので、さすがに余ってしまう。残りは戦友たちへと送られ、今日の夜はお酒と共に、鎮魂の飲み会があるようだ。

 俺たちが間に合わなくて亡くなってしまった家族や子どもたちに対しては、色々なお菓子を備えることで追悼の意を示すことになる。いずれ腐ってしまうのだが、1週間は置いておいてほしい……そう思った俺はバザールに頼み、近くに立地を派遣してもらい温度管理をお願いした。

 不届き物がいれば、指揮官のエルダーリッチが捕まえてくれるだろう。

 この者たちの魂に、安らぎがあらんことを……この者たちに非道な行いをした者たちに、神の鉄槌がくだることを祈っておこう。

『えっ!? 私が何かしなきゃいけないの!?』

 お前のせいで台無しだよ。気持ちだからこれでいいんだよ。でも、可能ならまだ生き残っていたら情報をクレ。そしたらこっちで対処するからさ。

『了解、知り合いに探させてみるわ』

 うむうむ、ちょっと不謹慎だけど、これで追悼は終わりかな。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する

雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。 その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。 代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。 それを見た柊茜は 「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」 【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。 追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん….... 主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

平凡すぎる、と追放された俺。実は大量スキル獲得可のチート能力『無限変化』の使い手でした。俺が抜けてパーティが瓦解したから今更戻れ?お断りです

たかたちひろ【令嬢節約ごはん23日発売】
ファンタジー
★ファンタジーカップ参加作品です。  応援していただけたら執筆の励みになります。 《俺、貸します!》 これはパーティーを追放された男が、その実力で上り詰め、唯一無二の『レンタル冒険者』として無双を極める話である。(新形式のざまぁもあるよ) ここから、直接ざまぁに入ります。スカッとしたい方は是非! 「君みたいな平均的な冒険者は不要だ」 この一言で、パーティーリーダーに追放を言い渡されたヨシュア。 しかしその実、彼は平均を装っていただけだった。 レベル35と見せかけているが、本当は350。 水属性魔法しか使えないと見せかけ、全属性魔法使い。 あまりに圧倒的な実力があったため、パーティーの中での力量バランスを考え、あえて影からのサポートに徹していたのだ。 それどころか攻撃力・防御力、メンバー関係の調整まで全て、彼が一手に担っていた。 リーダーのあまりに不足している実力を、ヨシュアのサポートにより埋めてきたのである。 その事実を伝えるも、リーダーには取り合ってもらえず。 あえなく、追放されてしまう。 しかし、それにより制限の消えたヨシュア。 一人で無双をしていたところ、その実力を美少女魔導士に見抜かれ、『レンタル冒険者』としてスカウトされる。 その内容は、パーティーや個人などに借りられていき、場面に応じた役割を果たすというものだった。 まさに、ヨシュアにとっての天職であった。 自分を正当に認めてくれ、力を発揮できる環境だ。 生まれつき与えられていたギフト【無限変化】による全武器、全スキルへの適性を活かして、様々な場所や状況に完璧な適応を見せるヨシュア。 目立ちたくないという思いとは裏腹に、引っ張りだこ。 元パーティーメンバーも彼のもとに帰ってきたいと言うなど、美少女たちに溺愛される。 そうしつつ、かつて前例のない、『レンタル』無双を開始するのであった。 一方、ヨシュアを追放したパーティーリーダーはと言えば、クエストの失敗、メンバーの離脱など、どんどん破滅へと追い込まれていく。 ヨシュアのスーパーサポートに頼りきっていたこと、その真の強さに気づき、戻ってこいと声をかけるが……。 そのときには、もう遅いのであった。

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

超文明日本

点P
ファンタジー
2030年の日本は、憲法改正により国防軍を保有していた。海軍は艦名を漢字表記に変更し、正規空母、原子力潜水艦を保有した。空軍はステルス爆撃機を保有。さらにアメリカからの要求で核兵器も保有していた。世界で1、2を争うほどの軍事力を有する。 そんな日本はある日、列島全域が突如として謎の光に包まれる。光が消えると他国と連絡が取れなくなっていた。 異世界転移ネタなんて何番煎じかわかりませんがとりあえず書きます。この話はフィクションです。実在の人物、団体、地名等とは一切関係ありません。

処理中です...