ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
上 下
1,975 / 2,518

第1975話 父として嬉しいが、どうなのだ?

しおりを挟む
 その後は、街の様子などを聞いてみたが、1ヶ月程度なら突然いなくなっても、問題なく街は回るようになっているので、大きな問題は特になかったとのことだ。

 大きな問題がなかっただけで、小さな問題はいくつもあったようだが、話を聞いてそれは問題なのか? とも思った。だけど、街のお偉方や行政関係の人間からは、俺がどういう風に思われているのか良く分かる内容だった。

 グリエルやガリア、行政に関係している老ドワーフたちには話したようで、その時の一言が「またどこかでトラブルですか……」といった内容だったらしい。

 『また』は、甚だ不本意である。俺が意図しているわけではないので、またと言われても仕方がない部分はあるのだが、口ぶりからすると俺が何かしらの原因でそうなったと思っている節があることだ。

 実際にはその通りなのだが、不条理な攻撃に対して報復した事に反撃してくるアホだから、原因はこっちではなくあちらだと声を大にして言いたい。

 『トラブルですか……』という部分は、俺がいかにもトラブルメーカーみたいな言われようで、こっちとしては不本意極まりない。基本的に巻き込まれているだけで、俺が起こしているわけじゃないんだからな!

 いくつか言いたいことはあったが、概ね俺がまた何かをやったんだろう……という感じで収まっているようだ。

 問題というなら、娘たちの様子だろうな。既に1時間以上経っているのだが、未だに離れる気配がない。シンラから視線を感じる。

 太々しくヨ〇ボーに座って、両側にプラムとシオンにガッチリと掴まれている。そんなシンラが、悟ったような表情をして、こっちを見ていたのだ。

 お前と俺は、立場が違うだろ……それに、俺は娘たちにくっつかれていても嬉しいけど、お前は疲れるから何とかしてほしいだけだろ? しっかりと意思疎通できるようになって、姉たちと同じことができるようになれば、自然と離れていくと思うぞ。

 そんなことを内心考えていると、プラムとシオンからにらまれ、シンラには驚いた表情で見返されてしまった。俺の考えていることが分かるのかね?

 妻たち今の俺の考えていることを聞いてみたが、誰一人として俺の考えが分かった妻はいなかった。下の子たちは、エスパーか何かかね?

 ウルも含めた4人は、寝てしまっても俺と離れる気はないようで、妻たちも苦笑気味である。清潔にしていたとはいえ、こことは比べ物にならないからな……早めにお風呂へ入りたいのだが、この様子だと入れないかな?

 そんなことを考えていると、ミリーが戻ってきた。照れた様子でリビングスペースに入ってきたミリーからの一言、

「おかえり」

「みんな、ただいま」

 そう言えば、帰ってきた時の挨拶をしてなかったな。

 妻たちも、ミーシャたちと同じように俺の近くに来たい様子だが、娘たちを押しのけてまで来たいわけではないようだ。娘たちは、2~3日もすれば落ち着くだろうから、その後で……と考えているようだな。

 ミリーが今までの経緯の説明を簡単に受け、子どもたちに声をかける。

「4人とも、運動した後なのに、お風呂に入っていないんじゃないですか? 汗臭いと、お父さんに嫌われるかもしれないですよ」

 そんなことを言い、俺はビックリして目を見開いてしまった。子どもの娘たちが多少汗臭くなったところで、嫌いになることは絶対にありえないのだが、娘たちはミリーの言葉を聞いて、パチッと目を開ける。嫌われたくないけど、離れたくもない、そんな表情だった。

 まぁ、10代後半になって、酸っぱいような汗臭さを漂わせていたら考えるかもしれないが、まだ1桁の子どもたちのニオイで、嫌いになるとかは無いだろう……

「お父さんも、お風呂に入りたいんだけど、みんなも一緒に入ろうか?」

 どうやら正解だったようで、4人とも喜んでいる。着替えを取りに行くように促すが離れないので、苦笑しながら母親たちに着替えを頼んだ。

 1桁でも女性なのだろう。自分の匂いが相手に与える影響を考えているのかもな。

 娘たちとお風呂に入るのは、そこまで久しぶりでもないか。あっちにいたときもウルとは何回かお風呂に入ったからな。でも、こうやって髪の毛を洗ってやるのは、久しぶりの様な気もするな。

 自分たちでもできるようになってからは、母親たちに聞きながら洗っている姿を、何度も目撃しているもんな。成長が少し寂しいと感じたのも、この時だったかね。

 体は自分で洗うようだが、髪の毛は俺に洗ってもらいたいみたいで、4人で列を作って待っている姿が微笑ましい。

 シンラまでは分かるんだけど、不貞腐れたプラムとシオンは、何でここに並んでいるんだろうか? そしてその後ろに、当たり前のように並んでいるニコたちスライムは、おかしいと思うのだが……俺の気のせいか?

 結局、子どもたち7人と、スライムを20匹程洗うことで解放された。

 プラムとシオンも、洗ってもらうのは嫌いではないが、俺ということに不満を持っていそうな感じだったな。それなら、隣にいる妻たちの所に行ってくれよ、と思わなくもないのだが……

 サウナにゆっくり入りたかったのだが、子どもたちがいつも入っている、定位置の足の浸けられる水がある場所ではなく、俺の隣に来てしまうので、お風呂だけで我慢することにした。

 子どもたちの場所で入ると、温度が低すぎてサウナって感じがしないから、それならお風呂に浸かることにしたのだ。

 ゆっくり入りたいと察してくれたスライムたちが、子どもたちの周りのお湯を少し温くしてくれたり、自分の上に座らせて俺の近くから離れないような工夫をしてくれた。気遣いのできるスライムたちだぜ!

 食事の時は、大変だったな。離れようとしなかったので、妻たちに介助されながら、俺・ミーシャ・スミレ・ブルムが食事をして、自分で食べているシンラに、鼻で笑われたような気がした。

 寝る時も離れたくないようで、久々に家族全員で寝ることになったのは、いい思い出になるかね?

 一番困ったのは、トイレの時だな。全く離れる様子がなかったので、妻たちに頼るよいう恥ずかしい思いをする羽目になってしまった。

 裸を見たり見られたりしていても、排泄行為はまた別なんだよね。娘たちに好かれているのは嬉しいが、ちょっと大げさではないだろうか?
しおりを挟む
感想 316

あなたにおすすめの小説

サバイバル能力に全振りした男の半端仙人道

コアラ太
ファンタジー
年齢(3000歳)特技(逃げ足)趣味(採取)。半仙人やってます。  主人公は都会の生活に疲れて脱サラし、山暮らしを始めた。  こじんまりとした生活の中で、自然に触れていくと、瞑想にハマり始める。  そんなある日、森の中で見知らぬ老人から声をかけられたことがきっかけとなり、その老人に弟子入りすることになった。  修行する中で、仙人の道へ足を踏み入れるが、師匠から仙人にはなれないと言われてしまった。それでも良いやと気楽に修行を続け、正式な仙人にはなれずとも。足掛け程度は認められることになる。    それから何年も何年も何年も過ぎ、いつものように没頭していた瞑想を終えて目開けると、視界に映るのは密林。仕方なく周辺を探索していると、二足歩行の獣に捕まってしまう。言葉の通じないモフモフ達の言語から覚えなければ……。  不死になれなかった半端な仙人が起こす珍道中。  記憶力の無い男が、日記を探して旅をする。     メサメサメサ   メサ      メサ メサ          メサ メサ          メサ   メサメサメサメサメサ  メ サ  メ  サ  サ  メ サ  メ  サ  サ  サ メ  サ  メ   サ  ササ  他サイトにも掲載しています。

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い

平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。 ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。 かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。

性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。

狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。 街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。 彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

女神から貰えるはずのチート能力をクラスメートに奪われ、原生林みたいなところに飛ばされたけどゲームキャラの能力が使えるので問題ありません

青山 有
ファンタジー
強引に言い寄る男から片思いの幼馴染を守ろうとした瞬間、教室に魔法陣が突如現れクラスごと異世界へ。 だが主人公と幼馴染、友人の三人は、女神から貰えるはずの希少スキルを他の生徒に奪われてしまう。さらに、一緒に召喚されたはずの生徒とは別の場所に弾かれてしまった。 女神から貰えるはずのチート能力は奪われ、弾かれた先は未開の原生林。 途方に暮れる主人公たち。 だが、たった一つの救いがあった。 三人は開発中のファンタジーRPGのキャラクターの能力を引き継いでいたのだ。 右も左も分からない異世界で途方に暮れる主人公たちが出会ったのは悩める大司教。 圧倒的な能力を持ちながら寄る辺なき主人公と、教会内部の勢力争いに勝利するためにも優秀な部下を必要としている大司教。 双方の利害が一致した。 ※他サイトで投稿した作品を加筆修正して投稿しております

神の宝物庫〜すごいスキルで楽しい人生を〜

月風レイ
ファンタジー
 グロービル伯爵家に転生したカインは、転生後憧れの魔法を使おうとするも、魔法を発動することができなかった。そして、自分が魔法が使えないのであれば、剣を磨こうとしたところ、驚くべきことを告げられる。  それは、この世界では誰でも6歳にならないと、魔法が使えないということだ。この世界には神から与えられる、恩恵いわばギフトというものがかって、それをもらうことで初めて魔法やスキルを行使できるようになる。  と、カインは自分が無能なのだと思ってたところから、6歳で行う洗礼の儀でその運命が変わった。  洗礼の儀にて、この世界の邪神を除く、12神たちと出会い、12神全員の祝福をもらい、さらには恩恵として神をも凌ぐ、とてつもない能力を入手した。  カインはそのとてつもない能力をもって、周りの人々に支えられながらも、異世界ファンタジーという夢溢れる、憧れの世界を自由気ままに創意工夫しながら、楽しく過ごしていく。

「残念でした~。レベル1だしチートスキルなんてありませ~ん笑」と女神に言われ異世界転生させられましたが、転移先がレベルアップの実の宝庫でした

御浦祥太
ファンタジー
どこにでもいる高校生、朝比奈結人《あさひなゆいと》は修学旅行で京都を訪れた際に、突然清水寺から落下してしまう。不思議な空間にワープした結人は女神を名乗る女性に会い、自分がこれから異世界転生することを告げられる。 異世界と聞いて結人は、何かチートのような特別なスキルがもらえるのか女神に尋ねるが、返ってきたのは「残念でした~~。レベル1だしチートスキルなんてありませ~~ん(笑)」という強烈な言葉だった。 女神の言葉に落胆しつつも異世界に転生させられる結人。 ――しかし、彼は知らなかった。 転移先がまさかの禁断のレベルアップの実の群生地であり、その実を食べることで自身のレベルが世界最高となることを――

処理中です...