ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
上 下
1,974 / 2,518

第1974話 状況確認

しおりを挟む
 シンラの顔面抱擁とプラムとシオンの顔蹴りからは解放されたが、ミーシャたちのくっ付き虫は母親たちにも止めることが出来ずに、体に娘たちを装備した状態で過ごすことになった。両腕はガッチリとホールドされており、首にも腕が回っているので離すことができないのだ。

 その状態でリビングスペースに向かい、お気に入りのソファーに座ろうとすると、背中側から首に手を回していたスミレが頭の上によじ登り、俺の前側に移動した。それでも首に手が回っていることを考えると、意地でも離れないつもりなのだろう。

 移動前にバザールが姿を現し、簡単に隷属させた神たちの話をして、暗部の下に連れて行ってもらった。一応、情報を引き出しておいてもらう。こんなことをした理由もそうだが、他に関与していたり、力を貸していた神がいないかのあぶりだしだ。

 ここで得た情報と、チビ神の陣営が得た情報を照らし合わせて、反撃を考えるためだ。


 移動を終え、左右にミーシャとブルム、首にスミレを身に着けたまま、話を聞くことにした。

 こういう時に話してくれるのは、ミリーなのだが今日はギルドの方に行っており、先ほど連絡をしたばかりなので、戻ってくるにはもう少し時間がかかる。代わりに話してくれたのは、カエデでもリンドでもなく、ピーチだった。

 一応年長者の2人は、話すのが苦手! と堂々と言い切り、他の妻たちに呆れられている。カエデはともかく、技能集団の統領をしていたリンドが話すの苦手ってどうなのさ?

「シュウ、トップをやっていても、話さなくたって何とかなるんだよ。頭の固い偏屈爺が多かった鍛冶場だから、拳が物を言うのよ」

 うん、初めてであった日の事を思い出す。最終的には戦闘になって、俺に負けて色々経て結婚するとか言い出したんだったっけな。

 副統領や補佐官みたいな人たちが、優秀だったってことかね。

 そこで話はいったん終わり、俺がいなくなった時のことを話してくれた。

 初めに教えてくれたのは、俺がいなくなってから4日しか経っていなことだ。時間の流れが違うとは思っていたが、向こう側は4倍近く早く時間が過ぎていたみたいだな。ウルが帰ってきてからは1日らしい、大体計算は間違っていないかな?

 俺がいなくなったと同時にウルがいなくなった朝、ミリーが特に取り乱してしまったようだ。ミーシャと同じくらい愛情を込めていたので、お腹を痛めて産んだ子ではないが取り乱してしまい、それを見た他の妻たちは少し冷静になれたのだとか。

 自分以上に冷静さを欠いている人間がいると、反対に落ち着き始めるって言うんだから、人間って不思議だよな。一緒に暴れ出しそうだけどな。唯一の例外は、突然の災害時とかかね? ああいった時は、集団でパニックを起こすからな。

 ミリーを落ち着かせるのは、カエデとリンドに任せて、子どもたちに負担をかけないように、手分けして対応することになったようだ。

 いったん状況の落ち着いた俺がいなくなった日の午後に、綾乃とバザール、ライガも姿を消したことが判明したようだ。

 神に関係している人間が5人中3人、何かしらあるのではないかと考え、シルキーたちにお願いして高級スイーツをたくさん作ってもらったようだ。初めはチビ神に連絡を取ろうとしたのだが、まったく連絡がつかず違う神に連絡を取ったらしい。

 チビ神は妨害されていたから、妻たちからの連絡を受け取れなかったのだろう。それよりさ、違う神と連絡を取ったってどういうことだ?

 俺の知らない所で妻たちはチビ神に紹介されて、美を追求する女神と交流を持っていたらしい。いつの時代も、美の神は女性の信仰を受けているので、消滅することの無く女性の味方なので、妻たちと意気投合したのだとか。

 妻たちが使っている、ブラウニーたちと共同で俺や綾乃が研究して作った美容液に興味を示して、美の女神がチビ神を介してコンタクトをとってきたようだ。そう言えば、昔、妻たち以外にも使うからって、少し特殊な配合をした美容液をお願いされたっけ? それがその女神に渡ったのかね?

 その女神とコンタクトを取ると、チビ神が軟禁のような状態にあったことが分かり、すぐに救出隊が組まれチビ神が戻ってこれたんだとさ。じゃぁ、バザールやライガが一緒に送り込まれたのは……あ~、関係は深くないけど、お菓子などの恩を感じていた女神たちが、協力して送り出してくれたのね。

 チビ神……自分の功績みたいに言ってたけど、お前全く関係してないじゃんか!

 まぁ、チビ神だしそう言うこともあるか。

 状況を把握した妻たちは、四大精霊を呼び出して、女神たちの協力を得てDPをフルに使い、俺たちのいる世界の状況が見れるテレビを設置して、持ち回りで俺たちの様子をモニターしてくれていたそうだ。

 子どもたちには、急な出張で出かけた俺と、それについていったウルという風に話が進んでいたのだが、次の日にテレビを発見されてしまい、俺たちが映っていたので色々と聞かれ、話したい、会いたい、向こうに行きたい、といったお願いに難しいと言っていたら、ギャン泣きされてしまったそうだ。

 なので、包み隠さずにすべてを話したが、理解しきれずにぐずってしまったのだとか。

 俺は、家にいなくても毎日娘たちと連絡するように心がけていたのに、今回はテレビで見れているのに連絡が無いと、かなり拗ねた様子で妻たちに八つ当たりしていたのだとか。

 丸2日くらいは、娘たちの不機嫌な様子は解消されなかったが、ウルが帰ってきたことで状況が変わった。

 ウル自身もかなり疲弊していたが、戻ってきてすぐにミーシャたちの様子を見て、俺たちのいた世界の事を話してくれたんだとさ。子どもが子どもに説明すると、分かりやすいのかミーシャたちは、色々と受け入れてくれたらしい。

 そう言えば、ウルは記憶操作をしたのだろうか? 疑問に思ったので、話の途中だったが綾乃の話題を振って、間接的にどういう対応をしたのか聞いてみた。

 どうやら疲弊はしていたが、ミーシャたちの事もあり、落ち着いたと判断した妻たちが、経過観察中だということだ。少しでも異変があったら、ツィード君とシルクちゃんに相談する予定だったとか。

 話していると、ウルも寂しくなったのか、俺の首に腕を回しているスミレの後ろから、抱き着くような形で俺の膝の上に乗ってきた。

 やっぱり、大変だったのだろう。でも、妹たちを心配させないように、御姉ちゃんは一生懸命頑張っていたんだろうな。俺は手が届かないので、近くにいたシュリやライムが、ウルの頭を撫でている。

 綾乃に色々と教えてもらい、情報をすり合わせして、もうすぐ戻ってこれると判断したようで、妻たちは落ち着いていられたようだ。

 早い段階でチビ神と連絡が取れたのが、妻たちにとっては良かったのかもな。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

勇者に幼馴染で婚約者の彼女を寝取られたら、勇者のパーティーが仲間になった。~ただの村人だった青年は、魔術師、聖女、剣聖を仲間にして旅に出る~

霜月雹花
ファンタジー
田舎で住む少年ロイドには、幼馴染で婚約者のルネが居た。しかし、いつもの様に農作業をしていると、ルネから呼び出しを受けて付いて行くとルネの両親と勇者が居て、ルネは勇者と一緒になると告げられた。村人達もルネが勇者と一緒になれば村が有名になると思い上がり、ロイドを村から追い出した。。  ロイドはそんなルネや村人達の行動に心が折れ、村から近い湖で一人泣いていると、勇者の仲間である3人の女性がロイドの所へとやって来て、ロイドに向かって「一緒に旅に出ないか」と持ち掛けられた。  これは、勇者に幼馴染で婚約者を寝取られた少年が、勇者の仲間から誘われ、時に人助けをしたり、時に冒険をする。そんなお話である

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

幼馴染み達が寝取られたが,別にどうでもいい。

みっちゃん
ファンタジー
私達は勇者様と結婚するわ! そう言われたのが1年後に再会した幼馴染みと義姉と義妹だった。 「.....そうか,じゃあ婚約破棄は俺から両親達にいってくるよ。」 そう言って俺は彼女達と別れた。 しかし彼女達は知らない自分達が魅了にかかっていることを、主人公がそれに気づいていることも,そして,最初っから主人公は自分達をあまり好いていないことも。

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

エラーから始まる異世界生活

KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。 本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。 高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。 冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。 その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。 某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。 実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。 勇者として活躍するのかしないのか? 能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。 多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。 初めての作品にお付き合い下さい。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

処理中です...