ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第1973話 帰ってきた……

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 どれくらい時間が経ったのだろう。

 無音の暗闇で重力も感じず、味覚も嗅覚も触覚も、何もかもが感じ取れない空間に放置されているのが、一番つらい状況なんだけど、創造神のじっちゃんは何をしているんだ? 早く戻ってきてくんねえかな。

 どれくらいの時間が経ったか分からないが、やっと創造神のじっちゃんが戻ってきた。

 淡く輝く光の玉と、13人の拘束された男の姿だ。13ってことは、こいつらが妨害していた男神たちか? 半数ほどは捻くれたような表情をしていて、残りの半分の内4人がガリヒョロ、3人がピザってた。神でも太るんだな。

『存在値の高い神たちは、太ったりはせんぞ。想像するだけで痩せられるからのう。じゃが、身体的特徴まで変えることができないのじゃ。小さいモノは小さいままなのじゃ。今トップにいるチビ神が、不憫に思えてくるのう』

 おっと、チビ神がチビのままなのは、既に決まっていたことのようだな。

『ちょっとアンタ! チビのままっていうな!』

 おや? お前もいたのか。前から言ってるだろ、小さいのは嫌いじゃないって。大きいよりは小さめの方が好きだってな。

『あんたの性癖なんてどうでもいいのよ! 私は大きくなりたいの! デブじゃなくて、バインバインになりたいのよ! 小さい方がいいとか言っている割に、あんたの奥さんたちは、ナイスバディばっかじゃない!』

 あくまで趣向的なこのみなだけであって、妻たちならどんな胸のサイズでも、関係ないからな。愛は胸の大きさで決まるもんじゃないだぞ!

『しらないわよ、ヴァカ! あんたなんてさっさと家に帰って、奥さんたちと乳繰り合ってればいいのよ!』

 ちょいちょい、古臭い言い回しにおっさんが出てくるな。帰ったら乳繰り合うから、覗くんじゃねえぞ。それより、こいつら強化するのに存在値を別けてやってくれ。今回の事はチャラにするし、後でデザートも届けてやるから、先払いってことでよろしく。

『……分かったわよ。創造神様、こいつが必要としているだけの存在値を渡しますので、よろしくお願いします。必要なのは……その程度でいいんですか? 分かりました。渡しますので、後はお願いしてもよろしいですか?』

 私は帰る! と言って去っていった。あいつの敬語って言えばいいのかな、何か中途半端だよな……

『さて、処理は終わったから、こいつらに隷属魔法をかけるのじゃ』

 ん? ここは、魔法が使えるのか? それと、何かこいつらうるさいんだけど、黙らせていい?

『わしには効かないが、こやつらには効くぞい。煮ても焼いても好きにしていいが、その前に隷属魔法だけはかけてほしいのじゃが、さっさとやらんか』

 創造神にせっつかれるように、13柱の神だった奴らに隷属魔法をかける。ところで、こいつらは半神半魔なのか、半人半魔なのか気になるところだけど、どうなの?

『変なところにこだわる奴よのう。こやつらは、処理が終わった時点で、神ではなくなった。存在値が削れて消滅することは無くなったのじゃが、普通に寿命でも死ぬようになったぞい』

 もう神じゃないんだ。しかも寿命があるってことは、俺の方が格が上か? 見下していた相手に、見下され顎で使われるようになる気分は、どうなんだろうな?

『屈辱じゃろうな。もうひっくり返ることの無い差がそこにはあるからのう。せいぜい長く苦しむように、扱き使ってやってくれ。それがそやつらの罰になるのじゃ。後は任せたぞい。こいつらがいるから、元々いた場所に送り帰すのは良くないのう、庭でいいか。それじゃあ、また会う時まで元気にしておるのだぞ』

 そう言って、視界から光の玉が消え、浮遊感に襲われると、視界が一気に明るくなった。

 目の前に世界樹がある。どうやら、俺の家に戻ってこれたようだ。庭で体を動かしていた4人の娘たちが目に入る。向こうも気付いたようで、恐ろしい勢いでミーシャたち3人が突っ込んできた。

 ミーシャの頭が俺の腹に、その上の鳩尾にスミレの頭が、俺のあごに当たりそうだったブルムの頭を上を向き回避したことで、ブルムの頭が喉に刺さる。

 3人の攻撃により押し倒された俺は、苦しみもがくはめになるが、ミーシャたちには関係ないようで、やっと会えた俺にしがみついてくる。苦しいけど、娘たちに嫌われていないのは嬉しい事だ。でも、3人で急所を攻撃するのは止めてくれ。

 力を入れて受け止める訳にもいかないのだから、手加減をしてほしいところだ。

 妻たちは状況を理解していた感じがあるので、表面上は落ち着いて見えた。娘たちは、話を聞いているようだが理解できておらず、突然いなくなった俺を心配していて、くっ付き虫を再現するかの如く抱き着いているみたいだ。

 そこに騒ぎを聞きつけたのか、シンラが走ってくる。周りにスライムがいるので、転んでも大丈夫だと安心しているが、その後ろからプラムとシオンが追いかけてきているのは、いつもの光景だな。何てほっこりする気持ちが沸いてきた。

 懐かしいついでに、倒れている俺の顔に引っ付くな! 口と鼻が塞がる形になるから、めっちゃ苦しいんだぞ! そして追いかけてきたプラムたちよ、俺の心配じゃなくてシンラの心配をしている意味が分からん。

 俺がこんなにやられているので、顔から引き剥がそうとしてくれるのは嬉しいが、何かされていると思っているのか、シンラを心配して引き剥がす時に、俺の頭や耳の辺りを蹴りながらどけようとするんじゃない。

 笑い声が聞こえてきているので、問題になるようなことは無いんだろうな。2人とも地味に痛いから、蹴った後に押し込むようにグリグリするのは止めて。

 体にかかる重さを感じて、やっと帰ってこれたのだと実感し始めている。

 30分くらいプラムたちに蹴られ、シンラに顔にへばりつかれ、ミーシャたちに顔をグリグリされ、いろんな苦しみに耐えていると、やっと子どもたちを回収しに母親たちが来てくれた。
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