1,922 / 2,518
第1922話 ここはどこ?
しおりを挟む
肉球マッサージをした夜、不思議な夢を見た。いや、肉球マッサージは関係ないんだけど、不思議な夢を見たのだ。
眠りについたはずなのに、目が覚めた感覚があり目を開く。
俺が横になっていた部屋ではなく、どこか分からない森の中で寝ていたようだ。あたりを見回し、自分の知っているものが無いか探し始めた。知らないものばかりだと落ち着かないので、心の安定を求めて自分の知っている物を必死に探したのだと思う。
今いる場所からは、俺の知識にある物は見つけられなかった。目の前にある木でさえ、俺の知識の中にないモノなのだ。
俺が4人くらいで手を伸ばせば、1週出来るほどの幹の天辺に、ちょこんと数枚大きな葉っぱがあるだけの木や、針葉樹と広葉樹の葉が混ざって1つの木から生えていたり、俺の知らないものが目の前にあるのだ。
少なくとも、ここが日本ではないのは確かだろう。地球だったとしても、針葉樹と広葉樹の葉を同時につける木なんて無いと思う。ってことは、やはり召喚された世界のどこかなのだろうか?
確認するために手を伸ばし、ダンジョンマスターのスキルを発動した。が、発動しなかった……
「ん? ここは、あの世界でもないのか? ってか、夢の中だよな? 良く分からないけど、無駄にリアリティが高い夢だな。俺はこんな夢で何をしたいんだ?」
体が正常に動くかを確認する。特に変わりはないと思う。ダンジョンマスターの能力が使えないので、身体能力が地球にいたときに近いかと思ったが、そうでもなかった。チビ神に改造されて、レベルをカンストした寝る前の体と変わりがないと思う。
その証拠に、太い幹だけの良く分からない木を殴ると、破裂したように幹が吹っ飛んだ。っと、そういえば、来ている服って……おや? この前ダンジョンに着ていった、革鎧をつけているな。クリエイトゴーレムを使って、伸び縮みする特殊な革だ。
ということは、
「マジックアロー」
…………
魔法を使ってみたが、魔法は発動しなかった。やっぱり、地球でも召喚された世界でもない、どこか分からない星なのだろうか? 魔法は使えないが、スキルは有効のようだ。鑑定ができるのだ。できても、植物の名前もどんな植物なのかも、文字化けしていて全く分からないんだけどな。
「さて、ここはどこなのだろうか? そして、俺は何でこんな夢を見ているんだろうか?」
自分の考えをまとめるために、いつもの独り言が始まる。
「未知の惑星だとしよう。地球と召喚された星は、結構共通点があったよな。意識してなかったけど、似たような木はどっちにもあったし、食材も見たことある物が多かった。知らないものももちろんあったが、それは地球でも一緒だろう」
ん~、何でこんなところにいるかは、考えても無駄なのだろう。召喚された時と一緒で、俺に決定権なんて何もなかったもんな。
「でも、チビ神たちには、世界を跨いだ転移は不可能だったはずだし、勇者召喚されたのなら祠の様なところだよな? ダンジョンマスターとして、ここに来たわけではないのなら……って、夢の中でそんなこと考えても仕方がないな」
ストレッチをしながら、体の一部をつねってみたりして痛覚も確認してみる。夢だったらこれで目が覚めるオチなのだが、ただ単に痛い……
「さて、どうしたものか? 目の前の木を殴れば弾けたが、この世界でステータスとしてはこれが普通なのか、本当に寝る前の体が基準になっているのか、良く分からないな。死んだところで目が覚めるとも限らんし、少しこの世界を探検するか?」
夢落ちで目が覚めるならいいのだが、夢の中で死んで精神まで一緒に死んでしまったら、どうしようもなく困るのだ。俺は意地でも、妻や子どもたちのいる現実に生きて帰るのだ。
俺がこんな風に考えているのは、異世界に転移させダンジョンマスターという能力を、付与できる存在が実際にいることを知っている。この現実と区別のつかないような夢の中で、実際に死んだら現実でも死んでしまうのでは? という疑念があるからだ。
「さて、魔法は使えないが、防具はある。一応、ナイフもあるな。ナイフというよりは剣鉈か。クリエイトゴーレムで作った、腰の後ろに刺してあるミスリル合金製にアダマンコーティングをしている奴だな。見た目が一緒だからって、性能が一緒とは……一緒っぽいな」
木を切りつけてみたら、刃が簡単に全部埋まった。他の木でも試してみたが同じような感じで、刃が木の幹に埋まる。
「でも、これしかないのに、多用しすぎて壊れるのは困るな。革鎧の伸縮機能はあるが、自動修復機能も有効か分からないしな。身体能力は高いんだから、高い木に登って周囲を見渡してみるか」
そう口にしながら、一番背の高い木を探す。俺の感覚がおかしくなっていないのであれば、初めに殴りつけた木がおよそ20メートルほどだろう。針葉樹と広葉樹の特徴を持っている木が、3~40メートルくらいだと思う。
地球の木ってこんなに高かったっけ? ディストピア周辺の木は、30メートルはあったと思うけど、あれは数日であのサイズになるけど、ほとんどそれ以上大きくならないんだよな。
見回して、一番高そうな木に登っていく。始めのジャンプと三角飛びの要領で、10メートルくらいの所にしがみつく。幹に指を指して握っているような形だ。足の踏ん張るところが無いので、腕の力だけで20メートルほど登ると、やっと枝に到着する。
枝を伝いどんどんと上へ進んでいき、天辺に近付く。幹は多少細くなっているが、天辺付近でも直径20センチメートル位あるんじゃないかな?
一番高そうに見えた木なのだが、他にも同じくらいの木がたくさんあるので、見渡しにくいが……うん、これは全く知らない世界だな。
バッハとかに乗って色々な場所を見たりしたけど、こんな景色は見たこと無かった。何に近いかと聞かれれば、ダンジョンの中にある法則を無視した、森林系のダンジョンだと思う。あそこには、俺の知らない植物とか普通にあったからな。
「でも見える範囲に、鳥もいないし生物も見当たらないんだよな。山ではないみたいだし……水場を探すべきか? 良く分からないけど、向こう側は森が途切れている気がするんだが……崖だったりしないよな?」
身体能力に物を言わせて走ってもいいが、その時にこの世界の生物に遭遇して、もし相手が俺より強かった場合は、とても困ってしまう。樹海を歩くような慎重さで、水場を探すべきか?
何でこんな夢を見ているのか、まったく意味が分からんな。
眠りについたはずなのに、目が覚めた感覚があり目を開く。
俺が横になっていた部屋ではなく、どこか分からない森の中で寝ていたようだ。あたりを見回し、自分の知っているものが無いか探し始めた。知らないものばかりだと落ち着かないので、心の安定を求めて自分の知っている物を必死に探したのだと思う。
今いる場所からは、俺の知識にある物は見つけられなかった。目の前にある木でさえ、俺の知識の中にないモノなのだ。
俺が4人くらいで手を伸ばせば、1週出来るほどの幹の天辺に、ちょこんと数枚大きな葉っぱがあるだけの木や、針葉樹と広葉樹の葉が混ざって1つの木から生えていたり、俺の知らないものが目の前にあるのだ。
少なくとも、ここが日本ではないのは確かだろう。地球だったとしても、針葉樹と広葉樹の葉を同時につける木なんて無いと思う。ってことは、やはり召喚された世界のどこかなのだろうか?
確認するために手を伸ばし、ダンジョンマスターのスキルを発動した。が、発動しなかった……
「ん? ここは、あの世界でもないのか? ってか、夢の中だよな? 良く分からないけど、無駄にリアリティが高い夢だな。俺はこんな夢で何をしたいんだ?」
体が正常に動くかを確認する。特に変わりはないと思う。ダンジョンマスターの能力が使えないので、身体能力が地球にいたときに近いかと思ったが、そうでもなかった。チビ神に改造されて、レベルをカンストした寝る前の体と変わりがないと思う。
その証拠に、太い幹だけの良く分からない木を殴ると、破裂したように幹が吹っ飛んだ。っと、そういえば、来ている服って……おや? この前ダンジョンに着ていった、革鎧をつけているな。クリエイトゴーレムを使って、伸び縮みする特殊な革だ。
ということは、
「マジックアロー」
…………
魔法を使ってみたが、魔法は発動しなかった。やっぱり、地球でも召喚された世界でもない、どこか分からない星なのだろうか? 魔法は使えないが、スキルは有効のようだ。鑑定ができるのだ。できても、植物の名前もどんな植物なのかも、文字化けしていて全く分からないんだけどな。
「さて、ここはどこなのだろうか? そして、俺は何でこんな夢を見ているんだろうか?」
自分の考えをまとめるために、いつもの独り言が始まる。
「未知の惑星だとしよう。地球と召喚された星は、結構共通点があったよな。意識してなかったけど、似たような木はどっちにもあったし、食材も見たことある物が多かった。知らないものももちろんあったが、それは地球でも一緒だろう」
ん~、何でこんなところにいるかは、考えても無駄なのだろう。召喚された時と一緒で、俺に決定権なんて何もなかったもんな。
「でも、チビ神たちには、世界を跨いだ転移は不可能だったはずだし、勇者召喚されたのなら祠の様なところだよな? ダンジョンマスターとして、ここに来たわけではないのなら……って、夢の中でそんなこと考えても仕方がないな」
ストレッチをしながら、体の一部をつねってみたりして痛覚も確認してみる。夢だったらこれで目が覚めるオチなのだが、ただ単に痛い……
「さて、どうしたものか? 目の前の木を殴れば弾けたが、この世界でステータスとしてはこれが普通なのか、本当に寝る前の体が基準になっているのか、良く分からないな。死んだところで目が覚めるとも限らんし、少しこの世界を探検するか?」
夢落ちで目が覚めるならいいのだが、夢の中で死んで精神まで一緒に死んでしまったら、どうしようもなく困るのだ。俺は意地でも、妻や子どもたちのいる現実に生きて帰るのだ。
俺がこんな風に考えているのは、異世界に転移させダンジョンマスターという能力を、付与できる存在が実際にいることを知っている。この現実と区別のつかないような夢の中で、実際に死んだら現実でも死んでしまうのでは? という疑念があるからだ。
「さて、魔法は使えないが、防具はある。一応、ナイフもあるな。ナイフというよりは剣鉈か。クリエイトゴーレムで作った、腰の後ろに刺してあるミスリル合金製にアダマンコーティングをしている奴だな。見た目が一緒だからって、性能が一緒とは……一緒っぽいな」
木を切りつけてみたら、刃が簡単に全部埋まった。他の木でも試してみたが同じような感じで、刃が木の幹に埋まる。
「でも、これしかないのに、多用しすぎて壊れるのは困るな。革鎧の伸縮機能はあるが、自動修復機能も有効か分からないしな。身体能力は高いんだから、高い木に登って周囲を見渡してみるか」
そう口にしながら、一番背の高い木を探す。俺の感覚がおかしくなっていないのであれば、初めに殴りつけた木がおよそ20メートルほどだろう。針葉樹と広葉樹の特徴を持っている木が、3~40メートルくらいだと思う。
地球の木ってこんなに高かったっけ? ディストピア周辺の木は、30メートルはあったと思うけど、あれは数日であのサイズになるけど、ほとんどそれ以上大きくならないんだよな。
見回して、一番高そうな木に登っていく。始めのジャンプと三角飛びの要領で、10メートルくらいの所にしがみつく。幹に指を指して握っているような形だ。足の踏ん張るところが無いので、腕の力だけで20メートルほど登ると、やっと枝に到着する。
枝を伝いどんどんと上へ進んでいき、天辺に近付く。幹は多少細くなっているが、天辺付近でも直径20センチメートル位あるんじゃないかな?
一番高そうに見えた木なのだが、他にも同じくらいの木がたくさんあるので、見渡しにくいが……うん、これは全く知らない世界だな。
バッハとかに乗って色々な場所を見たりしたけど、こんな景色は見たこと無かった。何に近いかと聞かれれば、ダンジョンの中にある法則を無視した、森林系のダンジョンだと思う。あそこには、俺の知らない植物とか普通にあったからな。
「でも見える範囲に、鳥もいないし生物も見当たらないんだよな。山ではないみたいだし……水場を探すべきか? 良く分からないけど、向こう側は森が途切れている気がするんだが……崖だったりしないよな?」
身体能力に物を言わせて走ってもいいが、その時にこの世界の生物に遭遇して、もし相手が俺より強かった場合は、とても困ってしまう。樹海を歩くような慎重さで、水場を探すべきか?
何でこんな夢を見ているのか、まったく意味が分からんな。
0
お気に入りに追加
449
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい
一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。
しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。
家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。
そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。
そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。
……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──
勇者に幼馴染で婚約者の彼女を寝取られたら、勇者のパーティーが仲間になった。~ただの村人だった青年は、魔術師、聖女、剣聖を仲間にして旅に出る~
霜月雹花
ファンタジー
田舎で住む少年ロイドには、幼馴染で婚約者のルネが居た。しかし、いつもの様に農作業をしていると、ルネから呼び出しを受けて付いて行くとルネの両親と勇者が居て、ルネは勇者と一緒になると告げられた。村人達もルネが勇者と一緒になれば村が有名になると思い上がり、ロイドを村から追い出した。。
ロイドはそんなルネや村人達の行動に心が折れ、村から近い湖で一人泣いていると、勇者の仲間である3人の女性がロイドの所へとやって来て、ロイドに向かって「一緒に旅に出ないか」と持ち掛けられた。
これは、勇者に幼馴染で婚約者を寝取られた少年が、勇者の仲間から誘われ、時に人助けをしたり、時に冒険をする。そんなお話である
チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい
616號
ファンタジー
不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
エラーから始まる異世界生活
KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。
本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。
高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。
冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。
その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。
某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。
実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。
勇者として活躍するのかしないのか?
能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。
多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。
初めての作品にお付き合い下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる