ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第1921話 意外な食材の人気

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 全員の肉球マッサージを終えた。時刻は18時30分。ちょうど食事の始まる時間だな。

 パンッパンッ

 ウルが手を叩くと、くつろいでいた猫たちがもう1度ウルたちの前に集まって、列を作っている。先頭の猫は、座っているウルたちの膝に触れるほど近くでお座りをした。ウルたちが手を伸ばすと、後ろ足で立って両手をウルたちに捕まれる体勢になった。

 何をしているかと思えば、肉球の最終チェックだってさ。モニモニしてもらっている猫たちは、何やら気持ちよさそうだな。さっきまでマタタビを嗅いだ猫みたいに、半分トリップしてたのにまた様子が変わってる。

「なぁダマ、お前の肉球って、小さい時はモッチモチなのに、何で大きくなるとゴツゴツになるんだ? フブキやランの肉球は柔らかいのに、ダマは何で硬いんだろうな?」

 俺の前には誰も来てくれなかったので、しょうがなく来てくれたダマのお腹をモフモフしながら、疑問に思ったことを聞いてみた。

『分からないですね……自分が触るわけではないので、硬くても柔らかくてもあまり気になりませんので。ただ体が大きいのに柔らかいと、痛くないのかな? とは思いますが、どうなんでしょうかね? 小さければ、体も軽いので痛く感じないと思いますが……』

 そう言われるとそうだな。体が大きいまま肉球が柔らかいと、砂利道とか歩くと痛くないか? 地球のネコ科動物も、大きくなれば大体肉球は硬いもんな。そういえば、犬って大きくても小さくても、肉球が堅いイメージがあるけど、実際はどうなんだ?

「肉球に限った話じゃないが、レベルが上がると肉体の防御力が上がるよな。だけど、ステータスの値が同じでも、男と女では肌の触り心地って違うよな? 別に硬くなったわけじゃないのに、剣が刺さらなかったりとかさ。それが肉球にも影響するのかな?」

『そう言われると、不思議ですね。奥方たちは、女性らしく柔らかですが、あの肌にも安物の剣だと傷が付けられないんですよね。猫先輩たちのLvなら、剣山を歩いても平気なくらい強そうです』

 肉球の神秘! ではなく、ステータスの神秘だな。

 おっと、全員の肉球確認が終わったようだ。そのまま夕食に行くみたいだな。先頭をミーシャ、スミレ、ブルムの3人が歩き、姉たちに手を引っ張られ、下の子3人が歩いている。その後ろを、お尻や尻尾をフリフリしながら猫たちが並んで歩いている……可愛いな。その後ろを、ウルと並んで俺が歩いている。

 でもさ、尻尾をあげて歩いている猫たちよ、お尻の穴が見えてるぞ! 恥ずかしくないのか? って聞いても、恥ずかしいわけがないんだよな。猫同士はお尻のニオイを嗅ぐと、いろんなことが分かるらしいけど、人間でやったら……ただの変態だな。

 おや? 食堂について少し違和感があった。パッと見て、どこが変わったわけでもないのだが、何かが違うきがする。何が違うのか分からずに、モヤモヤする。何度見ても、やっぱりわからん。

 気にしすぎかね? 良く分からんのに、考えすぎちゃいけないよな。自分の席に座り、子どもたちが7人で猫たちの餌を運んでいるのを見る。下の子たちも手伝うようになったんだな。

 ん? いつもと同じ器だけど、入っている餌が違うな。少しだけ体を伸ばして覗いてみると、食堂に入って気になった違和感に気付くことができた。

 食堂の中の匂いが、いつもと少し違ったのだ。意識して嗅いでいるわけではないので、入った瞬間には気付けなかったのだが、猫たちの餌を見て気付けた。ちょっと高級な、猫缶をイメージして作られた猫たちの餌の匂いが、微かにしたので違和感があったのだ。

 今までにも嗅いだことはあるのだが、意識しているかしていないかの差は大きいのだろう。猫の日だから、餌も豪華にしているのだろう。普段の餌も美味しいと思うけど、スペシャルな餌はもっと美味しいのだろう。前に餌を並べられた猫たちが、若干ソワソワしているのが分かる。

 全員揃うまで食べられないので、餌と子どもたちに視線を行ったり来たりさせている。全員揃ったところでウルが挨拶をすると、すごい勢いで食べだした。いつもより量は多いが、月に1回の贅沢な日みたいな感じかね。

 あ~、ちょっとご飯に間に合わず帰ってきた時に、猫たちのご飯が食い終わっている日があったな。いつもなら、何匹かはまだ食べている時間なのに、その日だけは全員食事を終えて食堂にいなかった日が……それって、こういうことだったのか!

 俺たちも食事にしますかね。今日は珍しく、子どもたちに囲まれての食事だな。何か理由でもあんのかな?

 疑問に思っていると、魔導コンロが運ばれてきて俺の前にセットされる。あれ? 子どもたちの椅子が、普段と違うな。足掛けがあり、椅子の足が広がっていて、倒れにくくなっているタイプの椅子だ。ってことは、久々にあれが来るのか。

 目の前に運ばれてきた鍋には、チーズがトロトロに解けてたくさん入っている。鍋の周りにはいろんな食材が並べられており、子どもたちにもチーズフォンデュを食べる時に使う、刺す奴を渡していた。

 多分だけど、下の子たちは自分でやるのは今日が初めてじゃないか? 手伝わなくて大丈夫かと思ったが、遅れてやってきた、生みの親たちが隣に座った。シンラと離されたプラムとシオンは、若干不貞腐れているが気にしたら負けだろう。

 俺は初めに、プチトマトから! 少し温められていたのか、刺し心地がちょっと柔らかい。全体にまんべんなくチーズをつけて、口へ運ぶ……甘!? プチトマトが、驚くほど甘かったのだ。

 チーズの塩味を考慮しても、この甘さは不自然というか、色々とおかしい気がするのだが……どういうことなの、シルキー先生!

「シュウ様、それはフルーツトマトです。チーズをつけずに食べても、ものすごく甘いトマトです」

 フルーツトマト……確か、フルーツトマトという品種があるのではなく、普通のトマトで水をできる限り与えずに作ると、実が甘くなるとかいうあれだよな。めっちゃ甘い。シンラなんか、既に3つ目を口に運んでいる。それだけで、お腹いっぱいになるんじゃないか?

 アスパラ、ベーコン、ニンジン、ブロッコリー、ソーセージ、エビ、貝等々、色々な種類を食べ尽くした。

 プチトマトが一番先に品切れになりました。最後に食べようと取っておいたプチトマトは、シンラに奪われて俺のシメは、サクサクとしたパンにチーズをたっぷりつけて食べたよ!
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