ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第1860話 1階の最後にまっていたモノ

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 卑怯だ! インチキ! と言われるのを無視して、1階の構造を見る。

「お~お~、神たち怒ってるわね。まさか突破したエリアが、1階の10分の1にも満たないって分かったら、どんな罵声が飛んでくるのかしら?」

 綾乃は楽しそうに、聞こえてくる神たちの罵声をケラケラと笑いながら、俺と同じことを考えていた。

「そうでござるな。本来なら、階層を分ければいいだけなのに、踊り場をつけてあえて別けないで高さ1キロメートルの階層を作ったと知られれば、怒号ものでござるな。しかもそのエリアが中腹で、上に行ったりしたに行ったりしている知られれば、某もキレるでござるな」

 俺が作った1階なのだが、奴らが侵攻しているエリア……1階だと思っていた場所は、高さ1キロメートルある1階の中腹付近なのだ。これから上下に激しく移動する造りになっており、ちゃんとした司令塔がいないと、悲惨なことになるだろう。

 ダンジョンマスターが掌握している魔物には、一応意思伝達をできるが、それを理解できる頭が無ければ、このフロアは抜けられないだろう。ダンジョンは、上か下に攻めていくものなので、上下に移動が激しいとバカな魔物は混乱してしまうのだ。

 これを回避するには指揮のできる魔物か、Bランク以上の頭のいい魔物でないと厳しいと思われる。まぁ、Lvを上げて強制的に頭を良くしてもいいのだが、序盤の使い捨てでそこら辺を出してくることは少ない。

 しばらく、ゴチャゴチャした侵攻が続くだろうな。

 そこから2時間くらい経つと、

「上下に3回くらい移動したあたりで、使い捨ての駒が動かなくなったわね。混乱しすぎて、敵のダンジョンマスターの指示を理解できていないのかもね」

「そうでござるな。某とアンデッドの指示とは違い、ダンジョンマスターから通常の魔物への指示は、魔物が理解できるかが重要でござるからな。それを回避するための、上位種でござるのに……未だに1匹もいないでござるな」

 ゴブリンやコボルトなどの最下級魔物でも、指揮のできるジェネラルがいれば多少変わってくる。でも、ゴブリンクラスではジェネラルでも、Lvを上げないと頭が悪いので、この場合はキングがベターだと思われる。

 キングがいるだけで、烏合の衆だったゴブリンが、使い捨ての駒としてまた動かせることを考えれば、それくらいのDP消費は大したことないだろう。ましてやランカーであれば、微々たるものだ。なのにそれをしないのには、何か理由があるのかな?

「なぁ、今回のダンジョンバトルって、相手は無制限なのかね?」

「……なるほどでござる。無制限でござったら、この状況はおかしいでござるな」

「何がおかしいのよ?」

 綾乃は俺の言いたいことが理解できていないようだ。結構勘の鋭いところもあるけど、興味ないことになるととことんアホの子になるからな……

「ダンジョンバトルが開始されて3時間が経ってる。なのに、指揮官クラスが送り込まれないで、物量で攻めてきているのが変わらないのは、変じゃないかなってな。後、Sランクに相当する魔物が少ない気がするんだよな……無制限ならもっといてもいいかな? って思うんだ」

「そう言うことね。確かにね、言われてみれば不自然だわ。魔物の数で制限されているのでなければ、使えるDPに制限があるのかしら? でも、神たちの賭けでは、3~5日あたりで攻め落とされるって言うのが、多いんでしょ? 序盤だけ制限がかかってるんじゃない?」

「おぉ~、そういう風にも考えられるな。3~5日って言っても、1時間ごとに細かく区切られていて、賭けがそこに集中しているみたいだな」

 俺はダンジョンバトルの中継機能をいじって、神たちの賭けのオッズを表示してみた。

「2日目の後半から増えているでござるな。それで、5日目の終わりに近づくにつれて減っている感じでござる。1日目は、某たちに油断させるために、制限を設けている……的な、あれでござるかね?」

「ん~……神たちならしそうだけど、考えても分からんな。なら出来ることをしようかね」

 大量にいる雑魚は半分程進んだところで混乱しているが、Lv300を超えている数十体の魔物は、ダンジョンマスターの指示が理解できているようで、他の強い魔物と連携しながら1階の最下層に辿り着きそうなのだ。

「やった! 専用機を使って、戦っていいのよね? 一緒に戦う人造ゴーレムとリンクさせたいから、早く行くわよ!」

 綾乃がやってみたいということで、1階のボスとして強化外骨格の専用機3体と、人造ゴーレム15体を配置している。専用機が3体なのは、綾乃だけ楽しむのはズルいと言うことで、綾乃の機体をベースに自分たちなりに改造したのを準備している。

 Sランク相当の戦闘力がある人造ゴーレムだが、その出力に限界があるので、Lvで強さの変動する魔物に後れを取ることは多々ある。

 専用の遠隔操縦席へ入り、各専用機が5体の人造ゴーレムとリンクする。この5体は、リンクした専用機をサポートするような動きをする設定が組み込まれている。もちろん、盾として自分の身を犠牲にして、専用機を守るようにも設定されている。

『シュウ、バザール、前のフロアで数が揃うのを待ってるみたいよ。どうする?』

『某は、少ないうちに突っ込んで数を減らしたいでござるな。今回のルールだとメンテナンスが難しいでござるから、それを考えるならダメージは出来る限り減らしたいでござるね』

「ここで敵を全滅させると、お前たちのフロアのお披露目が遅くなるけど、それはいいのか?」

『まだ始まったばかりだから、いいんじゃない? それに、全部集まると数で押し込まれて、今日中に突破されるかもしれないわよ?』

 今でも数で負けているのに、更に増やす必要はないのでは? というのが、綾乃の言い分か。とはいえ、

「ここは、綾乃の指示に任せる約束だから、お前の自由にしていいぞ」

『了解! ファンタジーの世界に来て、まさかゲームのロボットみたいなのを操るとは思わなかったけど、私たちが楽しむために、全力でやるわよ! 進軍開始!』

 進軍って……合わせて18体、大隊規模の数も揃ってないのに、軍と言ってしまうのか……軍というより群れだと思うぞ! 後お前、先の国攻めで専用機使ってたのに、そのセリフはどうなんだ?
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