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第1858話 ダンジョンのコンセプトは?
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「なるほどね。ダンジョンバトル用のダンジョンを作るから、手伝ってほしいってことよね? 全力を尽くすとか言ってるけど、負けるつもりは無いのよね?」
「そうでござるな。やるからには勝つつもりでござろうが、あの顔はすでにいくつか対策を考えている顔でござる。普通に考えて、1キロメートル四方のダンジョンで6階分で1週間となると……勝てる訳が無いでござる。しかも相手が1人や2人ではなく、3桁でござる」
「そうね、どんなに強い魔物を用意しても、さすがに数の暴力で押し切られるのは、目に見えているわね。だけど、その対策は考えているんでしょ?」
「もちろん。チビ神が1キロメートル四方って言ったときに、ピンッと来たね。平面的な話ではなく、立体にすればいいんじゃね? ってね」
「アリの巣みたいなダンジョンを作るでござるか?」
「例えとして言えば、それが近いかもな。坂道ローション地獄からの即死トラップとかも使ってみたいしな。他にも回避の難しい即死トラップをいくつも用意するつもりだぞ。前に話した、あのトラップを採用するつもりだ」
「あ~あの無駄に殺意の高いトラップ談議をした時のあれを使うのね……でもさ、立体的にしたからと言って、それを1階分として認めてもらえるの?」
「綾乃は、詳しいダンジョンの階層分けについて知らないのか。簡単に言えば、階段を使用して移動すると階層を跨いだことになるんだよ。まぁ細かい項目があるから、階段だけで階層を跨ぐわけじゃないけど……細かい説明はいるか?」
「いや、いらない。知ってもしょうがないし、知らなくても問題ないんでしょ? だったら覚える必要ないもん。それより、楽しいトラップダンジョンを作りたいわね!」
「綾乃ならそう言うと思った。一応、簡単に作るルールを伝えるから、それに沿って作ってもらいたい」
そう言って、2人に俺の官界のコンセプトを話す。
「トラップや立体的なダンジョン以前に、そのダンジョンのコンセプトが凶悪だわ。それじゃあ、誰も突破できないんじゃないかしら?」
「そうでござるな……その作り方だと、どれだけの数の魔物が侵攻できるでござるか? それに、即死トラップやこちらの配置する魔物を考えれば……折り返し地点までたどり着けるか謎でござるな」
「これだと防衛側が有利すぎて、次回からは使えない方法だけどな。確実に収納のアイテムの中を検索できるようにしたいからな。絶対に無様な試合だけはしないぞ。どうせ天界では賭け事をしているだろうから、俺に全部賭けるように言っておくか」
「バザール、あんたこのダンジョンの詳細を知っていたとして、1週間で攻め落とせる自信ある?」
「……無理でござるな。まず、攻め手に使える魔物が少なすぎて、相手にならないでござる。通り抜けた後のトラップも問題でござるが、準備する予定の魔物を考えると……手も足も出ないで1週間が終わると思うでござる。配置されるグリムリーパー……死神部隊とはよく言ったものでござるな」
「こんなコンセプトのダンジョンだと、私たちの出番無くない?」
「いや、コンセプトはあんな感じだけど、お前たちには2階3階を自由に担当してもらいたいと思ってる。1階は立体的なオーソドックスなダンジョンで、2階3階はお前たちの考える、極悪なダンジョンを作っていいよ。そこで減った魔物を更にふるいにかけるのが、俺の準備するこのダンジョンの肝だな」
「そうなんだ。じゃぁ、私は1階分を自由に作っていいのね」
「紛らわしい言い方をしたけど、綾乃たちが作るフロアで、トラップを実験してもいいぞ。大量の魔物相手に色々試せるから、色々準備してやれ。細かいところまで完成したら、こっちを手伝ってもらいたいところだけどな」
「了解了解、バザール、私が2階であんたが3階ね。一応仕掛けたトラップは、共有できるように情報を上げておいてね。よしよしよし、楽しくなってきたわ!」
綾乃のテンションがうなぎ上りに挙がっているようだ。バザールはあきれた様子で見ているが、文句を言う様子はない。
「某は、それなりに数の減った魔物相手のトラップを考えるでござるかな。初めからコンセプト通りのダンジョンを作らないのは、4階まで降りてこられたダンジョンマスターたちへの嫌がらせでござるか?」
「まぁね。今回の経緯を考えると、お題になったクジは、チビ神と対立している神たちの陣営で書かれた物かなって。だから、こっちが負ける前提のルールを考えていたんだと思うよ。で、俺が負ける姿と、チビ神が悔しがる姿を見たいんじゃないかってね」
「なるほどでござる。普通にダンジョンを作るのでござれば、攻めてくるダンジョンマスターが20もいれば、負けは必至でござるからね。侵攻されているフロアには、直接魔物を召喚できないでござるからな」
「そう言うこと。だけど、その企みに乗るほど俺は優しくない。この際だから、ド派手に勝ってやるわ! っと、そんな感じだけど……いつも気になってたんだが、お前って骸骨の状態でどうやって声を出しているんだ?」
「本当に突然でござるな。正確なことは分からないでござるが、言葉を発すると極々微量の魔力消費をしている気がするでござるから、魔法的な何かで音を出しているのではござらんか。自動回復の方が圧倒的に勝っているでござるから、どれだけ使っているか分からんでござるけどね」
「そう言うもんか……うっし、相手が決まる1週間後までに、ダンジョンを完成させるぞ! 綾乃のサポートは頼むな」
「了解でござる。某も、サクッと作ってしまいでござるよ」
綾乃に続き工房から出ていくバザールを見送った。
おいチビ神、聞こえてんだろ? ちょっと返事しろ。
『ふぁにふぉ?』
食うかしゃべるか、どっちかにしろよ!
『モグモグモグ…………』
こいつ食うことに集中しやがった。
『ゴックン。で、何? 募集期間中だから念話は問題ないけど、あまり長い時間していると、文句言われるから短めに頼むわよ』
了解。端的に言うわ。今回のダンジョンバトル、絶対に俺が勝つから、お前は限界まで俺の勝ちに賭けろ! 負けた時のことが気になるなら、損した分は俺がDPで可能な限り補填してやるから、限界まで賭けろ、いいな?
『はぁ? なんで今回のルールで勝てると思ってるのよ……さすがのあんたでも、有り余るDPを使っても厳しいでしょ! 絶対にランカーの半分は参加するわよ。勝てるわけないじゃん!』
詳しいことは教えたらいけないはずだから言えないが、絶対に負けない自信があるから言ってるんだよ。信用しろとは言わないが、負けても補填してやるから安心しろ。それに、お前の株を上げるチャンスだろ? チマチマかけるより、一番賭ける奴の少ない所への一点賭け……かっこよくないか?
『……一点賭け、確かにカッコいいわね。負けたとしても、補填してもらえるなら何の問題も無いわ。あ、賭けると賭けたタブレットとか使えなくなるから、新しいの送ってくれない? そうしてもらえるなら、全部賭けるわよ』
オーケー、とりあえず目につくモノ片っ端からデータとして突っ込んだのを送るわ。あ、賭けるのは、締め切り直前な。悩んだふりをして、全部をかけろよ。
『楽しくなってきたわ! ふっふっふ、これに勝ったら私の天下が来るかもしれないわね!』
そりゃよかったな。でさ、色々手に入れられたら、こっちにも融通してくれよな。
『……それが目当てね。勝てる自信があるんだから、それくらい考えていてもあんたならおかしくないか。分かったわ。今回のルールで、あなたの勝ちに賭ける酔狂な神は、ほとんどいないから結構なアドバンテージが入るはずよ! 楽しみにしてなさい!』
そう言ってどっかへ走っていった。
ここで大きな貸しを作っておいて、今回の収納のアイテム内の検索みたいな、こちらに都合のいい物を手に入れるための布石をしておこう。天界で何が賭けられていて、どんなものが支払われるのか知らんが、賭けに勝ってマイナスになることは無いだろう。
俺もダンジョン作りを始めるかね。
「そうでござるな。やるからには勝つつもりでござろうが、あの顔はすでにいくつか対策を考えている顔でござる。普通に考えて、1キロメートル四方のダンジョンで6階分で1週間となると……勝てる訳が無いでござる。しかも相手が1人や2人ではなく、3桁でござる」
「そうね、どんなに強い魔物を用意しても、さすがに数の暴力で押し切られるのは、目に見えているわね。だけど、その対策は考えているんでしょ?」
「もちろん。チビ神が1キロメートル四方って言ったときに、ピンッと来たね。平面的な話ではなく、立体にすればいいんじゃね? ってね」
「アリの巣みたいなダンジョンを作るでござるか?」
「例えとして言えば、それが近いかもな。坂道ローション地獄からの即死トラップとかも使ってみたいしな。他にも回避の難しい即死トラップをいくつも用意するつもりだぞ。前に話した、あのトラップを採用するつもりだ」
「あ~あの無駄に殺意の高いトラップ談議をした時のあれを使うのね……でもさ、立体的にしたからと言って、それを1階分として認めてもらえるの?」
「綾乃は、詳しいダンジョンの階層分けについて知らないのか。簡単に言えば、階段を使用して移動すると階層を跨いだことになるんだよ。まぁ細かい項目があるから、階段だけで階層を跨ぐわけじゃないけど……細かい説明はいるか?」
「いや、いらない。知ってもしょうがないし、知らなくても問題ないんでしょ? だったら覚える必要ないもん。それより、楽しいトラップダンジョンを作りたいわね!」
「綾乃ならそう言うと思った。一応、簡単に作るルールを伝えるから、それに沿って作ってもらいたい」
そう言って、2人に俺の官界のコンセプトを話す。
「トラップや立体的なダンジョン以前に、そのダンジョンのコンセプトが凶悪だわ。それじゃあ、誰も突破できないんじゃないかしら?」
「そうでござるな……その作り方だと、どれだけの数の魔物が侵攻できるでござるか? それに、即死トラップやこちらの配置する魔物を考えれば……折り返し地点までたどり着けるか謎でござるな」
「これだと防衛側が有利すぎて、次回からは使えない方法だけどな。確実に収納のアイテムの中を検索できるようにしたいからな。絶対に無様な試合だけはしないぞ。どうせ天界では賭け事をしているだろうから、俺に全部賭けるように言っておくか」
「バザール、あんたこのダンジョンの詳細を知っていたとして、1週間で攻め落とせる自信ある?」
「……無理でござるな。まず、攻め手に使える魔物が少なすぎて、相手にならないでござる。通り抜けた後のトラップも問題でござるが、準備する予定の魔物を考えると……手も足も出ないで1週間が終わると思うでござる。配置されるグリムリーパー……死神部隊とはよく言ったものでござるな」
「こんなコンセプトのダンジョンだと、私たちの出番無くない?」
「いや、コンセプトはあんな感じだけど、お前たちには2階3階を自由に担当してもらいたいと思ってる。1階は立体的なオーソドックスなダンジョンで、2階3階はお前たちの考える、極悪なダンジョンを作っていいよ。そこで減った魔物を更にふるいにかけるのが、俺の準備するこのダンジョンの肝だな」
「そうなんだ。じゃぁ、私は1階分を自由に作っていいのね」
「紛らわしい言い方をしたけど、綾乃たちが作るフロアで、トラップを実験してもいいぞ。大量の魔物相手に色々試せるから、色々準備してやれ。細かいところまで完成したら、こっちを手伝ってもらいたいところだけどな」
「了解了解、バザール、私が2階であんたが3階ね。一応仕掛けたトラップは、共有できるように情報を上げておいてね。よしよしよし、楽しくなってきたわ!」
綾乃のテンションがうなぎ上りに挙がっているようだ。バザールはあきれた様子で見ているが、文句を言う様子はない。
「某は、それなりに数の減った魔物相手のトラップを考えるでござるかな。初めからコンセプト通りのダンジョンを作らないのは、4階まで降りてこられたダンジョンマスターたちへの嫌がらせでござるか?」
「まぁね。今回の経緯を考えると、お題になったクジは、チビ神と対立している神たちの陣営で書かれた物かなって。だから、こっちが負ける前提のルールを考えていたんだと思うよ。で、俺が負ける姿と、チビ神が悔しがる姿を見たいんじゃないかってね」
「なるほどでござる。普通にダンジョンを作るのでござれば、攻めてくるダンジョンマスターが20もいれば、負けは必至でござるからね。侵攻されているフロアには、直接魔物を召喚できないでござるからな」
「そう言うこと。だけど、その企みに乗るほど俺は優しくない。この際だから、ド派手に勝ってやるわ! っと、そんな感じだけど……いつも気になってたんだが、お前って骸骨の状態でどうやって声を出しているんだ?」
「本当に突然でござるな。正確なことは分からないでござるが、言葉を発すると極々微量の魔力消費をしている気がするでござるから、魔法的な何かで音を出しているのではござらんか。自動回復の方が圧倒的に勝っているでござるから、どれだけ使っているか分からんでござるけどね」
「そう言うもんか……うっし、相手が決まる1週間後までに、ダンジョンを完成させるぞ! 綾乃のサポートは頼むな」
「了解でござる。某も、サクッと作ってしまいでござるよ」
綾乃に続き工房から出ていくバザールを見送った。
おいチビ神、聞こえてんだろ? ちょっと返事しろ。
『ふぁにふぉ?』
食うかしゃべるか、どっちかにしろよ!
『モグモグモグ…………』
こいつ食うことに集中しやがった。
『ゴックン。で、何? 募集期間中だから念話は問題ないけど、あまり長い時間していると、文句言われるから短めに頼むわよ』
了解。端的に言うわ。今回のダンジョンバトル、絶対に俺が勝つから、お前は限界まで俺の勝ちに賭けろ! 負けた時のことが気になるなら、損した分は俺がDPで可能な限り補填してやるから、限界まで賭けろ、いいな?
『はぁ? なんで今回のルールで勝てると思ってるのよ……さすがのあんたでも、有り余るDPを使っても厳しいでしょ! 絶対にランカーの半分は参加するわよ。勝てるわけないじゃん!』
詳しいことは教えたらいけないはずだから言えないが、絶対に負けない自信があるから言ってるんだよ。信用しろとは言わないが、負けても補填してやるから安心しろ。それに、お前の株を上げるチャンスだろ? チマチマかけるより、一番賭ける奴の少ない所への一点賭け……かっこよくないか?
『……一点賭け、確かにカッコいいわね。負けたとしても、補填してもらえるなら何の問題も無いわ。あ、賭けると賭けたタブレットとか使えなくなるから、新しいの送ってくれない? そうしてもらえるなら、全部賭けるわよ』
オーケー、とりあえず目につくモノ片っ端からデータとして突っ込んだのを送るわ。あ、賭けるのは、締め切り直前な。悩んだふりをして、全部をかけろよ。
『楽しくなってきたわ! ふっふっふ、これに勝ったら私の天下が来るかもしれないわね!』
そりゃよかったな。でさ、色々手に入れられたら、こっちにも融通してくれよな。
『……それが目当てね。勝てる自信があるんだから、それくらい考えていてもあんたならおかしくないか。分かったわ。今回のルールで、あなたの勝ちに賭ける酔狂な神は、ほとんどいないから結構なアドバンテージが入るはずよ! 楽しみにしてなさい!』
そう言ってどっかへ走っていった。
ここで大きな貸しを作っておいて、今回の収納のアイテム内の検索みたいな、こちらに都合のいい物を手に入れるための布石をしておこう。天界で何が賭けられていて、どんなものが支払われるのか知らんが、賭けに勝ってマイナスになることは無いだろう。
俺もダンジョン作りを始めるかね。
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