ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第1826話 青龍、ゲットだぜ!

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 釣りというと語弊があるが、表現すると一本釣りが一番表現に会う気がしたので、そういうことにしておこう。

 シリウス君が、俺のお願い……娘たちのお願いを聞いて、水深2000メートル付近にいる青龍に向かって、水流操作の魔法を使った。

 シリウス君から、膨大な魔力を感じる。2000メートル以上離れている場所に水流を作るのだから、これくらいの魔力は必要だと思うが……さすがの俺も背筋が寒くなる圧力を感じる。

 俺だって2000メートル先に影響を与えることなら、問題なくできる。でもそれは、魔法を2000メートル先に飛ばして、攻撃するという意味で影響を与えられるが、2000メートルもの先の物を動かすようなことは出来ない。

 壁みたいなものなら、もしかしたら作れるかもしれないが、作るだけでその後は……どうにもならないな。シリウス君みたいに、動かすことは不可能だろう。ごく短時間だけでいいなら、魔力が枯渇する勢いで頑張れば……何とかなるかもしれない。

 上空に石を生み出して、落とすくらいなら出来るが、自分の意志で動かすのは……やっぱり無理だと思う。

 いくら水の司る天災級の魔物だとしても、相性がいいからと言ってここまで出来る物なのだろうか?

「シエル、お前って水を司る聖獣だったよな?」

『そうですな。言いたいことは分かるのじゃが、わらわにはあんな芸当は無理ですぞ。せいぜい出来て、500メートル程かと……』

「やっぱりそうだよな。メグちゃんと一緒にいると、ポンコツ感が抜けないシリウス君だけど、やっぱり天災級の魔物なんだな……」

 あり得ない規模の魔法を使っているのに、シリウス君が天災の部分に反応して、ちょっと得意げな仕草を取っている……あ~、これは多分、天災てんさい天才てんさいと勘違いしているんだろうな。

 俺には良く分からないのだが、自動翻訳スキルが悪さをして、反応しているんだと思うんだよな。俺的には天災のつもりで言っても、シリウス君には天才って聞こえている……みたいな?

 それはどうでもいいのだが、シリウス君が魔法を使い始めて2分くらいが経過したかな?

 目に見えて水面に波のようなものがたっている。結構早かったな。そう思った次の瞬間に、とぐろを巻いた状態の青龍が、水球に包まれた状態で目の前に現れた。

 ……マジか! 水流操作だと思っていたのだが、対象……青龍を包んだ状態で動かしていたのか。離れた場所にいた青龍を逃がさずにそのまま持ち上げたってことか、予想以上にやべえな。

 シリウス君は、娘たちに褒められて喜んでいるが、一時も魔法の制御を緩めていない。さすが、リバイアサンだな。

「えっと……ダマ、シエル、グレン、誰でもいいから説得するなりしてくれ」

 3匹が揃って前に出て、何やら話し始めた。念話の凄いところは、使うモノが伝えたいモノに対して言葉を送ることができる点だ。普段は疲れるからと、伝える対象を限定しないで垂れ流すのだが、今回は4匹で話し合うようだな。昔なじみでの会話を邪魔するほど野暮じゃないぞ!

「シュウ君、多分考えていることは外れていると思うわ」

 ミリーに考えていることを読まれて、どこが間違っているのだろう? と首を傾げた。

「分かってないみたいだから教えるけど、シエルのときもグレンのときも、少しオイタが過ぎたので制裁されてたのを忘れてない?」

 ……シエルは確か、メグちゃんと戯れて瀕死になって、海産物エリアで加工品を食って回復したところを、シェリルたちにボコられたんだっけ? ダマを連れて行った所、ダマを引き込んで俺たちを倒そうとしたけど、ダマに首根っこを噛みつかれて……見えない所へ連れていかれたんだっけ?

 戻ってきたら、傷が増えていたのを思い出した。

 グレンのときは……火山エリアに休憩所を作って、アダマンタイト製の扉をつけたら、夜中に扉を叩いて開いたらいきなり暴言を吐いたんだっけ? それでグレンもダマの手を借りて、俺たちを倒そうとしたけど……逆に取り押さえられたんだったっけな?

 そうならないように、内輪で先に話をつけるつもりかね?

 シエルもグレンも、俺たちには実害がなかったから気にしてなかったけど、もし青龍が俺たち……特に娘たちに怪我をさせようものなら、確実に殺されるな……俺は止めずに真っ先に突っ込むから、反対に俺が止められそうだ。

 妻たちに止められた後に、暴走した従魔たちの誰かに殺されるだろうな。一緒に付いてきている、亀戦隊も娘たちのことを好いているので、苛烈な攻撃が予想される。

 そもそも、シリウス君の水球から出られていない時点で、シリウス君に生殺与奪を握られている状態だな。水深2000メートルの水圧でも問題なかったとしても、リバイアサンの力をもってすれば、数万メートル級の圧力をかけられるだろう。

 水圧か……そういえば、逆に圧力を抜いたらどうなるんだ? 真空みたいに、水の圧力を抜く……そんな事出来るのか? 圧縮の逆をすればいいと思うんだけど、真空状態より強い力がかかるんかね?

 理科の実験で、フラスコに水を入れて少し気泡を残しゴム栓をし逆さまにして、実験用注射器を繋げて空気を抜く要領で注射器を引っ張ると、気泡が大きくなったっけ? 確か圧力が減ったから、空気が膨張して真空に近い状態になるとか、先生が言ってたっけ?

 人間の体でそれが行われれば……吐き出せなかった空気で肺が破裂するか? それは圧力がかかった状態の水深何十メートルから、息を吐かないで急浮上したときだっけ?

 気になって調べてみた所、NASAの答えによると

『宇宙空間に生身で放り出されたとしても、30秒ほどなら後遺症が残ることは無い。ただし、息を止めると肺を損傷する恐れがある。10秒したあたりから、命にかかわらない程度の問題が生じるが、体は破裂しないし血液は沸騰しない。即座に意識を失うことも無い。やがて酸素が無くなり意識を失って、死亡に至る』

 ということらしい。

 そんなことを調べている内に、4匹の聖獣の話し合いが終わっていた。

『主殿、青龍は問題なくこちらの話を聞いてくれました。隷属魔法を使っても大丈夫です』

 そう言われたので、シリウス君に水球を寄せてもらい、小さくなった……ウミヘビ? の頭を触り、隷属魔法をかけた。すんなりと受け入れてくれたので、問題なく俺に隷属することになった。

 後でダマにどんな話をしたか聞いてみたら、シリウス君の魔法に囚われて絶対勝てないと判断したので、大人しくしていたそうだ。死なない道があるなら、その道を選択する! と言っていたので、俺に隷属して、ルールを破らなければ生きられる、と説明したんだってさ。
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