ダンマス（異端者）

第1796話 休まる一時

　フルアダマンタイト製の人造ゴーレムを何とか作り終えると、夕食の時間になっておりブラウニーの１人が工房の前で仁王立ちしていた。空を飛びながら仁王立ちしているので、立っていると言っていいのか謎である。

　今日は妻たちの連名で、シルキーたちに俺が遅くなっても、怒らないようにお願いが出ているので、怒られることは無かったけど、無言の圧力が強くのしかかってきている。

　夕食は……俺の好物である、鳥尽くしだった。油淋鶏ウマー。唐揚げウマー。親子丼ウマー。調子に乗って食い過ぎた。気が滅入ることがあったから、今日はこのくらい許してくれ。

　あっと、誰かグリエルたちからの報告聞いているか？　ピーチが代わりに、報告を聞いてくれていたようだ。

　到着したサイレントアサシンが、街中を隅々まで探しているが、今のところいなくなった本人と、思われる者たちは見つかっていない。初日である今日は、勇者たちから５０メートルは離れて探し回っているので、探せていない場所がそれなりにある。

　本命である勇者たちが借りている建物だが、誰かが家に残っているため近付けないでいるのだ。それなりの大所帯でフレデリクに来ているので、自分たちで家を探し集団生活を送りながら、商会からの依頼を受けたり冒険者活動をしているそうだ。

　俺は見張っているサイレントアサシンに向かって、深夜に１０００体のサイレントアサシンで侵入して、家の中を探すように命令する。

　強化していて１０００体も侵入させれば、家の中くらい探せるだろう。それでも、もしものことがあるので、後続にも準備させておく。マップ先生から存在は隠せても、地形は隠せないので隠し部屋の存在も分かっている。

　既に街中は掌握しているので、勇者たちが家を借りた時点で、地形変更が出来ないようにしているので、隠し部屋を作れないと踏んでいる。もしものことがあるので、物量作戦で探してもらう。

　周囲に残りのサイレントアサシンを待機させ、もし１０００体で探しきれなかった場合、時間差で１０００体ずつ追加して侵入するようにも命令する。１、２、３、４０００の順で突っ込むので、４ウェーブでの侵入計画が発動される。

　深夜には情報が届くので、その時間には起きてたいな……今が、２０時か。侵入するのが深夜２時頃を予定しており、６時間ほどあるな。軽くシャワーを浴びて、報告のある前に起きて、そのときにしっかりと風呂に入ろう。

　うっし、決まったら行動は迅速に。報告次第では目が覚めるだろうし、反対に眠くなる可能性もあるし、どっちにしても対応できるように、しっかりと寝るべきだと判断したのだ。

　子どもを産んでいない妻たちは、俺と同じようにシャワーに入って寝るようだ。ミリーたちは子供たちの面倒を看る必要があるので、そっちのお願いをしている。

　下の子たちは、２１時や２２時には寝るので、そこまで苦労しない。プラムとシオンは、シンラの近くにいれば大人しいのでなおさらである。

　それに対して上の子たちは、疲れていないと寝る時間が遅くなってしまうのだ。そして今日は、俺たちがバタバタ動いていたせいで、訓練の時間がなく本を読んだりして過ごしていたため、体力が有り余っているようだ。

　今日は寝るのが遅そうなので、ミリーたちが相手をしないと拙いのだ。ニコたちも、娘たちの相手を頼むぞ！　テトたちも今日は、先輩従魔たちに文句を言わせないから、相手を頼む！

　俺はシャワーを浴びてベッドに潜り込む。今日は誰もいない……そういえば、１人で寝るのは久しぶりかもしれないな。最近は、絶対誰かしらが近くにいた気がするのにな。それが当たり前になっているのか、寂しい感じがするな。

　従魔たちもいないから、なおさら寂しいんだろうな。誰か連れてくればよかった……そんなことを考えていると、扉が開く音がした。入ってきたのは、ダマだった。

　俺が寂しい思いをしてるんじゃないかと、気になって見に来てくれたようだ。ということで確保だ！　起きるまで一緒にいてくれ。できれば、ゴールデンレトリバーくらいのサイズまで大きくなってくれ。

　そのサイズになったダマに横に寝てもらい、抱き着いて枕にして寝ることに。モッフモフやで！　今日の嫌なことをいったん忘れるように、堪能しながら眠りについた。

　深夜１時になると、ダマが肩を叩いて起こしてくれた。お前って本当に器用だよな。良く寝れたな。ダマよ、一緒に風呂に行くぞ。さっぱりしたら軽く食事を用意してくれているから、一緒に食べような。

　お風呂に行く前に、子ども部屋の様子を見ていこう。

　さすがに、この時間は寝てるよな。下の子たちは、テトとライ、ケットシーたちに包まれて寝ている。シンラが、誰かに助けを求めているように手が伸びているのだが、何があったんだ？

　上の子たちは、オオカミや狐たちに包まれて寝ている。でもその中心にいるのが、ランだった。寝顔が少し苦しそうだ。先輩従魔たちに何か言われたんだろうな。いや、無言の圧力かもしれんな。

　よし、風呂に行くぞ。

　そしてお前たちは何でいるんだ？　寝る必要がないから、子どもたちが寝てからお風呂で待ってた？　どうせ寂しかったんだろって？　寂しかったけど、ダマがいたから問題ない。

　だから、ダマをどかして先に洗ってもらおうとするな！　今日はダマが優先だ！　お前たちはあっちに入ってろ！

　鷲掴みにして、水風呂へ投げ込んでおく。遊びじゃないんだから、並ぶな並ぶな！

　スライムたちの相手に疲れながら、一息つくために浴槽へ体を沈める。

　サイレントアサシンたちが侵入する前に、指令室へ行かないとな。ダマを脇に抱えて、後ろにスライムたちを連れて、ダンジョン農園にある指令室へ向かう。

　そこには妻たちが待機しており、シルキーたちが用意してくれた軽食を、並べて待っていてくれた。もちろんダマ用にも、専用の食事が準備されている。

　腹も満たして、サイレントアサシンたちが突入するまで、時間を待つばかりだ。