ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第1771話 すでに調教済み!?

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 普通の猫たちとバステトの話し合いが終わったようだ。どうやら違うところへ移動するようだ。

 向かった先は、子ども部屋でいつも猫たちが陣取っている場所だ。フカフカの毛布や、クッションなどが敷いてある場所だ。

 初期に召喚された猫たちは一番いい所を思い思いに陣取り、綾乃から引き取った猫たちは先輩猫たちの邪魔にならないように陣取る。バステトは、そんな先輩たちの邪魔にならない位置で丸くなった。

 猫って怖いな。いや、怖いもの知らずというべきか? 自分たちより遥かに強い、Sランクの魔物の猫だぞ。そんな猫を、自分たちの下につかせるなんて。

 あっちはいいとして、問題はストームキャットか? 体の大半が埋もれている下の子たちは、気持ちよさそうだな。俺も埋もれたい……けど、既に下の子たちの眷属みたいになってねえか? 俺が召喚したんだけどな……おかしいな。

 おぉ、サンダーキャットとスライムたちの話し合いが終わったようだ。こっちは特に問題はなさそうだ。娘たちに抱き着かれているが、スライムたちは何も反応してないな。召喚した時はちょっとピリピリしてた気がするが、大丈夫そうだな。

 あのピリピリ感は何だったのだろう?

 それにしても、バステトはともかくサンダーキャットとストームキャットは、何で太っちょなんだ? ゴブリンやオークも、召喚するたびに姿が違うもんな。それの一つで、たまたま太っちょ猫なのかね?

 うちの猫はブラウニーたちに栄養管理をされて、しっかり躾られているので太っている猫がいないのだ。だけど、太っちょ猫が好きな俺としてはもう少しふっくらしている猫がよかったのだ……この二匹は嬉しいのだが、ブラウニーたちの躾で痩せないか心配である。あのままで維持をお願いしたい!

 ちょっと娘たちよ、俺にもサンダーキャットをモフらせてくれ。

 さすがに奪う訳にはいかないので、ちょっと視線を送ってみるが全く気付かれずに無視された。落ち込んで背中を丸めていたら、スライムたちが俺の背中に乗ってきた。慰めるのではなく、いじるんかい!

 そんなことをしていたら、夕食の時間になった。

 猫たちも一緒に移動するのだが、バステト・サンダーキャット・ストームキャットの順で猫たちの最後をついてきていた。

 食堂に入る前に三匹が止まって、多分バステトが代表してニャーと鳴く。そうすると、何かに気付いたスカーレットが三匹の前に飛んできた。そうすると、三匹が香箱座りで手を前に少し伸ばして伏せをした。

 三匹が次々にニャーニャーと言って、スカーレットが頷いている。

「よしっ!」

 何が「よしっ!」なのか分からないが、その声と同時に立ち上がり食堂へ入ってきた。既にシルキーの支配下にはいったようだ。

「ご主人様、猫たちですが元々この体型はご主人様の希望なので、維持したいとのことでした。なので、現状維持でよろしいですか?」

 まじか!? スカーレットってこいつらの言ってることが分かるのか?

「話している言葉が分かるのか?」

「いえ、言葉は分かりませんが、ご主人様のことで何かを訴えているのであれば、配下同士通じるものがあるんです」

 知らなかった……ミーシャなんかは、普通に従魔たちと会話しているみたいだけど、それはどうなんだろうか?

「えっと、あんまり太っちゃうとただのデブ猫になるから、ポッチャリくらいだと嬉しいな」

「分かりました。バステトは姿が変えられるようなので自由にさせますが、サンダーキャットとストームキャットは、体重を計りながら様子を見ます。魔物なので成長以外では、体型は変わらないと思いますが、様子観察しますね」

 え? 魔物って体型変わらんのか? 俺は慌ててニコを振り返る……確か召喚した時は、もう少し小さかった気がするのだが、お前は太ったんじゃなくて成長したのか? それより、スライムって成長するのか?

 俺の視線に気付いたニコは、何かを察したのか生まれたときの大きさになっていた。お前って、体の大きさ変えられたんだったな。忘れてたよ。すまんな。

 後でミーシャが教えてくれたのだが、子どもたちの相手をするのには、あの大きさがちょうどいいみたいで、今はあの大きさで生活しているんだとさ。特に、乗ったりクッションになったりするときに、ちょうどいい大きさなのだとか。

 そういう理由があったんだな。

 猫たちは行儀よく餌を貰える場所で待機している。娘たちが餌を運んできても、誰一人としてがっつくようなことは無かった。猫って待てが出来ない猫が多いが、うちの猫は食べていいよと言われるまで絶対に口をつけないのだ。

 娘たちに嫌われるのが嫌と言うのもあるだろうが、それ以上に娘たちの後ろにいるシルキーたちの逆鱗に触れるのが怖いのだと思う。

 前に悪さしたときに、食事が味気ない安物のカリカリだけになり、量も少なかったことが堪えているのだろう。長くやれば虐待になるので次の日に解除されたが、今まで美味しいものを食べていた猫たちからすれば、地獄だったかもしれない。

 うちは従魔も含めて、全員が胃袋を掴まれているからな……俺でも逆らえない。

 おや? 猫たちに餌を置き終わったと思ったら、ウルたちが猫たちの前にしゃがみ手を出していた。何をしているんだ?

 そう思うと、おもむろに猫たちが手を娘たちの手のひらに乗せた……マジか、お手をしている。今日召喚された三匹も含め全員のお手が終わったところで、四人から食べていいと声がかかった。

 今日は、鳥のササミっぽいものに、何かドロッとしたものがかかっているな。猫は濃い味は良くないっていうから、栄養価の高いこいつらが好きな何かなのだろうか? 分からんけど、美味そうに食ってるな。

 俺も食事を食べた。その後にお風呂へ向かうと、召喚した三匹もついてきた。

 猫は頻繁にお風呂に入れるのは良くないから、大丈夫なのかと思ったら、

「この子たちは、魔物だから毎日入っても問題ないんだって! ハクたちと同じみたい! それにとーたんのお風呂好きが遺伝しているみたいだよ」

 と、ミーシャが教えてくれた。この子、本当に魔獣たちの声が聞こえるみたいだな。そういえば、ミリーもテイマーとしての才能があるんじゃないか? って思ったことがあったけど、それも影響しているのかね? ダンジョンマスターの俺とも血が繋がっているし、何か持ってるのかもな。
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