ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
上 下
1,755 / 2,518

第1755話 新しい娯楽?

しおりを挟む
 妻たちが仕事を手伝い始めてから1週間、俺の仕事時間は多少長くなったけど、グリエルたちの仕事はかなり短くなっている。少し余裕ができたせいか、2人とも仕事が早く終わった日は、どちらかが時間まで残りもう片方が帰ることまでできている。

 今までは、仕事が定時に終わることすら稀だったのに、今は定時を越して働くことは無かった。忙しい時期になれば、話は変わるだろうが余裕をもって仕事をできるようになっている。

 職員たちの休暇計画も始まり、大半の人たちがキャンプエリアを利用している。こっちの世界ではキャンプなんて、そこそこ実力のある冒険者しかできないし、その冒険者たちだって気を張って見張りをするため、楽しむ余裕なんてないのだ。

 そんなことが一般の人間に楽しめるのなら、娯楽として成功するのは間違いない! と太鼓判を押されている。帰ってきた人たち全員がそういうので、スーパー銭湯とスポーツジムを合体させた施設と同じように、キャンプエリアも一般開放してほしいとお願いされた。

 ん~、今キャンプが楽しいのは、初めての体験だからだと思うし、楽しさが持続するものかね? それに道具も食材もこっちで準備している物を使ってるから、個人で準備委する必要がないだけで、自分たちで用意するとなると大変じゃねえか?

「お父さん、悩むくらいなら、やってみたらどうですか?」

 早く帰ってきたので子どもたちの部屋でくつろいでいたら、不意にウルが俺に声をかけて来た。どうやら、俺の何か考えてます! が、ウルにばれてしまったようだ。

「ん~、それもそうか。みんなにも意見を出してもらおうかな!」

 俺がそう言うと、遊んでいた子どもたちが俺の周りに集まってきた……みんな可愛いな……

「お父さん、顔がだらしなくなってるよ」

 おっと、いけないいけない。それにしても、シンラが来てくれることは予想していたが、プラムとシオンまで来てくれるとは思わなかったな。ニコの人形をあげてから、下の娘たちの対応が柔らかくなった気がするんだよな。

「えっと、みんなはキャンプ好きだよね?」

 大きく頷いて、キャンプの計画たてるの? 今度は何しよっか! などなど、話し始めてしまったので、計画も立てて良いけど、今回は街の人たちにも開放するかどうか悩んでいたことを伝える。

「解放すればいいんじゃないの? だって、キャンプはたのしいよ!」

「楽しいのは間違いないんだけど、キャンプって道具に結構お金がかかるんだよ。自由に楽しめるようになるのは良いことかもしれないけど、中には一回でやめてしまう人もいるかもしれないだろ? そうしたら、負担にしかならないんだよね」

「とーたん、考えすぎ! 道具は今みたいに貸し出せば問題ないよ!」

「楽しさを知ったら、自分たちで道具をそろえればいいと思うの」

「レンタルできるようにすれば、荷物の持ち運びも必要ないよ!」

 なるほど、馬車にレンタルがあるように、キャンプ道具もレンタルできるようにすればいいのか。そうすれば家で荷物にならずに済むし、今の職員たちと同じように利用できるのか……

 今回は、俺が休暇を取らせたから色々負担してたんだよな。だから気付かなかったけど、俺の頭の中にキャンプの道具……野営の道具は自分たちで買うもの、みたいな凝り固まった考えがあったみたいだな。

 道具に関しては、職員たちの意見も聞いて考えてみるか。

 みんなにお礼を言って、全員の頭を撫で繰り回した。ウルたち上の子は、口で嫌がっているが態度は喜んでいた。シンラは何かの遊びかと勘違いして楽しんでたな。だけど、プラムとシオンは、髪型を気にしてか俺の手をどかそうとしていた……お父さん、ショックだよ!

 みんなで、キャンプの話の続きをしていると、

「シュウ君、面白そうな話をしているのね。キャンプエリアを解放するの? それなら、冒険者ギルドでも使わせてもらえないかな? ディストピアの冒険者って戦闘力は高いんだけど、過保護なダンジョンがあるから、野営のスキルが身につかないのよね……」

 と、話し始めた。

 確かに、ディストピアの冒険者は基本的に、野営をする必要がないのだ。各種資源ダンジョンにもぐっても、30階までは直通の階段があるから、日帰りで帰ってこれる位置で稼げるんだよね。安全を考えて配慮しすぎた結果の弊害だな。

 野営のスキルを教えるための講習会に使えないかと思って、俺たちの話に入り込んできたようだ。

 それなら、冒険者ギルド専用の魔物を調節できるエリアを用意しようか? と聞いたら、喜んで抱き着いてきた。

「とーたんとお母さんが、チューするよ、チュー」

「ミーちゃん、シッ! 聞こえちゃうよ」

「2人とも、うるさいよ!」

 おい、全部聞こえてるぞ! さすがに今は、チューしないよ! って思ってたら、ミリーが頬にキスをしてきた。そうすると、ミーシャたちもする! といって、代わる代わる頬にチューをされた。

 ミリーを見ると、チロリと舌を出しててへぺろみたいなことをしていた……猫耳であざとい仕草、可愛いじゃねえかコンチキショー!

 おいおい、シンラよ。お主のキスはいらないのだが? と思ったら、チューしている姉たちの影響を受けて、プラムとシオンにチューをされそうになって逃げて来ただけだった。俺がにらまれるから、姉かミリーの所に行ってくれ。

 そんな表情をしていたら、ミリーが笑ってシンラを抱き上げた。

 助かったと言わんばかりの表情をしていたシンラは、ミリーにキスをされ、姉たちに「シンちゃんにもチュー」と言われ、なされるがままだった。最後にプラムとシオンに捕まり、左右からチューをされていた。

 ミリーに裏切ったな! みたいな顔をするのは止めなさい! ふくれっ面になっていたので、近くにあったニコの人形を優しく顔に投げた……あれ? クッションにしては重くないか……と思ったら、ニコ本人だった。

 ニコのタックルを食らったシンラは、泣くかと思いきや、めっちゃ喜んでニコをグニグニして遊び始めた。

 ってか、ニコ。お前、この部屋にいつからいたんだ? 俺が来るずっと前から? 擬態していつ気付いてくれるか、ゲームをしていたのか? 何時間も同じ体勢でいても、苦痛を感じないニコならではの遊びかね?

 キャンプの話は、グリエルたちにも聞いてみるかな。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

浮気をした婚約者をスパッと諦めた結果

下菊みこと
恋愛
微ざまぁ有り。 小説家になろう様でも投稿しています。

万分の一の確率でパートナーが見つかるって、そんな事あるのか?

Gai
ファンタジー
鉄柱が頭にぶつかって死んでしまった少年は神様からもう異世界へ転生させて貰う。 貴族の四男として生まれ変わった少年、ライルは属性魔法の適性が全くなかった。 貴族として生まれた子にとっては珍しいケースであり、ラガスは周りから憐みの目で見られる事が多かった。 ただ、ライルには属性魔法なんて比べものにならない魔法を持っていた。 「はぁーー・・・・・・属性魔法を持っている、それってそんなに凄い事なのか?」 基本気だるげなライルは基本目立ちたくはないが、売られた値段は良い値で買う男。 さてさて、プライドをへし折られる犠牲者はどれだけ出るのか・・・・・・ タイトルに書いてあるパートナーは序盤にはあまり出てきません。

Cursed Heroes

コータ
ファンタジー
 高校一年生の圭太は、たまにバイトに行くだけで勉強も部活もやらず一つのゲームにハマっていた。  ゲームの名前はCursed Heroes。リアルな3Dキャラクターを操作してモンスター達を倒すことにはまっていた時、アプリから一通のお知らせが届く。 「現実世界へのアップデートを開始しました!」  意味が解らないお知らせに困惑する圭太だったが、アプリ内で戦っていたモンスター達が現実の世界にも出現しなぜか命を狙われてしまう。そんな中彼を救ってくれたのは、ゲーム世界で憧れていた女ゲーマー『ルカ』だった。  突如始まってしまったリアルイベントに強引に巻き込まれ、自身も戦う羽目になってしまった圭太は、やがてゲーム内で使っていたキャラクター「アーチャー」となり、向かってくるモンスター達を倒す力を身につけていく。  彼はルカに振り回されながらも、徐々に惹かれていくが……。  学校通ってバイトに行って、ゲームをしつつモンスター退治、それとちょっとだけ恋をするかもしれない日常。圭太の不思議な新生活が始まった。

悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます

綾月百花   
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。

生まれ変わった大魔導士は、失われた知識を駆使して返り咲きます。

三歩ミチ
ファンタジー
 大魔導士イリス・ステンキル・ブロット。女ながらに王都で、否、国中で一番の魔導士として、その名を轟かせた。死に際し、彼女は、蘇るための魔法を開発する。そして実際に、蘇った。死体に魂を乗り移らせる、という方法で。 「誰も、私のことを知らない……」  せっかく生み出した新しい魔法の数々も、今となっては誰も知らない、自分だけの知識になっていた。目覚めたらなぜか魔法の使えない体になっていたけれど、イリスの信念は変わらない。 「魔法は誰でも使える」「魔法は何でもできる」  魔法の知識が失われた未来で、イリスの知識と、相棒のニコの魔法を駆使して、ふたりが大魔導士として成り上がっていくお話。 *小説家になろう様にも、投稿しています。

チートなガチャ運でVRMMO無双する!?~没入型MMO「ラスト・オンライン」

なかの
ファンタジー
「いきなり神の剣が出たんですけど」 僕はチートなガチャ運でVRMMO無双する!? 330万PV(web累計)突破! 超大手ゲームメーカーの超美麗グラフィックな大型RPGの最新作「ラスト・オンライン」 このゲームは、新技術を使った没入型MMO、いわゆるVRMMOだった。 僕は、バイト代をなんとか稼いで、ログインした先でチートのようなガチャ運で無双する!! 著/イラスト なかの

地球にダンジョンが生まれた日---突然失われた日常 出会った人とチートと力を合わせて生き残る!

ポチ
ファンタジー
その日、地球にダンジョンが生まれた ラノベの世界の出来事、と思っていたのに。いつか来るだろう地震に敏感になってはいたがファンタジー世界が現実になるなんて・・・ どうやって生き残っていけば良い?   

「私が愛するのは王妃のみだ、君を愛することはない」私だって会ったばかりの人を愛したりしませんけど。

下菊みこと
恋愛
このヒロイン、実は…結構逞しい性格を持ち合わせている。 レティシアは貧乏な男爵家の長女。実家の男爵家に少しでも貢献するために、国王陛下の側妃となる。しかし国王陛下は王妃殿下を溺愛しており、レティシアに失礼な態度をとってきた!レティシアはそれに対して、一言言い返す。それに対する国王陛下の反応は? 小説家になろう様でも投稿しています。

処理中です...