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第1751話 予想外
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仕事を終えて家に帰った後にみんなに相談してみた。やはり、カエデとリンドはやらないと言って、早々に話し合いから離脱。2人とも鍛冶の続きがあるから、と言っていた。こんな時間にか?
ミリーは手伝いたがっていたが、ディストピアの冒険者ギルドを管理しているので、残念ながら違う人に譲るとのこと。ピーチが候補にあがるが、プラムのこともあるので違う人に……俺の予想が外れ、キリエとマリアの年中組コンビが手伝ってくれるとのことだ。
2人に手伝ってほしい内容を伝えると、そんなことでいいのですか? と言われた。
「確かにやってもらいたいことは、簡単な内容かもしれないけど量が量だけに、それなりの時間を取られてしまうんだよ。この家でなら個人で判断してもいいような内容でも、街として管理運営するとなると上の人間が、きちんと読んだうえで判断する必要があるんだ。
で、実験で試してもらうとはいえ、機密情報も扱うのでみんなだったらその情報を知られても、何の問題も無いから手伝ってもらいたいんだ」
そういうものなのだろう、と2人は納得してくれた。
実際に俺のところに回ってくるのは、グリエルとガリアが判断してくれる物もあるからかなり少なくなっている。で、この判断の部分を別の誰かに任せることができないか……というのが、今回の実験目的だ。
次の日、俺は2人と一緒に庁舎へ移動する。
予想していた通り、グリエルはすでに出勤してきており、仕事を始めていた。
「シュウ様、ちょうどよかったです。昨日帰った後に考えたのですが、奥様方に手伝ってもらった後にこちらで確認すると、どうしても後手後手になってしまう可能性があるので、仕分けは私と同じものを行ってもらい、比べるのはどうでしょうか?」
ふむ、そういうことか。今は前日に送られてきた報告書などを、次の日に確認している形だ。なので俺の読む物は、前日にグリエルたちが確認して仕分けした書類だ。中には至急確認してほしいものであれば、直接連絡が入り俺に回ってくることもある。
グリエルたちが俺に回す書類を確認するのは、終業間際になってからだ。間際と言っても、書類の量を見て1~2時間ほど前から確認を始める形だ。次の日の朝にも、帰った後に送られてきた書類を確認するらしい。
なので現状、確認する書類はもうない。というか、グリエルと妻たちが判断した書類を比べるために、早めにグリエルが処理していたかたちである。
それなら時間がかかっても問題ないので、キリエとマリアもグリエルと同じ量を仕分けしてもらおう。判断基準は昨日簡単に説明しているので、思い思いに判断してもらう予定だ。
俺が読まないといけない書類は2人に比べてかなり多いので、慣れていない2人に比べて早く終わる可能性は高いと思う。
そんな風に思っていた時期もありました。
キリエとマリアの処理能力は、俺が思っていた以上に高かった。そして、もっとびっくりする事実が……
「このくらいでしたら、年少組の子たちでも同じくらいで処理できると思いますよ。私たちの今回の仕事は、シュウ様に読んでもらう書類の仕分けです。
中には私たちが読まなくても、シュウ様が読まないといけないタイプの書類があります。そう言ったのにかける時間は必要ないので、早く処理ができるということです。
私たちとグリエルさんの違いは、シュウ様が読まなくてもいい書類でも、自分で判断するためにしっかりと読まないといけない物があるんだと思います。私たちは分けるだけでいいので、その分早くなるということです」
うむ、俺が思っていた通りなのだが、その処理の速さに驚いているのだよ。
その2人は今、グリエルと話している。
書類を仕分けした基準など、情報交換をしているようだ。そのなかで、
「部下の人たちで問題ない書類、グリエルさんが読まないといけない書類、シュウ様が読まないといけない書類、それを分けるだけでも大分仕事の効率は変わりそうですね」
「確かに、私の所へくる書類中には部下たちで問題ない書類も、結構あったりするのですよね。それに時間を取られてしまうことがあるので、地味に困っているのは事実ですね。
それにしても、多少の違いはありますが的確に分けられていますね。ここまで分けていただけるなら、シュウ様の言われていた内容が身にしみますね。昨日の自分を殴ってやりたいところです」
「私たちからすれば、シュウ様を中心に判断しているだけですので、簡単な仕事でした。気になるのは、これくらいのことで、どれだけ負担を減らせるのでしょうか?」
「そうですね……シュウ様に関しては今までと大して変わらないですが、私たちからすると2時間分くらいは余裕ができるのではないかと思います」
だってさ。妻たちが予想以上に優秀だった。だけど、久々に妻たちの愛が重く感じるセリフを聞いたな。『俺を中心に』って、俺としては嬉しいけどね。
グリエルも気になったようで、『俺を中心に判断した』という部分について聞いていた。
キリエ曰く、「私たちからすると、シュウ様を中心に考えることが当たり前なので、説明は難しいですね。ですが、グリエルさんたちは自分を中心に仕分けしているんですよね? その違いじゃないですか?」だってさ。
他にも、グリエルからすれば、自分たちが確認すれば問題ない書類の中から、俺に読ませようとしている書類がいくつかあったそうで、理由を聞いていた。
「グリエルさんが確認すれば問題ないとは思いますが、私たちがシュウ様に読んでもらいたいと思った内容だったから」
今日はグリエルが仕分けした書類を読んでいたが、今日の分が終わった後に妻たちが分けた書類も読ませてもらった。
キリエたちが俺に読ませたかったのは、各街から送られてくる子どもたちに関する報告書だな。なるほどね、子どもたちに対する政策や支援についての書類だな。
確かにこの内容なら俺じゃなくても問題ないけど、俺がよく子どもたちへの支援を行っているから、その後のことをしっかりと知ってもらいたいということだろう。
子どもたちのへの支援は、商会を通じても行っているので、街と商会が行った結果をしっかりと見てほしいと言っていた。
中にはどうしようもない悪ガキだっているが、その極一部のせいで他の子どもたちが、不利益を被らないように頑張っていたりするのだ。
そういったものの報告書は、誰かがまとめた物を読んでいたな。妻たちは、その過程もしっかりと読んでほしいと思たのだろう。
ミーシャたちが生まれてから、俺も妻たちも変わったもんな。自分が生んではいないけど、母親としての自覚がでてきたからな。
俺は、キリエたちの判断基準で問題ないと思ったので、残り5日も手伝ってもらうことにした。
ミリーは手伝いたがっていたが、ディストピアの冒険者ギルドを管理しているので、残念ながら違う人に譲るとのこと。ピーチが候補にあがるが、プラムのこともあるので違う人に……俺の予想が外れ、キリエとマリアの年中組コンビが手伝ってくれるとのことだ。
2人に手伝ってほしい内容を伝えると、そんなことでいいのですか? と言われた。
「確かにやってもらいたいことは、簡単な内容かもしれないけど量が量だけに、それなりの時間を取られてしまうんだよ。この家でなら個人で判断してもいいような内容でも、街として管理運営するとなると上の人間が、きちんと読んだうえで判断する必要があるんだ。
で、実験で試してもらうとはいえ、機密情報も扱うのでみんなだったらその情報を知られても、何の問題も無いから手伝ってもらいたいんだ」
そういうものなのだろう、と2人は納得してくれた。
実際に俺のところに回ってくるのは、グリエルとガリアが判断してくれる物もあるからかなり少なくなっている。で、この判断の部分を別の誰かに任せることができないか……というのが、今回の実験目的だ。
次の日、俺は2人と一緒に庁舎へ移動する。
予想していた通り、グリエルはすでに出勤してきており、仕事を始めていた。
「シュウ様、ちょうどよかったです。昨日帰った後に考えたのですが、奥様方に手伝ってもらった後にこちらで確認すると、どうしても後手後手になってしまう可能性があるので、仕分けは私と同じものを行ってもらい、比べるのはどうでしょうか?」
ふむ、そういうことか。今は前日に送られてきた報告書などを、次の日に確認している形だ。なので俺の読む物は、前日にグリエルたちが確認して仕分けした書類だ。中には至急確認してほしいものであれば、直接連絡が入り俺に回ってくることもある。
グリエルたちが俺に回す書類を確認するのは、終業間際になってからだ。間際と言っても、書類の量を見て1~2時間ほど前から確認を始める形だ。次の日の朝にも、帰った後に送られてきた書類を確認するらしい。
なので現状、確認する書類はもうない。というか、グリエルと妻たちが判断した書類を比べるために、早めにグリエルが処理していたかたちである。
それなら時間がかかっても問題ないので、キリエとマリアもグリエルと同じ量を仕分けしてもらおう。判断基準は昨日簡単に説明しているので、思い思いに判断してもらう予定だ。
俺が読まないといけない書類は2人に比べてかなり多いので、慣れていない2人に比べて早く終わる可能性は高いと思う。
そんな風に思っていた時期もありました。
キリエとマリアの処理能力は、俺が思っていた以上に高かった。そして、もっとびっくりする事実が……
「このくらいでしたら、年少組の子たちでも同じくらいで処理できると思いますよ。私たちの今回の仕事は、シュウ様に読んでもらう書類の仕分けです。
中には私たちが読まなくても、シュウ様が読まないといけないタイプの書類があります。そう言ったのにかける時間は必要ないので、早く処理ができるということです。
私たちとグリエルさんの違いは、シュウ様が読まなくてもいい書類でも、自分で判断するためにしっかりと読まないといけない物があるんだと思います。私たちは分けるだけでいいので、その分早くなるということです」
うむ、俺が思っていた通りなのだが、その処理の速さに驚いているのだよ。
その2人は今、グリエルと話している。
書類を仕分けした基準など、情報交換をしているようだ。そのなかで、
「部下の人たちで問題ない書類、グリエルさんが読まないといけない書類、シュウ様が読まないといけない書類、それを分けるだけでも大分仕事の効率は変わりそうですね」
「確かに、私の所へくる書類中には部下たちで問題ない書類も、結構あったりするのですよね。それに時間を取られてしまうことがあるので、地味に困っているのは事実ですね。
それにしても、多少の違いはありますが的確に分けられていますね。ここまで分けていただけるなら、シュウ様の言われていた内容が身にしみますね。昨日の自分を殴ってやりたいところです」
「私たちからすれば、シュウ様を中心に判断しているだけですので、簡単な仕事でした。気になるのは、これくらいのことで、どれだけ負担を減らせるのでしょうか?」
「そうですね……シュウ様に関しては今までと大して変わらないですが、私たちからすると2時間分くらいは余裕ができるのではないかと思います」
だってさ。妻たちが予想以上に優秀だった。だけど、久々に妻たちの愛が重く感じるセリフを聞いたな。『俺を中心に』って、俺としては嬉しいけどね。
グリエルも気になったようで、『俺を中心に判断した』という部分について聞いていた。
キリエ曰く、「私たちからすると、シュウ様を中心に考えることが当たり前なので、説明は難しいですね。ですが、グリエルさんたちは自分を中心に仕分けしているんですよね? その違いじゃないですか?」だってさ。
他にも、グリエルからすれば、自分たちが確認すれば問題ない書類の中から、俺に読ませようとしている書類がいくつかあったそうで、理由を聞いていた。
「グリエルさんが確認すれば問題ないとは思いますが、私たちがシュウ様に読んでもらいたいと思った内容だったから」
今日はグリエルが仕分けした書類を読んでいたが、今日の分が終わった後に妻たちが分けた書類も読ませてもらった。
キリエたちが俺に読ませたかったのは、各街から送られてくる子どもたちに関する報告書だな。なるほどね、子どもたちに対する政策や支援についての書類だな。
確かにこの内容なら俺じゃなくても問題ないけど、俺がよく子どもたちへの支援を行っているから、その後のことをしっかりと知ってもらいたいということだろう。
子どもたちのへの支援は、商会を通じても行っているので、街と商会が行った結果をしっかりと見てほしいと言っていた。
中にはどうしようもない悪ガキだっているが、その極一部のせいで他の子どもたちが、不利益を被らないように頑張っていたりするのだ。
そういったものの報告書は、誰かがまとめた物を読んでいたな。妻たちは、その過程もしっかりと読んでほしいと思たのだろう。
ミーシャたちが生まれてから、俺も妻たちも変わったもんな。自分が生んではいないけど、母親としての自覚がでてきたからな。
俺は、キリエたちの判断基準で問題ないと思ったので、残り5日も手伝ってもらうことにした。
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