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第1739話 今度は誰だ?
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勇者たちをディストピアに入れることは避けたい。もし何かあった時に、対応しきれなくなる可能性がある。こいつらの話が本当なら、この世界に来たばかりなのだろう。ディストピアではなくゴーストタウンが、メインの街ということにすればいいのでは?
バザールは、街のお偉いさんに連絡を取るふりをして、俺と連絡を取っている状態だ。
バザールには、勇者たちが街で暴れないという条件を引き出し、どうやって移動するつもりなのかを聞いてもらうことにした。
俺はその間にグリエルへ連絡を入れる。
グリエルは、今火山のダンジョンの街づくりに忙しいが、今回は緊急なので呼び戻してゴーストタウンに移動するように命令する。細かい説明はしていられないので1つだけ強い命令として、ゴーストタウンの領主館を掌握するように言いつける。ガリアと一緒に行くようにも命令する。
グリエルは、訳が分かっていないが命令であれば必ず実行してくれる。ゴーストタウンの領主代行である老ドワーフだと、ボロを出しそうだったのでグリエルを向かわせたのだ。
グリエルが移動する前にゴーストタウンの領主館へ連絡を入れ、グリエルが来るから指揮下に入るように伝えておく。
実質、すべての領主館で働いている職員の8割程は、グリエルとガリアの部下であるので、急に行っても反発するような奴はいない。残りの2割は、掃除屋や料理人などの行政の実務に関わっていない人たちだ。
ゴーストタウンも普通の街とは言い難いが、ディストピアよりは幾分かましだろう。街として経済が回っているので、スケープゴートとしては十分だろう。
ダンジョンの中にある街なので、勇者たちは警戒するかもしれないが、嫌ならお帰りいただくだけだ。それにダンジョンの中ならダンマスの監視スキルが使えるから、音声もリアルタイムで拾えるぞ。
どうやら勇者たちは、バザールの話を聞いて最寄りのジャルジャンから、地下道を通ってゴーストタウンに入るようだ。歩かなくてもいいように、馬車を準備するらしい。
グリエルから連絡が入り、ガリアが掌握作業を進めている報告がある。
簡単に現状を説明して、勇者たちが来ることを話した。その対応をしてもらう可能性があるから、グリエルたちをゴーストタウンに移動させたことを伝えた。
なんとなく理解してくれたようで安心した。最悪、俺たちは雲隠れするかもしれないけど、その間も政務頼むな!
2時間もしないうちにバザールが、勇者たちを連れてゴーストタウンに到着する。
移動中、勇者たちに質問攻めに合いうんざりしている様子だったが、頑張ってくれ。俺もスキルで見てたから、勇者たちがウザい気持ちは理解できるぞ。
今から行く街の説明や本当に搾取していないのか、などを中心に俺たちがこの世界の住民に、不利益を与えていないかを確認しているような感じだ。
こいつらの移動中に思ったのだが、世界間の移動って普通の神たちにはできないんじゃなかったか? となると、創造神が暗躍してるのか?
不干渉とか言っていたチビ神も過干渉気味だと思うが、創造神に関しては神たちに干渉することすら稀なのに、勇者たちの世界間移動に関わっているのか?
考えても答えは出ないので、頭の片隅に置いて放置しよう。
ゴーストタウンに到着した勇者一行は、まずは領主館へ移動した。グリエルたちとお互いの自己紹介をした後、
「この街の税に関する資料と、納税の記録を見せていただきたい」
「急に来て何かと思えば、税金に関する資料を見たいですか? あなたたちが何者か知らないですが、目上の人間に対して無礼ではないですか? 普通、領主には会いたいといって、即日会えることなんてありえませんよ? それなのに、バザールさんのお願いだからこの場を設けましたが」
おやおや? グリエルが台本にないことをやっているぞ。もともと台本らしい台本なんてなかったけど、大まかな流れは決めたのに無視しちゃってる。現場の判断で臨機応変に対応してもいいとは言ったけど、こんなことになるとは!
「これだから貴族は、平民だからこっちのことを見下して、まともに取りあおうとしない。こいつらを無視して勝手に探したほうがいいんじゃないか? こいつら勇者のことを舐めすぎだと思うぞ」
「あなたたちは、見た所20歳前後だと思いますが、召喚された時はいくつだったのですか? 普通に考えてみて下さい。あなたの住んでいる街の長に、外国から来た観光客が会いたいからといって、すぐに会えるような国だったのですか?」
「それは無理に決まっている。だけど、俺たちは勇者なんだぞ? 勇者が面会をお願いすれば、国のトップですらすぐに会うことを承知するものなんだぞ!」
勇者がキレかかっている。
「あなたたちがいた世界ではそうだったのかもしれませんが、この世界ではそんな常識はありません。それに、あなたたちの横暴の方が、あなたの言われている貴族に近いふるまいをしていると思いますが、いかかですか?」
もうね、会話になってない。
勇者たちは、俺たちは偉いんだから言われたものを出せ。グリエルは、常識がないのはあなたたちで、街に関する資料を赤の他人に見せろと言われて見せる奴はいないと返答。
「なぁ、こいつもダンジョンマスターと一緒になって、街の人間から搾取している立場なんだろ? こんな奴と問答していても意味ないんじゃないか?」
勇者の1人がそんな事を言う。
こいつらのいた世界のお偉いさんたちは、どんな奴らだったのだろうか? 興味を覚えるが、問題はそこじゃないな。勇者って、そんなに権限のあるものなのか? この世界では、反対に疫病神みたいに言われることがある存在だぞ。
その世界の成り立ちを知らないから何とも言えないけど、勇者が偉い世界があってもおかしくないのかね?
「勝手に何でも決めつけて、自分たちが偉いということを疑わず、言いなりになるのが当たり前ですか。あなたたちの行いは、私が嫌悪する貴族の振る舞いそのものですね。
本来ならあなたたちに見せるような物ではありませんが、見られたところで困ることなどありませんので見せて差し上げましょう。ですが、大切な資料なので傷をつけたりしないでください」
そう言って、棚の中から税金に関する資料を勇者たちに渡した。
バザールは、街のお偉いさんに連絡を取るふりをして、俺と連絡を取っている状態だ。
バザールには、勇者たちが街で暴れないという条件を引き出し、どうやって移動するつもりなのかを聞いてもらうことにした。
俺はその間にグリエルへ連絡を入れる。
グリエルは、今火山のダンジョンの街づくりに忙しいが、今回は緊急なので呼び戻してゴーストタウンに移動するように命令する。細かい説明はしていられないので1つだけ強い命令として、ゴーストタウンの領主館を掌握するように言いつける。ガリアと一緒に行くようにも命令する。
グリエルは、訳が分かっていないが命令であれば必ず実行してくれる。ゴーストタウンの領主代行である老ドワーフだと、ボロを出しそうだったのでグリエルを向かわせたのだ。
グリエルが移動する前にゴーストタウンの領主館へ連絡を入れ、グリエルが来るから指揮下に入るように伝えておく。
実質、すべての領主館で働いている職員の8割程は、グリエルとガリアの部下であるので、急に行っても反発するような奴はいない。残りの2割は、掃除屋や料理人などの行政の実務に関わっていない人たちだ。
ゴーストタウンも普通の街とは言い難いが、ディストピアよりは幾分かましだろう。街として経済が回っているので、スケープゴートとしては十分だろう。
ダンジョンの中にある街なので、勇者たちは警戒するかもしれないが、嫌ならお帰りいただくだけだ。それにダンジョンの中ならダンマスの監視スキルが使えるから、音声もリアルタイムで拾えるぞ。
どうやら勇者たちは、バザールの話を聞いて最寄りのジャルジャンから、地下道を通ってゴーストタウンに入るようだ。歩かなくてもいいように、馬車を準備するらしい。
グリエルから連絡が入り、ガリアが掌握作業を進めている報告がある。
簡単に現状を説明して、勇者たちが来ることを話した。その対応をしてもらう可能性があるから、グリエルたちをゴーストタウンに移動させたことを伝えた。
なんとなく理解してくれたようで安心した。最悪、俺たちは雲隠れするかもしれないけど、その間も政務頼むな!
2時間もしないうちにバザールが、勇者たちを連れてゴーストタウンに到着する。
移動中、勇者たちに質問攻めに合いうんざりしている様子だったが、頑張ってくれ。俺もスキルで見てたから、勇者たちがウザい気持ちは理解できるぞ。
今から行く街の説明や本当に搾取していないのか、などを中心に俺たちがこの世界の住民に、不利益を与えていないかを確認しているような感じだ。
こいつらの移動中に思ったのだが、世界間の移動って普通の神たちにはできないんじゃなかったか? となると、創造神が暗躍してるのか?
不干渉とか言っていたチビ神も過干渉気味だと思うが、創造神に関しては神たちに干渉することすら稀なのに、勇者たちの世界間移動に関わっているのか?
考えても答えは出ないので、頭の片隅に置いて放置しよう。
ゴーストタウンに到着した勇者一行は、まずは領主館へ移動した。グリエルたちとお互いの自己紹介をした後、
「この街の税に関する資料と、納税の記録を見せていただきたい」
「急に来て何かと思えば、税金に関する資料を見たいですか? あなたたちが何者か知らないですが、目上の人間に対して無礼ではないですか? 普通、領主には会いたいといって、即日会えることなんてありえませんよ? それなのに、バザールさんのお願いだからこの場を設けましたが」
おやおや? グリエルが台本にないことをやっているぞ。もともと台本らしい台本なんてなかったけど、大まかな流れは決めたのに無視しちゃってる。現場の判断で臨機応変に対応してもいいとは言ったけど、こんなことになるとは!
「これだから貴族は、平民だからこっちのことを見下して、まともに取りあおうとしない。こいつらを無視して勝手に探したほうがいいんじゃないか? こいつら勇者のことを舐めすぎだと思うぞ」
「あなたたちは、見た所20歳前後だと思いますが、召喚された時はいくつだったのですか? 普通に考えてみて下さい。あなたの住んでいる街の長に、外国から来た観光客が会いたいからといって、すぐに会えるような国だったのですか?」
「それは無理に決まっている。だけど、俺たちは勇者なんだぞ? 勇者が面会をお願いすれば、国のトップですらすぐに会うことを承知するものなんだぞ!」
勇者がキレかかっている。
「あなたたちがいた世界ではそうだったのかもしれませんが、この世界ではそんな常識はありません。それに、あなたたちの横暴の方が、あなたの言われている貴族に近いふるまいをしていると思いますが、いかかですか?」
もうね、会話になってない。
勇者たちは、俺たちは偉いんだから言われたものを出せ。グリエルは、常識がないのはあなたたちで、街に関する資料を赤の他人に見せろと言われて見せる奴はいないと返答。
「なぁ、こいつもダンジョンマスターと一緒になって、街の人間から搾取している立場なんだろ? こんな奴と問答していても意味ないんじゃないか?」
勇者の1人がそんな事を言う。
こいつらのいた世界のお偉いさんたちは、どんな奴らだったのだろうか? 興味を覚えるが、問題はそこじゃないな。勇者って、そんなに権限のあるものなのか? この世界では、反対に疫病神みたいに言われることがある存在だぞ。
その世界の成り立ちを知らないから何とも言えないけど、勇者が偉い世界があってもおかしくないのかね?
「勝手に何でも決めつけて、自分たちが偉いということを疑わず、言いなりになるのが当たり前ですか。あなたたちの行いは、私が嫌悪する貴族の振る舞いそのものですね。
本来ならあなたたちに見せるような物ではありませんが、見られたところで困ることなどありませんので見せて差し上げましょう。ですが、大切な資料なので傷をつけたりしないでください」
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