1,738 / 2,518
第1738話 緊急事態
しおりを挟む
俺と猫たちの真剣勝負が終わった後、食堂でおやつを食べていた時、
急に警報が鳴った。
上の子たちはビクッと体を硬直させ、下の子たちは突然のことで泣き出してしまった。機嫌よく餌を食べていた猫たちは、隙間に隠れながら警戒する声をだしていた。
あまりのことで俺もびっくりしてしまったが、膝の上で泣いているシンラをあやした。
プラムとシオンは、近くにいた母親たちにあやされている。
シンラがいなければ、すぐに行動に移したいところなのだがっと、ライラが受け取りに来てくれたので、シンラをお願いする。
この警報の原因を知らないといけない。こういう時は、スプリガンの皆がいる監視室が最適だろう。
全力でダンジョン農園の中にある監視室へ向かう。
到着すると、監視室の中は慌ただしかった。
「ご主人様! よかったです。連絡しようとしたの出すが、家の方は誰もいなかったみたいで、無線を取っていただけませんでした。この警報について説明します」
代表してスプリガンの1人が俺に説明を始めた。
警報が鳴る30分前、突如樹海に侵入してきた集団がいたのだとか。移動速度が尋常ではなく、俺たちに匹敵する速度だったようだ。それから30分で100キロメートル内側にある警戒ラインに到達して、この警報がなったとのこと。
森の中を時速200キロメートルか……ヤバいな。
警報が鳴ってから10分が経過しており、更に30キロメートルほど進んでいるとの事。ディストピアまでは350キロメートル以上あるが、今の速度なら2時間かからずにここへ到着する。
木を避けながら進んでいるので一直線では無いが、ほぼ真っ直ぐにディストピアへ向かってきているらしい。
警報が鳴るのは、高レベルの冒険者か魔物、勇者のどれかだ。移動速度からすると、前者の2つの内どちらかか?
俺の予想は間違っていた。
侵入してきたのは、高レベルの勇者だった。この大陸ほぼ全土を支配領域にしている、俺のデータベースに存在していなかった勇者だったのだ。
厄介な事に、9人パーティーで勇者の称号持ちが3人いた。正直眩暈がしそうだった。
勇者の数に変動がないか毎日確認していた。だけどそいつらは突然そこに現れたかのようだった。
レベルも限界突破をして700にまで成長している。そして、勇者という称号の所為で魔物やダンジョンマスターに恐ろしく強いのだ。200ほどのレベル差であれば、簡単に覆してしまう程に強い。
スキルも今までに見た事のない数を所持していた。
俺たちほどではないが、有用なスキルに関していえば大差がなかった。
おそらく、ドッペルに憑依した状態で戦っては、俺たちに勝ち目はないだろう。俺はともかく妻たちは人間だが、ドッペルに憑依して戦うとなると、体は魔物なので勇者の称号が効果を発揮してしまうのだ。
あいつらの抵抗できる戦力は、勇者の称号効果があるとはいえ体を改造した俺、生身の妻たち、人造ゴーレム、クリエイトアンデッドで作ったS級スケルトンに、アダマンコーティングを施した奴ら、くらいだろうか?
いや、リバイアサンも抵抗できるな。あいつらは、勇者の称号があっても一撃で葬る事の出来る攻撃など、存在しないだろう。死なないのならエリクサーで回復できるからな。
ただ、リバイアサンが本気になるのであれば、地形が変わる事は覚悟しないといけないな。
妻たちや綾乃、バザールに連絡を入れ迎撃態勢を整える。
先陣は今も増え続けているS級スケルトンたちだ。ジェネラルたちに率いられた、職持ちS級スケルトンたちで様子を見て、次に人造ゴーレムたちを出す。それでもダメなら、リバイアサンのメグちゃんとシリウス君たちだな。
もしこれでだめなら、俺と家族たちはゲートで、従魔たちはキャスリングで追って来れないマイワールドの中に逃げるしかないだろう。グリエルには、最悪いなくなることを伝えた。
ディストピアは俺の街だから守りたいけど、もしリバイアサンの2匹でダメなら勝てる気はしないな。それこそメテオを使って殺すしかないだろう。
もし何かあったら、この街はグリエルに任せる。勇者でもゼニスの商会、厳密には俺のなのだが、あの商会をどうこうするのは不可能だろう。精霊たちも連れて行くので、ディストピアの生産力は著しく下がってしまう。
勇者たちが何をしようとも、ディストピアの住人たちからの反発は必至だろう。統治する気があるのかは知らないが、ディストピアをすきにすることは難しいだろう。
最終結論はこんな感じだった。
「バザール、先鋒のスケルトンたちを使って、勇者たちの意図を探ってみてくれ」
「了解でござる」
100体のS級スケルトンたちをゲートで送り出し、勇者たちの前まで移動させる。
何やら言っているようだが、遠くから撮影した映像を見ている俺たちには聞こえない。バザールもS級スケルトンたちを操り戦闘しながら話し合いをしているようで、こちらに会話の内容を伝える余裕がない。
そうしている間に、綾乃が整備済みの人造ゴーレム50体を連れて現れた。簡単に状況を説明する。
う~む、アダマンコーティングをしているのに、結構簡単に壊されているようにみえるな。勇者の称号って、魔物やダンマスへのダメージを増やす、みたいな効果じゃなかったっけ? ただの物質であるアダマンタイトには関係ないんじゃ?
武器防具が耐えている様子を見るに、アダマンコーティングはS級スケルトンたちの一部とみなされて、勇者の称号の対象になっている可能性があるかもしれないな。これなら、アダマンタイト製の外皮を持っている人造ゴーレムたちなら問題ないか? こいつらの攻略法を知らなければ倒せないだろう。
S級スケルトンが20体ほど壊されたあたりで、戦闘が止まった。
バザールが言うには、この勇者たちはもともとこの世界の勇者では無いそうだ。だけど、勇者たちの視点ではダンジョンマスター=人を虐げる悪なのだそうだ。
あっちの世界ではそうだったかもしれないが、ここでは共存しているダンジョンマスターがいることを説明するが、どうせ搾取しているのだろうとこっちの意見を聞き入れることは無かったようだ。
ではどうするか、と言う話になったのだが、それなら共存している俺たちの街を見せてほしいと言われた。バザールは自分だけでは決められないので、街の権力者と相談したいと切り抜けたようだ。
俺の存在は、何とか隠し通したようだ。
とはいえ、いつ爆発するかわからない爆弾を近くに置きたくはないのだが、どうしたものか。
急に警報が鳴った。
上の子たちはビクッと体を硬直させ、下の子たちは突然のことで泣き出してしまった。機嫌よく餌を食べていた猫たちは、隙間に隠れながら警戒する声をだしていた。
あまりのことで俺もびっくりしてしまったが、膝の上で泣いているシンラをあやした。
プラムとシオンは、近くにいた母親たちにあやされている。
シンラがいなければ、すぐに行動に移したいところなのだがっと、ライラが受け取りに来てくれたので、シンラをお願いする。
この警報の原因を知らないといけない。こういう時は、スプリガンの皆がいる監視室が最適だろう。
全力でダンジョン農園の中にある監視室へ向かう。
到着すると、監視室の中は慌ただしかった。
「ご主人様! よかったです。連絡しようとしたの出すが、家の方は誰もいなかったみたいで、無線を取っていただけませんでした。この警報について説明します」
代表してスプリガンの1人が俺に説明を始めた。
警報が鳴る30分前、突如樹海に侵入してきた集団がいたのだとか。移動速度が尋常ではなく、俺たちに匹敵する速度だったようだ。それから30分で100キロメートル内側にある警戒ラインに到達して、この警報がなったとのこと。
森の中を時速200キロメートルか……ヤバいな。
警報が鳴ってから10分が経過しており、更に30キロメートルほど進んでいるとの事。ディストピアまでは350キロメートル以上あるが、今の速度なら2時間かからずにここへ到着する。
木を避けながら進んでいるので一直線では無いが、ほぼ真っ直ぐにディストピアへ向かってきているらしい。
警報が鳴るのは、高レベルの冒険者か魔物、勇者のどれかだ。移動速度からすると、前者の2つの内どちらかか?
俺の予想は間違っていた。
侵入してきたのは、高レベルの勇者だった。この大陸ほぼ全土を支配領域にしている、俺のデータベースに存在していなかった勇者だったのだ。
厄介な事に、9人パーティーで勇者の称号持ちが3人いた。正直眩暈がしそうだった。
勇者の数に変動がないか毎日確認していた。だけどそいつらは突然そこに現れたかのようだった。
レベルも限界突破をして700にまで成長している。そして、勇者という称号の所為で魔物やダンジョンマスターに恐ろしく強いのだ。200ほどのレベル差であれば、簡単に覆してしまう程に強い。
スキルも今までに見た事のない数を所持していた。
俺たちほどではないが、有用なスキルに関していえば大差がなかった。
おそらく、ドッペルに憑依した状態で戦っては、俺たちに勝ち目はないだろう。俺はともかく妻たちは人間だが、ドッペルに憑依して戦うとなると、体は魔物なので勇者の称号が効果を発揮してしまうのだ。
あいつらの抵抗できる戦力は、勇者の称号効果があるとはいえ体を改造した俺、生身の妻たち、人造ゴーレム、クリエイトアンデッドで作ったS級スケルトンに、アダマンコーティングを施した奴ら、くらいだろうか?
いや、リバイアサンも抵抗できるな。あいつらは、勇者の称号があっても一撃で葬る事の出来る攻撃など、存在しないだろう。死なないのならエリクサーで回復できるからな。
ただ、リバイアサンが本気になるのであれば、地形が変わる事は覚悟しないといけないな。
妻たちや綾乃、バザールに連絡を入れ迎撃態勢を整える。
先陣は今も増え続けているS級スケルトンたちだ。ジェネラルたちに率いられた、職持ちS級スケルトンたちで様子を見て、次に人造ゴーレムたちを出す。それでもダメなら、リバイアサンのメグちゃんとシリウス君たちだな。
もしこれでだめなら、俺と家族たちはゲートで、従魔たちはキャスリングで追って来れないマイワールドの中に逃げるしかないだろう。グリエルには、最悪いなくなることを伝えた。
ディストピアは俺の街だから守りたいけど、もしリバイアサンの2匹でダメなら勝てる気はしないな。それこそメテオを使って殺すしかないだろう。
もし何かあったら、この街はグリエルに任せる。勇者でもゼニスの商会、厳密には俺のなのだが、あの商会をどうこうするのは不可能だろう。精霊たちも連れて行くので、ディストピアの生産力は著しく下がってしまう。
勇者たちが何をしようとも、ディストピアの住人たちからの反発は必至だろう。統治する気があるのかは知らないが、ディストピアをすきにすることは難しいだろう。
最終結論はこんな感じだった。
「バザール、先鋒のスケルトンたちを使って、勇者たちの意図を探ってみてくれ」
「了解でござる」
100体のS級スケルトンたちをゲートで送り出し、勇者たちの前まで移動させる。
何やら言っているようだが、遠くから撮影した映像を見ている俺たちには聞こえない。バザールもS級スケルトンたちを操り戦闘しながら話し合いをしているようで、こちらに会話の内容を伝える余裕がない。
そうしている間に、綾乃が整備済みの人造ゴーレム50体を連れて現れた。簡単に状況を説明する。
う~む、アダマンコーティングをしているのに、結構簡単に壊されているようにみえるな。勇者の称号って、魔物やダンマスへのダメージを増やす、みたいな効果じゃなかったっけ? ただの物質であるアダマンタイトには関係ないんじゃ?
武器防具が耐えている様子を見るに、アダマンコーティングはS級スケルトンたちの一部とみなされて、勇者の称号の対象になっている可能性があるかもしれないな。これなら、アダマンタイト製の外皮を持っている人造ゴーレムたちなら問題ないか? こいつらの攻略法を知らなければ倒せないだろう。
S級スケルトンが20体ほど壊されたあたりで、戦闘が止まった。
バザールが言うには、この勇者たちはもともとこの世界の勇者では無いそうだ。だけど、勇者たちの視点ではダンジョンマスター=人を虐げる悪なのだそうだ。
あっちの世界ではそうだったかもしれないが、ここでは共存しているダンジョンマスターがいることを説明するが、どうせ搾取しているのだろうとこっちの意見を聞き入れることは無かったようだ。
ではどうするか、と言う話になったのだが、それなら共存している俺たちの街を見せてほしいと言われた。バザールは自分だけでは決められないので、街の権力者と相談したいと切り抜けたようだ。
俺の存在は、何とか隠し通したようだ。
とはいえ、いつ爆発するかわからない爆弾を近くに置きたくはないのだが、どうしたものか。
0
お気に入りに追加
449
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい
一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。
しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。
家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。
そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。
そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。
……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──
勇者に幼馴染で婚約者の彼女を寝取られたら、勇者のパーティーが仲間になった。~ただの村人だった青年は、魔術師、聖女、剣聖を仲間にして旅に出る~
霜月雹花
ファンタジー
田舎で住む少年ロイドには、幼馴染で婚約者のルネが居た。しかし、いつもの様に農作業をしていると、ルネから呼び出しを受けて付いて行くとルネの両親と勇者が居て、ルネは勇者と一緒になると告げられた。村人達もルネが勇者と一緒になれば村が有名になると思い上がり、ロイドを村から追い出した。。
ロイドはそんなルネや村人達の行動に心が折れ、村から近い湖で一人泣いていると、勇者の仲間である3人の女性がロイドの所へとやって来て、ロイドに向かって「一緒に旅に出ないか」と持ち掛けられた。
これは、勇者に幼馴染で婚約者を寝取られた少年が、勇者の仲間から誘われ、時に人助けをしたり、時に冒険をする。そんなお話である
チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい
616號
ファンタジー
不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる