ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第1732話 娘たちの失敗

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 ふい~

 出ていない汗をぬぐう仕草をする。妻たちからは、苦笑いが……別に気分的な問題なんだからいいじゃないか!

 合流してから、全体の2割程を刈り取る事に成功している。

 魔の森の木がいくら丈夫とはいえ、俺たちにかかればこんなものである。一緒に作業していた冒険者たちは、羨望のまなざしをしている者や悔しそうな顔をしている者、色々な表情がみられた。

 俺もそうだけど、妻たちも規格外ではあるからな。武器に関しては、老ドワーフたちに作ってもらった一品ではあるので、高価は高価だが買えるレベルの商品だぞ。メインウェポンは、金を出して買えるものじゃないからな。

 ちなみに俺は、自分で作った刀を今回使って抜刀をして遊んでいる。振り抜くたびに木が面白いように切れていくので、ついつい調子に乗って切ってしまうのだ。妻たちも思い思いに自分の武器を振るって切ってたけどね。

 その中でも、やっぱりシュリは飛びぬけてるな。シュリが使っている武器を使えば、みんな同じような事は出来るだろうが、あの武器を持っているのってシュリだけなんだよね。

 斧槍でも似た事は出来るだろうけど、やはり大斧には勝てないと思う。だってさ、力だけで振り抜いて刃の範囲にある木をなぎ倒すからね!

 遠心力を使って切っている部分もあるだろうけど、そもそも大斧を使いこなせるだけの技術が無ければ成立しないしな。

 斧槍使いも振り回して切り倒していたから、1本ずつ切っている俺はむしろ少ない方だ。一番でたらめだったのは、シェリルかな。俺と同じように大薙刀を持っているはずなのに、修行! といって木を蹴り殴り倒していた。

 何が修行なのだろうか? 後で聞いてみたら、最近子どもたち、ミーシャたちの訓練の時間に参加した時に、ミリーたちが子どもたちに巻き藁を叩いて訓練する姿を見て、ちょうどいいと思って木で試していたんだってさ。

 何がちょうどよかったんだ? 俺には良く分からなかったが、本人が満足しているみたいなのでいいとするか。

 本気を出せば、小さなクレーターぐらい作れるのに今更木で修行か。

 連れて来た冒険者たちは職業柄男が多いのだが、今回の比率は6:4程なのでそこまでむさ苦しくない。妻たちと仲のいい冒険者たちもいたようで、今日はここに泊まる事になった。

 交代で本体の食事に行く事になったが、基本的にはこっちで過ごすらしい。俺は帰るけどいいよな?

 俺はいてもいなくても関係ないようなので、明日の朝また合流することになった。でもその前に、自分たち用の天幕を作っておかないとな。テントなどはこちらで準備したが、個々に自分たちで建ててもらっているので、俺たちもそれに従って建てていく。

 さすがにコンテナ野営地を建てるわけにもいかないので、天幕で我慢した形だ。中を見て何を我慢したのか分からなくなるような設備だけどな。

 俺は意識を本体に戻し体を起こした。

「とーたんの目が覚めた! いけ~~」

 という掛け声と共に何かが近付いてきていることにが分かった。振り向くと、楽しそうにシンラがこちらに向かって飛んできていた!?!?

 お前、いつの間に飛べるようになったんだ? と思ったが、犯人はミーシャたちだ。シンラを優しくキャッチして、もし怪我をしたらどうするんだ! と怒った。

 足元にスライムたちが集まっており、落ちて怪我をする事はないと言っていたが、そういうことじゃないのだ! そもそもの話、赤ちゃんのシンラを投げるな! スライムたちが重力を感じないキャッチができるといっても、危ない事には変わりがないんだからな!

 あまりにもガチで怒ってしまったため、ミーシャたちが泣いてしまった。

 娘たちに甘い俺でも、今回のことはさすがに良くないと考える。

 俺の怒鳴り声と娘たちの鳴き声が聞こえたようで、家に残っていた妻たちが慌てて部屋に入ってきた。事情を説明すると、娘たちが悪いことは分かってもらえたようだ。

 妻たちも何で怒られたのかを後で一緒に考えてあげるということで、今日は娘たちと距離を置く事にした。でもな、投げられた張本人のシンラが、めっちゃはしゃいでいるのだが……どうすればいいんだ?

 シンラはご飯を食べ終わったようで、後はお風呂に入るだけらしい。ん~、お腹が空いているけど、先にお風呂に入るか!

 いつもの大浴場だと娘たちに遭遇する可能性もあるから、今日はゲートを使って温泉に行くぞ! そういうと、シンラの目がキラキラに光ってジタバタし始めた。これは、喜びの舞とでもいえばいいのかな?

 スライムたちよ、付いてこい。

 後、1匹だけブラウニーたちにこの紙を渡して伝言を頼む。

 暴れるシンラを脇に抱えて温泉へ向かう。知らない人が見たら、人攫いに見えるかな? シンラが嫌がっていないので大丈夫だとは思うが、何とも言い難い光景だよな。

 っと、途中で子どもたち専用の湯船を回収していかないとな。温泉は温度調節がしにくいから、専用の湯船が無いと大変なんだよね。子どもたちが入れる場所もあるけど、今日は男同士だからな!

 喜びの舞を続けているシンラの服を何とか脱がせ、温泉へ向かう。

 子ども用の椅子に座らせたのだが、湯船へ行こうとするので慌てて捕まえた。

 もう、暴れるなっての。何とか体を洗ったはいいが、自分の体が洗えない。スライムたちよ、シンラを逃がすなよ? すぐに体を洗うから、時間を稼いでくれ。

 今までに見た事ない速度で体を洗っていく。ステータスをフルに使った無駄のない無駄な動きに全力を注いだ。

 少し洗い方があまい部分もあるかもしれないが、今日は勘弁してくれ。

 スライムたちと格闘をしているシンラを捕まえて、湯船に向かう。今度こそお風呂に入れるとわかったシンラは、大人しくなった。俺的には、ここで暴れると思うんだけどな。

 シンラの浴槽を温泉に浮かべて、スライムたちに固定してもらう。中にもシンラの安全を考えて、何匹か待機だ。

 温泉を湯船に入れてやり、温泉の質をチェックする。

 今日は、ちょっと刺激が強いのか? 困ったな、なんて事はない。刺激のある物質を魔法でぽいっとな。うむ、刺激が少なくなった。俺たちからすれば何ともない成分でも、乳幼児には良くないってこともあるからな。

 こんなこと言ってるけど、温泉の成分の大半を除去したから、ただのお湯になってしまっているんだよね。でもそれじゃあ面白くないので、乳幼児用の温泉の素を入れてシンラを浸からせる。

 俺もシンラの様子を看ながら温泉に浸かっていると、ブラウニーたちがやってきた。えっと、何か拙かったか?

 俺がお腹をすかせているだろうとのことで、繋ぎの軽食を持ってきてくれた。イメージだと温泉とかでお酒を飲むのだろうが、俺はそこまでお酒は好きじゃないので冷たい炭酸水だ。

 俺が食べていると、シンラも食べたいとねだってきたのだが、どうすればいいんだ? ブラウニーたちよ、助けてくれ!

 っと思ったら、シンラ用の食事も持ってきてくれていた。お前、太るぞ? 何て考えていたら、温泉が飛んできた。こいつ……エスパーか!?

 ブラウニーたちが調整してくれるみたいなので、気にする事はないと言われた。任せたぞ!

 ブラウニーたちが面倒を看てくれている間に、軽食を腹に詰め込む。

 シンラもすでに食べ終わったようで、スライムクッションの上でおっさんみたいにくつろいでいた。俺よりおっさん臭い赤子ってどうなんだ?

 そんな事を考えていたら、また温泉をかけられた。こやつ、やりおるな。
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