ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第1731話 知らない所で色々進んでいた

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 グリエルは忙しい業務の中、どうやってか時間を作り出して土魔法の基本を覚えたらしい。俺たちや土木組のように大規模な土魔法は使えないが、一直線に地面に線を刻むと平らにするという2点だけを強化して覚えたらしい。

 街の設計図はパソコンを使えば大枠は簡単に作れるが、実際に現場に立ち細かい調整をしないといけない部分があるのだ。その修正を口頭で説明して土魔法で誰かにやってもらうのと、自分でイメージしながらやるのとではかなり差が出る。

 特に説明して引いてもらった線は間違っていなかったのに、全体のバランスを考えるともう少し線の移動をさせたいという時などは、土魔法使いはすごく嫌がるのだ。それでも妥協できない部分が多いので、金を払っている立場ということもあり、強引にやらせるのだ。

 指示に従って線を引いたり平らにするだけでお金をもらえるのに、待遇がよくなってきた土魔法使いたちは過去のことを忘れて、面倒な事を面倒だと言い傲慢になり始めているのだとか。

 ちょっと前まで見向きもされなかったのに、俺たちが重宝していると注目が集まり便利になった時は、どんな仕事でも喜んでやってたはずなのにな。

 確かに土魔法使いがいると、土木作業の細かい部分が本当に楽になるし、基礎部分の強化もかなり便利になる事が分かって、引っ張りだこになっているんだよな。で、今はかなり品薄状態が続いており、雇い入れるのにお金がかかるんだとさ。

 高い金払って悪態つかれて時間がかかるくらいなら、自分の睡眠時間を削って土魔法、線を掘る、平らにするの2点に特化して覚えた方がマシだということで、1週間位かけて覚えたみたいだ。

 土魔法を1週間で覚えられたのも、宝珠とDPによるLv上げ、土の大精霊であるノーマンの指導、ダンジョンでの効率的で集中して訓練したからである。普通なら魔法を覚えるのすら大変なのに、ダンジョンマスターの能力って酷いな。

 俺は知らなかったけど、ノーマンが協力してたのだとか。

 その点、俺の妻たちがマネージャーとして仕事の受注をしている土木組は、一切文句を言わずに知識を蓄え指示に従うというのに。今の土魔法使いの特需を作り出した子たちは、多少仕事内容を選ぶが、受けたからには誠実にこなしているというのに。

 あの子たちは、大規模な土魔法を使えて身を守る手段もあるから、街の基礎作り等が中心となってくるんだよな。細かい依頼も来るらしいが、それはこの子たちと縁を持ちたいとかいう、浅はかな下心があるから妻たちがはじいているとか。

 グリエルは身を自分で守れないけど、俺の部下で最古参のこいつであれば、動かせる駒がかなりあるからな。今回なんかは、一見1人でいるように見えるけど、あいつの影の中に4つほど魔物の気配がある。シャドーがついて来ているということだ。

 この辺の魔物なら、瞬殺するくらいには強い護衛だ。

 おや? 収納の腕輪を付けた腕を前に突き出して、何かを取りだした。

 って、おい!!

 思わず心の中で突っ込んでしまった。

 グリエルの前に現れたのは、メカニカルな蜘蛛型人造ゴーレムだった。あくまで分類すれば蜘蛛型というだけで、蜘蛛とは言えない見た目だ。

 まだそれだけならよかったのだが、それがとあるマンガに出てくる思考戦車、自立思考型多脚戦車である、あれに酷似していたのだ。

 最近アニメを見ていなかったので詳細な部分までは覚えていないが、俺の記憶の中にあるあいつらがそのままそこにいた。

 この犯人は考えなくても分かる。人造ゴーレムを作れるのは、俺とバザールと綾乃。俺は作っていない。バザールは人造ゴーレムで作るなら、骨を組み合わせてボーンアンデッドで作るだろう。となれば、綾乃しかいない。

 作るなとは言わんが、知らないでいきなり出てくると、自分の中で処理するのが大変なんだよ!

 そしてさ、妙に動きがアニメのままっぽいんだよな。しかも、普通に会話してやがる。あの綾乃アホは、魔核をいじって風魔法を使って、声を再現したのだろう。抑揚がないので、良くあるロボット音声だ。

 なんでタチ……ゲフンゲフン……じゃなくて、思考戦車の人造ゴーレム? と思ったのだが、正確に距離を測るのにこいつら程適した奴らっていないな。距離と角度広さを口頭で指示すれば、その通りに指定した位置についてくれるのだ。便利過ぎる。

 漫画やアニメとは違う使い方だが、重機のような使い方もできるようで、こいつら自身も直線や円であれば、簡単に掘り返して溝を作る事くらい朝飯前だ。人造ゴーレムなので、飯は食べないけどな。

 あっ! グリエルにお願いされて、ダンジョンの入口を中心に半径3キロメートルを平らに整地したよ。

 ここはグリエルに任せて俺は、一番近くの村へ向かう。

 この街にはどの位の人が住む事になるんだろうな? 場所的にはここで寝泊まりすることは殆どないと思うが、食料の貯蔵場所になったりするのかな? もしそうなら、ここの地下に保存用の倉庫を、ダンジョンで作るか? あれなら、腐らないからな。

 原理は分からないけど、知的生物以外の時の歩みがほぼゼロになる、トラップみたいなものがあるんだよな。ダンジョン農園にもある倉庫で、その中に俺の家で消費するなら50年はかかる分が貯蔵されている。時々中身を入れ替えられているようだけどね。

 そんな倉庫があれば、かなり便利だと思わないか? さっきの多脚人造ゴーレムやリビングアーマーを、見張り兼単純力作業を手伝わせれば、広くても簡単に管理できるんじゃないか?

 俺は、良いことを思いついた! と心の中で叫び、サクッと地下に倉庫を設置する。出入り口はやっぱり中央にあるのがいいよね! 後でいくらでも変えられるから、とりあえず設置!

 急に現れた穴にびっくりしたこの街で休憩した冒険者たちに謝り、この村の状況について聞いてみた。

 グリエルの指示では、この街は丸ではなく四角形にするそうだ。角の部分に門を作り、その門の1つが街を作る予定の方へ向いており、残りの3つの内2つがこことは別の村の方を向いているようだ。

 完成は、街を囲う四角い壁の外側にもう1枚壁を作り、その間を馬車が4台通れる広さを確保する様だ。

 村の中を通らずに外壁に沿って進めるようにって感じかな?

 予定の3割程しか木を切れていないようで、俺も付いてきた妻たちと一緒に樵になって手伝った。
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