ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第1718話 まさかの

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「おいおいおい、マジかよ。映画じゃないんだから、この状態から復活っておかしくない?」

「シュウ様! そんなこと言う前に下がってください!」

 集まっているマグマゴーレムの欠片を前にじっくり見ていたら、キリエにガチで切れられて後ろへ引っ張られた。

 あっ! そういえば、倒したならドロップ品が出るはずなのに、今回出てなかったな。

 集まっているマグマゴーレムの破片を戻さないように、壁や段差を魔法で作っているのだが、張りついた状態で移動しているようで集まるのを止める事ができていなかった。

 凍らせて砕いたのに死なないって、どうやって倒せばいいんだ?

 妻たちもあの手この手で攻撃してはいるが、どうにもならないようだ。魔法は継続させるとかなり魔力を消費するので、現状で使うのは愚策だということで誰も使っていない。

 ん~マジでどうすればいいんだ?

 拘束しようにも液状の魔物を閉じ込める方法なんて……ある事はあるけど、どうやってそこまで誘導するべきか?

 一番効果的に見えるのは、シュリのハンマーによる打撃かね? 体が吹っ飛んで壁にマグマゴーレムの破片がくっつき、それが戻ってくるまでは休憩ができるからな。

 某サイボーグ映画の液体金属サイボーグが、熱せられた金属の中に落とされて壊されたのだが、こいつらは、元々溶岩で出来ているようなものだからな。減った分を溶岩の川で吸収して出てきていると思う。大量に吸収して出てくるわけじゃない事が、せめてもの救いかな?

 困った困った。

 倒すために思考をこらしているのだが、倒す方法が思いつかずに時間だけが過ぎている。

「キリエさん、あのゴーレムって倒さないといけないの?」

 イリアが素っ頓狂な事を言い始めた。みんなは頭にクエッションマークを浮かべている。

「だって、後ろのドア開いてるよ? いちいち倒さなくてもいいんじゃないの?」

 そう言われると、俺たちが入ってきた扉と逆の方の扉が開いている。ボス部屋って言うと、中ボスでもラスボスでも倒さないと先の扉が開かないと思っていたのだが、めっちゃ開いとるやんけ!

 イリアの意見を採用して、シュリが吹き飛ばした後に扉へ走った。

 扉までもう少し……

 その時、開いていた扉の上から鉄格子のような物が落ちてきた。それは俺たちが入ってきた扉でも起こっていたのだ。

「あ~こういう罠か」

 扉が開いたままだというのも罠だったということだろう。俺たちは、死ぬか分からないこのマグマゴーレムを相手に、戦い続けることになるかもしれない。

 さてさて、面倒な事になったぞ。

「キリエ、そろそろ俺も前に出るぞ。クリエイトゴーレムであいつを閉じ込めるぞ」

 俺が考えたのは、クリエイトゴーレムであいつが溶かせない金属を使って、閉じ込める方針を伝える。

 シュリには、しばらく吹き飛ばさないようにお願いする。

 一辺が4m程のアダマンタイト製の板を取り出す。一面を開けた状態で箱にする。それをマグマゴーレムを挟んで、シュリのいる場所と反対側へ設置する。

 シュリに指示を出して、箱の中に入れるようにマグマゴーレムを吹っ飛ばしてもらう。

 ん~六割くらいは入ったかな? 開いていた一面を閉じて出られないように接着する。ついでにSランクの魔石を使い、アダマンタイトをマイナス100度に保つように魔核を作った。魔核が生み出す魔力で常に温度を下げ続ける箱を作ったのだ。

 どうなるんだろうか?

「キリエ、戻ったマグマゴーレムですが、もともとのマグマゴーレムと大きさは変わりませんね」

 シュリがキリエに現状を伝える。キリエも見えているだろうが、複数による事実確認を行った形だ。

「閉じ込めても意味はなさそうだな。それならこの箱は邪魔だよな? 解体するぞ」

 せっかく作ったアダマンタイト製の箱を解体する。

 中に入っていたマグマゴーレムの欠片は動いてないな。マジでどういう原理なのだか?

「核のようなものが存在して、それをどうにかしないとこいつらは死なないのか?」

 思わずつぶやいてしまった。1匹ならともかく5匹もいるからな。

 どうするかな?

 おそらく5匹を全部閉じ込めても意味がない気がするんだよな。この部屋自体に仕掛けがあるのか?

 たまたま周りを見渡していた俺は異変に気付いた。

「みんな、溶岩の川から離れろ!」

 そういった俺も、溶岩の川の近くにいるのだが、それ以上に妻たちのことを心配して声を出していた。

 理由が分からない妻たちの中に固まってしまった者もいた。俺はすぐ駆けつけて、部屋の中心へ投げ込む。

 そうすることで妻たちの安全を確保するが、全員を救えるわけでは無い。俺を含め7人の妻たちが異変に飲み込まれることとなった。

 その異変とは、溶岩の中から追加のマグマゴーレムたちが現れたのだ。そのマグマゴーレムに攻撃をされてしまった。

 殴られた俺の右腕には、マグマゴーレムのマグマが張り付いており、俺の装備と体を焼き尽くそうとしている。

 手を払いマグマを落とそうとするが、粘度が高いせいか落とすことができなかった。右手が焼かれるような熱さをこらえながら、魔法を使い張りついたマグマを冷やしてから体から剥した。

 俺は自分の回復をする前に、マグマゴーレムの動きを止める事を考えた。吹き飛ばすのは、被害を拡大させる可能性があるので、やはり冷やす必要があるのだと考えた。

 イメージ……遠くのマグマゴーレムは俺には無理だ。誰か頼むぞ!

 俺は近くに現れた5匹のマグマゴーレムに向かって、急激に温度を下げる魔法を使った。同時に部屋にある4分の1ほどの溶岩の川も凍らせるために、さらに魔力を錬る。

 俺の考えていることを理解した魔法組のメンバーが、同じように溶岩の川とマグマゴーレムを冷やし始めた。

 キリエとネルは、先ほどの不意打ちで溶岩を体に張り付けられた他のメンバーたちの回復を始めた。

 俺に近付いてこようとする妻たちもいたが、留まるように指示を出す。さすがに耐久力が高くなっても、溶岩が体に張り付けば火傷をするよな。ジクジク痛む腕を治すために、エリクサーを腕にかけた。普通の冒険者なら、火傷じゃすまないんだけどね……
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