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第1710話 森を切り開く
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俺たちは今、魔の森を歩いている。娘たちが先頭を歩きたい! とごねたので、従魔たちを走らせ、魔物たちを駆逐させている。その指揮を取っているのはウルだ。タブレットで魔物のいる位置を把握して、指示を出している。
うむ、指揮官ぶりは可愛いな!
スパーンッ!
頭を叩かれた。
「シュウ様、馬鹿な事を考えてないで、子どもたちの安全に気を配ってください。シュウ様が一緒にどうしても、といってお願いしてきたんですよ」
今回妻たちの指揮を取っているキリエが、俺の後ろからハリセンを振り下ろして叩いた後に、しっかり周りに気を遣うように注意を促してきた。
娘たちの上目遣いのウルウルに負けて、娘たちと一緒に妻たちを説得したのだ。だから、最低でも責任をはたせ! とカツを入れられた形だ。
先頭を歩いているミーシャたちは、片手に木の棒を持ってブンブン振り回して、意味不明な歌を歌いながら、ズンズンと進んでいる。そんな姿も可愛いぞ!
スパーンッ!
キリエよ、少し扱いが酷くありませんかね? 可愛いから顔が大変なことになっているかもしれないけど、しっかりと周りに気を配っているんだぞ!
おっと、娘たちよ。少しコースがそれてるぞ! ここらへんはまだ平気だけどもうちょっと進むと、火山ガスの濃度が濃い場所があるから迂回するんだぞ!
それにしても、火山ガスが出ているであろう場所のほとんどが、掌握できない場所になっているのだ。ほかのダンジョンマスターの掌握下にあるということだ。
なんで一帯を掌握せずに部分部分を掌握しているのやら?
普通に考えて、ダンジョンから火山ガスが出ているということになるのだが、ダンジョンの中で広範囲に人間が行動不能な濃度で火山ガスが撒かれているのは、かなり不自然だ。いや、設定上それは不可能だったはず。
唯一の例外といえば、水没ダンジョンだけだったはずなんだよな。火山ガスのような毒はトラップとしては普通にあり得るけど、一帯に常に蔓延させるのは不可能だったはずなんだよな。ダンジョン自体が呼吸をしていて、人間が活動するのに最適な空気成分になるのだ。
それがダンジョンの機能なのでどういう原理か分からないが、そんな事を考えても時間の無駄なので放置である。
この性質もあるし、常に毒を出しておくようなトラップは、ダンジョンの機能として作ることはできない。火山ガスが蔓延するのであれば、火山エリア等は人が進む事の出来ないエリアになってしまう。だけど、熱さ以外にあのエリアで問題になる事はない。
だから、常に火山ガスが出ている状況が、不思議でしょうがないんだよな。ほぼ掌握できないエリアってことは、ダンジョンに繋がってるってことじゃないのか? と考えている。
だけど、ダンジョンから火山ガスが噴き出し続けるのは、不可能だと思うんだよな。
こらこら、目を離すと進路がずれるのは、どうにかならんものかね?
子どもにそんなこと言っても、無理なのは分かっている。興味があればあっちこっちに行ってしまうのが、子どもなのだ。危険がない方なら多少放置して方向転換すればいいけど、危険な方に向かう場合はそうも言っていられない。
ちょこちょこ方向を修正しているが、娘たちの歩く速度に合わせているので進みは遅いな。
ん? 冒険者たちから連絡が入った。良く分からない地下へ潜る洞窟を発見したらしい。エリア掌握では分からなかったのだが、地下に向かって洞窟があったのだ。
掌握しているだけだと、ただの穴にしか見えないのだ。
洞窟と聞いた娘たちが反応してしまい。連れて行く事になった。
ディストピアの冒険者たちが、現場に子どもがいても何も言わないのは、俺たちの強さもあるのだが従魔たちが過保護だということが、ディストピアの住人の共通認識であるためだ。
従魔たちの統率をしているクロとギンは、今回来たディストピアの冒険者たちが5人で組んで戦っても、恐らく相手にならないくらい強い事を認識しているのだ。そのうえ、全員が揃っても勝てないリバイアサンが、2匹周囲を警戒しているのだ。自分たちの身の危険を心配する方が大切である。
洞窟は歩きにくいので、スライムたちを呼びスライムに乗って移動するなら、問題ないと許可を出した。
それにしても器用に乗りこなすよな。片手でスライムたちが伸ばした触手を掴み、掴んでいないもう片方の手で、先ほどまで使っていた木の棒を振り回して、自分たちのスライムに指示を出して走っているのだ。
何かあるかと思ったが、この洞窟は恐らく天然で出来たモノではなく、長い時間をかけて魔物が掘った洞窟だと思われる。
もともとちょっとした洞窟だった可能性は高いが、洞窟の壁に爪の跡がいくつも見られたのでそう判断した。
お宝が無くてガッカリしている娘たちには、飴ちゃんを口に入れてあげると笑顔になった。
俺たちは冒険者に指示を出しながら次の野営地の選定をしてもらい、同時に森の中に道を切り開いてもらっている。出来る限り直線でお願いしている。段差や傾斜は、俺たちが整地する際に出来るだけ減らすので問題ないはずだ。
娘たちの探検の見守りをしているためなかなか進まないが、魔導無線で家族とテレビ電話ができる時間を設けているので、離れていても大して気にせずに仕事ができていると思う。
次の野営地の整地が終わったのは、3日後だった。
さすがにこれ以上に遅くなってしまうのはよろしくないので、俺は娘たちの見守りから外れて、整地する側へまわっている。
その後3ヵ所の野営地を作るのに3日で済んだ。
最後の1つは魔の森の向こう側なので、逃げてきた人たちの受け入れ最前線になる。3つ目の野営地がダンジョン攻略のための最前線になるので、少し豪華に作った。
娘たちの冒険はこれで終了である。俺たちがダンジョン攻略に入るまでが、娘たちに与えられた時間だったのだ。
残念がっていたが、それが約束なので守れないようなら次回はないと言われているので、渋々だが帰る事にしてくれた。迷惑をかけたと思っているのか、帰る前に冒険者たちにお礼を言っている姿は、冒険者たちの心を鷲掴みにしていた。
絶対にお前らには、嫁に出さないからな!
デレデレした汚い顔を、娘たちに見せるんじゃない!
うむ、指揮官ぶりは可愛いな!
スパーンッ!
頭を叩かれた。
「シュウ様、馬鹿な事を考えてないで、子どもたちの安全に気を配ってください。シュウ様が一緒にどうしても、といってお願いしてきたんですよ」
今回妻たちの指揮を取っているキリエが、俺の後ろからハリセンを振り下ろして叩いた後に、しっかり周りに気を遣うように注意を促してきた。
娘たちの上目遣いのウルウルに負けて、娘たちと一緒に妻たちを説得したのだ。だから、最低でも責任をはたせ! とカツを入れられた形だ。
先頭を歩いているミーシャたちは、片手に木の棒を持ってブンブン振り回して、意味不明な歌を歌いながら、ズンズンと進んでいる。そんな姿も可愛いぞ!
スパーンッ!
キリエよ、少し扱いが酷くありませんかね? 可愛いから顔が大変なことになっているかもしれないけど、しっかりと周りに気を配っているんだぞ!
おっと、娘たちよ。少しコースがそれてるぞ! ここらへんはまだ平気だけどもうちょっと進むと、火山ガスの濃度が濃い場所があるから迂回するんだぞ!
それにしても、火山ガスが出ているであろう場所のほとんどが、掌握できない場所になっているのだ。ほかのダンジョンマスターの掌握下にあるということだ。
なんで一帯を掌握せずに部分部分を掌握しているのやら?
普通に考えて、ダンジョンから火山ガスが出ているということになるのだが、ダンジョンの中で広範囲に人間が行動不能な濃度で火山ガスが撒かれているのは、かなり不自然だ。いや、設定上それは不可能だったはず。
唯一の例外といえば、水没ダンジョンだけだったはずなんだよな。火山ガスのような毒はトラップとしては普通にあり得るけど、一帯に常に蔓延させるのは不可能だったはずなんだよな。ダンジョン自体が呼吸をしていて、人間が活動するのに最適な空気成分になるのだ。
それがダンジョンの機能なのでどういう原理か分からないが、そんな事を考えても時間の無駄なので放置である。
この性質もあるし、常に毒を出しておくようなトラップは、ダンジョンの機能として作ることはできない。火山ガスが蔓延するのであれば、火山エリア等は人が進む事の出来ないエリアになってしまう。だけど、熱さ以外にあのエリアで問題になる事はない。
だから、常に火山ガスが出ている状況が、不思議でしょうがないんだよな。ほぼ掌握できないエリアってことは、ダンジョンに繋がってるってことじゃないのか? と考えている。
だけど、ダンジョンから火山ガスが噴き出し続けるのは、不可能だと思うんだよな。
こらこら、目を離すと進路がずれるのは、どうにかならんものかね?
子どもにそんなこと言っても、無理なのは分かっている。興味があればあっちこっちに行ってしまうのが、子どもなのだ。危険がない方なら多少放置して方向転換すればいいけど、危険な方に向かう場合はそうも言っていられない。
ちょこちょこ方向を修正しているが、娘たちの歩く速度に合わせているので進みは遅いな。
ん? 冒険者たちから連絡が入った。良く分からない地下へ潜る洞窟を発見したらしい。エリア掌握では分からなかったのだが、地下に向かって洞窟があったのだ。
掌握しているだけだと、ただの穴にしか見えないのだ。
洞窟と聞いた娘たちが反応してしまい。連れて行く事になった。
ディストピアの冒険者たちが、現場に子どもがいても何も言わないのは、俺たちの強さもあるのだが従魔たちが過保護だということが、ディストピアの住人の共通認識であるためだ。
従魔たちの統率をしているクロとギンは、今回来たディストピアの冒険者たちが5人で組んで戦っても、恐らく相手にならないくらい強い事を認識しているのだ。そのうえ、全員が揃っても勝てないリバイアサンが、2匹周囲を警戒しているのだ。自分たちの身の危険を心配する方が大切である。
洞窟は歩きにくいので、スライムたちを呼びスライムに乗って移動するなら、問題ないと許可を出した。
それにしても器用に乗りこなすよな。片手でスライムたちが伸ばした触手を掴み、掴んでいないもう片方の手で、先ほどまで使っていた木の棒を振り回して、自分たちのスライムに指示を出して走っているのだ。
何かあるかと思ったが、この洞窟は恐らく天然で出来たモノではなく、長い時間をかけて魔物が掘った洞窟だと思われる。
もともとちょっとした洞窟だった可能性は高いが、洞窟の壁に爪の跡がいくつも見られたのでそう判断した。
お宝が無くてガッカリしている娘たちには、飴ちゃんを口に入れてあげると笑顔になった。
俺たちは冒険者に指示を出しながら次の野営地の選定をしてもらい、同時に森の中に道を切り開いてもらっている。出来る限り直線でお願いしている。段差や傾斜は、俺たちが整地する際に出来るだけ減らすので問題ないはずだ。
娘たちの探検の見守りをしているためなかなか進まないが、魔導無線で家族とテレビ電話ができる時間を設けているので、離れていても大して気にせずに仕事ができていると思う。
次の野営地の整地が終わったのは、3日後だった。
さすがにこれ以上に遅くなってしまうのはよろしくないので、俺は娘たちの見守りから外れて、整地する側へまわっている。
その後3ヵ所の野営地を作るのに3日で済んだ。
最後の1つは魔の森の向こう側なので、逃げてきた人たちの受け入れ最前線になる。3つ目の野営地がダンジョン攻略のための最前線になるので、少し豪華に作った。
娘たちの冒険はこれで終了である。俺たちがダンジョン攻略に入るまでが、娘たちに与えられた時間だったのだ。
残念がっていたが、それが約束なので守れないようなら次回はないと言われているので、渋々だが帰る事にしてくれた。迷惑をかけたと思っているのか、帰る前に冒険者たちにお礼を言っている姿は、冒険者たちの心を鷲掴みにしていた。
絶対にお前らには、嫁に出さないからな!
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