ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第1705話 食料だけじゃない

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 4日かけて収穫した野菜たちは、きちんと整理されて箱などに詰め込まれ収納の箱に収められた。指輪を使って出し入れできるカバンの方が便利なのだが、量が量だけに収納のカバンにしてしまうと個数が増えてしまうので、さらに大きな収納の箱を使っている。

 それでも10箱分。俺たちが収穫した以外にも、結構な量が入れられたようだ。

 日本人が1年間で食べる食事の平均が500キログラム強と聞いた事がある。たくさん食べる人、小食な人色々いるが、軍人は体が基本なので平常時は、結構な量の食事を食べ鍛えている。おそらく食べる量は平均の5割から10割増しだろう。

 仮に年間で1000キログラム食べるとして、500人分で500トン。40フィートコンテナで28トン位積む事が出来るんだったか? 収納の腕輪が45フィートコンテナ2つ分くらいだから……60トンは積める?

 収納のカバンはコンテナ6個分が最大で、収納の箱はそれの4倍くらいだったっけ? コンテナ24個分、720トンは箱1つでいけるってことだよな? 何で10個もあるんだ?

 聞いてみると、俺が召喚したものは最大値で召喚するため、かなり高価な物になってしまうのだ。負ける事はないと思うが鹵獲された時のことを考えて、価値の低い物を数多く使っているのだとか。他にも、各箱ごとに入れる食材を分類しているんだってさ。

 それを聞いた俺は、納得した。そして、今回送り出す食料はおよそ700トンほどらしい。箱1つに70トンずつ位入っているってことか。俺たちの使っている収納の腕輪より、ちょっと大きいくらいか? 野菜とかが入っていると考えると、サイズは同じくらいか少し大きいかもな。

 収納の箱1つで70トンと聞くと俺的には少なく感じてしまうのだが、1つで大型トラック数台分を収納できるると考えれば、かなり多いよな。それが10個。地球でこんなアイテムがあれば、どれくらいに値段が付くんだろうな?

 戦闘機並みに速い飛行機に積み込んで高速輸送させても、赤字になる事はないんじゃないか?

 話がそれたな。ディストピア軍は食事に手を抜かないのは、特に戦争時等は娯楽が減りストレスが溜まりやすいから、食事だけは可能な限り豪華な物を出せるようにしている。

 それが俺の方針だ。だからといってではないが、軍の訓練内容に調理まで含まれている。指導するのがブラウニーたちなので、全員それなりの料理を作る事ができる。

 戦時中の仕上げの調理などは全部ブラウニーたちが行うが、下ごしらえなどは軍人が手分けをして行わせている。自分たちの食べる物は自分たちで! が、基本である。

 最低でも500人分を作る必要があるので、その仕込みの量も半端な物ではないだろう。そんな料理を喜んでやってくれるブラウニーたちには感謝だな。

 専用の馬車が1台ポツンと魔導列車に積み込まれ、ホームを出発する姿を見送った。なんか見た目がしょぼいな。

 娘たちも満足したように胸を張って見送っている。そして下の子たちも姉たちの真似をして、鼻息をフスンと鼻から出しながら、満足そうな顔をしていた。君たちは、スライムに乗ってただけだろう。

 まぁ、満足したならそれでいいか。

 難民がどれだけいるか、殺されかけている人間がどれだけいるか。それで、物資の必要量が変わってくるよな。

「さて、一番大事な食糧は当面問題ないとして、衣食住の内、食は解決したな。次は住、住む場所かな? 寝床になるテントや、最低でも雨をしのげる屋根か? それと、暖を取るための毛布とかかな?」

 独り言を言っているつもりだったが、近くに控えていた秘書が、

「グリエル様から連絡が来ていましたが、テントはかき集めても100個程しか集まらなかったようで、最低限のものでいいから、召喚の許可がほしいと先ほど連絡がありました。毛布なんていう贅沢は無しで、厚手の布や低級魔物の毛皮を繋ぎ合わせた物でもいいので召喚してほしいとも言っていました」

「さすがにテントは数が揃わなんだか。あまり格差が出るのは良くないから、統一した物を召喚しようかな。で、グリエルたちが準備できた上等な物を、妊婦や赤ちゃんがいる家族に割り当てるのがいいかな?」

「そうですね。グリエル様に伝えておきます」

 後は、毛皮だとかさばる上に手入れが面倒なので、少し生地は硬いけど厚手の布を大量に準備することにした。妊婦や赤ちゃんのために、毛布もいくつか準備しておこう。

「そうだ。衛生状態も良くないだろうから、臨時の湯船はさすがに厳しいから、簡易シャワーを作って体を洗えるように魔導具も準備しておくか。後はあれだな、怪我人もいるだろうし妊婦が出産するかもしれないから、治療院の人たちも派遣できると助かるな」

「治療院の方たちは、グリエル様たちが交渉していると聞いています。もし人員が確保できなかった場合は、土木組に頼むしかないかと話されていました」

「土木組ね。確かに適任ではあるけど、最近あの子たち急がしすぎるだろ? さすがにこき使いすぎだと思うぞ。ミリー、あの子たちの状況って把握できてる?」

 土木組に出される仕事は最近、冒険者ギルドを通して指名依頼という形で出している。不正や安く働かせるようなことないだろうけど、きちんとした報酬を決めるために冒険者ギルドが仲介に入る形なので、ミリーだったら知ってるかな?

「適度にディストピアに帰ってきてはいますが、かなり無茶なスケジュールで仕事をこなしているわね」

「だよな。人員確保できてもできなくても、妻たちの中から何人か派遣するか?」

「そうね。ドッペルを使って派遣するなら、問題はないんじゃないかしら? 生身で行っても問題はないと思いますが、それでトラブルを引き寄せることになっても困りますからね」

 ひいき目に見て妻たちは美人ぞろいだから、ストレスが爆発しそうな場所にいたら、よからぬことを企む男がいてもおかしくないしな。どうこうされるわけじゃないけど、トラブルになった時に面倒だからな。

 それなら、中に入っている時以外は姿を変えさせて、軍の方に待機させておけば問題ないだろう。

 それを言うなら、治療院の人たちも女性ばかりだから、護衛の件も考えてあげるべきだと妻たちに総ツッコミされた。

 見える護衛として騎士鎧風のリビングアーマーと、陰から見守るシャドーでどうだろう? 後は、ブラウニーたちにも近くにいてもらえれば、戦力的には問題ない。

 ブラウニーは可愛い姿をしてしているが、大半がLv400を超えているので、そう簡単には負けないくらいには強い。

 庁舎へ行き、グリエルたちと今後の流れについて相談した。
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