1,666 / 2,518
第1666話 意外な形で終わった
しおりを挟む
意識が体深くに浸透していく、俺はアスリートじゃないから、ゾーンに入ったとかいう感覚は分からないが、こんな感じがゾーンなのだろうか?
『あっ! いけない! そこの5人、シュウを止めなさい!』
チビ神が慌てた様子で5人に声をかけている。つか、お前解説者だろ? 何、戦ってる人間に指示出してんだよ。
その後もチビ神が何か言っているようだったが、俺は無視して大薙刀を振るう。本当の意味での全力、肉体活性にも魔力を注いでブーストし、更に複数の属性付与を行い周囲を回転するように薙ぎ払う。
アリスとピーチはガードが間に合い吹き飛ばされるが、シュリはきっちりと大盾で俺の大薙刀を防いだ。
アリスとピーチはいない。シュリを盾にすれば、ライムとマリアは攻撃がしにくくなる。シュリを倒すにはここで押し込む必要があるな。
武器を振るおうとしたら、シュリが装備を手放し抱き着いてきた。戦闘中だったのに意表を突かれてなされるがままだった。
「シュウ様、戻ってきてください」
シュリが耳元でそう囁くのが聞こえた。戻ってこいとはどういうことだ?
『いったん、試合を止めるわよ。あんた、妻相手にどこまで沈むつもりだったのよ。前よりはまだましだったけど、そのままいったら魔王一直線だったわよ?』
「知るかボケ。お前が戦いたくもないのに戦闘を強要するから、自分の心を押さえるしかなかったんだよ! それで、俺は自分の中に気持ちを押し留めて戦ってただけだろうが!」
さすがにチビ神にキレた。
『傷もつかない、死ぬ事もない。そんな場所を用意してあげたのに、何て言い草よ!』
「恩を押し付けるようなことを言うな。傷付かなくても出来れば攻撃したくないんだよ。お前にはこの気持ちわかんねえだろうな! こっちの世界に問答無用で呼び出したんだもんな。人間の気持ちなんて理解できるわけねえよな! 今となっては感謝してるが、身一つでこの地に放り出されたんだぞ!」
『だまらっしゃい! 今がいいならそれでいいでしょうが。過ぎた事をいちいち掘り返すなんて、器が小さいわよ! それはどうでもいいとして、何で魔王になるような戦い方をするわけ? 信じられないんだけど!』
「俺が聞きたいわ! 体の奥に心を押し込めただけだぞ。それで魔王になるとかならんとかわかるわけねえだろ! それだけ、妻たちとの戦闘が苦痛だって事だろ。模擬戦とか練習とは違うんだよ。ここまで本気の戦いになると、洒落にならないくらいくらいの負担って事だろ」
『とんだ肝の小ささね。さっきのは絶対するんじゃないわよ! あんたの奥さんたちも戦いたがってるんだから、ちゃんと相手をしてあげなさい! じゃぁ、試合再開!』
チビ神が試合再開を告げるが、バトルフィールドの6人は動けずにいた。
妻たちはここに来て、やっと俺の気持ちを理解してくれたようだ。生まれた世界が違い育った環境が違うので、簡単には理解出来ない感情だろうが、現状がどれだけ俺に負担をかけているのか理解したのだ。
チビ神が戦えとか言っているが、もう妻たちにも俺にも戦闘をする意思がなくなっている。
俺は装備を全部しまい、新しく小太刀を右手に最上級エリクサーを左手に取り、小太刀を自分の心臓に向かって突き立てる。
死なないとわかっていたが、この試合を止めるためには妻たちか、俺のどちらかがバトルフィールドからいなくなる必要がある。
ならば、妻たちに自決などさせるはずがない。やるなら俺がやるべきだ。もしバリアが働かなくても、俺の持っているエリクサーをシュリが使ってくれるだろう。頭が潰れたりしなければ、すぐに死ぬ事はないので大丈夫だろう。
小太刀が胸に突き刺さる前にバリアのエフェクトが派生し、俺は控室に転送された。
「2週間腹痛が続くのかな? まぁこれで、俺がみんなと戦いたくない事は、分かってもらえたかな? でもわざと負けたから、娘たちとしばらく会えないのかな? それはそれで寂しい」
自分で動く気力も無くなり、控室の床に寝転がる事にした。
時間の感覚がなくなっており、どれだけ経ったのか分からない。長いような短いようなどっちだろうか?
体は回復魔法をかけていたので疲れていなかったが、精神的に疲れていたのだろう。全く動く気がしない。
何やら外が騒がしいな。
控室の扉がすごい勢いで開かれた。
誰かが入ってきたのが分かったが、目を開けるのも面倒になってしまい確認するのも放棄していた。
「「「とーたん!」」」
どうやら入ってきたのは、娘たちのようだ。
「「「死んじゃ駄目!」」」
どういう状況下わからないが、俺は死んだと思われているのかな?
「大丈夫だよ、生きてるから心配しないでいいぞ」
安心したのか縋りつくように泣いている。動くのがダルイとはいえ、娘たちが泣いているのに何もしないわけにはいかないよな。
何とか体を動かし娘たちの頭を1人ずつ撫でていく。
娘たちの泣き声で気付いていなかったが、足音がいくつも聞こえていた。
話の内容から、俺を心配して見に来てくれたらしい。そして、俺がここに横になっていたのは、1時間程らしい。そんなに時間が経っていたんだな。
それで娘たちが横たわってる俺を見てあのセリフか。
娘たちが泣き疲れて寝てから、妻たちから謝られた。俺が本当に戦いたくないと思っていることが分かったらしく、無理強いさせていたことに申し訳なくなり謝ってきた。
妻たちが力試しをしたいのは分かったけど、俺を巻き込まないでほしかったな。
『あっ! いけない! そこの5人、シュウを止めなさい!』
チビ神が慌てた様子で5人に声をかけている。つか、お前解説者だろ? 何、戦ってる人間に指示出してんだよ。
その後もチビ神が何か言っているようだったが、俺は無視して大薙刀を振るう。本当の意味での全力、肉体活性にも魔力を注いでブーストし、更に複数の属性付与を行い周囲を回転するように薙ぎ払う。
アリスとピーチはガードが間に合い吹き飛ばされるが、シュリはきっちりと大盾で俺の大薙刀を防いだ。
アリスとピーチはいない。シュリを盾にすれば、ライムとマリアは攻撃がしにくくなる。シュリを倒すにはここで押し込む必要があるな。
武器を振るおうとしたら、シュリが装備を手放し抱き着いてきた。戦闘中だったのに意表を突かれてなされるがままだった。
「シュウ様、戻ってきてください」
シュリが耳元でそう囁くのが聞こえた。戻ってこいとはどういうことだ?
『いったん、試合を止めるわよ。あんた、妻相手にどこまで沈むつもりだったのよ。前よりはまだましだったけど、そのままいったら魔王一直線だったわよ?』
「知るかボケ。お前が戦いたくもないのに戦闘を強要するから、自分の心を押さえるしかなかったんだよ! それで、俺は自分の中に気持ちを押し留めて戦ってただけだろうが!」
さすがにチビ神にキレた。
『傷もつかない、死ぬ事もない。そんな場所を用意してあげたのに、何て言い草よ!』
「恩を押し付けるようなことを言うな。傷付かなくても出来れば攻撃したくないんだよ。お前にはこの気持ちわかんねえだろうな! こっちの世界に問答無用で呼び出したんだもんな。人間の気持ちなんて理解できるわけねえよな! 今となっては感謝してるが、身一つでこの地に放り出されたんだぞ!」
『だまらっしゃい! 今がいいならそれでいいでしょうが。過ぎた事をいちいち掘り返すなんて、器が小さいわよ! それはどうでもいいとして、何で魔王になるような戦い方をするわけ? 信じられないんだけど!』
「俺が聞きたいわ! 体の奥に心を押し込めただけだぞ。それで魔王になるとかならんとかわかるわけねえだろ! それだけ、妻たちとの戦闘が苦痛だって事だろ。模擬戦とか練習とは違うんだよ。ここまで本気の戦いになると、洒落にならないくらいくらいの負担って事だろ」
『とんだ肝の小ささね。さっきのは絶対するんじゃないわよ! あんたの奥さんたちも戦いたがってるんだから、ちゃんと相手をしてあげなさい! じゃぁ、試合再開!』
チビ神が試合再開を告げるが、バトルフィールドの6人は動けずにいた。
妻たちはここに来て、やっと俺の気持ちを理解してくれたようだ。生まれた世界が違い育った環境が違うので、簡単には理解出来ない感情だろうが、現状がどれだけ俺に負担をかけているのか理解したのだ。
チビ神が戦えとか言っているが、もう妻たちにも俺にも戦闘をする意思がなくなっている。
俺は装備を全部しまい、新しく小太刀を右手に最上級エリクサーを左手に取り、小太刀を自分の心臓に向かって突き立てる。
死なないとわかっていたが、この試合を止めるためには妻たちか、俺のどちらかがバトルフィールドからいなくなる必要がある。
ならば、妻たちに自決などさせるはずがない。やるなら俺がやるべきだ。もしバリアが働かなくても、俺の持っているエリクサーをシュリが使ってくれるだろう。頭が潰れたりしなければ、すぐに死ぬ事はないので大丈夫だろう。
小太刀が胸に突き刺さる前にバリアのエフェクトが派生し、俺は控室に転送された。
「2週間腹痛が続くのかな? まぁこれで、俺がみんなと戦いたくない事は、分かってもらえたかな? でもわざと負けたから、娘たちとしばらく会えないのかな? それはそれで寂しい」
自分で動く気力も無くなり、控室の床に寝転がる事にした。
時間の感覚がなくなっており、どれだけ経ったのか分からない。長いような短いようなどっちだろうか?
体は回復魔法をかけていたので疲れていなかったが、精神的に疲れていたのだろう。全く動く気がしない。
何やら外が騒がしいな。
控室の扉がすごい勢いで開かれた。
誰かが入ってきたのが分かったが、目を開けるのも面倒になってしまい確認するのも放棄していた。
「「「とーたん!」」」
どうやら入ってきたのは、娘たちのようだ。
「「「死んじゃ駄目!」」」
どういう状況下わからないが、俺は死んだと思われているのかな?
「大丈夫だよ、生きてるから心配しないでいいぞ」
安心したのか縋りつくように泣いている。動くのがダルイとはいえ、娘たちが泣いているのに何もしないわけにはいかないよな。
何とか体を動かし娘たちの頭を1人ずつ撫でていく。
娘たちの泣き声で気付いていなかったが、足音がいくつも聞こえていた。
話の内容から、俺を心配して見に来てくれたらしい。そして、俺がここに横になっていたのは、1時間程らしい。そんなに時間が経っていたんだな。
それで娘たちが横たわってる俺を見てあのセリフか。
娘たちが泣き疲れて寝てから、妻たちから謝られた。俺が本当に戦いたくないと思っていることが分かったらしく、無理強いさせていたことに申し訳なくなり謝ってきた。
妻たちが力試しをしたいのは分かったけど、俺を巻き込まないでほしかったな。
0
お気に入りに追加
449
あなたにおすすめの小説
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい
616號
ファンタジー
不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。
平凡すぎる、と追放された俺。実は大量スキル獲得可のチート能力『無限変化』の使い手でした。俺が抜けてパーティが瓦解したから今更戻れ?お断りです
たかたちひろ【令嬢節約ごはん23日発売】
ファンタジー
★ファンタジーカップ参加作品です。
応援していただけたら執筆の励みになります。
《俺、貸します!》
これはパーティーを追放された男が、その実力で上り詰め、唯一無二の『レンタル冒険者』として無双を極める話である。(新形式のざまぁもあるよ)
ここから、直接ざまぁに入ります。スカッとしたい方は是非!
「君みたいな平均的な冒険者は不要だ」
この一言で、パーティーリーダーに追放を言い渡されたヨシュア。
しかしその実、彼は平均を装っていただけだった。
レベル35と見せかけているが、本当は350。
水属性魔法しか使えないと見せかけ、全属性魔法使い。
あまりに圧倒的な実力があったため、パーティーの中での力量バランスを考え、あえて影からのサポートに徹していたのだ。
それどころか攻撃力・防御力、メンバー関係の調整まで全て、彼が一手に担っていた。
リーダーのあまりに不足している実力を、ヨシュアのサポートにより埋めてきたのである。
その事実を伝えるも、リーダーには取り合ってもらえず。
あえなく、追放されてしまう。
しかし、それにより制限の消えたヨシュア。
一人で無双をしていたところ、その実力を美少女魔導士に見抜かれ、『レンタル冒険者』としてスカウトされる。
その内容は、パーティーや個人などに借りられていき、場面に応じた役割を果たすというものだった。
まさに、ヨシュアにとっての天職であった。
自分を正当に認めてくれ、力を発揮できる環境だ。
生まれつき与えられていたギフト【無限変化】による全武器、全スキルへの適性を活かして、様々な場所や状況に完璧な適応を見せるヨシュア。
目立ちたくないという思いとは裏腹に、引っ張りだこ。
元パーティーメンバーも彼のもとに帰ってきたいと言うなど、美少女たちに溺愛される。
そうしつつ、かつて前例のない、『レンタル』無双を開始するのであった。
一方、ヨシュアを追放したパーティーリーダーはと言えば、クエストの失敗、メンバーの離脱など、どんどん破滅へと追い込まれていく。
ヨシュアのスーパーサポートに頼りきっていたこと、その真の強さに気づき、戻ってこいと声をかけるが……。
そのときには、もう遅いのであった。
痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~
ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。
食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。
最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。
それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。
※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。
カクヨムで先行投稿中!
超文明日本
点P
ファンタジー
2030年の日本は、憲法改正により国防軍を保有していた。海軍は艦名を漢字表記に変更し、正規空母、原子力潜水艦を保有した。空軍はステルス爆撃機を保有。さらにアメリカからの要求で核兵器も保有していた。世界で1、2を争うほどの軍事力を有する。
そんな日本はある日、列島全域が突如として謎の光に包まれる。光が消えると他国と連絡が取れなくなっていた。
異世界転移ネタなんて何番煎じかわかりませんがとりあえず書きます。この話はフィクションです。実在の人物、団体、地名等とは一切関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる