ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
上 下
1,623 / 2,518

第1623話 肉肉肉!

しおりを挟む
「「ハグハグハグ……」」

「無心になって食べてるな~」

 メグちゃんとシリウス君の食事風景を見て、俺は思わずつぶやく。日本にいたときにも似たような光景を見た記憶があるな。大食いチャレンジとかフードファイトとか、そういったテレビで似たような物を見た気がする。

 こいつら、こんなに食わなくても問題ないのだが、ご褒美の食事なのであるだけ食べていいと言ってあるのだ。どのくらい食えるのか、気になるところである。元の体のサイズ基準だとしたら、これでも胃の1パーセントを満たしていないだろうけどな。

「「「とーたん、お腹空いた!」」」

 娘たちもお腹が空いたようだ。朝食を食べて時間も経ってるし、調理をしているからあたり一帯がいいにおいでいっぱいなんだよな。お腹も空くよな。

「軽く何か食べようか。でも、昼食前だから……野菜スティックでも食べるか?」

 ウルを含めた4人は、野菜スティックと聞いて喜んでいる。これが日本だったら、喜ぶ子どもがどれくらいいるだろうか?

 ブラウニーたちが普段から作り置きしているので、野菜スティックはプラスティックのコップに入れられ、大量に倉庫に入っている。

 俺たちは5人並んで、ポリポリと軽快な音を響かせて野菜スティックを食べている。視線の先には、無心で丸焼きにかぶりついている2匹がいるのだが……

 確か、小食の人とかが大食いを見ると、見ているだけでお腹がいっぱいになるみたいなこと言ってたな。想像しただけで、苦しくなるのだろうか? 今は感じないのでよくわからないが、前はそんな気分になっていた気もする。

 俺たちの前には、3つのソースというか野菜スティックにつける物が並んでいる。味噌マヨネーズ、ウバーニャカウダ、胡麻ドレッシングの3種類だ。

 俺は味噌マヨネーズ、ウルはバーニャカウダ、ミーシャたちは胡麻ドレッシングが好きである。他のやつが嫌いという訳ではないので、3回に1回違うソースをつけている感じだ。

 マヨ狂いではないが、マヨネーズって偉大だよな。高級な卵を使えばマヨネーズが上手くなるかと言ったら、そういうわけではないのだ。俺の口に合わせたマヨネーズを作ってくれるブラウニーたちに感謝だな。

「とーたん、パプリカ食べたい」

 娘たちは、甘く育てられたパプリカも好きなようだ。希望通りに出してあげると、喜んで食べ始める。俺は、キュウリとニンジンを交互に食べている。

 するとブラウニーがふよふよと飛んできて、何かを差し出してきた。

「お~ヤングコーンじゃん! 美味いな、今まで出てきたこと無かったけど急にどうしたんだ?」

「前から作っていたのですが、大きくならない身は放置して、ワームさんたちに肥料にしてもらっていたんです。食べれるとは知らなかったもので……ある日、ドリアードさんたちが食べている姿を見て、食べてみたら美味しかったので最近使い始めたんです」

 おや? 俺の知識を引き継いでいると言っても、完璧に引き継いでいるわけじゃないから、ヤングコーンが食べられるとは思っていなかったのかな?

 娘たちは興味津々で口に運んで、「美味しい~」と声をそろえている。うん、甘くてみずみずしくて美味しいのだ。普通のトウモロコシではそうはいかないが、いい物になると生で食べると甘いらしい。

 ん? 足に突っつかれる感触が……丸焼きを食べ終えたメグちゃんとシリウス君が足元にいた。机の上にあげてあげると、野菜スティックを要求してきたので新しいコップを出して、指示されたソースをかけていく。

 それにしても、よく食うな。

 無心になって食べていても、娘たちが撫でようとすると体を撫でやすい位置へずらすという気遣いをしている。それでも食べることを止めないのは、面白かった。

 一通り食べきった2匹は、遊びたいと要求してきた。だけど、ウミヘビって言ったら誤解があるが、ニョロニョロとしたモノとどうやって遊べばいいのだろうか?

 そんなことを考えていると、娘たちが湖に向かって走っていく。慌てて追いかける俺、喜び始めるリバイアサン2匹、意味が分からん状態だ。

 湖に入る直前で止まった娘たちは、自分の収納の腕輪から何かを取り出した。円形の形をした……フリスビー?

 何をするのかと思ったら、4人が違う方向に向かってフリスビーらしき物を投げる。全力で投げたらどこまで飛んでいくか分からないので、加減をしたと思うがそれでも50メートルは軽く飛んでいる。

 水面を走るように移動する2つの影。そして飛び上がりフリスビーらしき物を口で咥える。それぞれ2つ目に追いつき咥えた。器用だな。

 何度か投げた後メグちゃんとシリウス君は、娘たちにお願いされて水魔法を使って空中に水玉を大量に作り始めた。

 100個以上ある水玉を器用に動かしている。ぶつかった水玉はくっ付き、そしてくっ付く前の軌道のまま動き続けさせているので、また分離する。

 そんな水玉に向かって10メートル程離れた位置から、娘たちは小石を投げ始めた。水玉にあてるゲームかね?

 そんなこんなで気付いたら、お昼の時間になっていた。

 作っていたローストビーフは完成している。娘たちは、自分専用のお皿を持って切り分けてもらうのを待っている。ワクワクしている様子がうかがえるので、楽しみだったのだろう。

 5種類のローストビーフを小さく切り分けてもらい、1種類につき2枚乗せてもらっていた。野菜もしっかりと乗せてもらい、ホクホク顔である。

 ラムクラウンは、もう少し焼いた方がいいみたいだ。ビア缶チキンは完成しているみたいで、一緒に切り分けてもらう。メグちゃんとシリウス君の前には、丸ごと1匹と切られていない塊のままのローストビーフが置かれている。

 2匹は小さく鳴くと、自分の顔の数倍は大きい肉に突撃する。

 ビア缶チキンは、蒸し鶏みたいな感じだな。普段食べるのと違って、熱の入り具合が違うのかな? 触感が違う。これはこれで美味いな。ミックススパイスを塗り込んでいるので、そのまま食べるのがベストかな。

 ゆっくりと食べていたら、ラムクラウンが完成したようで切り分けてもらった……けどさ、切り分けるんだったら、グリルがあるんだから初めからラムチョップでいいんじゃね? とか思ったのは内緒である。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい

一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。 しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。 家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。 そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。 そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。 ……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──

勇者に幼馴染で婚約者の彼女を寝取られたら、勇者のパーティーが仲間になった。~ただの村人だった青年は、魔術師、聖女、剣聖を仲間にして旅に出る~

霜月雹花
ファンタジー
田舎で住む少年ロイドには、幼馴染で婚約者のルネが居た。しかし、いつもの様に農作業をしていると、ルネから呼び出しを受けて付いて行くとルネの両親と勇者が居て、ルネは勇者と一緒になると告げられた。村人達もルネが勇者と一緒になれば村が有名になると思い上がり、ロイドを村から追い出した。。  ロイドはそんなルネや村人達の行動に心が折れ、村から近い湖で一人泣いていると、勇者の仲間である3人の女性がロイドの所へとやって来て、ロイドに向かって「一緒に旅に出ないか」と持ち掛けられた。  これは、勇者に幼馴染で婚約者を寝取られた少年が、勇者の仲間から誘われ、時に人助けをしたり、時に冒険をする。そんなお話である

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する

雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。 その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。 代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。 それを見た柊茜は 「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」 【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。 追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん….... 主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します

エラーから始まる異世界生活

KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。 本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。 高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。 冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。 その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。 某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。 実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。 勇者として活躍するのかしないのか? 能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。 多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。 初めての作品にお付き合い下さい。

処理中です...