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第1610話 メグちゃん奮戦中
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メグちゃんが水エリアに入った。
「さて、相手は何をしてくれるんだろうな」
「シュウ、目的が変わってない?」
「完膚なきまでに倒すことは変わらないけど、メグちゃんが行ったんだから俺が何かを考える必要ないしな。しかもバザールがS級スケルトンで援護してるんだぜ、もしこれでダメならこちらの戦力で勝つのは無理だと思う」
「そうだけど、そうじゃないよ! もう、なんだかな……怒ってたんじゃないの?」
「今でも、結構キレてるけど? できるなら、相手のダンジョンマスターを引きずり出して、ボッコボコにしたいと思ってるよ。でも、無理だろ? だから、ダンジョンバトルが終わった後のことを考えてるよ」
「そうなの?」
「まあな、今回の戦闘結果によるけど、こっちのDPを総掛けして相手のDPだけじゃなく、それに見合った召喚権利を奪うつもりだな」
「何それ?」
「この前、ルールブック見て気付いたんだけど、賭け試合の中で総取りってあったろ? あれってさ、格上というか勝つ自信があるけど、DPとかの総量が多い相手に対して行う賭けバトルだったんだわ」
「???」
「俺ってトップじゃないけど、DPの総量は多い方だろ。俺から全部を奪うためには、単なる賭けじゃ向こう側のチップが足りなかったわけで、総取りで勝負を挑んできたんだと思うだ。
だから、今回は俺がDPを限界まで賭けて相手からすべてを奪うつもり。連戦制限があるから、期間が終わったらすぐに申し込んですべてをむしり取ってやる。少なくともランカーにいる間は、毟り取ってやるつもりだ」
「そういうこと。チップ不足で全部を奪えないダンジョンマスターのために準備された起死回生の一発勝負……みたいな感じか。しかも負けた時のことを考えて、シュウはDPだけをかけるっていう戦法ね」
「そういうこと。こっちが賭けバトルを申し込むから、相手に追加条件を出される可能性があるけど、追加条件って2つまでしか追加できないらしいんだけど、複数戦になると対戦相手の人数かける2の条件が追加できるって書いてあった」
「それだと、相手が組んで攻めてきたら拙いんじゃない?」
「破滅に付き合う連絡の取れるダンジョンマスターがいるかどうかだと思う。俺を倒すためには最低でも、種族縛りと道具制限が必要だって話しの覚えているか? 他にも隠し玉はあるんだけど、今回でフェンリルが召喚できることは知られたから、獣も種族から外れるだろうな」
「そうね。Sランクの魔物はそれだけで強いもんね。道具縛りは使用不可にすれば、主力の一つである強化外骨格が使えなくなるわね。この2つをやられたら厳しいんじゃない?」
「おいおい、忘れてるみたいだから言うけど、人造ゴーレムは何に含まれると思う?」
「道具じゃないの?」
「俺もそう思ってたんだけど、実はあれって俺たちの魔法だから種族制限にはかからないみたいなんだ」
「マジ? それだったら、魔法使用不可にでもしないといけないわけね?」
「そういうこと。でも忘れちゃいけないのは、この制限はもちろん相手にもかかるってことだ。同じ土俵で戦うなら、DPをたくさん持っている方が圧倒的に有利だ。そして何より大切なのは、向こうが更に賭けを上乗せしても、俺はDPを失うだけで済む」
「上乗せされても、失うものがDP以外に残っていないシュウなら、無意味ってことね」
「DPで返済しないといけなければ、バザールが稼いだ分を順次もらって返済していけばいい。総掛けでもダンジョンマスターの資格だけは失わないから、再起は可能。俺にはバザールがいるからリスクなんて全くないわけだ」
「本当に最悪のダンジョンマスターね。味方だから頼もしいけど、敵にいたら全力で回避するタイプの相手だわ」
「すまんでござるが、楽しそうな話を某抜きで楽しむのはどうかと思うでござるよ。こっちは必死にメグちゃんのサポートをしているでござるのに……酷いでござる」
「すまんすまん。そっちの様子はっと」
あれ? メグちゃんがちょうど大きくなる瞬間だったようだ。
『おっと! あの先頭のウミヘビのような魔物は、準ユニークスキルのサイズ変更を持っているようだ! たぐいまれなるダンジョンマスターの適性を持ち、数々の戦闘を勝ち進み、珍しい魔物まで所持しているうえに、その魔物が希少なスキルを有している。これは、とんでもない奴が現れましたね!』
『そうですね。ダンジョンマスターになってからまだ10年も経っていないルーキーが、ランカーにいる時点でありえないことですが、それ以上にアイテム・スキル・魔物、何を取っても高レベルで所持しており、戦略や戦術にも長けているようですね』
『これは、アンタッチャブルに指定されてもおかしくなさそうですね。こんな優秀なダンジョンマスターを、どうしてあの駄女神が召喚できたのか……謎は尽きませんね!』
こいつら、言いたい放題だな。チビ神が涙目で猛抗議する姿が思い浮かぶわ。
「メグちゃんは、本気ってわけではなさそうね。本来の姿より大分小さいわね。見た目はリバイアサンっぽくなってきているけど、アクアドレイクの亜種みたいにも見えなくないわね」
「それを狙ってたりするのかな?」
「違うでござる。本来の姿に戻ると、水流制御をしていてもお供のS級スケルトンを、ひき殺してしまう可能性があるでござるから、あのサイズに止めているようでござる」
俺と綾乃は、リバイアサンの本来の姿に戻ると、S級スケルトンすら簡単に殺してしまう可能性があることに絶句した。そこまで簡単とは思わないが、事故で壊せる可能性があるだけでも恐ろしい話である。
そのメグちゃんと言えば、敵ダンジョンの水棲魔物を、貪り食い荒らしている。
とにかく、いろいろな種類の水棲魔物を召喚して、メグちゃんの弱点を探している印象だ。水の色を見る限り毒も使っている様子だ。
メグちゃんは水を生み出し続けているので、毒は効いていない。S級スケルトンはアンデッドなので毒は効かない。この階層も問題なく突破しそうである。
「さて、相手は何をしてくれるんだろうな」
「シュウ、目的が変わってない?」
「完膚なきまでに倒すことは変わらないけど、メグちゃんが行ったんだから俺が何かを考える必要ないしな。しかもバザールがS級スケルトンで援護してるんだぜ、もしこれでダメならこちらの戦力で勝つのは無理だと思う」
「そうだけど、そうじゃないよ! もう、なんだかな……怒ってたんじゃないの?」
「今でも、結構キレてるけど? できるなら、相手のダンジョンマスターを引きずり出して、ボッコボコにしたいと思ってるよ。でも、無理だろ? だから、ダンジョンバトルが終わった後のことを考えてるよ」
「そうなの?」
「まあな、今回の戦闘結果によるけど、こっちのDPを総掛けして相手のDPだけじゃなく、それに見合った召喚権利を奪うつもりだな」
「何それ?」
「この前、ルールブック見て気付いたんだけど、賭け試合の中で総取りってあったろ? あれってさ、格上というか勝つ自信があるけど、DPとかの総量が多い相手に対して行う賭けバトルだったんだわ」
「???」
「俺ってトップじゃないけど、DPの総量は多い方だろ。俺から全部を奪うためには、単なる賭けじゃ向こう側のチップが足りなかったわけで、総取りで勝負を挑んできたんだと思うだ。
だから、今回は俺がDPを限界まで賭けて相手からすべてを奪うつもり。連戦制限があるから、期間が終わったらすぐに申し込んですべてをむしり取ってやる。少なくともランカーにいる間は、毟り取ってやるつもりだ」
「そういうこと。チップ不足で全部を奪えないダンジョンマスターのために準備された起死回生の一発勝負……みたいな感じか。しかも負けた時のことを考えて、シュウはDPだけをかけるっていう戦法ね」
「そういうこと。こっちが賭けバトルを申し込むから、相手に追加条件を出される可能性があるけど、追加条件って2つまでしか追加できないらしいんだけど、複数戦になると対戦相手の人数かける2の条件が追加できるって書いてあった」
「それだと、相手が組んで攻めてきたら拙いんじゃない?」
「破滅に付き合う連絡の取れるダンジョンマスターがいるかどうかだと思う。俺を倒すためには最低でも、種族縛りと道具制限が必要だって話しの覚えているか? 他にも隠し玉はあるんだけど、今回でフェンリルが召喚できることは知られたから、獣も種族から外れるだろうな」
「そうね。Sランクの魔物はそれだけで強いもんね。道具縛りは使用不可にすれば、主力の一つである強化外骨格が使えなくなるわね。この2つをやられたら厳しいんじゃない?」
「おいおい、忘れてるみたいだから言うけど、人造ゴーレムは何に含まれると思う?」
「道具じゃないの?」
「俺もそう思ってたんだけど、実はあれって俺たちの魔法だから種族制限にはかからないみたいなんだ」
「マジ? それだったら、魔法使用不可にでもしないといけないわけね?」
「そういうこと。でも忘れちゃいけないのは、この制限はもちろん相手にもかかるってことだ。同じ土俵で戦うなら、DPをたくさん持っている方が圧倒的に有利だ。そして何より大切なのは、向こうが更に賭けを上乗せしても、俺はDPを失うだけで済む」
「上乗せされても、失うものがDP以外に残っていないシュウなら、無意味ってことね」
「DPで返済しないといけなければ、バザールが稼いだ分を順次もらって返済していけばいい。総掛けでもダンジョンマスターの資格だけは失わないから、再起は可能。俺にはバザールがいるからリスクなんて全くないわけだ」
「本当に最悪のダンジョンマスターね。味方だから頼もしいけど、敵にいたら全力で回避するタイプの相手だわ」
「すまんでござるが、楽しそうな話を某抜きで楽しむのはどうかと思うでござるよ。こっちは必死にメグちゃんのサポートをしているでござるのに……酷いでござる」
「すまんすまん。そっちの様子はっと」
あれ? メグちゃんがちょうど大きくなる瞬間だったようだ。
『おっと! あの先頭のウミヘビのような魔物は、準ユニークスキルのサイズ変更を持っているようだ! たぐいまれなるダンジョンマスターの適性を持ち、数々の戦闘を勝ち進み、珍しい魔物まで所持しているうえに、その魔物が希少なスキルを有している。これは、とんでもない奴が現れましたね!』
『そうですね。ダンジョンマスターになってからまだ10年も経っていないルーキーが、ランカーにいる時点でありえないことですが、それ以上にアイテム・スキル・魔物、何を取っても高レベルで所持しており、戦略や戦術にも長けているようですね』
『これは、アンタッチャブルに指定されてもおかしくなさそうですね。こんな優秀なダンジョンマスターを、どうしてあの駄女神が召喚できたのか……謎は尽きませんね!』
こいつら、言いたい放題だな。チビ神が涙目で猛抗議する姿が思い浮かぶわ。
「メグちゃんは、本気ってわけではなさそうね。本来の姿より大分小さいわね。見た目はリバイアサンっぽくなってきているけど、アクアドレイクの亜種みたいにも見えなくないわね」
「それを狙ってたりするのかな?」
「違うでござる。本来の姿に戻ると、水流制御をしていてもお供のS級スケルトンを、ひき殺してしまう可能性があるでござるから、あのサイズに止めているようでござる」
俺と綾乃は、リバイアサンの本来の姿に戻ると、S級スケルトンすら簡単に殺してしまう可能性があることに絶句した。そこまで簡単とは思わないが、事故で壊せる可能性があるだけでも恐ろしい話である。
そのメグちゃんと言えば、敵ダンジョンの水棲魔物を、貪り食い荒らしている。
とにかく、いろいろな種類の水棲魔物を召喚して、メグちゃんの弱点を探している印象だ。水の色を見る限り毒も使っている様子だ。
メグちゃんは水を生み出し続けているので、毒は効いていない。S級スケルトンはアンデッドなので毒は効かない。この階層も問題なく突破しそうである。
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