ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第1597話 準備完了

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 それから1週間は、娘たちが思うようなダンジョンを作成してもらった。拙い部分は助言をして、娘たち自身に修正を任せる形で俺たちも参加している。

 今回のダンジョンは全50階層のダンジョンだ。

 一応、1階層に配置するフェンリルとリビングアーマーの混成部隊が突破されることを前提に作っている。よくわからない戦線崩壊があるので、抜けられることが前提となっているのだ。

 娘たちが担当したのは、2~30階層までの29階層分だ。

 各階層に特徴を持たせたい! と張り切っていたので、無茶しないか心配だったが、約束を忘れないようにとウルがお姉ちゃん振りを発揮してくれたので、特に問題は無かった。下の子たちとも仲良くしてくれているので、やさしい子たちだと思う。

 プラムとシオンはお姉ちゃんたちを見習って、もうちょっとシンラに優しくしてやってほしい。四六時中くっ付かれているとシンラも大変だと思うぞ。そのシンラも逃げられないと分かったときの、死んだ目をするようなことはやめてほしい。

 娘たちが担当した階層の内、2~10階層は娘たちがアニメやゲームを見て、勝手に想像したこれぞダンジョン! が配置されている。古典的な洞窟タイプのダンジョンだ。

 ダンジョンに配置されているのは、ゴーレム・ゴブリン・コボルト・オークなど、メジャーな魔物を強化して配置している。基本はゴーレム2~3体にゴブリンやコボルトが10体ほどで小隊を結成している。オークに関しては、8体ほどで小隊を結成して前衛中衛後衛としっかりと役割分担を持たせている。

 もちろん罠などもあるが、古典的なモノしか配置していない。

 例えば、落とし穴、穴の下に槍が大量に立っている落ちたら死ぬタイプだったり、スイッチを踏むと左右から大量の槍が突き出てきたり、センサーに触れると槍が高速で飛んできたり、何故か娘たちの想像する罠は、槍が基本的に存在していた。

 それ以外にも、通路いっぱいの巨石が転がってきて、間違った道に逃げると槍の罠。ある程度の数が部屋に入ると出入口が閉まって、天井に槍が生えてゆっくりと降りてくる罠だったり。ここでも槍があったな。

 唯一罠に槍が絡まなかったのは、水責めの罠だけだったな。あれは倒すために水を使うので、他に倒す方法を持ち込むのは無粋だしな。質が悪いのが、同じような罠が1階層に1つあるのだが、最後の1つだけ塩分濃度の高い塩水で、膝丈くらいで一度止まりそこに高圧電流を流すというヤバいのを配置していた。

 どこで覚えたのかと思ったら、綾乃が理科の実験で塩水には電気が流れるというのを教えており、電気の力で敵を倒す雷魔法の存在を知っていた娘たちが考えついた罠だ。

 11~20階層は、フィールドダンジョンをチョイスしていた。10階層全部が森であり、サルのように木の上から攻撃するのもいれば、真正面から攻撃するゴリラもいる。その陰に隠れて毒ヘビや毒クモの魔物まで、配置されている厄介なエリアとなっている。

 他にも、巨大昆虫型の魔物やコウモリのように音で攻撃する魔物も多く存在していた。

 ここで一番たちが悪いのは、森のフィールドダンジョンのすべてが夜の設定であることだ。こちらが配置する魔物は全員が暗視のスキルを取得させており、暗闇での戦闘が苦にならないようにしている。

 21~30階層は、子供の発想なのだろうかアスレチックのような感覚で、上へ下へ階段を大量に配置して進みづらくしていた。ここの魔物はガーゴイルに統一されており、置物がいきなり襲ってくる立体迷宮型のダンジョンだ。

 俺も1度作ってみているが、色々考えて階段や罠、その他を配置するのって結構大変なんだよね。娘たちは、遊び感覚で楽しそうにダンジョンを作っていたけどね。

 ダンジョンは、絶対に攻略できるように設計されていないと、設置が不可能なので結構面倒だったりするのだ。解除できない罠はNGだし、極端に攻略し辛い物は不可能だ。

 フィールドダンジョンではあまり作成に失敗することは無いが、迷宮型のダンジョンだと1つ壁を着け間違えると設置できなくて、修正箇所を見つけるのに時間がかかったりしたのだ。平面でも結構大変なのに、立体的となれば、かなり面倒だ。

 ちなみにフィールドダンジョンで失敗になるケースは、走って飛べば渡れる4メートルほどの幅の谷だったり、10センチメートルしかない崖の上の通路だったりが、攻略上通らなければならない場所だった場合は作成不可である。

 そんなこんなで娘たちは1週間で、約30階層分のダンジョンを作り上げてしまったのだ。猫たちの餌やりやトイレ掃除、弟妹たちの面倒見だったり、任された仕事をしっかりした上で、勉強も運動もしているのに、やり切ってしまった。

 さすがに30階層分は無理だと思っていたから、予備の階層として20階層分作っておいたのが不要になった。

 31~49階層までは俺たちが担当している。ありきたりなダンジョンだけど、配置している魔物はS級スケルトンと、人造ゴーレムのSランクがゴロゴロいるエリアとなっている。

 50階層は、娘たちが参加していると聞いてヤル気を出したメグちゃんが、シリウス君の首根っこに噛みついてこの部屋までやってきたよ。敵が攻めてくるか分からないが、娘たちがここにいるので2匹専用の池を作ってやり、そこで娘たちと交流を深めている。

 娘たちが生まれる前は、シェリルたちにベッタリだった気がするのだが、メスが幼女を好きなのもロリコンになるのだろうか? と、どうでもいいことを考えていたら、水鉄砲が飛んできた。

 おい! この部屋寒く設定してあるんだから水も冷たいんだよ! マジで止めれ!

 メグちゃんとシリウス君がここにきていることを知ったシェリルたちも、この部屋に来るようになったので少し狭く感じる……拡張すれば済む話なのだが、こじんまりとした部屋にしておきたかったので、ちょっと人口密度が高いけどそのままにしている。

 それにしても、メグちゃんは娘たちとだけでなくシェリルたちとも仲がいいな。

 メグちゃんは張り切っているけど、娘たちやシェリルと一緒にいられることが嬉しいみたいだ。何でかと聞いてみたら、大きかったときでも見た目に怖がらずに優しくしてくれたから、とのことだ。

 そういえばシェリルたち以外は、正直リバイアサンにビビってたもんな。俺も怖かった、すまん。今の見た目的には、デフォルメされておりポケ〇ンにいそうなキャラで可愛く見えるが、元の姿はね。

 娘たちにせがまれて渋々元の姿を見せたら、カッコいい! と大はしゃぎだったらしい。それで今ではよく遊んでいるようだ。最近メグちゃんをよく家で見ると思っていたのは、そのせいだったようだ。下の子たちとも仲が良好のようだ。シリウス君が1度驚かせて、下の子たちを泣かせてしまった時は大変だったとか。

 俺、その話知らないんだけど、疎外されていく父親の心境なのだろうか?

「シュウ、それは違うと思うわよ」

 綾乃に突っ込まれた。心の声を聴かないでくれ。
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