ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第1582話 小細工は小細工で潰す

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「一応、ダンジョンバトルの話し合いに初めて参加する健司がいるから、もう一度ダンジョンバトルについて簡単に説明しておこう。大前提として、ダンジョンマスターの権限を持っているものや代行者が、己の力をぶつけ合うのがダンジョンバトルだと思ってくれ」

 俺は今までに感じたことを、そのまま口にする。ダンジョンバトルなんて、自己顕示欲の1つだと思っている。その点、俺は特にそんなことを感じていないけどな。ダンジョンバトルを始めたきっかけは、何だったっけな?

 確か、欲しいものがあったから始めた気がする。物欲から初めて、なんか得られるものがあるってチビ神から教えられて、思いのまま突っ走った結果が、今かな?

「で、ダンジョンバトルにも色々な戦い方がある。通常のダンジョンバトル、防衛線、侵攻戦、条件付き相互侵攻戦、魔物同士を戦わせる団体戦が、主なダンジョンバトルだと思ってくれ」

「えっと、確か通常のダンジョンバトルは、ただ神たちを楽しませる遊びみたいなもので、楽しませた対価としてDPがもらえるんすよね?」

「まぁ、そんな感じだ」

「防衛線と侵攻戦は、防衛側のダンジョンマスターがバトルに使うダンジョンの大きさでバトルの時間が決まるっす。勝利条件は、ダンジョンコアの破壊でしたっけ?」

「いや、破壊しなくても問題ない。設置されているコアを台座から外せば勝ちだ」

「そうなんすね。条件付き相互侵攻作戦は、通常のダンジョンバトルに制限やダンジョンマスター同士が賭けをすると、そう呼ばれるって言ってたっすね。団体戦は、決めた勝利数に先に達したら勝ちっす」

「基本的な知識は大丈夫そうだな。細かいルールはあるけど、それはこれを読んでおいてくれ。で、気になった事や提案があれば、まずはバザールに話せ。こいつが忙しいときは綾乃か?」

「私に戦略面の期待はしない方がいいわね。どちらかと言えば、開発がメインだからね」

「よく考えると、サポートしてくれる人がいねえな」

「バザールがその立ち位置っぽいけどね」

「こいつはどちらかと言えば、俺の代わりだな、サポートしてくれる人というか、部署を作るか?」

「どういうことでござるか?」

「そうだな。バザールの立ち位置は変わらんけど、手伝ってくれる人が増える、考える頭数が増えるって感じか? それに、綾乃もその部署があれば、武器の改造案や新しい装備のインスピレーションが浮かぶんじゃないか?」

「それいいわね。シュウ、さっそくその部署作って」

「今すぐは無理だ。少なくとも、魔物に詳しい人じゃないとな。後は、閃きの天才みたいなメンバーもいるとよさそうな気がする」

「確かに魅力的でござるが、今はダンジョンバトルが優先でござろう」

「おっと、いかんいかん。話が脱線するのも、俺たちしかいないせいもあるんだろうな」

「それが悪いとは言わないけど、今は良くないわね。4式の構想を練っているんだから、早く作りたいわ!」

「この話し合いは話し合いで有意義でござるから、気が向いたときにやるでござるよ。先に話を進めてほしいでござる」

「了解。話を戻して、今回は条件付き相互侵攻戦が、何個だっけ?」

「5つだったでござるが、昨日2つ申し込みが追加であったでござる」

「マジで? 俺らの戦闘を見て、勝てると思って申し込んできたんだよな? 基本的な話し合いが終わったら、アーカイブを見るか? ちょっと、そいつらの情報を集めておいてくれ」

 無線を繋げ、スプリガンの皆さんに情報収集をお願いしておく。

「アーカイブは知ってるか?」

「えっと、過去の戦闘ログというか映像っすよね?」

「オーケーオーケー。で、条件ってどんなものか確認してないんだけど、バザールよろしく」

「承知したでござる。3つが、提示したモノと同等のモノをこちらも準備して勝った方がゲットでござる。2つが、地形指定でござる。最後の2つが使用DP上限有りでござるな」

「2つめの地形指定ってなんだ?」

「それはでござるな。相手が指定した地形以外を使ってはいけない、という縛りでござる」

「まんまだな。で、指定してきた地形は?」

「フィールドタイプと森タイプをそれぞれが指定してきているでござる」

「フィールドタイプは分からなくもないけど、森タイプっていうのはよくわからねえな。そこらへんは、アーカイブで調べてみるしかないか。条件的には、全部ごちゃ混ぜにできそうだけど、どうだ?」

「いっぺんに行うのは問題ないでござまとめると片方の使用DP上限有りが厄介でござる」

 使用上限有りの片方?

 どうやら、DPの上限が異様に少ないようだ。

「明らかにダゴンを召喚させない、Sランクの魔物を召喚させない、という意図を感じるDPの量でござる」

「何か企んでいるってことか?」

「可能性は高い気がするわね」

「えっと、一つ疑問なんすけど、ダンジョンバトルに使うダンジョンって、バトル中はどうなっているんすか? 出入りが不可能とかっすかね?」

「それだな。確か、ダンジョンバトルを始めたころに、現地の人間、冒険者みたいなやつもいた気がする。でも、条件を付ければはじけるんじゃなかったか?」

「バトル中のダンジョンには、侵入不可能って書いてあるわね。でも、前のときは入ってきたって言ってなかったっけ?」

「ん~覚えてない! というか、バトル中っていうところがミソだろうな。ダンジョンバトルの場合、専用のダンジョンを用意していることが多いみたいだから、冒険者の有無なんて気にする必要ないんだろうな」

「ルールが変わったか分かんないっすけど、それも神たちの狙いとかじゃないっすか?」

「可能性はあり得るよな、ルールブックには、DP制限有の項目ってあるか?」

「ん~、使ったDPの量は、ダンジョンマスターの召喚履歴をDBSが読み取って判断すると、書いてあるでござるな」

「あ~俺、分かったわ」

「さすがに私だって分かったわよ」

「そうでござるな」

「どういうことっすか?」

 まだ慣れていない健司は、分かっていないようだ。

「ダンジョンマスターの召喚履歴をDBSが読み取る、DBSは知ってるか?」

「はいっす。ダンジョンバトルシステムっすよね?」

「正解。それが読み取るのは、DBSを付属した部屋を召喚したダンジョンマスターの召喚履歴だ。ここまで言えば分かるか?」

「召喚したマスターの……あっ! 仲間に別のダンジョンマスターがいれば、そいつが召喚した魔物はDPカウントがされないっすか?」

「たぶんな。気付けば馬鹿らしくなってくるな。ってことは、このダンジョンマスター……俺みたいに仲間にダンジョンマスターがいるってことだな。まぁ、相手さんはS級スケルトンを、理解していないみたいだから、100体も用意してやれば蹂躙できるだろ」

「そこまでする必要あるっすか?」

「レイブ……んんっ……強化外骨格4式のためだ。無駄にダンジョンバトルを吹っ掛けられると、時間がとられるから、圧倒的戦力で蹂躙する!」

「もちろん、まとめて全員相手をするぞ! おそらく俺たちを除けば、DPを少なく制限をした奴が有利だろうけど、相手にはならんだろ。あ、バザール、こちらからの条件に『勝ったダンジョンマスターが、バトルに参加したダンジョンマスターの召喚権を2つ選択して奪うことができる』って入れといてくれ」

 バザールは、骨の顔でニヤリと笑った、骨なのに!?
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